- 見た目こそレガシーだが、中身はフラグシップ級!
- どこか安らぎを与えてくれるデザイン性!
- どうしても価格なりの部分があるのは残念!
廉価版ではない。Special Editionである。
久しぶりに刷新されたiPhone SE、Apple『iPhone SE(第2世代)』をレビュー。見た目はiPhone 8、中身はiPhone 11 Pro。なのに、価格は4万円台。…これこそAppleらしい、愚直なiPhoneだ!?
気合入っていますわね。
“Special Edition”やもんね!
目次
Apple『iPhone SE(第2世代)』って?
iPhone SE(第2世代)ってなに?
4年ぶりに帰ってきた、新型iPhone SEの第2世代。見た目こそiPhone 8と一緒なのだが、基本スペックがiPhone 11 Proと同等な“Special”なiPhone。
- 『A13 Bionic』搭載なのに安価。
- シングルカメラながらポートレートモード対応。
- レガシーな容姿は美しく安心感を感じる。
- トレンドを追わない愚直さ。
- ポートレートモードが使えるのは人物のみ。
- リアカメラの出っ張りは解せぬ。
- Haptic Touchが通知センターで使えない。
頻繁にアップデートしないからこそ愛着が湧く。それが、新型『iPhone SE(第2世代)』であーるっ!
本体チェック
■インターフェース
- ホームボタン(Touch IDセンサー)
iPhone SE(第2世代)のサイズは 67.3×138.4×7.3mm で、重さは148g。生体認証はFace ID(顔認証)ではなく、Touch ID(指紋認証)を採用。
なお、カラーバリエーションは3色(ブラック・ホワイト・(PRODUCT)RED)展開。
ねこちゃんは『ブラック』の128GBを購入したあーるっ!(人生初ブラック!)
iPhone 8とソックリな外観のiPhone SE(第2世代)ですが、裏面の“Appleマーク”はSEでは中央に移動(8は上部)しています。
■インターフェース
- Lightning
iPhone SE(第2世代)の側面は、iPhone 11と同じくアルミニウム製。そして、おなじみの『Lightning』ポートが採用されています。
見てのとおり、iPhone SE(第1世代)には搭載されていたイヤホンジャック(ステレオミニジャック)は、残念ながらありません。ここはiPhone 8と一緒。おそらく、Appleはイヤホンジャックを復活させることはないでしょう。
頑なにUSB Type-CにしないiPhoneちゃん……。
■インターフェース
- サウンドスイッチ
- ボリュームボタン
左側面には、もはや語る必要もない、おなじみボタン群が。
■インターフェース
- サイドボタン
- nanoSIMスロット
右側面も同じくおなじみのボタンが配されています。
iPhone SE(第2世代)のSIMカードのサイズは『nanoSIM』なのですが、これとは別に『eSIM』にも対応(DSDSも対応)しています。iPhone 8では対応していなかったので、これは2020年らしいSEの密かなアップデート。
付属品チェック
■iPhone SE(第2世代)の付属品一覧
- EarPods with Lightning Connector
- Lightning to USB Cable(1m)
- Apple 5W USB Power Adapter
- クイックスタートガイド
iPhone SE(第2世代)の付属品は、いつものiPhoneの付属品という感じ。そろそろパッケージングに変化が欲しくなってくる今日このごろ。
付属しているLightningケーブルは『Lightning to USB Cable(1m)』で、USB Type-A to Lightningケーブル。下位モデルだから、Type-Cじゃないのね。
流れ的に当然、USB充電器も『Apple 5W USB Power Adapter』という、USB Type-Aから電源供給を行う仕様のもの。
USB Type-Cの付属品だったら嬉しかったんだけどなー。やむなしっ!
