- とにかくキーボード周りの改善が素晴らしい!
- スペックはiMac 5Kに肉薄している凄さ!
- 意外とコスパを考えるとお買い得だゾ!
創造のための真のMacBook “Pro”なのだ。
2019年に刷新され登場した16インチのMacBook、Apple『MacBook Pro 16インチ(2019)』をレビュー。15インチからインチアップだけでなく、デスクトップに肉薄するスペック。そして、キーボード回りの改善。久しぶりに「これぞプロ機」と言える、最高峰のラップトップでした。
キーボード周りは、
- キーボード構造の変更
- 物理Escキーの復活
- 逆T字型カーソルキーへの変更
- 電源ボタン(Touch ID)の独立
と、かなり良改良が施されていますよね。
完全版MacBook Proって感じやね!
目次
Apple『MacBook Pro 16インチ(2019)』って?
MacBook Pro 16インチ(2019)ってなに?
キーボード刷新、物理Escキー復活、超強力なCPU&GPUを搭載。最高な作品を創造するプロのための最高に創造されたMacBook Pro。
- デスクトップ級のスペック。
- 改善されたキーボード。
- 物理Escキーの復活。
- 圧倒的なDisplay P3ディスプレイ。
- デカ重なので可搬性は微妙。
超弩級なモンスターノートパソコンが欲しい!
…そう思って考えていくと、意外と安かったりするのだっ!これぞAppleの本気かも!?
本体チェック
サイズ | 質量 |
357.9×245.9×16.2mm(W×D×H) | 2,000g |
MacBook Pro 16インチ(2019)のサイズと質量。
従来のMacBook Pro 15インチ(349.3×240.7×15.5mm・1.83kg)に比べて、1インチぶんディスプレイがサイズアップしていることもあり、MacBook Pro 16インチ(2019)のサイズ感は少し大きくなっています。
フットプリントも大きく、また重さも2kgの大台に入っているので、持ち運ぶ際にはバッグ選びがかなり重要となってくるはず。でないと、バッグのパソコン収納スペースに入らない(特にスリーブに入れるとそう)、ということも出てきそうです。
下面はいつものMacBook Pro。うん、定番の美しさ。
厚さが16.2mmなのでそこまで薄くないのですが、表面積自体が広いので、そこまで厚みについては気にならないかも。まぁ、Appleが薄さを気にするゆえに、“例の”バタフライ構造キーボードが誕生したわけでして…ゴホンゴホン。
■インターフェース
- Thunderbolt 3 ×2
MacBook Pro 16インチ(2019)左側面には、最大40Gbpsの転送に対応したThunderbolt 3ポートが2つ。
■インターフェース
- 3.5mmステレオミニジャック
- Thunderbolt 3 ×2
MacBook Pro 16インチ(2019)右側面には、左側面と同じく最大40Gbpsの転送に対応したThunderbolt 3ポートが2つ。特に左右で帯域幅が異なることもなさそう。
また、右側面にマイク入力とコンボになっている3.5mmステレオミニジャックがあります。このへんのインターフェース類は、従来のMacBook Proと一緒。
インターフェース系は、MacBook Proおなじみの構成って感じですな〜。
MacBook Pro 16インチ(2019)を開いてみるとこーんな感じ。
うん、画面が広い。そして、美しい。
現行のMacBook Pro 13インチ(2020)のほうと違って、こちらはベゼルレスに近いデザインになっている。なので、没入感という点では16インチのほうが高い。
画面サイズ | 画面解像度 | アスペクト比 |
16インチ | 3,072×1,920 | 16:10 |
MacBook Pro 16インチ(2019)のディスプレイスペック。
製品名のとおり、画面サイズは16インチ。画面解像度はMacBook Pro 15インチ(2,880×1,800)から、さらに高解像度化された。とはいえ、Windowsノートパソコンには4K解像度を持つ製品もあるので、超高解像度というよりかは、実利用に基づく“ちょうどいい解像度”というニュアンスが正しそう。
■インターフェース
- Magic Keyboard(Touch Bar・Touch ID内蔵)
- 感圧タッチトラックパッド
MacBook Pro 16インチ(2019)の大きなトピックとして、あの忌まわしきキーボード周りが改善されたことがある。
キーボード構造そのものが、従来の『バタフライ構造キーボード』から『シザー構造キーボード』に刷新(以前に戻った)されました。Apple的には『Magic Keyboard』と呼んでいる。
Magic Keyboardのほうが、より万人受けするキーボードになった感じっ!
