【レビュー】Onyx International『BOOX Max3』—2020年の電子ペーパータブレット最高峰

【レビュー】Onyx International『BOOX Max3』—2020年の電子ペーパータブレット最高峰
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記事のポイント
  • 万能選手ではないが、ある種の最高峰のデバイス!
  • 従来の電子ペーパータブレットとは一線を画するレスポンス!
  • 可能性しか感じないエモさがそこにある!

書きたくなる魔力を持つアイテム。

電子ペーパー(E Ink)搭載のタブレット、Onyx International『BOOX Max3』をレビュー。前から欲しかった電子ペーパータブレット。iPadとApple Pencilのコンビネーションとは違う、謎の魅力と魔力を持った製品なのです。うんうん。

二条ねこ

控えめに言って…最高であーる!!

まの

電子ペーパーなので、

  • 実際の紙に近いディスプレイ
  • バッテリー持ちが非常に良い
  • 画面が発光しないので目に優しい

のですよね。

さたえり

めっちゃ説明口調やね…。

Onyx International『BOOX Max3』って?

Onyx International『BOOX Max3』全体画像。

Onyx International『BOOX Max3』全体画像。

BOOX Max3ってなに?

A4サイズでAndroid 9搭載、E Inkディスプレイ採用の電子ペーパータブレットの最高峰。

9
  • デジタルなのに圧倒的な紙感。
  • ジッターレスなデジタイザーペン。
  • バッテリー持ちが素晴らしい。
  • Android搭載で汎用性が高い。
  • Kindle本を読むのに最適。
  • 価格がかなり高価。
  • ディスプレイのたわみが気になる。
二条ねこ

参考書・技術書・論文を電子書籍で管理&読書したい。
…そーんなユーザーのマスターピースなのであーるっ!

スペック表
製品名 BOOX Max3
型番 BOOX Max3
メーカー Onyx International
OS Android 9
SoC Qualcomm Snapdragon 625(2.02GHz・8コア)
RAM 4GB(LPDDR3)
ROM 64GB(eMMC)
画面サイズ 13.3″(4:3)
画面解像度 2,200×1,650
筆圧感知 4,096段階
ペンプロトコル Wacom EMR
無線LAN ○(2.4GHz・5GHz)
Bluetooth Bluetooth 4.1
バッテリー 4,300mAh(最大4週間)
インターフェース USB 3.0 Type-C
Micro HDMI
サイズ 309.8×227.8×6.8mm
質量 490g
備考 指紋認証
USB OTG搭載
GPS搭載
スピーカー内蔵

本体チェック

BOOX Max3表面。

BOOX Max3表面。

■インターフェース

  • バックボタン(指紋認証センサー)

BOOX Max3のサイズは 309.8×227.8×6.8mm で、重さは490g。画面サイズは、アスペクト比4:3の13.3インチとなっており、A4サイズのクリアファイルのようなサイズ感になっています。画面のアスペクト比が4:3なので、実際のA4用紙のアスペクト比(√2:1)とは異なるので注意。

また、表面下部にはバックボタンがあり、こちらは指紋認証センサーとのコンボボタンになっています。ちなみに、ここのボタンはキーアサイン変更でホームボタンとしても利用可能。

BOOX Max3裏面。

BOOX Max3裏面。

裏面には、電子ペーパータブレットとしてはかなり珍しい、スピーカーを搭載。なので、Androidの通知音もオンにできますし、音楽を聞きながら作業…なんてことも可能。

BOOX Max3上側面。

BOOX Max3上側面。

■インターフェース

  • マイク
  • 電源ボタン

上側面にはマイクと電源ボタンを搭載。

電源ボタンには、充電時に充電状態を示すLEDインジケーターが内蔵されています。うーん、なかなかに芸が細かい。

BOOX Max3下側面。

BOOX Max3下側面。

■インターフェース

  • USB Type-C
  • マイク
  • Micro HDMI

BOOX Max3のUSBは、イマドキな『USB Type-C』。このUSB Type-CポートはUSB OTGに対応しているので、USBポート経由でデータの読み書きが可能。

そして、面白いのがMicro HDMIを搭載しており、映像を出力…じゃなくて、“入力”できるという点。そう、BOOX Max3をパソコンの外部モニターにできるというわけなのです。まさに変態仕様。

