- 有線イヤホン派も納得できる音質に近づいた!
- ANCも外音取り込みもあるけど飛び道具系イヤホンではない!
- ただ“聴く”に没頭できるまろやか系TWSの最高峰!
メインディッシュであり、コクがある音。
MOMENTUM第2世代の完全ワイヤレスイヤホン、Sennheiser『MOMENTUM True Wireless 2』をレビュー。待望のアクティブノイキャン搭載で、バッテリー持ちも大改良。うん、これは…ガジェットっぽくない!有線イヤホンっぽい!!


有線イヤホン派も納得の音質ってことですなっ!?

Sennheiserが動いた日……。
Sennheiser『MOMENTUM True Wireless 2』って?
MOMENTUM True Wireless 2ってなに?
ノイズキャンセリング機能・外音取り込み機能搭載。だけど、音質そのものが“メインディッシュ”な、Sennheiserが生み出した至極の完全ワイヤレスイヤホン。
- 有線イヤホン派も納得の音質。
- キーアサイン変更可能。
- 外音取り込み機能がナチュラル。
- 着脱に応じた再生・停止の機構。
- 右chが親機なレガシー仕様。
- ノイキャン性能はイマイチ。

完全ワイヤレスイヤホンは音質が微妙だし…。
そんなこだわり派に使ってほしい、音質追求型の完全ワイヤレスイヤホンやよ!
本体チェック
■インターフェース
- リモコンボタン(タッチセンサー)
イヤホンのシェル前面の神々しき“Sennheiserロゴ”の部分(ヘアライン加工されている部分全面)が、タッチセンサー式のリモコンになっています。物理ボタンじゃないところは、好みが分かれるところ。
MOMENTUM True Wireless 2イヤホン本体のサイズは非公表(実測値: 22×22×24mm )。サイズ感で言うと、Technics『EAH-AZ70W』(レビュー記事)よりかは、気持ち小さい感じ。なお、カラーバリエーションは2色(ブラック・ホワイト)展開。

うちは『ブラック』を選んでみたやよ!(ホワイトが可愛いけど、汚れるのが怖かったんよね)
■インターフェース
- 近接センサー
イヤホン本体と充電ケースはマグネットでくっつくタイプ。この方式もすっかり完全ワイヤレスイヤホンの定番になってきました。
また、MOMENTUM True Wireless 2には近接センサーを搭載。これにより、イヤホンの着け外しに連動して、音楽の再生・停止ができるようになっています。
シェルに対して、ステムは少し斜めにオフセット。ステムはそこまで長くない(実測値:2mm)タイプなので、イヤピ選びは気をつけたほうがいいかも。
充電ケースはファブリック調。完全ワイヤレスイヤホンで、こういうデザインの充電ケースはかなり希少なはず。
充電ケース自体のサイズは 76.8×43.8×34.7mm となっていて、ちょっとコンパクト寄りの普通のサイズ。ファブリック調なので汚れには気を使わないといけないですが、このサイズ感なら取り回しも比較的良好。
■インターフェース
- LEDインジケーター
- USB Type-C
- LEDボタン
充電ケースは『USB Type-C』で充電するタイプ。なお、Qi規格のワイヤレス充電には非対応。ここはちょっと残念。
ちなみに、充電ケース後面にある『LEDボタン』を押すことによって、イヤホンのバッテリー残量を確認することが可能。LEDは黄・緑・赤の3色で点灯・点滅してバッテリー残量を示してくれるので、視認性はかなり良さげ。
左 | 右 | |
1回押し | 再生・停止 | 音声アシスタント起動 |
2回押し | 曲送り | 外音取り込み |
3回押し | 曲戻し | ノイズキャンセリング |
長押し | 音量ダウン | 音量アップ |
MOMENTUM True Wireless 2のリモコン機能。
MOMENTUM True Wireless 2のリモコン機能は、かなり充実していて、再生・停止、選曲、音量調節、のすべてが操作可能。また、音声アシスタントの起動や外音取り込み機能、ノイズキャンセリング機能の切り替えも可能となっている。
音声アシスタント起動が誤爆しそうなキーアサインになっていますが、これらのキーアサインは専用のコンパニオンアプリ『Sennheiser Smart Control』で変更可能。なので、まったく問題なし。リモコン機能は100点と言っていいはず。

