- 2台めのWF-1000XM3を買ったので再レビュー!
- 発売当初のウィークポイントが解消されつつある!
- Bluetoothペアリングが早くなれば完璧かも!
1年後の再レビュー、アゲイン。
ノイズキャンセリング機能搭載完全ワイヤレスイヤホン、Sony『WF-1000XM3』をレビュー。昨年、すでにレビューしていたのですが、“買い直し”したので再レビュー。アップデートもされ、1年経過した今でも進化し続ける完全ワイヤレスイヤホン、という感じです。
進化し続ける完全ワイヤレスイヤホンですなー!
同じ製品を2回レビューするとは……。
Sony『WF-1000XM3』って?
WF-1000XM3ってなに?
アクティブノイズキャンセリング機能搭載の完全ワイヤレスイヤホン、Sonyフラグシップ機。
- NC有でもバッテリー持ちが良い。
- 独自左右独立受信方式を採用。
- コンパニオンアプリが使いやすい。
- ANCと音質の両立が素晴らしい。
- 充電ケースが大きめ。
- 充電ケースが汚れやすい。
- aptXコーデック非対応。
完全ワイヤレスイヤホンでノイキャン搭載のものが欲しい!
…って、思っているなら真っ先に検討すべきイヤホンやね!
本体チェック
■インターフェース
- リモコンボタン(タッチセンサー)
- LEDインジケーター
イヤホン前面の丸い光沢感がある部分、これがタッチセンサータイプのリモコンボタンになっています。また、“SONY”ロゴの隣にある穴は、ノイズキャンセリング機能に使われる『フィードフォワードマイク』です。
なお、イヤホン本体のサイズは 33×13×29mm (実測値)で、重さは8.5g。発売から1年が経過しているので、今見てしまうとサイズ・質量ともに“非”コンパクト。ただ、装着感はSonyらしいフィット感高めの設計で良好。
そして、WF-1000XM3はカラーバリエーションが2色展開(プラチナシルバー・ブラック)。このカラー展開は1000Xシリーズの恒例な形。
今回は『ブラック』を選んだやよ!(以前はプラチナシルバー持ちだったけど、ブラックを買い直した)
■インターフェース
- 近接センサー
イヤホン後面の黒い光沢感がある部分、これが近接センサー。近接センサーが搭載されているおかげで、イヤホンの着脱に応じて、楽曲の再生・停止されるようになっています。AirPodsで有名になった近接センサーですが、今では多くの機種で採用されていますね。
また、写真では分かりづらいですが、後面にもノイズキャンセリング機能に使われる『フィードバックマイク』というマイクロフォンが内蔵されています。
イヤホン上面から見ると、イヤホン本体が結構大ぶりであることが分かります。
ただ、装着感自体はかなり良好で、Sony曰く『エルゴノミック・トライホールド・ストラクチャー』という人間工学に基づいたホールドデザインを採用しているそう。凄く深く耳の穴に挿さる感じはありませんが、万人がホールドできる作りになっています。
充電ケース上面には、“SONY”のロゴがキラり。この部分は充電ケースの蓋。金属っぽい質感のように見えますが、普通のプラスチック。
なお、充電ケースのサイズは 80×55×29mm で、重さは76g(いずれも実測値)。発売当初から大ぶりなサイズ感でしたが、今見てもやはり大ぶり。
■インターフェース
- USB Type-C
充電ケース下面には、充電用のUSB Type-Cを搭載。
■インターフェース
- LEDインジケーター
- NFC
充電ケース前面には、充電状態等を示してくれるLEDインジケーターを搭載。また、NFCモジュールを搭載しており、NFC搭載のスマートフォンやWALKMANなら、タッチするだけでペアリングが可能。
充電ケース後面には、特に何もなし。
充電ケース左右面も、特に何もありません。
充電ケース内面はこんな感じ。
左 | 右 | |
1回押し | NC/Ambientモード切替 | 再生・停止 |
2回押し | - | 曲送り |
3回押し | - | 曲戻し |
長押し | クイックアテンション | 音声アシスタント起動 |
WF-1000XM3のリモコン機能
※デフォルトの状態。
リモコン機能は、再生・停止、選曲、ノイズキャンセリング機能と外音取り込み機能の切り替えが可能。デフォルトの状態では音量調節がありませんが、キーアサインを変更すれば音量調節も可能になります。
そういうわけで、キーアサインについては変更可能で、専用のコンパニオンアプリ『Headphones Connect』から設定できます。キーアサインについては、決められたパターンから選択する方式ですが、基本的には過不足なし。キーアサインなしも適用可能です。
常時ノイキャンを使うなら、左chのキーアサインを音量調節にしてもいいかも!
