この記事はTOLAI様よりレビュー用サンプルを頂いて記事を書いております。
- Zippoのような質感で所有欲を満たす完全ワイヤレスイヤホンだ!
- 亜鉛合金製のこだわりケースがとにかくクールでたまらない!
- 見た目だけじゃなくて意外と音もフラット志向でなかなかに良いぞ!
ヒンジにこだわる職人魂。
完全ワイヤレスイヤホン、YOBYBO『ZIP20』をレビュー。Zippoライクなケースデザインが魅力な本機。実は、見た目だけじゃなくて音もなかなかにデキるやつなのです。
Klipsch T5とはZippoライバルじゃん!?
…違うと思いますわ。
目次
本日のレビュー:ZIP20
ZIP20ってなに?
“聴覚と触覚を刺激する”がコンセプト。デザインとテクノロジーにこだわった完全ワイヤレスイヤホン。最大のポイントはヒンジの作り込み。
- 充電ケースの高い質感
- ヒンジ部分の工作精度
- Qualcomm TWM対応
- モダン機能全非搭載
ZIP20 | ||
---|---|---|
型番 | ZIP20 | |
メーカー | YOBYBO | |
オーディオ性能 | ドライバー | ダイナミック(φ10mm) |
再生周波数帯域 | 20Hz–20,000Hz | |
インピーダンス | 非公表 | |
ケーブル長 | - | |
プラグ | - | |
Bluetooth性能 | Ver. | Bluetooth 5.2 |
コーデック | SBC AAC aptX |
|
プロファイル | 非公表 | |
バッテリー | イヤホン単体 | 最大6.5時間 |
イヤホン+充電ケース | 最大33時間 | |
インターフェース | イヤホン | - |
充電ケース | USB Type-C | |
サイズ | イヤホン | 21×20×34mm*1 |
充電ケース | 50×49×21mm*1 | |
質量 | イヤホン | 4.2g |
充電ケース | 70.2g | |
備考 | ノイズキャンセリング | × |
ヒアスルー | × | |
コンパニオンアプリ | × | |
防水防塵 | IPX4 | |
左右独立受信方式 | ○ (TrueWireless Mirroring) |
|
その他 | - |
ZIP20のスペック
*1実測値。
ノイズキャンセリングもヒアスルーも非搭載。だけど、目で耳で所有欲を満たせる。
…それが、このZIP20って感じかな!
デザインビュー
本体:Zippo感と美しきヒンジ
イヤホン | 充電ケース | |
サイズ | 21×20×34mm | 50×49×21mm |
質量 | 4.2g | 70.2g |
ZIP20のサイズと質量
※サイズは実測値。
ZIP20のイヤホン本体のサイズは 21×20×34mm (実測値)で、重さは4.2g。充電ケースのサイズは 50×49×21mm (実測値)で、重さは70.2g。
イヤホン自体は樹脂素材でかなり軽量に作られているが、充電ケースは亜鉛合金製でズッシリ重ため。ケース自体はかなりコンパクトなのですが、このZIP20のコンセプトでもあるフルメタルボディによる重厚感は、モバイルをするという面では好みが分かれるかも。
■インターフェース
▼イヤホン前面
- LEDインジケーター
- リモコンボタン
イヤホン前面には、ペアリング状態を通知するLEDインジケーター、タッチセンサータイプのリモコンボタン、をそれぞれ搭載。
ゴールドのリング状になっている部分の内側が、タッチセンサーが搭載されている位置になっています。これくらいのセンサー範囲なら、誤動作をすることもまずないでしょう。
イヤホン上面から見ると、ステムはハウジングに対して、40°ぐらいの角度でオフセットされていることが分かります。
ZIP20はステムがそこまで長くないタイプのイヤホンになるので、装着感としては耳の奥深くに挿入する…というよりも、耳のくぼみに引っ掛ける感じ。なので、人によって装着感に差が出づらく、より万人受けする形状になっていると言えるでしょう。
■インターフェース
▼充電ケース前面
- LEDインジケーター
充電ケース前面には、充電状態やバッテリー残量を通知するLEDインジケーターを搭載。
また、前面には“YOBYBO”のロゴタイプがあり、思ったよりも目立つ感じ。このあたりのブランドロゴの主張がある感じは、好みが分かれるかもしれません。なお、後面にはバッテリー容量が450mAhで、充電は5V・0.7Aで行われるとの記載があります。電源関係はいたって普通なので、USB充電器による相性問題は起こらないでしょう。
■インターフェース
▼充電ケース下面
- USB Type-C
充電ケース下面には、イヤホン本体を充電するためのUSB Type-Cポートを搭載。
横から見ると、かなりスリムな形状をしていることが伺えます。
Zippoライターとは異なり、かなりアールがかかった面取りになっているのですが、厚さで言ったら、Zippoライターと変わらないかもしれません。
充電ケースが小型ということもあってか、イヤホン本体のサイズに対してギリギリ収まるような設計になっています。イヤーピース収納部のクリアランスもまさにピッタリという感じ。ただ、イヤホンの取り外しに関しては、飛び出ている面積が多いために、案外やりやすいようになっています。
リモコン
左 | 右 | |
1回押し | 音量ダウン | 音量アップ |
2回押し | 再生・停止 | 再生・停止 |