BOOX Max3左側面。

BOOX Max3左側面。

左側面はなーんにもナシ。

BOOX Max3右側面。

BOOX Max3右側面。

右側面も同じく、何もありません。

二条ねこ

電子ペーパーにしては、かなりポート類が豊富だから、ここをどうやって遊んでいくかが面白さのキモって感じですなー。

付属品チェック

BOOX Max3付属品。

BOOX Max3付属品。

■BOOX Max3の付属品一覧

  • USB Type-A to USB Type-Cケーブル
  • HDMI to Micro HDMIケーブル
  • microSDカードリーダー
  • デジタイザーペン
  • 保護フィルム

付属品はかなり充実しており、最初からUSBケーブルや映像入力に使うHDMIケーブルが付属しています。しかも、保護フィルムまで付属。そうそう、E Inkディスプレイは柔らかいので、付属の保護フィルムを貼付しておくのがベター

デジタイザーペンはWacom EMRプロトコル。

デジタイザーペンはWacom EMRプロトコル。

デジタイザーペンは、Wacom EMRプロトコルを採用した4,096段階の筆圧感知が可能なタイプ。ボタンはありませんが、ペンのお尻の部分はWacomのペンタブによくある消しゴム機能になっています。

ペンのお尻部分は消しゴム機能が割り当てられている。

ペンのお尻部分は消しゴム機能が割り当てられている。

Wacom EMRを採用したデジタイザーペンは、巷によく流通しているので、自分の好みのデジタイザーペンを探すのも楽しそう。有名どころだと、SamsungのGalaxy Noteシリーズも、このWacom EMRを採用しています。

二条ねこ

ペンの互換性が高いのは、保守しやすいから高評価っ!

E Ink(電子ペーパー)手書きタブレット大全—現行機種を総比較&ポジショニングマップ化したよ! –2020年版–

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2020年1月4日

注目ポイント

■BOOX Max3のポイント概要

  • E Ink:至高のアイデンティティー
  • Android 9:圧倒的汎用性を誇るE Inkデバイス
  • SoC:Qualcommの8コアチップで高速処理
  • Micro HDMI:E Inkがセカンドディスプレイ化

E Ink:至高のアイデンティティー

ディスプレイにはE Ink社の電子ペーパーを採用。

ディスプレイにはE Ink社の電子ペーパーを採用。

本レビュー記事をご覧になっている人なら“釈迦に説法”なはずですが、このBOOX Max3のディスプレイには、『E Ink』という電子ペーパーが使われています。そう、液晶でも有機ELでもない。

ちなみに、 電子ペーパー = E Ink ではなく、 電子ペーパー ⊃ E Ink という関係性です。ただ、E Ink社の電子ペーパーが強すぎて、E Ink(E Ink社)が電子ペーパーの代名詞になっているのも事実だったりします。

一般的なディスプレイとは異なり、ジャギーらしさがない。

一般的なディスプレイとは異なり、ジャギーらしさがない。

そんなE Inkですが、写真を見れば分かるように、一般的な液晶や有機ELディスプレイとは一線を画する表示をしています。

読んで字の如く…な表現になるのですが、まさに“電子の紙”。スペックシートにも記したとおり、画面解像度の概念は存在しているのですが、画面をよーく見てもいわゆるドット感は皆無。恐ろしいほどに紙のよう。

左:iPad Pro 11″ 右:BOOX Max3

左:iPad Pro 11″ 右:BOOX Max3

画像では分かりづらいが、注視するとドット感がまったく違う。

試しに、iPad Pro 11インチ(2020)と比べてみました。

iPad Pro 11インチの解像度は、2,388×1,668
BOOX Max3(13.3インチ)の画面解像度は、2,200×1,650

単純に解像度比較だけでも、iPad Pro 11インチのほうが高解像度。もちろん、DPIを考慮すれば、もっとiPad Pro 11インチのほうが、BOOX Max3よりもキメの細かい表示になるはず……。

解像度はiPad Proに負けるのに、高精細だと感じるのはBOOX Max3。

解像度はiPad Proに負けるのに、高精細だと感じるのはBOOX Max3。

しかし、実際は不思議なことに、ドット感を感じるのはiPad Pro 11インチのほう。解像度はiPad Pro 11インチなのですが、BOOX Max3はアンチエイリアスがかかった感じで、表示に滑らかさがある。この不思議な感覚こそ、電子ペーパー特有の紙感なのでしょう。