付属品チェック
■WF-1000XM3の付属品一覧
- 取扱説明書
- USB Type-A to USB Type-Cケーブル
- ハイブリットイヤーピースロング(SS・S・M・L)
- トリプルコンフォートイヤーピース(S・M・L)
Sony製品らしく、イヤーピースの種類と数が豊富なのが特徴的。特に、女性にはXSサイズのイヤーピースが付属しているのが嬉しいところ。
Sonyのイヤーピースは非常に出来が良く、他社のイヤーピースに無理して交換する必要はなし。フォームタイプのトリプルコンフォートイヤーピースの密着度も結構良いので、合う人は早めにリプレースしてもいいかも。
注目ポイント
■WF-1000XM3ポイント概要
- ノイズキャンセリング機能:進化し続ける『QN1e』NCプロセッサー
- 外音取り込み機能:クイックアテンションモード&アンビエントサウンドモード
- ハイレゾ:『DSEE HX』で最大96kHz/24bitまでアプコン
- 左右独立受信方式:低遅延かつ音途切れがしにくい
ノイズキャンセリング機能:進化し続ける『QN1e』NCプロセッサー
もはや、語る必要性がないくらいのWF-1000XM3のノイズキャンセリング機能。このWF-1000XM3のノイズキャンセリング機能こそ、昨今の完全ワイヤレスイヤホンの流れを作ったと言っても過言ではないはず。
特に、WF-1000XM3にはSonyオリジナルのNCプロセッサー『QN1e』が使われており、発売から1年が経過した今でも、トップクラスのアクティブノイズキャンセリング性能を持っていると言える。
外音取り込み機能:クイックアテンションモード&アンビエントサウンドモード
こちらも昨今の完全ワイヤレスイヤホンでは当たり前のように搭載されている、外音取り込み機能(Sony的には『アンビエントサウンドモード』)。その利便性を伝えた立役者なのがWF-1000XM3でしょう。
発売から1年が経過した今でも、WF-1000XM3の外音取り込み機能は高次元で使いやすい印象。特に便利なのが、リモコンボタンをタップしている間だけ外音取り込み機能がオンになる『クイックアテンションモード』。これは他社でも採用があまりされていない機能なので、そういう意味でも、WF-1000XM3にはまだまだ一日の長がある。
ハイレゾ:『DSEE HX』で最大96kHz/24bitまでアプコン
Sonyらしい面白い機能なのが、『DSEE HX』という最大96kHz/24bitのハイレゾ相当の音質までアップスケーリングしてくれる機能。
Headphones Connectアプリで、DSEE HXはオン・オフが切り替え可能なので、この手のアップスケーリングが好ましくないユーザーは切ればOK。でも、せっかくなら一度は使ってほしいところ。最近はハイレゾ音源での音楽ストリーミングサービスも開始したので、今こそDSEE HXの真価が発揮されるときが来たかもしれません。
本当はLDACコーデック対応になれば嬉しいけど、バッテリーの消費が激しくなるから見送ったとかとか……。
真っ先に完全ワイヤレスイヤホンをハイレゾ対応させるのは、おSony様だとは予想しているんだけどねー。うぬぬ。
左右独立受信方式:低遅延かつ音途切れがしにくい
これもWF-1000XM3の大きなポイント。そう、独自の左右独立受信方式を採用している点。TWS Plusのような端末依存が高いものではなく、どんな端末でも左右独立受信方式を使えるというのは、かなり大きなアドバンテージ。
発売当初はこのことに狂喜乱舞したのですが、蓋を開けてみると、独自で左右独立受信方式をしている企業はかなり少ない。多くはQualcommのSoC(QCC○○○○)をそのまま採用しているので、TWS Plusを使っていて、ユーザーはなかなか恩恵が受けづらい。なので、結局のところは、Sonyのような独自の左右独立受信方式を用いたのが正解でしょう。
初心者でも気にせず使える点も大きいんよね。
音質チェック
音質評価:★★★★☆
高音域:★★★★☆
中音域:★★★★☆
低音域:★★★★☆
WF-1000XM3の音質について端的に言うと、ニュートラルかつ楽しいSonyライクなサウンド、という感じ。いわゆる1000Xシリーズらしい、万人にとって聞きやすい音質になっています。
WF-1000XM3には、前述したハイレゾ相当にアップスケーリングしてくれるDSEE HXがあるので、そのオン・オフによっても音質の傾向が変わってきます。
DSEE HXオフだと、癖が少なめのサラっとした音質。DSEE HXオンだと、ググっと音場感や立体感が増し、楽しく聞ける音質。DSEE HXによって音の傾向が変わってくるのですが、せっかくならDSEE HXオンで使ったほうが、WF-1000XM3を楽しく活用できるでしょう。そういうわけで、DSEE HXオンで使うのがおすすめ。
発売から1年が経過してるけど、やっぱりソツがない音質っていうイメージがぴったりやと思う!それくらい楽しく聞ける感じ!!
