Qualcomm TrueWireless Mirroringとは?—次世代の左右独立受信方式の幕開け

Qualcomm TrueWireless Mirroringとは?—次世代の左右独立受信方式の幕開け
サイト内の外部リンクはアフィリエイト広告を含む場合があります(詳細はプライバシーポリシーを参照)
記事のポイント
  • Qualcomm TrueWireless Mirroringの仕組みを調べた!
  • TWS Plusよりも確実に使いやすくなっている!
  • デバイス依存の解消&単一Bluetoothアドレス化は最高!

完全ワイヤレスイヤホン新時代の幕開け。

QualcommのBluetooth SoCに新搭載された『Qualcomm TrueWireless Mirroring』という新機能についてお勉強。その特徴や方式、Qualcomm TrueWireless Stereo Plus(TWS Plus)との違いについても調べてみました。

さたえり

TWS PlusがiPhoneでも使えるようになった、っていうイメージやね!

二条ねこ

なぬっ?それは超絶改善では!?

まの

デバイス依存がなくなったわけですわね。

『Qualcomm TrueWireless Mirroring』とは?

Qualcomm TrueWireless Mirroring

■Qualcomm TrueWireless Mirroringの概要

  • Qualcommの完全ワイヤレス向け新技術のこと。
  • いわゆる左右独立受信方式のひとつ。
  • QCC514x/QCC304xシリーズのSoCに搭載。
  • iOS・Androidの両対応になった。
  • 単一Bluetoothアドレスで管理される。
  • Airoha MCSyncっぽくなった。

今回の『Qualcomm TrueWireless Mirroring』を簡単にまとめると、Qualcommの新しいBluetooth用SoCに搭載されている左右独立受信方式テクノロジーのひとつ、という感じです。

左右独立受信方式とは、同じくQualcommの『Qualcomm TrueWireless Stereo Plus(TWS Plus)』に代表される、完全ワイヤレスイヤホンの接続を安定化させるテクノロジーのこと。言ってしまえば、TWS PlusがQualcomm TrueWireless Mirroringに代替わりしたというわけです。

さたえり

これから出てくる完全ワイヤレスイヤホン(QualcommのBluetooth用SoC搭載)も、すべからく TWS Plus → Qualcomm TrueWireless Mirroring に移行されていく感じやね。

二条ねこ

いわば、“新TWS Plus”って感じですなっ!?

接続イメージ図

Qualcomm TrueWireless Mirroring接続イメージ図

Qualcomm TrueWireless Mirroring接続イメージ図

Qualcomm TrueWireless Mirroringを利用したプレーヤー(スマートフォン等)とのBluetooth接続イメージはこんな感じ。

左右どちらかの完全ワイヤレスイヤホン(Aとする)が、プレーヤーとBluetooth接続を行う。そして、もう一方の完全ワイヤレスイヤホン(Bとする)は、プレーヤーと接続しているAとミラーリングを行い接続をする。ちなみに、プレーヤーと直接される側を『マスター』と呼び、ミラーリングする側を『スレーブ』と呼びます。

スワップ(スワッピング・ロールスワップ)のイメージ図

スワップ(スワッピング・ロールスワップ)のイメージ図

このマスターとスレーブの接続は可能な限り、良いほうに入れ替えて接続されるようになっている。このマスター・スレーブ間の入れ替わりを『スワップ(スワッピング・ロールスワップ)』という。このスワップにより、音楽や通話が音途切れせずに楽しめるようになっているわけです。

マスター側のスワップで片側利用も可能。

マスター側のスワップで片側利用も可能。

なお、マスター側の完全ワイヤレスイヤホンを外しても、ミラーリング側の完全ワイヤレスイヤホンが引き継いでマスターになれるようにできています。なので、片側だけでの利用もできるということになります。

さたえり

イメージ的には、同じQualcommのTWS PlusよりもAirohaのMCSyncっぽい感じやと思うんよね。

TWS Plusとの違い

同じくQualcommの左右独立受信方式といえば、『Qualcomm TrueWireless Stereo Plus(TWS Plus)』ですが、そちらとの比較をしてみます。

  Qualcomm TrueWireless Mirroring Qualcomm TrueWireless Stereo Plus
左右独立受信方式
(左右同時伝送方式)
対応デバイス Android
iOS
一部のAndroid
Bluetoothアドレス 単一 複数

TWMとTWS Plusの比較

TWS Plusとの大きな違いは、このテクノロジーを利用するのにハードウェア側(プレーヤー側)の処理に依存する要素があるか否かというものでしょう。

従来のTWS Plusでは、Qualcomm Snapdragon搭載のスマートフォンの“一部”でのみ対応していました。しかも、その特定のSoCが搭載されているからといって、かならずしもTWS Plusに対応しているわけではありませんでした。要するに、TWS Plusに対応するか否かはスマートフォンベンダー次第。なので、TWS Plusというのは、使えたらラッキーくらいにとどまっていました。当然、Snapdragon非搭載のiPhoneは蚊帳の外です。

左:TrueWireless Mirroring・右:TrueWireless Stereo Plus

左:TrueWireless Mirroring・右:TrueWireless Stereo Plus

ところが、今回のQualcomm TrueWireless Mirroringの場合では、ハードウェア側(プレーヤー側)に特別な処理が必要なくなったので、デバイス依存の問題が解消されました。また、TWS Plusのように、Bluetoothペアリング時に“○○L”と“○○R”に分かれて登録されることもなく、Qualcomm TrueWireless Mirroringでは単一のBluetoothアドレスで登録されるようになっています。

二条ねこ

○○Lと○○Rに分かれて登録されるのって、結構邪魔だったもんねー。

さたえり

うちみたいにイヤホンをいっぱい持ってたら……!?

まの

…ペアリング欄がカオスですわね。

対応Bluetooth SoC

QCC514xシリーズ QCC304xシリーズ
QCC5144
QCC5141
QCC3046
QCC3040

Qualcomm TrueWireless Mirroring対応のBluetooth SoC
※2020年10月26日現在。

Qualcomm TrueWireless Mirroringに対応している、QualcommのBluetooth SoCは上表のとおり。

なお、QCC514xシリーズは上位(プレミアム)の位置づけで、QCC304xシリーズは下位(エントリー・ミドル)の位置づけに、それぞれなっています。

まとめ「次世代の左右独立受信方式の幕開け」

まとめ「次世代の左右独立受信方式の幕開け」

最後に、Qualcomm TrueWireless Mirroringについて改めて総括すると…

  • Qualcommの新しい左右独立受信方式
  • マスターとスレーブをロールスワップで入替
  • 単一Bluetoothアドレスとして管理
  • プレーヤーやSoCへの依存がなくなった

というまとめになるはず。

左右独立受信方式も他社を含めるといろいろ。ただ、これからの左右独立受信方式は『Qualcomm TrueWireless Mirroring』と『Airoha MCSync』に絞られてきそうです。

さたえり

WF-1000XM3もMCSync採用みたいなんよね。

この記事で紹介したガジェット

-

おまけ

さたえり

やっと…って感じなんよね。

まの

iPhoneユーザーとしては、待望のテクノロジーですわね。

二条ねこ

これで気兼ねなく完全ワイヤレスイヤホン選びができるあーる。

おわり


■Reference
Qualcomm(1, 2), PHILE WEB