色空間(色域)とは?—種類と用途別に抑えておきたい違いのコト

色空間(色域)とは?—種類と用途別に抑えておきたい違いのコト
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記事のポイント
  • 色空間や色域について調べてみた!
  • 色空間規格は目的や用途によって多種多様!
  • クリエイターなら広色域ディスプレイは抑えておきたい!

『色空間』が表現できる色の範囲が『色域』なの。

仕事で印刷物・写真・動画を制作するなら『色空間』(色域)は知っておきたいところ。そういうわけで、どんな色空間の規格があるのかについて調べて、サクッとお勉強することにしてみました。色空間の世界もいろいろ深いようで…難しい!

二条ねこ

色域を知ると、ディスプレイ選びが楽しくなるのであーるっ!

まの

ディスプレイ選びの大事な要素ですからね。

さたえり

解像度も気にしないとやし、ディスプレイ選びは奥が深いやんね。

色空間と色域

ガモット図のドット絵。

ガモット図のドット絵。

『色空間』とは?

まず、『色空間』とは何かについてをお勉強。

『色空間』とは、ある特定の色を表現するため方法で、数値などのパラメーターで表したものを指します。別名、『カラースペース』とも。色空間には、デジタルコンテンツで扱うことの多いRGB色空間や、印刷物で扱うことの多いCMYK色空間があります。

二条ねこ

今回は主にディスプレイの話で進めていくから、RGB色空間を中心に話していくよー!

『色域』とは?

そして『色域』とは、人間が肉眼で認識可能な色の範囲(可視領域)において、カラーイメージング機器(ディスプレイ・プリンター等)やソフトウェアが再現可能な色の範囲のことをいいます。

つまり、簡単に言ってしまえば、広色域と謳われているディスプレイを利用すると、より色の階調表現が豊かになるということ。そして、その色域の指標となる規格が目的や用途別に存在するということなのです。端的に言うと、“色表現のルール”がいっぱいあるということですね。うんうん。

二条ねこ

sRGBとかAdobe RGBって言われるあれだねっ!

主な色域規格一覧

  • sRGB
  • Adobe RGB
  • DCI-P3
  • Display P3
  • NTSC
  • Rec.709
  • Rec.2020

簡単に調べただけでも上記のような色域規格がありました。実際にはもう少し色域規格があるのですが、とりあえずはパソコン系の主要な色域として、これらの色域規格についてもうちょっと掘り下げてみていきます。

sRGB:IECが定めた国際標準規格の色域

sRGB:IECが定めた国際標準規格の色域

デジタルと色空間を語る上で絶対外せないのが、『sRGB』という色域規格。いわば、これがディスプレイを購入する上では、もっともベースとなる規格です。

sRGBは国際電気標準会議(IEC)が定めた国際標準規格の色域規格(色空間)で、モニター・プリンター・デジタルカメラ・Windowsパソコンでの色表示のベースになっている規格です。簡単に言ってしまえば、デジタルで色表現をするのであれば、このsRGBが基準値になってくるというわけです。

ただ、問題なのが前述した人間の可視領域と比べると、このsRGBの色域というのはいささか狭いということ。なので、もっと豊かな色表現をしたいとなると、sRGBよりもさらに広い色域を持つ規格やその対応機器が必要になってくるというわけですね。言い換えれば、デザイナーならばsRGBカバー率100%のディスプレイは、持っていて当たり前的存在ということになりそうです。

二条ねこ

Webデザインをするときに、よーくお世話になるのがsRGBだね〜♪

Adobe RGB:静止画業界標準の色域

Adobe RGB:静止画業界標準の色域

『Adobe RGB』とは、Adobe Systemsが1998年に提唱した色域規格(色空間)。おそらく、印刷や写真を生業とする人ならば、これがデファクトスタンダードな色域規格になっているはずです。

先程のsRGBよりも広い色域を持っているのが、このAdobe RGBの特徴。中でも、Adobe RGBはsRGBと比べると、青(B)から緑(G)の色域が大きく広いことが分かります。そのぶん、より細かい色の表現が得意というわけですね。

おそらく、このAdobe RGBの色域を重視するユーザーは、静止画系のデザイナー。中でも、写真やDTPをやっているユーザーは、Adobe RGBのカバー率の高いディスプレイを選んでおきたいところでしょう。

二条ねこ

カメラとPhotoshopユーザーのAdobe RGBって感じだねっ!