操作体系やアサイン変更のどれもが完璧に近い感じやね!
付属品チェック
■MOMENTUM True Wireless 2の付属品一覧
- イヤーピース(XS・S・M・L)
- USB Type-A to USB Type-Cケーブル
- クイックガイド
- 安全に関する注意事項
付属品はいたってシンプル。なお、イヤーピースのMサイズは、最初からイヤホン本体に装着されています。
注目ポイント
■MOMENTUM True Wireless 2のポイント概要
- ノイズキャンセリング機能:パッシブ+アクティブの威力
- 外音取り込み機能:高音質リスニングは止まらない
- LDSアンテナ:音途切れや音ズレは訪れない
- スマートポーズ機能:シームレスに音楽が止まる始まる
- IPX4:ジムやワークアウトで活躍する防滴仕様
ノイズキャンセリング機能:パッシブ+アクティブの威力
前作MOMENTUM True Wirelessからの追加機能の中でも最大のトピックなのが、『アクティブノイズキャンセリング機能』が追加されたこと。
前作までは“パッシブ”。つまり、遮音性の高さだけでノイズキャンセリングを行っていた。それがMOMENTUM True Wireless 2では、パッシブだけでなく電子的なノイズキャンセリングである“アクティブ”が追加。これにより、パッシブとアクティブのコンビネーションによる、より高いノイズキャンセリング性能を得ることとなった。
ちなみに、ノイズキャンセリングの効き具合をアプリで調節できる完全ワイヤレスイヤホンも増えつつあるが、このMOMENTUM True Wireless 2ではそういった類のものはナシ。あくまで、オン・オフのみの潔い設計。
外音取り込み機能:高音質リスニングは止まらない
MOMENTUM True Wireless 2には、前作から引き続き『外音取り込み機能(Transparent Hearing)』を搭載。これがなかなかの性能。
外音取り込み機能が搭載されている完全ワイヤレスイヤホンも増えつつあるが、その性能差は千差万別。そんな中でも、比較的集音性能が高く実用的な部類に、MOMENTUM True Wireless 2は入っていると言える。
面白いところでいえば、Sennheiser Smart Controlアプリで、外音取り込み機能(Transparent Hearing)の調節ができるという点。
アプリで設定することにより、外音取り込み時に、音楽を流し続けるか音楽を止めるかが変更可能。外音取り込み時の音楽再生の有無については、ユーザーの好みが反映されやすい部分だと思うので、こういった設定ができるのは嬉しい限り。
そういう意味でも、MOMENTUM True Wireless 2の外音取り込み機能は、実用的なレベルまでチューニングされていると言える気がする。
LDSアンテナ:音途切れや音ズレは訪れない
完全ワイヤレスイヤホンにつきまとう問題。それが音途切れ。それを解決すべく『LDSアンテナ(Laser Direct Structuring antenna)』というコンポーネントをMOMENTUM True Wireless 2では採用。
ちなみに、LDSアンテナを採用することによって、通信が安定するだけでなく、アンテナのモジュール自体も省スペース化できるとのこと。
実際に使っていても、音途切れする場面に出くわすことが非常に少ない印象を受けた。完全ワイヤレスイヤホンに対する、通信安定化対策のアプローチは多種多様だが、アンテナ設計というベーシックなアプローチでここまで安定するものなのかと関心してしまうほど。
スマートポーズ機能:シームレスに音楽が止まる始まる
MOMENTUM True Wireless 2には近接センサーが搭載されており、イヤホンの着脱に連動して楽曲の再生・停止ができる『スマートポーズ機能』が搭載されいる。これがなかなかに便利。
ちょっとしたアナウンスを聞くくらいなら、前述した外音取り込み機能を使えばよいのですが、人と会話するとなるとイヤホンを外したくなるもの。そこで活躍するのが、このスマートポーズ機能というわけなのです。
イヤホンの着脱に連動して楽曲の再生・停止が自動的に行われるので、会話のたびに自分でオーディオコントロールする必要性は皆無。装着すれば、すぐに音楽が再生されるので、ユーザーは気にすることなくシームレスに音楽を楽しめるというわけなのです。うーん、近接センサーは偉大。
IPX4:ジムやワークアウトで活躍する防滴仕様
嬉しいことに、IPX4準拠の防水…いや、防滴性能をMOMENTUM True Wireless 2は備えている。
防水ではなく“防滴”という点だけは注意しておかないといけないが、運動時の汗やちょっとした雨ぐらいなら平気なはず。これだけ高価なイヤホンを運動用に使うにはもったない気もするけど、あったらあったで便利なのが防滴機能だったりします。
音質チェック
音質評価:★★★★☆
高音域:★★★★☆
中音域:★★★★☆
低音域:★★★★★
MOMENTUM True Wireless 2の音質をひとことで表すと、まったりとしたコクのある低音域。シャキシャキとしたスピード感が主張するサウンドではなく、じっくりと聞かせるサウンドという感じ。例えるなら、濃厚なビーフシチューのようなコクのある音質。
聞き始めは正直言って、解像度に乏しく、全体的に曇った感じがしていたのですが、しばらく鳴らしていくと音質が一変。曇った感じも取れ、しっかりと各音域が分離してきてくれました。長時間のエージング必須なのは、初代のMOMENTUM True Wirelessと一緒かも。
とにかく、このミルクのような円やかな低音域は特筆すべきで、非常に耳心地が良い感じ。音場感が広いわけでも、解像度がキレキレな感じでもないのですが、良い音だと感覚的に感じ取れる音のチューニングが施されています。さすがは老舗ドイツメーカー、Sennheiserという感じ。
溶けかけたキャンディーのような角がなく、包まれるような音質。そんな音質が、解像度の高さやシャープさだけが、良い音ではないと教えてくれる気がします。
難しいですが、このMOMENTUM True Wireless 2の音質は、理屈では表現できない良さがあるイメージ。何かが飛び抜けて優れているのではないけれども、凄く心地良い音を奏でてくれる。そんな感じの音質です。

