ハイレゾとは?—定義・ファイル形式・Bluetoothコーデックを標本化&量子化に基づきお勉強

ハイレゾとは?—定義・ファイル形式・Bluetoothコーデックを標本化&量子化に基づきお勉強
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記事のポイント
  • ハイレゾ音源とはCDより高解像度な音源のこと!
  • ハイレゾの定義は参照元によって異なる!
  • ハイレゾ対応ファイル形式・コーデックも調べた!

『ハイレゾ』を改めてお勉強。

ハイレゾ=高音質という認識で基本的にはOKなのですが…実は、ハイレゾ音源にもさまざまな音質があったのです。そこで、ハイレゾの定義対応ファイル形式対応Bluetoothコーデックを再度お勉強してみます。

さたえり

ここで問題!
ハイレゾの定義は○Hz/○bitでしょうか?

二条ねこ

ほえ?96kHz/24bitじゃないのー!?

さたえり

ぶっぶー!
それやと、半分正解で半分不正解なんよね。

『ハイレゾ』とは?

ハイレゾとは読んで字の如く、高解像度オーディオのこと。

ハイレゾとは読んで字の如く、高解像度オーディオのこと。

この『ハイレゾ』とは、High-Resolution Audioハイレゾリューションオーディオの略。なので、そのまま日本語訳すると…高い解像度を持ったオーディオ(音源・音響機器)という意味になります。

全部すっ飛ばして、ハイレゾとはを簡単に噛み砕くと、CD(44.1kHz/16bit)よりも高音質なオーディオ(楽曲や機器など)のことを指すことになります。

さたえり

簡単に言っちゃえば、CDより高音質な音源と思っておけば合ってる感じやね!

先程、CDより高音質と言いましたが、何をもってして“高音質”や“高解像度”と呼ぶのでしょうか。ここを少し深堀りしてみましょう。

アナデジ変換の『標本化』と『量子化』がハイレゾを決める。

アナデジ変換の『標本化』と『量子化』がハイレゾを決める。

そもそもCDを含め、デジタル化されている音源というのは、

  • 標本化(サンプリング周波数)
  • 量子化(量子ビット数)

の工程を踏んで、アナログ信号を処理・電子化されています。
つまり、この2項目が音のレゾリューション(解像度)を決める大事な要素というわけですね。

CD音源よりも高解像度な信号処理を施したのがハイレゾ音源。

CD音源よりも高解像度な信号処理を施したのがハイレゾ音源。

そして、CD音源(CD-DA)では、

  • 標本化(サンプリング周波数):44.1kHz
  • 量子化(量子ビット数):16bit

という信号処理が行われています。

端的に言うと、この44.1kHz/16bitの信号処理(標本化と量子化)を超えた音のレゾリューション(=解像度)を持つ音源、それがハイレゾ音源と言われるわけなのです。そして、その音源を再生できる機器をハイレゾ対応機器と呼ぶということです。何だか、4Kや8Kとか高画素カメラに似ていますね。

さたえり

ちなみに、音楽業界の標準は44.1kHzだけど、映像業界では48kHzが標準だったり…。

二条ねこ

へぇボタン押さないとですな〜。(10へぇくらい?)

サンプリング周波数とは?
サンプリング周波数とは?

『サンプリング周波数』とは、信号の測定(サンプリング)を実施するときの時間間隔のこと。

音源の話でいうと、1秒間に何回測定されたかということになる。単位は『Hz』で、CDの場合は44.1kHz、つまり1秒間に44,100回サンプリングをしているということになります。

このサンプリング周波数(Hz)が高ければ高いほど、音源の情報量が多いということになります。

量子ビット数とは?
量子ビット数とは?

『量子ビット数』とは、アナログ音源をデジタル化するときの振幅を何段階で表現するかを数値化したもの。

単位は『bit』で、CDの場合は16bit、つまり65,536(2の16乗)の階調表現があるということになります。

この量子ビット数が多ければ多いほど、音源の情報がキメの細かいものになっているということになります。

ハイレゾの定義

ハイレゾ = CDより高解像度
ということが、ここまでで分かりました。

二条ねこ

でも、それだとハイレゾの定義ってふんわりしてるよねー。

まの

ハイレゾの定義づけが必要ですわね。

さたえり

だから、ハイレゾの定義と定義を決めている団体について、これから見ていくことにするやよ!