3回押し | 音声アシスタント起動 | 音声アシスタント起動 |
長押し | 曲戻し | 曲送り |
ZIP20のリモコン機能
ZIP20のリモコン機能は、再生・停止、選曲(曲送り・曲戻し)、音量調節(アップ・ダウン)、音声アシスタント起動、…という感じ。
オーディオコントロールに必要な主要機能は、すべてイヤホン内のリモコン機能に搭載されています。これなら操作系に不満を持つことはないはず。また、あれば嬉しいけど誤爆すると鬱陶しい音声アシスタント起動機能については、リモコンボタンの3回押しにアサインされているので、誤って音声アシスタントを起動することはまずないでしょう。
なお、このZIP20には専用のコンパニオンアプリは用意されていません。
アプリがあればなお良かった感じだけど、リモコン機能は過不足なしって感じやね!
ステム
全長 | 2mm |
直径 | φ4mm |
ZIP20のステム(ノズル)サイズ
ZIP20のステム(ノズル)部分を測定してみたところ、全長2mm、直径φ4mm、という結果でした。
このステムサイズは、ごくごく一般的な完全ワイヤレスイヤホンと言ってよいでしょう。しかし、充電ケース側のクリアランスがほぼないため、サードパーティ製のイヤーピースにリプレースするのは“ほぼ”無理と思っておいたほうがよさそう。
SpinFit CP360とfinal TYPE E(TWS用)の両方を試したけど、ケースに収納できなかったんよね……。
それはやむなしですなー。
あ、AirPods Pro用のSpinFit CP1025は奇跡的に使えたんやけどね!
おおー!まさかの!!
付属品:シンプルイズベスト
■付属品一覧
- イヤーピース(XS・S・M・L)
- USB Type-A to USB Type-Cケーブル
ZIP20の付属品は、XS・S・M・Lというサイズのイヤーピース(Mサイズはイヤホンに装着済)充電用のUSBケーブル(USB Type-A to USB Type-C)、取扱説明書、という合計3つ。
今回はサンプルということもあると思われるのですが、取扱説明書には日本語の記載がありませんでした。
注目ポイント
■ZIP20のポイント
- デザイン:まさにイヤホン界のZippo
- SoC:安価ながらQCC3040採用
- マイク:Qualcomm cVc対応でテレワークに最適
デザイン:まさにイヤホン界のZippo
ZIP20のコンセプトは、“聴覚と触覚を刺激する大人のワイヤレスイヤホン”。
要するに、その奏でる音と、端正な見た目の両方にこだわったイヤホンというわけです。おそらく、ここまでイヤホンの見た目をウリにした完全ワイヤレスイヤホンは今までなかったことでしょう。
ZIP20の充電ケースには亜鉛合金を採用し、とにかく高い質感を誇る。全体的につや消し加工になっているが、ケース開閉部分のみ一閃と輝く光沢感のあるフィニッシュとなっており、このコントラストがこれまた高級感を高めている。
「こんなとこまで?」と思ってしまうこだわりのポイントとして、充電ケースの開閉機構部分のヒンジを外から見えないように処理しているという点がある。ここまでヒンジ1つにこだわりを見せた完全ワイヤレスイヤホンが、かつであったのでしょうか。それくらいに、細部にまで職人の“粋”を感じさせてくれるマテリアル感となっているのです。
ここまで充電ケースのデザインにこだわるイヤホンも珍しいやんね。
SoC:安価ながらQCC3040採用
ZIP20は見た目だけでなく内部のコンポーネントにもこだわっており、1万円強という価格ながら、Qualcommの『QCC3040』をBluetooth SoCに採用している。
Qualcomm QCC3040を採用しているので、最新の左右独立受信方式である『Qualcomm TrueWireless Mirroring』が利用できるようになっているのも密かなポイント。以前のQualcomm TrueWireless Stereo Plus(TWS Plus)とは異なり、このQualcomm TrueWireless Mirroring(TWM)はiPhoneでもWALKMANでも利用可能。なので、より音楽プレーヤーを選ばなくなりました。
なお、ZIP20の対応Bluetoothコーデックは、SBC・AAC・aptXの3つ。AACとaptXの両対応というのは、iPhoneユーザー、Androidユーザーの両方にとって歓迎すべきポイントになっているはず。
マイク:Qualcomm cVc対応でテレワークに最適
まさに世の中はテレワーク時代全盛。そこで役立つのが、ハンズフリーヘッドセットとして活用できる、この完全ワイヤレスイヤホンなはず。そうなると、イヤホンのマイク性能も気になるところ。
ZIP20は『Qualcomm cVc 8.0』という、通話時に自分の声をクリアにするソフトウェアテクノロジーが搭載されている。このQualcomm cVc 8.0があることにより、外で通話していると気になるボワボワとした風切り音を電子的にカットし、相手に自分の声がより伝わりやすくしてくれます。
さらにZIP20には、前述したcVcに加えて『Environment Noise Cancellation』という環境ノイズキャンセリング機能も搭載。これにより、通話時の余計な環境音をさらにカットしてくれるので、よりクリアな声を通話相手に届けることができるようになっています。
まさにテレワーク時代のために生まれた完全ワイヤレスイヤホンって感じなんよね!