注目ポイント
■iPhone SE(第2世代)のポイント概要
- Apple A13 Bionic:小型ボディーに最速のチップ
- カメラ:シングルだけどポートレートモード対応
- 防水防塵:IP67等級だから水深1mで30分耐える
Apple A13 Bionic:小型ボディーに最速のチップ
iPhone SE(第2世代)が決して“廉価版”iPhoneではない理由。それが、搭載されているSoCが、iPhone 11 Proと同じ『Apple A13 Bionic』ということ。
iPhone SE (第2世代) |
iPhone 8 | iPhone SE (第1世代) |
||
SoC | チップセット | A13 Bionic | A11 Bionic | Apple A9 |
Neural Engine | 第3世代Neural Engine | Neural Engine | - | |
コア数 | 6コア | 6コア | 2コア | |
クロック周波数 | 2.65GHz(2コア) 1.8GHz(4コア) |
2.39GHz | 1.85GHz |
iPhone SE(第2世代)・iPhone 8・iPhone SE(第1世代)のSoC比較。
ベンチマークの結果は後で掲載するとして、さすがはフラグシップモデルにも搭載されているApple A13 Bionic。動作に何も不安も不満もない。これなら、ゲームや画像編集もバッチリ。
iPhone 11 Proが10万円オーバーということを考えると、半値以下で購入できるiPhone SE(第2世代)のコストパフォーマンスの良さといったら…。もちろん、SoCだけがスマートフォンのスペックではないにしても、フラグシップモデルと同等のSoCというのは、かなり価値のあるスペックだと言える。
カメラ:シングルだけどポートレートモード対応
iPhone SE(2nd Gen)は、iPhone 8のデザインを踏襲しているしていることからも分かるように、リアカメラはシングルカメラ構成。
iPhone SE (第2世代) |
iPhone 8 | iPhone SE (第1世代) |
||
リアカメラ | 有効画素数 | 12MP | 12MP | 12MP |
F値 | f/1.8 | f/1.8 | f/2.2 | |
機能 | 光学式手ぶれ補正 最大5倍のデジタルズーム True Toneフラッシュとスローシンクロ ポートレートモード ポートレートライティング スマートHDR |
光学式手ぶれ補正 最大5倍のデジタルズーム True Toneフラッシュとスローシンクロ 自動HDR |
最大5倍のデジタルズーム True Toneフラッシュ HDR |
|
フロントカメラ | 有効画素数 | 7MP | 7MP | 1.2MP |
F値 | f/2.2 | f/2.2 | f/2.4 | |
機能 | Retina Flash 自動HDR ポートレートモード ポートレートライティング |
Retina Flash 自動HDR |
Retina Flash HDR |
iPhone SE(第2世代)・iPhone 8・iPhone SE(第1世代)のカメラ性能比較。
iPhone 8からパワーアップされた点としては、『ポートレートモード』と『ポートレートライティング』という2つのポートレートに関する機能強化と、HDR撮影が『スマートHDR』になったという2つ。
iPhone SE(第2世代)のリアカメラはシングルカメラながら、『深度コントロール』に対応しており、簡単にボケ味のある写真が撮影可能に。ちなみに、深度コントロール機能はフロントカメラでも利用可能。これで、誰でも簡単にクリエイターっぽく写真が撮れちゃうわけです。
そういうわけで、iPhone 11 Proと比較した作例をいくつかどぞー!
COVID-19の関係で、屋内撮影のしょぼい写真しか撮れず申し訳ないのですが、どうでしょうか。
Web上だと分かりづらい面がありますが、実際に撮影してみると、iPhone 11 Proのほうが明らかに全体的な画質は上。特に、iPhone SE(第2世代)は高感度に弱い印象を受けました。室内だと、ちょっとノイジーで微妙。
普通に撮影したものを、iPhone内の『写真』アプリでモノクロームに加工した写真がこちら。
うーん、同じ条件で撮影して加工をしているのに、この差はなかなかに厳しいものがあります。なんというか、iPhone SE(第2世代)の写真は、一昔前のスマホカメラっぽい。確かにカメラ機能は充実したけれど、ここをアテにして購入するスマホではないかもしれません。
防水防塵:IP67等級だから水深1mで30分耐える
もはや、iPhoneではおなじみとなった防水性能。もちろん、iPhone SE(第2世代)もIP67等級の防水防塵性能を持っている。
意図的に濡らそうとは思わないのですが、本体が汚れてしまったときに、水でサッと洗えるのは嬉しいところ。あ、もちろん洗剤とかは使わないように。あくまで水洗いです。
ベンチマーク
SoC
Geekbench 5
Single-Core Score | Multi-Core Score |
1,339 | 2,645 |
Geekbench 5でのSoCスコア。
Antutu Benchmark
CPU |
120,194 |
Antutu BenchmarkでのSoCスコア。
GPU
Antutu Benchmark
GPU |
162,153 |
Antutu BenchmarkでのGPUスコア。
RAM
Antutu Benchmark
MEM |
63,230 |
Antutu BenchmarkでのRAMスコア。
ここがすき!
