- 死角が少なく使いやすい万人受けするモデル!
- AACとaptXの両対応で使い勝手が良好!
- 連続再生時間の短さ以外は総合力が高い!
オーテク初のANC搭載TWS!
ノイズキャンセリング機能搭載の完全ワイヤレスイヤホン、Audio-Technica『ATH-ANC300TW』をレビュー。同社初のノイキャン搭載完全ワイヤレスイヤホンになる本機。QUIETPOINTハイブリッドデジタルノイズキャンセリング技術の実力…見せてもらおうぞ!
ノイキャン搭載の完全ワイヤレスイヤホンは、かなりライバルが多いもんねー。
遅れてきた巨人となるか…ですわね。
目次
Audio-Technica『ATH-ANC300TW』って?
ATH-ANC300TWってなに?
Audio-Technica初のノイキャン搭載、QUIETPOINTシリーズの完全ワイヤレスイヤホン。
- 急速充電対応。
- 強力なノイズキャンセリング性能。
- 外音取り込み機能アリ。
- AAC・aptX両対応。
- 万人受けする音質。
- 連続再生が4.5時間は短い。
- ちょっと強気な価格設定。
iPhoneでもAndroidでも高音質で聞きたい!
…って、考えているならかなり有力な選択肢やと思うよ!
本体チェック
イヤホン前面には、おなじみのAudio-Technicaのロゴが。このロゴのちょうど中心くらいに、ノイズキャンセリングに利用する1つめのMEMSマイク、『フィードフォワードマイクロホン』が搭載されています。
なお、イヤホン本体のサイズは 25×29×22mm (実測値)。数値だけ見ると、ちょっと大きくて装着感が悪そうですが、実際の装着感はかなり良好。
イヤホン後面のちょうどステムの部分。この中に、ノイズキャンセリングに利用する2つめのMEMSマイク、『フィードバックマイクロホン』が内蔵されています。そう、このATH-ANC300TWのノイズキャンセリング機能は、2つのマイクの相乗効果でその威力を高めているわけです。
また、イヤホン後面の上部には、充電ケースとマグネットで装着する部分とPogo pinが。もはや、マグネットで充電ケースとくっつくタイプが定番となりました。
■インターフェース
- リモコンボタン
ATH-ANC300TWは、ステムがかなり端っこにあって、ちょっと変わった形状をしています。ステム径は一般的なサイズなので、充電ケースに収まるサイズならば、いろいろ替えがきくはず。
また、リモコンボタンは物理ボタンを採用。タッチボタンのほうがスマートですが、物理ボタンのほうが誤作動が少ないので、このあたりは好みが分かれるところ。
ATH-ANC300TWの充電ケースは、微妙なバイカラーデザインになっており、ケースの蓋の部分がマットなブラック。ケースの蓋受けの部分が濃いめのネイビー。カラーバリエーションは本機にはないのですが、このカラーリングを見ると、女性よりも男性向けな製品な気がします。
なお、充電ケースのサイズは 57×32×53mm (実測値)。一般的な完全ワイヤレスイヤホンとは異なり、正方形に近い形状をしています。ごくごく一般的な充電ケースのサイズ感。
■インターフェース
- LEDインジケーター
充電ケース前面には、充電状態を示すLEDインジケーターを搭載。LEDは合計3つの仕様で、ほのかなホワイトカラーで光ります。
■インターフェース
- USB Type-C
充電ケース右面には、ATH-ANC300TWを充電するためのUSBポートが。形状は当然、『USB Type-C』。にしても、ポートが風変わりな場所にありますね。
残念ながら、ATH-ANC300TWは、Qi規格のワイヤレス充電には非対応。本機を含めて、なぜか国内メーカーは、積極的にQiを採用してくれない様子。きっと、Qiモジュールのコスト分を考慮してなのでしょうが、そろそろ思い切ってほしいところ。
