ネットワーク網年表—通信自由化〜光回線とインフラ〜楽天参入〜新時代へ

ネットワーク網年表—通信自由化〜光回線とインフラ〜楽天参入〜新時代へ
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記事のポイント
  • 日本のネットワークの歴史を振り返る!
  • 光回線とインフラには深い関係があった!
  • ネットワークを制する者はインフラを制す!

歴史を見ればすべてが分かる!?

固定回線と携帯回線の理解を深めるため、1985年の『通信自由化』から現在までのネットワーク網の年表を作りました。そこで分かった、なぜ光ファイバーが複数あるのか、どうしてそうなったのか…そんなお話。

まの

記事内では出てきませんが、京セラの稲盛和夫氏がどれだけ偉大かも分かりましたわ。

二条ねこ

さすがは京セラ・KDDI・JALの支配者っ!

まの

変な言い方しないでください!

ネットワーク網年表

ネットワーク網年表

ネットワークの歴史…それはインフラの歴史。

■主な登場人物

  • 電電公社:のちのNTT
  • 国際電電(KDD):のちのKDDI
  • 第二電電(DDI):のちのKDDI
  • 日本高速通信(TWJ):のちのKDDI
  • 日本テレコム(JT):のちのSoftBank
  • Vodafone:のちのSoftBank
  • NTT
  • KDDI
  • SoftBank
  • 楽天モバイル(楽天)

ということで、上画像は日本におけるネットワーク網の歴史を示した年表です。これを作っていくうち(3時間かかった)に、興味深いことが分かってきました。今回はそんなお話です。

二条ねこ

NTT以外はカオスなことになってるねー。

さたえり

合併&買収やね…。

なお、固定回線と携帯回線に関係する主な会社のみピックアップしています。なので、本来はもっと多くの会社がネットワークには絡んでいたりします。そこは各自で調べてみてください。

気になる3つの関係

ネットワーク網の年表を作って分かった3種類の関係について、これから考察してきたいと思います。

二条ねこ

かん…!?

さたえり

けい…!?

【1】NTTとKDDの関係

【1】NTTとKDDの関係

NTTの前身である『日本電信電話公社』(通称、電電公社)。これについては名前を聞いたことがある人も多いはず。
対して、KDDIの前身(のひとつ)は『国際電信電話株式会社(KDD)』(通称、国際電電)という名前。実は、このKDDは電電公社から1953年に分離独立した電話会社なのです。

まの

つまり、おおもとを辿ると、NTTもKDDIも一緒だったということですわね。

二条ねこ

ほっかほっか亭とほっともっと、餃子の王将と大阪王将、アディダスとプーマみたいだねー!

さたえり

ねこさん。それ、全部揉めたやつやん……。

【2】サブブランドの関係

【2】サブブランドの関係

昨今ではMVNO、つまり格安スマホが台頭してきています。
その中でもUQ mobileやY!mobileは、MVNOでもなければMVOでもない(Y!mobileがMVNOと言われれば微妙ですが)という『サブブランド』という位置づけです。

auはUQ mobile、
SoftBankはY!mobile。

そんな親子関係があったりします。

まの

SoftBankには、さらに『LINEモバイル』という“孫関係”までいますわ。

さたえり

うーん…ややこしい!

【3】楽天モバイルと基地局の関係

【3】楽天モバイルと基地局の関係

まもなく“第4のキャリア”として登場する、『楽天モバイル』。
現時点ではMVNOとMVOという感じですが、いずれはMNOとして独自で運営するはず。のですが、…いろいろとトラブルはあるようで。

個人的に気になるのが、MVOになるための基地局設置問題
どうやら、当初の予定としては東名阪に関しては自前の通信網で、それ以外に関してはKDDIの通信網の回線を有償借用してスタートしていくそう。ただ、インフラを持っていない楽天の状況を考えると、自前通信網を全国に広げるのは大変な予感がします。