付属品チェック
■MacBook Pro 16インチ(2019)の付属品一覧
- 96W USB-C電源アダプタ
- USB-C充電ケーブル(2m)
- クイックスタートガイド
MacBook Pro 16インチ(2019)はUSB PD規格内ギリギリの96W。なので、サードパーティー製USB充電器選びは、かなり難しそう。
とはいえ、MacBookシリーズは、電源供給量が足りていないUSB充電器でも給電や充電できる場合があるので、何とかできなくもないはず。でも、とりあえず充電器選びは大変。個人的にはリセールバリューも考慮して、HYPERの『HyperJuice 100W GaN USB-C Charger』と早速リプレイスしました。
注目ポイント
■MacBook Pro 16インチ(2019)のポイント概要
- プロセッサー:CPUもGPUもデスクトップ級
- ディスプレイ:P3対応Retinaは美しく実用的
- キーボード:プロが望んだ“マジック”で大幅改善
- オーディオ:6スピーカーはオーディオ級
プロセッサー:CPUもGPUもデスクトップ級
MacBook Pro 16インチ(2019)の素晴らしいポイント、それはやはり、CPUやGPUといったプロセッサーの能力にある。
上位モデル (MVVM2J/A・MVVK2J/A) |
下位モデル (MVVL2J/A・MVVJ2J/A) |
|
CPU | Intel Core i9-9880H | Intel Core i7-9750H |
iGPU | Intel UHD Graphics 630 | Intel UHD Graphics 630 |
dGPU | AMD Radeon Pro 5500M | AMD Radeon Pro 5300M |
MacBook Pro 16インチ(2019)のスペック。
吊るしモデルのMacBook Pro 16インチ(2019)には、大きく分けて上位モデルと下位モデルに分かれており、今回は上位モデルをレビューしています。
CPUは吊るし最上位のiMac 5Kに肉薄
MacBook Pro 16インチ(2019) | iMac Retina 5K(2019) | |
CPU | Intel Core i9-9880H | Intel Core i5-9600K |
スコア | 6,818 | 5,012 |
Geekbench 5のCPUベンチマーク(Multi-Core)結果。
そんなプロセッサーで特に驚いたのが、CPUのポテンシャルの高さ。
詳細なベンチマークは記事後半に掲載しているので、そちらを参考にしてもらうとして、私が以前持っていた、吊るし最上位の『iMac Retina 5K(2019)』よりも高性能だったことに驚いた。
さすがはi9といった実力。これなら、時間のかかりがちな動画の書き出しやエンコーディング作業も問題なし。
昨今の高解像度化でIllustratorやPhotoshopの作業も重たくなりがちだが、当然ながら、難なく作業をこなすことができた。ディスプレイのサイズの大きさも相まって、非常に外での作業効率が上がる。うん、これこそ“Pro”なのです。
GPUは“プチ”モバイルワークステーション
MacBook Pro 16インチ(2019) | iMac Retina 5K(2019) | |
dGPU | AMD Radeon Pro 5500M | AMD Radeon Pro 580X |
スコア | 26,701 | 34,433 |
Geekbench 5のGPUベンチマーク(OpenCL)結果。
そして、“大きいほう”のMacBook Proといえば、GPUも見逃せない。
こちらも以前持っていた、吊るし最上位の『iMac Retina 5K(2019)』と比較しているが、なかなかに検討している。さすがにデスクトップ用が相手なので、スコア的には完敗しているが、デスクトップとノートの戦いと考えると…大健闘と言える。
ディスプレイ:P3対応Retinaは美しく実用的
MacBook Proが“Pro”たるゆえんは、プロセッサーだけではない。そう、クリエイターにとって超重要なディスプレイのスペックも高い。
MacBook Pro 16インチ(2019)は、Display P3の色空間に対応(カバー率は非公表)しており、色調表現が豊かでかつ色再現性が高いディスプレイで作業をすることが可能となっている。ちなみに、Adobe RGBカバー率はおおよそ90%前後と言われたりもする。
この色域の広さが役立つのは、当然ながら写真編集やデザイン制作。
私は仕事でデザイン案件や開発案件をこなしているのですが、そこで重要になるのが、クリエイター活動をする上でのディスプレイ問題。特に写真や印刷などの制作は、出稿の関係から色の調節が非常に重要。そんなときに、このMacBook Pro 16インチ(2019)のディスプレイが役立ってくれるはず。
できれば、色域カバー率は公表してほしいんだけどねー。
キーボード:プロが望んだ“マジック”で大幅改善
MacBook Pro 16インチ(2019)で、もっとも注目されているであろうポイントが、あの忌まわしきバタフライ構造キーボードの呪縛からついに解き放たれたこと。
またの名を“元に戻った”とも……。
バタフライキーボード → シザーキーボード
MacBook Proでは2016年から採用(MacBookは2015年)されていた『バタフライ構造キーボード』。この不具合問題について、MacBook Proユーザーはどれだけ苦しめられてきただろうか。個人的にはバタフライ構造キーボードは失敗だと思っている。
それがついに、『シザー構造キーボード』、いやApple的に言うと『Magic Keyboard』になった。
この新しいMagic Keyboardは、まさにマジックのようにタイピングしやすく、そして疲れにくいキーボードとなっている。
キーストロークも1mmまで深くなり、絶妙な底打ち感が気持ちいい。以前のバタフライ構造キーボードを“カチカチ”と表現すると、このMagic Keyboardは“スコスコ”と軽やかにタイピングができる。常時文章を打っている私的には、Magic Keyboardのほうが疲れにくくて圧倒的に好み。
Escキーの復活
おそらく、一部のユーザーが狂喜乱舞するのがココ。Escキーが物理キーとして復活したということ。
VimはEscを連打!…なくらい多用するので、Vimmerにとっては待望の復活。私はVimではなく、Visual Studio CodeやBracketsを使っていたり…ですです。なので、Vimを使っている超絶エクストリーマーほど狂喜乱舞できないけど、IllustratorやPhotoshopではEscキーを多用するので、とにかく嬉しい!やっぱ、Escキーは物理キーじゃなくっちゃ!!