WF-1000XM3に合いそうな曲
■こんな楽曲が合いそう!
- 疾走感のあるアニソン
- ボーカル系Pops
- メロウ系R&B
- チル系Hip-Hop
バランスが良く、非常に日本人好みな音質のチューニングとなっているWF-1000XM3。そういうこともあり、何でも合う感じ。これがドンピシャに合うというよりは、どんな曲でも80%〜90%ぐらい合っている優等生的なイメージ。
そんな中でも、アニソン・Pops・R&B・Hip-Hopと相性が良い印象。疾走感のある曲からメロウでチルな曲まで、ソツなくこなしてくれます。合わないこともないけど、JazzやClassicはちょっと違う感じかも。
そんなWF-1000XM3と一緒に聞いてほしい楽曲は、iriのアルバム『Sparkle』から5トラックめの『miracle』をセレクト。
メロウだけど、1音1音をしっかりと強くアタックする感じ。ボーカルのしっとりした歌声。これらをしっかりとWF-1000XM3が鳴らしてくれています。ちゃんとボーカルの定位を感じられるところも良き。低音域がしっかりと鳴っているけど、聞き疲れしないバランスの良さも垣間見えます。
疾走感のある曲からメロウな曲まで、こなしてくれる懐の深さって感じやね!
ここがすき!
改善されたコンパニオンアプリ
昨年、発売後すぐのレビューでは、専用コンパニオンアプリである『Headphones Connect』について、厳しめの評価をしていましたが、その後アップデートで大幅に良くなりました。ここはかなり嬉しいポイント。
縦に長くて使いにくかったUIも一新され、タブごとに項目分けされたデザイン性のあるUIへと生まれ変わりました。いつも言っていますが、完全ワイヤレスイヤホンのキモの1つは、コンパニオンアプリにあるので、ここを重点的に改善してくれたのは大いに評価すべき点でしょう。
アップデートでの機能追加
Headphones Connectアプリの改善とリンクする部分なのですが、アプリを通じたWF-1000XM3本体のアップデートもしっかり行ってくれている点も高評価。すでに4回(正式は5回だけど、1回めは配信停止している)もアップデートしてくれているので、そういう意味でも信頼してよさそう。
発売当初からのアップデートでの変更点は、
- 接続の安定性向上
- Amazon Alexaへの対応
- リモコンでの音量調節の対応
- アプリ上での充電ケースのバッテリー残量確認対応
- 通話品質の向上
などなど。
特に嬉しいと思えるのが、イヤホン上で音量調節が可能になったことと、充電ケースのバッテリー残量をHeadphones Connect上で確認できるようになったこと。
音量調節機能の追加は言わずもがなですが、充電ケースのバッテリー残量もちゃんと%表示で確認できるようになった点は大きい。充電ケースのバッテリー残量が分からないと、充電するタイミングが把握できなかったので、そこを明示化してくれるようになった点は、細かいところですがUXの向上と言ってもよいはず。
アップデートって細かいところだけど、製品やメーカーの信頼性と直結する部分だから、ここをしっかり対応してくれるのは評価ポイントなんよね。
クイックアテンションモードは超便利
WF-1000Xから始まり、WF-1000XM3で昨今の 完全ワイヤレスイヤホン + ノイズキャンセリング という流れが完全にできあがりました。そんなノイズキャンセリングのリーディングカンパニーだからこそと頷けたのが『クイックアテンションモード』という機能。