充電ケースはラッチで開閉するタイプではなく、マグネットで開閉するタイプ。マグネットの強度も良い塩梅で、バッグの中で勝手に開いてしまうこともなさそう。
左 | 右 | |
1回押し | アンビエンスコントロール | 再生・停止 |
2回押し | 音量アップ | 曲送り |
3回押し | 音量ダウン | 曲戻し |
ATH-ANC300TWのリモコン機能。
リモコン機能は充実。再生・停止、選曲、音量調節、という基本的なオーディオコントロールはすべて網羅。また、左chのリモコンは『アンビエンスコントロール』となっており、ここでノイズキャンセリングとヒアスルー(外音取り込み)を交互に切り替えることが可能になっています。
キーアサインの変更については、専用のConnect上から変更可能。上表のキーアサインを左右逆にすることができます。好きに割り当てるというよりは、利き手に応じて左右を入れ替えるキーアサイン変更機能となっています。
付属品チェック
■ATH-ANC300TWの付属品一覧
- シリコン製イヤーピース(XS・S・M・L)
- Complyフォームイヤーピース(M)
- USB Type-A to USB Type-Cケーブル
イヤーピースが4種類(Mサイズはイヤホンに装着済)付属しており、XSサイズがあるのが日本メーカーらしい配慮。
嬉しいことに、一般的なシリコン製イヤーピースのほかに、Complyフォームイヤーピース(Mサイズ)が付属。
細かいポイントですが、付属のUSB Type-A to USB Type-CケーブルのC側に“オーテクロゴ”が刻印されています。これはオーテクファンには嬉しいポイント。
注目ポイント
■ATH-ANC300TWのポイント概要
- ノイズキャンセリング機能:2つのMEMSマイクで強力キャンセル
- 外音取り込み機能:すぐに聞けるクイックヒアスルー機能
- 左右独立受信方式:音途切れが少ないTWS Plus採用
ノイズキャンセリング機能:2つのMEMSマイクで強力キャンセル
このATH-ANC300TWには、各chごとに2つずつMEMSマイクが搭載されており、その相乗効果でノイズキャンセリング性能を高めている。このテクノロジーを同社は、『QUIETPOINT ハイブリッドデジタルノイズキャンセリング技術』と呼んでいる。
シェル部分(ハウジング)のAudio-Technicaの“A”のロゴの部分に、『フィードフォワードマイクロホン』を搭載。
ステム(音導管内)の出口付近に、『フィードバックマイクロホン』を搭載。
この前後2つのMEMSマイクのおかげで、より高いノイズキャンセリング性能が得られているそう。余談ですが、TechnicsのEAH-AZ70W(レビュー)も似たような方式(デュアルハイブリッドノイズキャンセリング)を採用しています。
専用のコンパニオンアプリ『Connect』を使えば、ATH-ANC300TWのノイズキャンセリングをシーン別にチューニング可能。
シーンには『Airplane』・『On The Go』・『Office/Study』の3種類が存在しているのですが、Office/Studyが一番弱いノイズキャンセリングという感じ。AirplaneとOn The Goは同等のノイズキャンセリングなのですが、Airplaneは低音域のノイズに強く、On The Goは高音域のノイズに強い印象。
これからエアコンや扇風機が活躍する季節ですが、On The Goが一番扇風機のモーター音をかき消してくれる感じでした。いずれにしても、ノイズキャンセリング性能はかなり優秀で、全完全ワイヤレスイヤホンの中でも、トップクラスに位置しています。
かき消す能力が超高いというよりも、ANC特有の嫌なノイズ感がない感じなんよね!