ハイレゾを定義づけしている2つの団体。

ハイレゾを定義づけしている2つの団体。

  • 日本オーディオ協会
  • JEITA

ハイレゾ対応機器・ハイレゾ音源について、明確に「これがハイレゾだ!」と定義しているところには、上記の2つの団体があります。

…実は、この2つではハイレゾの定義が若干異なっています。
もちろん、どちらの一方の定義をクリアさえしていれば、日本ではハイレゾ対応機器と広義で言えるわけですが、定義の違いを知っておいたほうが混乱しないので、改めて見てみることにします。

【1】日本オーディオ協会の場合

【1】日本オーディオ協会の場合
信号処理 ファイル形式 Bluetoothコーデック
96kHz/24bit FLAC
WAV
LDAC
HWA¹

日本オーディオ協会が決めるハイレゾの定義。
¹LHDCとしてハイレゾロゴ認定。

日本オーディオ協会は明確にハイレゾの定義を決めており、信号処理については96kHz/24bitを満たすこと。そして、ファイル形式については、可逆圧縮の『FLAC』・非圧縮の『WAV』と限定している。また、Bluetoothコーデックについては『LDAC』(と『LDHC』)となっています。

さたえり

これはデジタル信号の場合やからね!

ハイレゾ音源やハイレゾ機器について、96kHz/24bitを満たすと明確化しているので、例えば、48kHz/24bitという音源があった場合、日本オーディオ協会的にはハイレゾ音源とは言えないということになります。つまり、ハイレゾ認定が“ちょっと厳しめ”と捉えておいてよさそうです。

なお、DSD音源についても記述があり、

  • 2.8MHz(DSD64)
  • 5.6MHz(DSD128)

についてはハイレゾ音源・ハイレゾ機器とみなす(DSDは1bitでは?というのは別として)ようです。

さたえり

ここでは触れないけど、うちらが一般的に聞いているのは『PCM音源』なんよね。この『DSD音源』っていうのは、また別の方式で、SACD(Super Audio CD)に使われているタイプなんよね!

そうそう、日本オーディオ協会と聞いてもピンと来ないですが、巷でよく見かけるハイレゾロゴを決めている協会です。そう、あの金黒なロゴマークのやつですね。

まの

つまり、マーケティング面でハイレゾの定義を定めているというわけですわね。

ハイレゾロゴの謎—いつの間にか1つに統合されPanaやJVCのロゴが消えた理由

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2019年12月20日

【2】JEITAの場合

【2】JEITAの場合
信号処理 ファイル形式 Bluetoothコーデック
44.1kHz/16bit超過 非可逆圧縮以外 -

JEITA(電子情報技術産業協会)が決めるハイレゾの定義。

JEITA(電子情報技術産業協会)のハイレゾの定義は、かなーりざっくりしていて、端的に言うと、CDより音質が良ければOKという感じです。

ですので、
A:サンプリング周波数
B:量子ビット数
とすると、

  • Aが44.1kHz超過:ハイレゾ
  • Bが16bit超過:ハイレゾ
  • Aが44.1kHz超過&Bが16bit超過:ハイレゾ
  • Aが44.1kHz&Bが16bit:非ハイレゾ
  • Aが44.1kHz未満&Bが16bit超過:非ハイレゾ
  • Aが44.1kHz超過&Bが16bit未満:非ハイレゾ

ということになります。

ハイレゾ音源のファイル形式については、日本オーディオ協会のような細かな規定がないようで、非可逆圧縮(MP3やAAC等)でなければOKというスタンスです。また、DSD音源については特に触れられていません。

Bluetoothコーデックについても、特に規定がないようなので、

  • LDAC(96kHz/24bit)
  • HWA(96kHz/24bit)
  • aptX HD(48kHz/24bit)
  • aptX Adaptive(48kHz/24bit)

の4つのBluetoothコーデックがハイレゾ対応と言えることになります。

二条ねこ

こうなってくると、ハイレゾの定義って曖昧だよねー。

さたえり

団体によって、定義に差異があることが混乱の元かもやね…。

ハイレゾ対応ファイル形式

圧縮方式 フォーマット 拡張子
非可逆圧縮 MQA .mqXXX
可逆圧縮 FLAC .falc
.fla
可逆圧縮 ALAC .m4a
可逆圧縮 TAK .tak
可逆圧縮 WMA Lossless .wma
可逆圧縮 Monkey’s Audio .ape
非圧縮 リニアPCM .wav
.aiff
- DSD .dff
.dsf
.wsd

ハイレゾに対応したファイル形式。

ハイレゾ音源対応のファイル形式については上表のとおり。
なお、『MQA』データに関してはハイレゾに入るかどうかが微妙(個人的にはハイレゾでないと思っているけど…)ですが、一応、紹介する意味合いも含めて記載しています。

さたえり

一番普及しているハイレゾ音源フォーマットは『FLAC』だから、とりあえずハイレゾ音源はFLACのファイル形式なんだって思っておけばいいかな!?