音質チェック
音質評価:★★★★☆
高音域:★★★☆☆
中音域:★★★★☆
低音域:★★★★☆
※音質評価は販売価格を考慮した相対評価。
ZIP20の音質を端的に言うと、まさにZippoのような暖かみと絶妙なドライさを持ったシック系サウンド、という感じ。
全体の音質の傾向としては、若干高音域が弱めだけど比較的フラット傾向な印象。ダイナミックドライバー搭載機ではあるのですが、ハードで硬質なサウンドというよりはウォームな感じ。分解能や解像感は価格なりといった感じですが、音場感はやや広めな印象を受けた。全体的に空間表現が上手で、包み込むようなサウンドを持っている印象。
意外と…って言ったら怒られそうだけど、見た目だけの完全ワイヤレスイヤホンじゃないって感じなんよね。音質もZippoみたいなコンセプトなのかな!?
高音域は角のないまろやかな音。
疾走感や突き抜けるキレのようなものは感じないが、その代わりに横方向に広がるようなノビを感じるのが、このZIP20の高音域。いわゆるサ行が刺さるような刺激的な音はまったく鳴らず、この高音域をひとことで表すならば“まろやか”と言えるでしょう。
中音域は適度に乾いたボーカルが魅力。
高音域と低音域はウォーム系で暖かい感じがするのですが、ボーカル付近の音域は適度にドライでサラサラとした音を鳴らしてくれます。ウェットで艶っぽく鳴るボーカル域も良きですが、ZIP20のようなドライ系のボーカル域もなかなかに吐息のリアリズムがあって良かったりします。とにかく、ZIP20はボーカル域を鳴らすのが上手ということです。
低音域は暖かみがあってとろけるような感じ。
高音域と低音域は似ている傾向を持っている感じで、どちらもマイルド系で、縦よりも横に広がる音という印象。グっと沈み込むようなパンチ力はなく、フワっと包み込むような鳴りをしています。とにかく低刺激で暖かみがある低音域、それがZIP20の良さでしょう。
ボーカルが主張する感じで、周りの楽器隊が優しく包み込む感じ。だけど、低解像でモヤモヤしたような悪い感じはしない。…っていうのが、このZIP20の音質かも!
ZIP20に合いそうな曲
■こんな楽曲が合いそう!
- 80's系Pop
- ソロボーカル系Pop
- 非インスト系Jazz
ZIP20と一緒に聞いてほしい楽曲の1曲めは、Oasisの『Don't Look Back in Anger』をセレクト。
ひとことで表すと、“ちょうどいい刺激”という感じ。シャキシャキと楽器隊が鳴りつつも、耳が痛くなるような刺激はなくベストな透明度を保っている。ちゃんとボーカルがこちらに向かってくるように直接的に鳴るのも嬉しいところ。
ZIP20と一緒に聞いてほしい楽曲の2曲めは、Nulbarichの『VOICE』をセレクト。
この『VOICE』を聞くと、ZIP20が意外と解像感が高いことに驚く。どちらかといえば、ウォームでニュアンス重視なサウンドを出すZIP20。ところが、カリカリとした歯切れの良いサウンドを鳴らせるポテンシャルもある…という感じ。ZIP20はボーカル中心で聞きたいイヤホンだと思っているのですが、思ったよりもユーティリティ性が高いのかもしれません。
ZIP20と一緒に聞いてほしい楽曲の3曲めは、土岐麻子の『アイ』をセレクト。
シンプルにボーカルを楽しめるという点では、まさにこのZIP20にうってつけ。ボーカルが優しくも芯がある鳴りをしているため、聞きやすくもあり、耳馴染みがあるのが良き。後ろで聞こえるベースの弦のまろやかさも素敵。
ZIP20と一緒に聞いてほしい楽曲の4曲めは、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの『ダイアローグ』をセレクト。
全体的にマイルドに鳴らしつつも、ドラムとエレキギターの分離感が良く、優しく包み込むような音ながら力強さも同時に感じることができる。低音域の主張が強めな曲になるが、ボーカル域の表現が上手なZIP20らしく、しっかりとボーカルを聞き込めるようになっているところが素晴らしい。
ZIP20はボーカルの表現が上手だから、あまりハードな曲は選ばずに、シンプルにボーカルを中心として聞ける曲を選んだほうがより楽しめるかもやね!