外音取り込み機能:すぐに聞けるクイックヒアスルー機能
ノイズキャンセリング機能があるということは、外音取り込み機能も当然搭載。Audio-Technica的には『ヒアスルー』と呼んています。
外音取り込み機能の集音性はかなり良好。外音取り込み中(クイックヒアスルー時)は再生している楽曲のボリュームが自動的に下がることもあり、しっかりと周囲の音が聞けるようになっています。外音取り込み特有のホワイトノイズの気持ち悪さもなく、非常に上手にまとめてきた印象を受けます。
外音取り込み(ヒアスルー)の強さは、『Connect』アプリ上で3段階で調節可能。
ATH-ANC300TWの外音取り込み機能の傾向は、会話に使えないことはないけれども、ちょっと不自然な感じ。集音性能は高いのですが、何でも集音してくる傾向があるので、駅や空港のアナウンスを聞くのには向いていますが、イヤホンを装着しながら会話をするとなると…ちょっと慣れが必要な感じです。
左右独立受信方式:音途切れが少ないTWS Plus採用
このATH-ANC300TWは、Qualcommの『TWS Plus』という、左右独立受信方式を採用しており、左右のchの接続を安定化できるようになっている。
この手のテクノロジーに詳しいユーザーならご存知かもですが、TWS Plusに対応しているので、ATH-ANC300TWはイヤホン片側だけでも利用可能。なので、ハンズフリーイヤホンのように使えます。
あとは、ちょっと裏技的ですが、片側のイヤホンを交互に利用することによって、バッテリー駆動時間を気にすることなく音楽リスニングができたりもします。TWS Plusは完璧なテクノロジーではないと思うのですが、やっぱり搭載されていると便利だったりします。
音質チェック
音質評価:★★★★☆
高音域:★★★★☆
中音域:★★★★★
低音域:★★★★☆
ATH-ANC300TWの音質について端的に言うと、ボーカルメインでありつつも、高音域と低音域もしっかり主張している感じ。解像感も完全ワイヤレスイヤホンの中では、高いレベルに位置しており、キラキラとしたオーテクサウンドが楽しめる。万人受けする音作りを意識しつつも、全体的に高音質にまとめてきた印象です。
良い意味でATH-ANC300TWの音質は塊感は少なく、しっかり各楽器が分離して聞こえるのが大きな特徴。特に、スネアドラムがストンっと抜ける感じが気持ち良く、エネルギッシュに楽しく聞かせる音質というイメージ。
音場が特別広いわけではないのですが、下手に音場が広くて分離感がないイヤホンよりも、音場感を感じられるはず。ホールで聞いているというよりかは、スタジオに聞いている感じに近いかもしれません。
ノイズキャンセリング機能搭載の完全ワイヤレスイヤホンでは、ノイズキャンセリングのオンオフで音質や音の傾向が変わるイヤホンがチラホラあるのですが、このATH-ANC300TWに関してはあまり変化なし。
なので、単純に利用シーンに応じてノイズキャンセリングを使えばいい感じ。万人受けしそうな元気な音質も含めて、幅広いユーザーが好みそうな音のフィニッシュになっている印象を全体として受けました。
ノリが良く、多くの人が好きそうな音質に仕上げてくるところは、さすが老舗メーカーって感じやね!
ATH-ANC300TWに合いそうな曲
■こんな楽曲が合いそう!
- ボーカルもののJ-pop。
- リズム感の良いハイテンポなPop。
- ドラムが力強いAlt-Rock。
ATH-ANC300TWの音自体、そこまで尖った特徴がないので、どんな楽曲でも合わないということは少ないはず。なので、何でも聞くという音楽好きにかなり合うはず。
バランス型な傾向ですが、ボーカルものの楽曲やドラムが映える楽曲との相性がとりわけ良い印象。ボーカルは男声・女声のどちらも綺麗に聞かせれくれるし、ドラムの抜ける感じも爽快。なので、中音域重視の曲を選んでみるといいかも。
このATH-ANC300TWと一緒に聞いてほしい楽曲は、UKのAlt-Rock系バンドDinosaur Pile-Upのアルバム『Celebrity Mansions』から『Round the Bend』。
とにかくドラム。このドラムの抜け感が気持ちいい。ノリ良く楽しめるし、ノリが良すぎて下品に鳴らす感じもしない。テンポが速い曲でも上手にさばいてくれるので、ドラムがバシバシ決まるAlt-Rockとの相性が抜群なはず。邦楽だとスピッツの『チェリー』も、なかなかに合う感じ。
この曲が絶対的に合う!…って感じはないけど、この曲が合わないっていうのが少ない感じやね!
ここがすき!