DCI-P3:デジタルシネマの色域

DCI-P3:デジタルシネマの色域

『DCI-P3』とは、米国の映画製作会社の業界団体Digital Cinema Initiatives(DCI)で提唱したデジタルシネマのための色域規格(色空間)。なお、標準化はSociety of Motion Picture and Television Engineers(SMPTE)が行っています。

ちなみに、Digital Cinema Initiativesとは米国ハリウッド7大映画製作スタジオが作った時限会社だそう。このDCIにはWalt DisneyやSony Pictures Entertainment、Universal Studiosなどが入っています。まさに現代のデジタルシネマ界の中心なる存在という感じ。そんな団体が提唱した色域規格なので、映像関係(特に映画)の製作者は抑えておきたい色域でしょう。

Display P3:Appleが生み出した使いやすい色域

Display P3:Appleが生み出した使いやすい色域

『Display P3』とは、Appleが提唱したDCI-P3の色域をベースにした新しい色域規格(色空間)。デバイスとしては、主にMac・iPhone・iPadで利用されています。

DCI-P3のApple版…という感じなのですが、DCI-P3の仕様をすべて引き継いでいるというわけではなく、色空間をベースにしているというイメージに近いはず。なので、 Display P3 = DCI-P3 というわけではない(色空間も100%一致ではない・ガンマはsRGB色空間を利用)ようです。DCI-P3が映像制作特化という感じですが、Display P3はどちらかといえば汎用性が高いデジタルコンテンツ向けに作られている感じがします。

さたえり

Display P3はAppleデバイス専用なん?

二条ねこ

Androidでも採用されてるから、これからはsRGBに切り替わってDisplay P3がデファクトスタンダードになるかもだね〜♪

Rec.709:HDデレビ放送の基準色域

Rec.709:HDデレビ放送の基準色域

『Rec.709』とは、ITU-Rが提唱したHDTVで使用される色域(色空間)。

現在のテレビ放送では、このRec.709の色域に準拠したものとなっているそう。色域自体はsRGBと同一なので決して広色域ではないですが、ガンマ値が異なるので、sRGBとは違った色の再現性を持っているようです。まさにテレビ向けですね。

Rec.2020:8Kテレビ放送の基準色域

Rec.2020:8Kテレビ放送の基準色域

『Rec.2020』は、ITU-Rが提唱した8K放送の基準となる色域(色空間)。

Rec.709から拡張されたRec.2020の色域は非常に広く、かなりの色再現能力を持っています。ただ、Rec.2020の色域をフルカバーするディスプレイはほぼないようで、現時点では入れ物のようなイメージで使われているそうです。

二条ねこ

Rec.XXXな色域規格については、EIZOのサイトに詳しく書かれているぞっ!

まとめ「デバイスの色域は広いに越したことはない」

まとめ「デバイスの色域は広いに越したことはない」

色空間と色域について調べてみましたが、用途や目的によってさまざまな色域規格が存在することが分かります。そして、基本的にはデバイス(特にディスプレイ)が対応する色域は広いに越したことはないでしょう。

色域規格の中でも、写真や印刷物を扱うならAdobe RGBを。動画を扱うならDCI-P3に対応した(カバー率が高い)広色域ディスプレイをそれぞれ選ぶと、コンテンツの色を理想の色に近づけて製作ができるはずです。もちろん、お金はかかりますが…。

二条ねこ

広色域ディスプレイが高い理由が、なーんとなく分かったぞっ!

この記事で紹介したガジェット

おまけ

二条ねこ

もともとは広色域ディスプレイを買う予定で、色域や色空間について調べてみたんだよねー。

まの

制作者としては知っておきたい事柄ですからね。

さたえり

カラーマネジメント対応のディスプレイって高いやんね…。

二条ねこ

そうなんだよねー。
まぁ、こういう色域のいろいろを知っちゃうと、価格が高い理由も納得かもだけどねー。

おわり

Reference:
キヤノンイメージゲートウェイ(1, 2), EIZO(1, 2, 3, 4), Wikipedia(DCI-P3), Netflix(1, 2