まったりしながらも、音にボヤけている感じがしない。ほんと、絶妙なポジションに立っている感じがするんよね!
MOMENTUM True Wireless 2に合いそうな曲
■こんな楽曲が合いそう!
- アコースティックな洋楽系Alternative。
- 80年代〜90年代の男性ボーカルのJ-pop。
- コリコリとしたベースが光るJazz。
疾走感よりも、ゆっくり聞かせるのが得意なMOMENTUM True Wireless 2。なので、Jazzやアコースティック系の音楽が合いそうな感じがします。とにかく、大人っぽい曲向け。そんな感じ。
しっかりと1つ1つの音を聞かせてくれるので、ボーカルメインの曲なんかが特に良き。情報量が多い曲が苦手というわけではないのですが、せっかくなので、ここは情報量が少なめのしっとりした曲を選びたいところ。
そんなMOMENTUM True Wireless 2と一緒に聞いてほしい楽曲は、The Billboard Hot 100にもランクインしているHalseyのアルバム『Manic』から、『You should be sad』という楽曲。
アコースティックギターのコリコリっとした感じ。ボーカルの流れるような滑らかさ。そして、力強いエレキギター。そのすべてがお互いを邪魔しない絶妙なバランスで保たれており、すべての音をMOMENTUM True Wireless 2が、しっかりと鳴らしきってくれています。