Wi-Fi 6対応
個人的にかなり嬉しいポイントなのが、ちゃんと次世代のWi-Fi規格である『Wi-Fi 6』に対応してくれているところ。
Linksys『Velop AX MX5300』ユーザー的には、かなり嬉しいアップデートあーるっ!
iPhone SE (第2世代) |
iPhone 8 |
Wi-Fi 6 | Wi-Fi 5 |
iPhone SE(第2世代)・iPhone 8のWi-Fi性能。
iPhone 8ではWi-Fi 5(IEEE 802.11ac)止まりだったので、Wi-Fiマニアの私にとっては、狂喜乱舞したくなるくらいのアップデートになってくれています。
もちろん、Wi-Fi 6に対応したからといって、劇的にWi-Fi速度が速くなるなんてことはありません。ただ、Wi-Fi 6での通信では、デバイスのバッテリー消費を減らすことが期待できるので、マクロで見ると電池持ちに寄与してくれるわけなのです。うーん、やっぱりWi-Fi 6はいいね。
eSIMとDSDS対応
これも地味に嬉しいポイントなのですが、iPhone SE(第2世代)は『eSIM』に対応しています。しかも、nanoSIMとのDSDS仕様。これもiPhone 8にはなかった大きなアップデート。
iPhone SE (第2世代) |
iPhone 8 |
nanoSIM eSIM |
nanoSIM |
iPhone SE(第2世代)・iPhone 8の対応SIM。
まだまだ日本では、eSIMの活躍の場がコンシューマーではないのですが、これから確実に利用されていくはず。すでに、iPhone 11 ProでeSIM(IIJmio)を使ってDSDSを実現している私としては、こっちもDSDSにするか悩むくらい。
IIJmioと楽天モバイルくらいしか、まだeSIMがコンシューマーに提供されていないのがもったいないところ。だからといって、iPhone SE(第2世代)がnanoSIMのみの対応だったら、評価は低いものになっていたはず。それくらいeSIM対応というのは大きいのです。
不変的なiPhoneらしさ
一部では、4インチじゃなかったiPhone SE(第2世代)にガッカリ…という声もありますが、実際に使ってみると、4.7インチのiPhone SEというのも愛おしいもの。
中のスペックはしっかりと最新のチップを搭載しながらも、“贅”な部分はサックリと削ぎ落とす…。これこそ、iPhoneらしいiPhoneなはず。いわば、圧倒的スタンダードというような、不変的なiPhoneらしさが、iPhone SE(第2世代)にはあると思うのです。
マルチカメラではなかったり、ベゼルレスディスプレイでなかったり。…これは見方を変えれば、トレンドを追わない質実剛健とした姿勢。毎年デザインが変化(良くも悪くも)していくiPhoneの中で、不変的なiPhoneのアイコンというものが、このiPhone SE(第2世代)なのです。
ここがうーん?
カメラの出っ張り
到着早々、気に入っているiPhone SE(第2世代)なのですが、どうしても解せないこと。それが相変わらずの“カメラの出っ張り”。
ケースを装着するのだからこれでもよい。その理屈も分からなくないが、せっかくシンプルを極めようとしているiPhone SEなのに、このカメラの出っ張りがそのシンプルさを崩している気もしなくもない。
だからといってカメラ性能を極端に落とすのも歓迎されないが、ぜひ次期iPhone SEでは、ペリスコープ構造などを採用して、このカメラの出っ張りをツライチにしてほしいところ。
ポートレートモードが限定的
ちょっと残念だったのが、iPhone SE(第2世代)のポートレートモードは、人物のときにしか使えないということ。つまり、物撮りではポートレートモードは使えません。
上画像を見てもらうと分かるように、
- iPhone SE(第2世代):誰も検出されませんでした
- iPhone 11 Pro:被写体をステージ照明内に配置してください
と、ポートレートモードが利用できない場合のアラームの表示が異なっています。
なので、ポートレートモードの『ステージ照明』機能を物撮りで使おうとすると、こんな感じで、iPhone SE(第2世代)ではうんともすんとも言ってくれません。普通に撮影できるだけ。
もちろん、ポートレートや自撮りをメインでするユーザーなら嬉しいかもしれませんが、物撮りや風景写真メインの私にとってはガッカリ機能。
まとめ「iPhone “9”でなく、Special Editionである」
今回のApple『iPhone SE(第2世代)』のレビューを総括すると…
- 見た目こそiPhone 8だが、中身はまるで違う
- SoCはiPhone 11 Proと同じ『A13 Bionic』
- Wi-Fi 6対応・eSIM対応が嬉しい
- カメラはやはり出っ張っている
- ポートレートは本当にポートレートでしか使えない
という感じですなの。
カメラの出っ張りは…さておき、iPhone 9ではなくて、iPhone SEな理由が何だか分かるような気がします。だって、全然廉価版じゃない。スペックは最上級だし、デザインだってAppleらしいアイコン。だから、“Special Edition”なのです。
何年も使うiPhoneになってくれる予感っ!
おまけ
ちょっとシコリは残るけど、完成度自体は高いと思うっ!
カメラ性能は少し残念でしたわね。
本当に人物撮影専用なポートレートモードって感じやね。
ですなー。
画質も同価格帯のAndroidスマホでもっと写りが良い機種も多いし、カメラ目的で購入するのはちょい待ちかもだねー。
おわり
廉価版iPhoneじゃない!
特別のiPhoneなのであーるっ!