AAC・aptXの両対応
iPhoneとAndroidの2台持ちの私的に嬉しいポイントなのが、Bluetoothコーデックが『AAC』と『aptX』の両方に対応している点。
一見、当たり前のように思えることなのですが、最近の完全ワイヤレスイヤホン界隈を見ていると、AAC対応だけどaptX非対応、aptX対応だけどAAC非対応、そういう製品がかなり多い。なので、iPhoneとAndroidの両方を使っているユーザーからすれば、Bluetoothコーデックの対応状況にもどかしさを感じていた。
しかし、今回のATH-ANC300TWでは、AAC・aptXの両方に対応している。
なので、どのデバイスであっても、ある程度の音質がプールされていることになる。Bluetoothイヤホンとしてはベーシックなことなのですが、意外と両方対応しているイヤホンが少ないので、これは音質重視派には嬉しいところ。
もちろん、Bluetoothコーデックのみで、絶対的な音質が決まるなんてことはありえません。なので、神経質に気にすべきポイントではなかったりするのですが、こういう仕様にしているところに、Audio-Technicaがユーザーへどう配慮しているかが垣間見えたりします。
『Connect』アプリが使いやすい
良い意味で日本メーカーっぽくないのが、専用のコンパニオンアプリ『Connnect』のデザインセンスや作りの良さ。
イコライザー機能がConnectアプリ内にないのはちょっと残念なのですが、アプリ全体のUIなどが良く、どことなく欧州メーカーのような雰囲気もあって素敵。設定項目ごとにアイコンを表示してくれているので、この手のイヤホンやアプリに詳しくないユーザーでも、使いにくいとは思わないはず。
かなりアプリ自体が優秀なので、Audio-Technicaにはイコライザー機能などを充実させていってほしい。そうすれば、もっともっと“遊べる”コンパニオンアプリになってくれるはず。
ここがうーん?
バッテリー駆動時間が微妙
後発のノイズキャンセリング機能搭載完全ワイヤレスイヤホンとして残念なのが、バッテリー駆動時間の短さ。正直、4.5時間の連続再生はちょっとナシ。
例えば、TechnicsのEAH-AZ70WはANC ONで6.5時間。SonyのWF-1000XM3はANC ONで6時間。…そう考えると、国内メーカーの同等の機種よりもバッテリーが持たない。
ただ、AirPods ProはANC ONで4.5時間なので、ATH-ANC300TWが極端にバッテリー駆動時間が短いということではないのですが、後発製品ということを考慮すると、最低6時間ぐらいはバッテリー持ちが欲しかったところ。
独自の左右独立受信方式が欲しい
ATH-ANC300TWは、Qualcommの左右独立受信方式『TWS Plus』を採用しているので、片側のイヤホンだけでも利用可能。そして、接続も安定している。
ただ、このTWS Plusをフルに利用するには、かなり音楽プレーヤー側への依存度が高くなる。というのも、TWS Plusで接続安定化するには、再生機器のOSがAndroidでかつ、SoCがQualcommの一部のモデルを搭載していないといけないし、メーカー側がデバイスへのTWS Plusを使えるようにしていないといけないのです。
この時点でTWS Plusを使って接続安定化することに対するハードルが、とてつもなく高いことが分かります。もちろん、iPhoneなんて蚊帳の外。WALKMANもそう。
せっかく、AACとaptXの両コーデックに対応しているのであれば、より汎用性を高めるためにも、Audio-Technica独自の左右独立受信方式を生み出してほしかった。ただ、チップをオーディオ専業メーカーが開発設計するのって難しそう……。
まとめ「死角の少ない万人受けするANC完全ワイヤレスイヤホン」
今回のAudio-Technica『ATH-ANC300TW』のレビューを総括すると…
- バランスの良い音質で使いやすい
- ノイキャン性能はかなり良い
- 外音取り込み機能は会話目的以外では使える
- AACとaptXの両対応なのは嬉しい
- TWS Plusをフルに活かすのは困難
- バッテリーが4.5時間というのは微妙
という感じ。
Audio-Technicaとしては初のANC搭載完全ワイヤレスイヤホンである本機。ANC搭載完全ワイヤレスイヤホンとしては後発ということもあり、うまく先発している製品を研究している印象を受けます。
ただ、バッテリー駆動時間が4.5時間とちょっと短めなのがネック。ここが6時間ぐらい持つのであれば、かなり完璧に近かったはず。このATH-ANC300TWは、かなり優等生キャラなのですが、ちょっと変態感が少ないとも。なので、そこが好みの分かれどころかもしれません。
うち的には、もっと尖っていても良かったかな!?
おまけ
オーテクらしく、ソツなくまとめてきたって感じやね。
さすがは老舗メーカーですわね。
同じ老舗メーカーでも、Sonyとは違う方向性を感じるよねー!
そうなんよね!
オーテクがイヤホンを出すと、ガジェット感が一気に減る感じなんよね。だから、もっと攻めてもいい気がする…かな。
おわり
強力なANC性能とオーテクサウンドは良い感じ!
価格とバッテリー駆動時間が気になる。
…そんな感想やよ!