あと、Touch Barとひっついていた電源ボタン(Touch ID)が、MacBook Airみたく独立してくれました。地味だけど、こっちのほうが押しやすくて嬉しいところ。
以前のMacBook Proだと、隣にあるSiriに意図せず触れちゃうことが多々あったんだよねー。これがつらお……。
逆T字カーソルキーへの変更
デベロッパー系ならEscキーの物理キー化と同じくらい注目している(はず)のが、カーソルキーが“逆T字型”に変化したこと。……昔のMacBook Proみたいだね。戻った!?
正直、私はバタフライ構造キーボードのカーソルキーでも不自由ないのですが、確かに使ってみると逆T字型のカーソルキーのほうが触覚的に確認しやすい気もする。ただ、左右のカーソルキー自体は小さくなってしまったので、キーのスイートスポットは狭くなった。なので、ひょっとすると好みが出るかもしれません。
オーディオ:6スピーカーはオーディオ級
これは実際に体験してみないと…だが、MacBook Pro 16インチ(2019)のスピーカーはすこぶる音質が良い。音質だけでなく音圧も高いので、ちょっとした単体スピーカーよりもリスニング用途に使えちゃうレベル。
スピーカー数は、まさかの6ユニット。
マイクロフォンも、3ユニット。スタジオ品質。
このオーディオへのこだわりは、なんとなくAppleらしさを感じて安心感をおぼえる。Macがクリエイティブユーザーに向けたデバイスであることを、しっかりと再確認できるポイントでもあったりします。
Apple Music垂れ流しぐらいなら、全然MacBook Pro 16インチ(2019)の内蔵スピーカーで充分って思えるレベルで音が良いのだっ!
ベンチマーク
CPU | Intel Core i9-9880H |
GPU (iGPU) |
Intel UHD Graphics 630 |
GPU (dGPU) |
AMD Radeon Pro 5500M |
RAM | 16GB(2,666MHz・DDR4) |
ROM (PCIe SSD) |
APPLE SSD AP1024N |
購入したMacBook Pro 16インチ(2019)のスペック。
お楽しみのベンチマークたいーむっ!いくぞーー!
CPU
Geekbench 5
Single-Core Score | Multi-Core Score |
1,107 | 6,818 |
Geekbench 5のベンチマーク(CPU)結果。
iGPU
Geekbench 5
Metal Score | OpenCL Score |
4,431 | 4,620 |
Geekbench 5のベンチマーク(iGPU)結果。
GFXBench Metal
Frames |
381.6 |
GFXBench Metalのベンチマーク(iGPU)結果。
dGPU
Geekbench 5
Metal Score | OpenCL Score |
25,424 | 26,701 |
Geekbench 5のベンチマーク(dGPU)結果。
GFXBench Metal
Frames |
2682.3 |
GFXBench Metalのベンチマーク(dGPU)結果。
ROM
Blackmagic Disk Speed Test
Write | Read |
2831.2 MB/s | 2574.8 MB/s |
Blackmagic Disk Speed Testのベンチマーク結果。
AmorphousDiskMark
Write | Read | |
Seq QD32 | 3,459 MB/s | 1,520 MB/s |
4K QD32 | 1,014 MB/s | 43.92 MB/s |
Seq | 2,696 MB/s | 1,489 MB/s |
4K | 197.8 MB/s | 39.42 MB/s |
AmorphousDiskMarkのベンチマーク(1GiB)結果。
ここがすき!