ここがすき!
質感を感じる充電ケース
完全ワイヤレスイヤホンの充電ケースといえば、その大半が樹脂素材を採用したチープでプラスチッキーなもの。そんな中に、ここまで質感を大切にした充電ケースがあるのは大変珍しい。まさに、“所有欲”を満たすデザインという感じ。
亜鉛合金製のマットなフルメタルボディが、鈍く妖艶な光を放つところがまた美しい。デザインのアクセントになっているダイヤモンドカットや面取りのフィニッシュも非常に良くできており、ずっと触っていたくなってしまう魅力を持っています。
こだわりを感じる隠しヒンジ
このZIP20のこだわりポイントでもあるヒンジ部分の処理。一般的な完全ワイヤレスイヤホンのヒンジは、外から見るとヒンジ感が丸出しで、どうしてもそのヒンジ処理のせいで一体感というものをスポイルしてしまっている。
その一体感にフォーカスしたのが、今回のZIP20の“隠し”ヒンジ処理。
通常のヒンジとは異なり、ヒンジとして折れ曲がる部分(可動域)をケースの内部に設けることによって、ZIP20では外からヒンジが分からなくなるようにできているのです。そこまでヒンジにこだわらなくても…と思ってしまうところですが、こういう完璧を求める姿勢は素敵だし、これぞ粋という感じだったりするのです。
ヒンジにこだわる思いを聞きたいですわね。
ヒンジ神でもいるのかなー!?
…何それ!?
ここがうーん?
モダンな機能全非搭載
ちょっと残念なのが、せっかくこだわって作っているのだから、完全ワイヤレスイヤホンに求められるモダンな機能(ノイズキャンセリング・ヒアスルー・アプリ・Qiワイヤレス充電)のどれかには対応してほしかったというところ。
Qiワイヤレス充電に関しては、亜鉛合金製の充電ケースとの兼ね合いがあるので、そこに関しては致し方なし。ただ、専用のコンパニオンアプリぐらいは、あってもよかったと感じるのが本音。ZIP20のコンセプトとズレるかもしれないが、アプリがあってイコライザー等で遊べるぐらいのオトナのガジェット感が、もう少しあってもよかったのではと思ってしまう。
まとめ「Zippoを感じるこだわりのサウンドと質感」
そういうわけで、YOBYBO『ZIP20』のレビューを総括すると…
- 亜鉛合金製のケースの質感が素晴らしい
- 隠しヒンジに感じるものづくりへのこだわり
- 安価ながら『Qualcomm TrueWireless Mirroring』対応
- フラット至高でボーカルが美麗な音質もまる
- モダンな機能は1つぐらい欲しかった
という感じ。
亜鉛合金製のフルメタルボディが目を引くが、決してデザインだけじゃない完全ワイヤレスイヤホンに仕上がっているというのが、この『ZIP20』の評価すべきところ。正直、音質に関してはあまり期待していなかったのですが、ボーカル域のドライな感じが絶妙でバランスも良好だったりします。
惜しむらくは、ノイズキャンセリングやヒアスルーに対応していないこと。せっかく見た目も音もこだわっているのだから、もうワンパンチ突き抜ける要素があってもよい気がします。とはいえ、約1万円の完全ワイヤレスイヤホンとしては上手にまとめられており、音のチューニングも良好なので、モダンな機能を求めないなら結構アリな選択肢でしょう。
デザインもサウンドも、Zippoなオトナ感って感じがクールやんね!
おまけ
この隠しヒンジ機構が素晴らしいから、もっと流行ってほしいかも!?
360°全方位で美しいっていいよねー!
着眼点がヒンジというのも、妙なところにこだわるというか…面白いですよね。
…やっぱり、ヒンジ神じゃんっ!
だから、それ何なんよ!!
おわり
所有欲を満たすデザインとTrueWireless Mirroring対応が良い感じ!
モダンな機能が全部非搭載なのが気になる……。
…そんな感じの感想やね!