アコースティック好きには、このMOMENTUM True Wireless 2の音質はたまらないものがある気がするんよね!
ここがすき!
タッチボタンにフィードバックがある
完全ワイヤレスイヤホンというのは、音質だけでなく、Bluetoothイヤホンならではの使い勝手も重要。特に、リモコンボタンの使いやすさやクオリティーによって、そのイヤホンが使いたくなるか否かが変わってくると思っています。
そういう意味では、このMOMENTUM True Wireless 2は非常に良くできていて、とりわけそう思えるのが、タッチボタンの音によるフィードバックの出来。
押したかどうか分からない。何回押したか分からない。そんなタッチボタンが多いなか、MOMENTUM True Wireless 2は、押した回数に応じて“ピッ”・“ポッ”・“パッ”と違う音でフィードバックを返してくれる。なので、どこを何回押したかが、しっかりと把握できるようになっているのです。ほんと、こういうのを待ってました!という感じ。
リモコンのキーアサインが超豊富
個人的にかなり高評価なのが、タッチリモコンのキーアサインをアプリ(Sennheiser Smart Control)で変更可能なこと。
実際にSennheiser Smart Controlアプリを見てみると分かるのですが、ほぼ全部のキーアサインが変更可能という充実っぷり。人によっては誤爆が鬱陶しいと感じるので不要な、音声アシスタント機能を無効にできるところも嬉しいところ。
直感的なイコライザー機能
Sennheiser Smart Controlアプリにはイコライザー機能が搭載されており、そのインターフェースは直感的で独特。かなり評価が分かれそうなイコライザー機能ですが、個人的には感性で聞くMOMENTUM True Wireless 2にピッタリ嵌っている印象。
MOMENTUM True Wireless 2は、デフォルト状態での音のバランスの完成度が高いので、イコライザーはほんの味付け程度。だからこそ、この直感に任せるイコライザーが合っているように思えます。
ここがうーん?
TWS Plus非対応で右chが親機仕様
ちょっと残念なのが、せっかくQualcommのチップを搭載しているのにもかかわらず、右chが親機というレガシーな仕様なこと。そう、MOMENTUM True Wireless 2にはTWS Plusは非搭載。
TWS Plus自体に癖がある(TWS Plus非対応デバイスだと、Bluetoothの表示が気持ち悪いことになる等)ので、一概にTWS Plus非搭載なのがイマイチ…というわけではない。ただ、SonyやPanasonic(Technics)が独自の左右独立受信方式を搭載していることを考えると、正直レガシーすぎると思ってしまう。
aptX LLがオミットされた
おそらく搭載チップの兼ね合いだと思われるのですが、前作MOMENTUM True Wirelessにはあった『aptX LL』コーデックが、今回はオミットされているのはちょっと気になるポイントかも。
これもTWS Plusと同様に、あったところで…な部分も確かにあったりする。でも、あったものがなくなるのはチョット……。何とも言えない感じです。
ANC機能はほぼオマケ
ノイズキャンセリング機能を期待してMOMENTUM True Wireless 2を購入する人もいるかもしれないですが、アクティブノイズキャンセリング機能はほぼオマケと思っておくべき。それくらいノイズキャンセリング効果が薄いです。
とはいえ、そもそもの遮音性が比較的高いので、パッシブでのノイズキャンセリング性能は十分。なので、アクティブノイズキャンセリングについては、基本はオフ。どうしても騒音は気になるときだけオンでよい気がします。
まとめ「ドイツが生み出したTWSの最高傑作」
今回のSennheiser『MOMENTUM True Wireless 2』のレビューを総括すると…
- 音楽を愉しむ人のための音質
- 近接センサーはとにかく便利
- リモコン機能の使い勝手が秀逸
- アプリの洗練度はトップクラス
- ノイキャン性能は高くない
- 右chが親機なレガシー仕様はいただけない
という感じ。
レガシーな右chが親機な仕様だったり、ノイズキャンセリング機能が弱かったりと、ガジェット的な側面で見ると煮詰めきれていない感じは正直しちゃう。だけれども、リモコンボタンの使い勝手や着脱に応じたオーディオコントロールなど、UXの良さは随一。
そう、音質も含めて、これはガジェット好きのためのイヤホンじゃない。オーディオ好きのためのイヤホン。そう感じさせてくれる、オーディオマニア納得の完全ワイヤレスイヤホンな気がします。

理屈よりも感性が重視する音楽好きこそ、おすすめしたい完全ワイヤレスイヤホンやね!
おまけ

まだ完成されてない部分は多いけど、初代のピーキーさがなくなっただけでも、買いやと思うんよね!

さすがは工業大国ドイツっ!

先日のTechnicsも含めて、これからの完全ワイヤレスイヤホン界隈は、老舗オーディオメーカーに大注目ですわね。

ほんとそうやと思う!
あとは、どれだけガジェットライクな機能を上手に落とし込むかだけやね。
おわり
ガジェット派のTWSじゃない。
オーディオ派のTWS。
…そんな感じがするんよね!