クイックアテンションモードとは、イヤホンのリモコンをタッチしている間だけ外音取り込み機能が発動するというもの。これが非常に便利で、アナウンス等を聞くたびに、いちいちノイズキャンセリングと外音取り込みを頻繁に切り替えなくてよくなるわけです。
QualcommのSoCのおかげでノイズキャンセリング機能を搭載した完全ワイヤレスイヤホンはありますが、まだまだWF-1000XM3の機能性は業界トップクラスと言えるはず。ただ単にノイズキャンセリングをゴリゴリ効かせる製品は出てきていますが、UXまで練り込まれた製品はまだまだ少ない印象。そういう“使い勝手”という観点では、発売から1年が経過するWF-1000XM3ですが、まだトップを走っていると言ってよいでしょう。
“便利に使う”っていうところを主眼に置くと、WF-1000XM3の完成度の高さが見えてくるんよね。
ここがうーん?
ペアリングが遅い
使っていてプチストレスになりそうなのが、WF-1000XM3のBluetoothペアリングの遅さ。これは初回のペアリングではなく、すでにペアしたデバイスへの接続の話。
特殊な接続機構のAirPods・AirPods Pro・Beats製品はさておき、他社と比べてもWF-1000XM3はペアリングが遅い印象。ほかの1000Xシリーズもすべて持っていますが、どれもペアリングが遅い傾向なので、WF-1000XM3固有の問題ではないかもしれません。ここはアップデートでなんとかしてほしい(以前よりはマシになってはいる)ところ。
充電ケースが汚れやすい
私は発売日に『プラチナシルバー』のWF-1000XM3を買っていたのですが、今回のレビューを見て分かるように、今持っているのは『ブラック』のWF-1000XM3。この理由こそ、WF-1000XM3の充電ケースが尋常じゃないくらい汚れやすいからというものです。
最新の1000Xシリーズすべてに言えるのですが、プラチナシルバーのマット塗装はとにかく速攻で汚れます。びっくりするくらいに汚れます。しかも、一度汚れてしまうと、完全に汚れを落とすのは絶望的と思っておいたほうがよさげ。なので、プラチナシルバーのWF-1000XM3を人に譲って、ブラックのWF-1000XM3を買い直した経緯があるのです。
幸い、ブラックカラーについては汚れにくい(汚れていても気づかない)ので、汚れやすいのが精神衛生的に無理…という人は、ブラックカラーを購入するのがおすすめです。
まとめ「まだまだトップクラスを走るANC完全ワイヤレスだ!」
そういうわけで、今回のSony『WF-1000XM3』のレビューを総括すると…
- 使い勝手の良いノイズキャンセリング機能
- クイックアテンションモードの存在意義は大きい
- バランスが良くソツがない音質
- Sonyのテクノロジーが詰まっている
- ペアリングはアプデで早くしてほしい
という感じ。
今回は再レビューという形で簡単に…というつもりが、普通にレビューをしてしまいました。それくらいに、魅力がまだまだある完全ワイヤレスイヤホンなのです。音質もノイキャンも上々。
ただ、充電ケースが汚れやすいのはとにかく残念。こればっかしはハードウェアの問題なので、後継機種ではマット塗装はやめてほしいかも。個人的には、もう少し高級感のある充電ケースにしてほしいところでした。
充電ケースに気をつければ、間違いなく名機なんやけどね。
おまけ
…買い直したのですね。
うーん、不本意ながら、ね。
充電ケースを保護するケースを、って考えると沼だよねー。
そうなんよね。
腫れ物に触るような感じでイヤホンを使うのって、ちょっとしんどいもんね。
おわり
ANC性能と音質のバランスが高次元で両立されているのが良い感じ!
充電ケースの大きさと汚れやすさが気になる……。
…そんな感じの感想やね!