FLAC形式でも、非ハイレゾ音源も存在する。

FLAC形式でも、非ハイレゾ音源も存在する。

ただ、ここで注意が必要なのが、
FLAC = ハイレゾ音源
というのは間違っているということ。

ハイレゾの定義で解説したように、ハイレゾ音源はCDを超えなければならない。なので、FLAC音源で信号処理が、44.1kHz/16bitならば非ハイレゾ音源(CDレベル)になるし、44.1kHz/16bit以下でも非ハイレゾ音源ということになります。

さたえり

あくまで、サンプリング周波数と量子ビット数ありきってことやね。

ハイレゾ対応Bluetoothコーデック

Bluetoothコーデック 信号処理
aptX HD 48kHz/24bit
aptX Adaptive 48kHz/24bit
LDAC 96kHz/24bit
HWA 96kHz/24bit

ハイレゾ対応のBluetoothコーデック。

ハイレゾに対応しているBluetoothコーデックは上表のとおり。

日本オーディオ協会のハイレゾの定義、96kHz/24bitの信号処理を満たすBluetoothコーデックは『LDAC』(と『LDHC』)になるので、同協会的にはLDACがハイレゾ対応Bluetoothコーデック(Hi-Res Audio Wireless)となります(HWAも規格上対応)。

まの

定義元によって、aptX HDとaptX Adaptiveの2つについては、ハイレゾ扱いされない場合があるということですね?

さたえり

ややこしいけど、“狭義のハイレゾ”になるとそうなるんよね。

QualcommのBluetoothコーデック『aptX Adaptive』は、現時点では48kHz/24bitの信号処理ですが、将来的には96kHz/24bitに対応させたいとの記事もありました。
なお、aptX Adaptiveでは電波状況やデータに応じて、ビットレートが280Mbps〜480Mbpsの間で可変するようになっています。280MbpsのビットレートならCDレベル、480Mbpsならハイレゾレベル…とそれぞれなります。

ハイレゾ対応Bluetoothコーデック一覧+ワイヤレスでハイレゾを聞くには?

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2019年11月27日

まとめ「ハイレゾ = CD以上音質 で解釈的にはOKだと思う」

まとめ「ハイレゾ = CD以上音質 で解釈的にはOKだと思う」

何をハイレゾと定義するかによりますが、ハイレゾとはを総括すると、

  • ハイレゾ音源:CDスペック(44.1kHz/16bit)以上
  • ハイレゾ対応機器:ハイレゾ音質を再生可能なもの
  • ハイレゾ対応ファイル形式:FLACとWAVだけ知っておけばOK
  • ハイレゾ対応Bluetoothコーデック:LDAC・aptX HD・aptX Adaptive・WHA

という感じにまとめておきたいと思います。

ハイレゾ自体をオカルトと言う人もいますし、LDACでもビットレートがCD以下なので非ハイレゾと言う人もいます。なので、「CDより高解像度で高音質なんだよね」くらいに言えればそれで充分な気がしています。

さたえり

自分が良い音って思えるなら、それが正解な世界やからね。深く気にしても仕方ないかもやね!

この記事で紹介したガジェット

おまけ

さたえり

結局、音が良いかどうかなんて、聞く人のさじ加減な部分も多いから難しいんよね。

まの

年齢や嗜好など、いろいろな要素がありますものね。

二条ねこ

やっぱ、聞いて満足できればおけおーだよねっ!

さたえり

うん!それが一番やと思う!

おわり

Reference:
一般社団法人 日本オーディオ協会, 「ハイレゾ」の基本をおさらい。DSDやFLAC、MQAなどの違いとは? - PC Watch, ハイレゾオーディオの呼称について, 可変ビットレートで低遅延・安定接続の「aptX Adaptive」、クアルコムが紹介 - ケータイ Watch, 日本オーディオ協会、「LHDC」を「ハイレゾオーディオワイヤレスロゴ」対象コーデックに認証 - PHILE WEB