なにもかもに大満足だからプロ
2015年頃からMacBookシリーズを毎年のように買っているが、このMacBook Pro 16インチ(2019)は、ここ数年でもっとも完成度のMacBookシリーズであることは間違いない。
かなり酷評だったバタフライ構造キーボードも、ユーザーの声に耳を傾けてくれたのか大幅改善。ストロークは深く、タッチは柔らかい、なのに軸ブレはない。おそらく、ノートパソコンの中で、もっとも完成されたキーボードであることは間違いない。
ThinkPadのキーボードも良いよねっ!(関係ない)
MacBook Pro 16インチ(2019)が特別…ということではないが、Thunderbolt 3が4ポートあることが嬉しい。しかも、左右で帯域制限もナシ。
Thunderbolt 3を搭載したノートパソコンは増えつつあるが、フル帯域で出せるポートが4つもあるデバイスをほかには見たことがない。これこそ、MacBook ProがProたるゆえん。Proが持つデバイスと相応しいポート構成であるということ。
名は体を表すのだっ!
バッテリーが大幅改善された
MacBook Pro 16インチ(2019)の搭載バッテリーの容量は、なんと100Wh。おそらく、飛行機に持ち込める上限に近いバッテリー容量だったはず。なので、バッテリー持ちはすこぶる良い。
MacBook Proを2016年から毎年使っているが、とにかくバッテリー持ちが悪い。バタフライ構造キーボードが採用される前のMacBook Proよりも、体感できるほどバッテリー持ちがここ数年のMacBook Proは悪かった。
しかし、MacBook Pro 16インチ(2019)なら、バッテリー持ちの心配はかなり軽減された。
私が普段するIllustratorやWeb開発をMacBook Pro 13インチ(2018)で行うと、5時間ぐらいしか持たない感じでした。それが、MacBook Pro 16インチ(2019)ならば、7〜8時間ぐらいは持つぐらいまで粘ってくれます。これなら外出先でもバッテリー切れの心配はないはず。
MacBook Pro 16インチ(2019)の充電器は96W。だけど、USB PDでの出力に対応しているモバイルバッテリーだったら、案外充電(給電)できるのも嬉しいポイント。
私は普段、大好きなBelkinの『BOOST↑CHARGE 20100mAh モバイルバッテリー』というUSB PDに対応したモバイルバッテリーを使っているのですが、これとのコンビネーションが抜群。MacBook Pro 16インチ(2019)をBOOST↑CHARGE 20100mAh モバイルバッテリーと併用すれば、丸1日電源が取れない状況でもバッテリー切れの心配は無用だったりします。
意外と高コスパ
ちょっと意外しれないが、MacBook Pro 16インチ(2019)はスペックを考えるとかなりお安い価格設定。
前モデルのMacBook Pro 15インチ(2019)と比較してみるぞっ!
16インチ (2019) |
15インチ (2019) |
|
i9モデル | 288,000円 | 302,800円 |
i7モデル | 248,800円 | 258,800円 |
新旧MacBook Proの価格比較。
同年に発売された前モデルであるMacBook Pro 15インチ(2019)と価格比較すると、上表のとおり。
そう、スペックは上がっているし、キーボードは直っているし、バッテリー持ちは良くなっている。なのに、価格はなんと下がっているのです。私が購入したi9モデルで比較すると、なんと約1万4,000円くらいプライスダウン。これはお得になったと言わざるを得ない。
Mac = 高い
…そんな構図がなーんとなくありそうだが、実際はCPUやGPU、そしてディスプレイの品質(ここ重要)を考えると、全然高くはない。というか、むしろ安いと私は感じています。
ここがうーん?
動作は軽いが本体は重たい
かなり欠点の少ないMacBook Pro 16インチ(2019)だけど、唯一欠点っぽいところがあるとしたら重たいこと。
16インチクラスのノートパソコンなので、仕方ない部分もあるが、約2kgはやっぱり重たい。しかも、フットプリントが大きいので、バッグ選びは慎重になったほうが良さげ。スリーブケースに入れると、バッグのノートパソコン収納部に入れられなくなる可能性もありそう。ここだけはウィークポイントって感じ。
動作は軽〜いけど、本体は重〜い。
うまいこと言ったつもりやね…。
まとめ「クリエイターのための最高のモバイルワークステーション」
今回のApple『MacBook Pro 16インチ(2019)』のレビューを総括すると…
- CPUもGPUも申し分ないスペック
- 信頼性の高いMagic Keyboard
- スピーカーの音質もかなり良い
- 重たいのが平気なら買い
という感じ。
弟分として『MacBook Pro 13インチ(2020)』があるが、それとは良い意味で“別物”という感じ。こっちはモバイル性をギリギリ保ちつつも、スペックに振り切った感じ。言い換えれば、大きくて重たいことに意味のあるMacBook Pro…なのです。ですなの。
映像制作をするなら、13インチより16インチであーるっ!
おまけ
やっとレビューを買いたあーる……。
購入から半年ぐらい経過してしまいましたわね。
買ってすぐにレビューしないと、レビュー自体が面倒になってくるんだよねー。
救いようのないコメントやね……。
おわり
そして、帰ってきたシザー構造キーボードっ!