Android 9:圧倒的汎用性を誇るE Inkデバイス

BOOX Max3は、AndroidベースのカスタムOSを搭載。

BOOX Max3は、AndroidベースのカスタムOSを搭載。

BOOX Max3に搭載されているOSは、Android 9をベースとしたカスタムOS

BOOX Max3はGoogle Play Storeアプリ利用可能。

BOOX Max3はGoogle Play Storeアプリ利用可能。

しかも、しっかりと『Google Play』が使えるようになっている。つまり、外部からアプリをインストールすることができるというわけ。これこそ、このBOOX Max3の大きなメリット。従来の電子ペーパータブレットのような、閉鎖的なデバイスではないのです。

BOOX Max3をKindle本リーダーとして使うのは最高。

BOOX Max3をKindle本リーダーとして使うのは最高。

そういうわけなので、電子ペーパータブレットと相性が良いKindleアプリも利用可能。外部アプリに関しては相性が出るようですが、このKindleアプリに関しては問題なし。

Amazonも、Kindle本のリーダー用としてKindle PaperwhiteKindle Oasisを、本機と同じくE Inkなディスプレイで出しているのですが、これらは画面が文庫本向けの小さなサイズ。なので、技術書などを読むには幾分画面サイズが小さかった。

ところが、このBOOX Max3は、ほぼA4サイズ。なので、技術書に多いB5判やA5判なども、同寸かそれ以上のサイズで表示可能。BOOX Max3の軽量さも相まって、“どこでも図書館”のような感じで書籍リーダーとして使うことができるのわけなのです。うんうん。

SoC:Qualcommの8コアチップで高速処理

CPU-Zで見ると、SoCはQualcomm『Snapdragon 625』だった。

CPU-Zで見ると、SoCはQualcomm『Snapdragon 625』だった。

動作のモッサリ感が気になるのが、電子ペーパータブレットの宿命。

ところが、BOOX Max3はSoCにQualcomm『Snapdragon 625』を採用している。なので、超絶快適なヌルサク…とまではいかない(そもそも、E Inkディスプレイは高速描画に不向き)が、タップしてからの画面の遷移までのレイテンシーは比較的少ないのが良いところ。

このスペックなら、サードのアプリでも比較的動作は良好。

このスペックなら、サードのアプリでも比較的動作は良好。

前述したように、プリインストールのアプリだけでなく、Google Play経由でサードパーティーのアプリをインストールできるからこそ、SoCはハイスペックであったほうがいい。そのおかげか、サードのアプリでも動作に不満が出るものは少ない印象でした。

Micro HDMI:E Inkがセカンドディスプレイ化

まさかのBOOX Max3を外部ディスプレイ化可能。

まさかのBOOX Max3を外部ディスプレイ化可能。

そして、BOOX Max3には、まさかのMicro HDMI“入力”があり、パソコンの外部ディスプレイとして利用することができる機能を備えている。これぞ変態端末。

利用するには、USB Type-Cへの給電も必要。

利用するには、USB Type-Cへの給電も必要。

ちなみに、BOOX Max3を外部ディスプレイとして利用する場合には、Micro HDMIのほかにUSBでの給電も必要。なので、ちょっとケーブルマネジメントを頑張る必要がありそう、また、USBでの給電へ5V・2A以上じゃないとダメみたいです。

ここがすき!

最高の“デカ”Kindle Paperwhite

A4サイズの“デカ”Kindle Paperwhiteとして使うのが最高。

A4サイズの“デカ”Kindle Paperwhiteとして使うのが最高。

BOOX Max3は言うまでもなく、手書きタブレットとしても優秀なのですが、それよりも、購入してもっとも感動したのが電子書籍リーダーとして。

私は仕事柄、Kindleなどで技術書や仕様書を頻繁に読むのですが、間違いなくBOOX Max3は最高の電子書籍リーダー。とにかく読みやすいし疲れない。常時表示していてもバッテリーは減らない。良いこと尽くめなのです。