まの

SoftBankは買収でやってのけましたが、楽天はどうするか…ですわね。

3大キャリアとインフラ

こうやって調べていくと、改めて通信回線が強力なインフラであることが分かってきます。

NTTはともかく、KDDIやSoftBankがどうやって通信網を全国に広げていったか。そこには電話回線以外のインフラ事情が見え隠れしてくるわけです。

  • NTT:電話回線系光ファイバーインフラ
  • KDDI:高速道路系光ファイバーインフラ
  • SoftBank:鉄道網系光ファイバーインフラ

結論からすると、NTT・KDDI・SoftBankとも、各社それぞれに通信網の光ファイバーインフラを所有しているのです。

NTTは電話回線の事業者なので、旧電電公社から継承したいわゆる電話回線のインフラを光ファイバーインフラとしています。
KDDIは、旧TWJ(日本高速通信)が高速道路の路線沿いに敷設した光ファイバーインフラを持っています。
SoftBankは、旧JT(日本テレコム)が国鉄時代の連絡用ネットワークを光ファイバーインフラとしているのです。

とどのつまり、光ファイバーインフラを全国津々浦々に広げるためには、既存のインフラにどうやって乗っけて敷設するか、ということが重要だったわけです。でないと、ここまで全国に行き届かなかったでしょう。

だからこそ、eo光のような電力会社も自前で光回線を敷設しているということに合点がいくわけです。逆に言ってしまうと、既存のインフラを持っていないと、光ファイバーインフラ事業競争の土俵にすら上がれないというわけです。

だからこそ、楽天の行方が気になったりするわけですが…。とはいえ、楽天は固定回線ではなく携帯回線なので、ハードルに関してはもっと低いはずですが。

固定回線と携帯回線の概要

歴史を知ると、どうして通信事業に参入してくるかの理由が分かります。それは、“通信を制するとインフラ制す”とでも言いましょうか。なので、最後に固定回線と携帯回線のインフラ事業者についてまとめておきます。

固定回線

  • NTT系:フレッツ光・光コラボ
  • KDDI系:auひかり
  • 鉄道網系:(鉄道会社の通信網)
  • 電力会社系:eo光

固定回線、つまり光回線については、上記の4種類がある。
プロバイダーが複数あるので、さまざまな光回線があるように思えるのだが、ネットワーク年表で示したとおり、4種類の光ファイバーインフラしかない。

何も考えずに固定の光回線を契約すると、それはおそらく、NTTの光回線になっているはず。auひかりなら、それはKDDI系の回線ということ。
電力会社系に関しては、徐々にau系列になっているので、電力会社系の光回線を契約したからといって、それが電力会社の光ファイバーインフラということにはならない模様。ただ、関西電力系列のOPT系列のが運営している『eo光』に関しては、独自の通信網で行っているそう。

なお、NURO光は10Gbpsの通信速度が出ること、別途工事が必要なこと、それらから独自回線に思えるが、こちらはNTT系の光ファイバーインフラを使っている。
NURO光とその他NTT系の光回線の差異は、NGNを経由しない独自の仕様になっていること。要するに、光ファイバーこそNTTだが、それ以外はNUROが独自で行っている。なので、NUROが独自回線と呼ばれるというわけです。

携帯回線

  • NTTドコモ
  • au
  • SoftBank
  • 楽天モバイル

携帯回線に関しては周知の事実だと思うので、そこまで深くは言及しません。あとはネットワーク年表どおりです。

楽天モバイルは前述のとおり、東名阪とそれ以外で通信が変わってくる模様。とはいえ、そもそもMNOとしての事業が現時点では分かりかねる自体なので、なんとも…な部分が多いです。

まとめ「ネットワーク網は既存インフラを密接に関係している」

まとめ「ネットワーク網は既存インフラを密接に関係している」

今回、日本のネットワーク事情を知りたかったので、ネットワーク年表なるものを作ったわけですが、そこから見えてきたのはインフラとしてのネットワーク網ということ。

光ファイバーが、NTT・KDDI・鉄道網系(SoftBank)・電力会社系に分かれているのも、携帯回線が4社になったのも、インフラと密接に関係してきた歴史の結果ということになりそうです。

まの

ネットワーク事業というのは、資本力だけではできないということですわ。

私的MNOとMVNOのメリット・デメリット再考と選び方

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2020年9月29日
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おまけ

まの

昨今の電力自由化もそうですが、インフラ事業というのは、ものすごいパワーバランスの上で成り立っている気がします。

二条ねこ

電力自由化も通信自由化もMVNOも、どーれも“アンコ”はインフラ屋のものだからねー。

まの

そこなのですよね。
それくらいネットワークというのは、大きなインフラになったということですわ。

さたえり

うーん、ネットワークも歴史なんやね。

おわり