技術書専用Kindleデバイスとしても最高。

技術書専用Kindleデバイスとしても最高。

カラーで読めないこと以外は、iPad Proを遥かに凌駕していると言っても過言ではないほど。おかげで、カラーでないと読み物として成立しづらいカラー主体の雑誌以外は、まるっとBOOX Max3に移行してしまいました。BOOX Max3は、私にとっての最高の“デカ”Kindle Paperwhite。

ジッターが少なく紙に近い書き心地

A4サイズの広大なメモキャンバス。

A4サイズの広大なメモキャンバス。

BOOX Max3は、ほぼほぼA4サイズ。

なので、スペースを気にせずに自由に書けるところが嬉しいところ。余談ですが、デジタルなデバイスなので、書いたオブジェクトを再配置できます。だから、1枚のページをびっしり埋めるレイアウトも簡単。

紙のような書き心地が最高。

紙のような書き心地が最高。

BOOX Max3のデジタイザーペンはWacom EMRが採用されており、非常に書き心地が良い。イメージ的には、Wacomのペンタブそのもの。書いている感じの“紙感”も非常に良好で、ペーパーライクフィルムを貼ったiPad ProとApple Pencil並、いやそれ以上に気持ち良く書くことができる。

ジッターが非常に少なく、書くことの快感が得られる。

ジッターが非常に少なく、書くことの快感が得られる。

とりわけ良きだと思ったのが、デジタイザーペンのジッターの少なさ。ゆっくり書いても、斜めにギザギザした感じもなく、BOOX Max3表面の適度な抵抗感と相まって、本当に紙っぽく書くことができます。この紙感と書くことによる快感は、普通のペンデバイスでは体感できなさそう。それくらいに別次元の気持ち良さがあります。

BOOX使いなら知っておきたい『転送』アプリの解説と使い方

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2020年6月25日

ここがうーん?

10万円はやっぱり高価

素敵なデバイスだが、やはり10万円は高価。

素敵なデバイスだが、やはり10万円は高価。

BOOX Max3には本当に満足していて、デバイスとして不満は微妙に作りの甘さがあるくらいで、総じて買って良かったと思っています。購入するまで数か月間悩んだのが、もったいなかったくらいに。

そう、なぜ悩んだかというと、書くと読むに特化したデバイスなのに、10万円弱の価格はどうしても高価に見えてしまうから。おそらく、BOOX Max3が欲しいけど購入を躊躇している人の理由の大半が、その価格の高さなはず。分かります。正直、この価格では手が出づらい……

私はペーパーレス化が加速したことと、巨大Kindle端末を手にした満足感で、十二分に元は取ったと思っているのですが、それでも10万円に迫る価格は…ね。E Inkデバイス全体が高価なので致し方ないのですが、もう少し製造コストが下がってくれると嬉しいところ。

まとめ「これこそ“書く”と“読む”なデバイスの最高峰」

ある意味ではiPad Proを超えたと言ってよいはず。

ある意味ではiPad Proを超えたと言ってよいはず。

今回レビューした、Onyx International『BOOX Max3』を総括すると…

  • Android搭載で汎用性が高い
  • デジタイザーペンの性能はかなり良好
  • 飛び道具としてモバイルディスプレイにもなる
  • 技術書を読むのに最高のデバイス
  • デジタルなのに紙感があって書くのが気持ち良い

という感じ。

正直、価格が高価なので万人にはおすすめしづらいところ。「iPad Proとどっちが買い?」と聞かれると、返答に困るくらいに…。

ただ、書くということと、読むということ。この2つにおいては、iPad Proを凌駕するデバイスであることは間違いないでしょう。万能ではないけど、最高峰のデバイスなのです。ですなの。

二条ねこ

OSにAndroidを採用しているっていうのが、BOOX Max3の評価とポテンシャルを最大限に上げているはずっ!

E Inkタブを買った。 iPad Pro → BOOX Max3 で変わるコト

2020年6月2日
この記事で紹介したガジェット

おまけ

二条ねこ

こうなると、BOOXシリーズを買い漁りたくなるぞぞぞ……。

さたえり

変なスイッチが入っちゃったんやね。

まの

電子ペーパーにどっぷりですからね。

二条ねこ

このモノクロ感が最高あーるっ!
でも、もうすぐ出そうなカラーの電子ペーパーも興味あるぞー!

おわり