どっちが正解なの?
今年最大のTech系ニュースといえば、中国HuaweiのCFOが逮捕されたことでしょう。要するに、“情報機器の安全性”が問われた1年でしたが、一連の問題を振り返りつつ、私たちはどうすればよいかを考えます。
目次
一連の問題のおさらい
Huawei関連の問題は、今回の孟晩舟CFO逮捕以前にも起こっています。なので、私調べではありますが、今までの一連の問題について振り返りたいと思います。
2018年2月:上院情報委員会が警告
これ以前にも、Huaweiとアメリカ政府との“確執”のようなものが存在するようだが、大きな問題の“起点”となったのは、今年の2月からでしょう。
2018年2月に米国のFBI・CIA・NSAを含む情報機関トップ6人が、上院情報委員会で中国のHuawei・ZTE製品について、「アメリカ市民はこの2社のサービス・製品を使うべきではない」と証言した。
これについてHuawei側は、当然反発し、アメリカ政府を非難。多くの国で販売されている実績と信頼性を強調し、この上院情報委員会での発言に対し反論をした。
2018年8月:政府内でHuawei機器使用禁止に
2018年8月に、ドナルド・トランプ米大統領が国防権限法にサインし、Huawei・ZTEの米政府機関での使用を禁止することになった。この新法は、2年以内に施行されるそうです。
4月に米国がZTEへ部品の輸出を禁止していたのだが、これによってより厳しい“締め出し”を、アメリカ政府が行ったことになりました。
2018年12月:HuaweiのCFOがカナダて逮捕
そして、2018年12月に、カナダのバンクーバーでHuaweiのCFOである孟晩舟氏が逮捕されました。逮捕の要因は“詐欺”のようです。
この逮捕により中国国内では、カナダグースやApple製品の不買運動にまで発展。この問題との関連性については不明だが、元カナダ外交官のマイケル・コブリグ氏を拘束する問題も起きた。
Huaweiについて
少し横道に逸れますが、Huaweiについて改めておさらい。
Huaweiは中国の企業で、調査会社のIDCによると、2018年Q2(4月〜6月)のグローバル市場でのシェアはなんと“2位”(1位はSamsung)です。
日本ではApple一強なので、世界のそれとは異なりますが、それでもSonyを抜いて国内シェア3位に躍り出ています。
最近では、ネット通販だけでなく、ヨドバシカメラなどの大型家電量販店でも大きなスペースを取って販売していることからも、同社の日本市場への“本気度”を伺い知ることができます。
中国政府とHuaweiの関係性
そして、今回のニュースや問題と深く関わってくるであろうことが、Huaweiと中国政府との関係性です。
HuaweiのCEOである任正非氏は、人民解放軍(中国共産党が指導する中国の軍隊)出身です。12月にカナダで逮捕された孟晩舟氏の父親にあたります。
こういう成り立ちがあれば、中国政府とHuaweiの関係性がないとは言い切れませんし、アメリカ政府が警戒しているのも分かってくると思います。
アメリカ政府の見解
Huawei製品に対するアメリカ政府の見解は、
「Huawei製品は使うな」
です。
今年だけでもHuaweiとアメリカ政府はとことん揉めに揉めているので、当然といえば当然でしょう。
孟晩舟氏が逮捕されたくらいから一気に問題が加速し、多くの中国企業はHuawei製品の購入をサポートしたりもしているようです。
要するに、いち企業とアメリカ政府の揉め事ではなく、米中両政府のITによる“摩擦”に発展しているとも言えるのではないでしょうか。
おそらく、ファイブアイズ(UKUSA協定)の国々へ問題が発展していくと思われます。カナダでの逮捕も、それに関係しているかも知れません。
日本政府の見解
Huawei製品に対する日本政府の見解は、
「事実上Huawei製品を排除する」
です。
報道によると、日本政府がHuaweiとZTEの製品を、政府調達から排除する仕組みを検討しているとのこと。5Gの基地局が——と言われていた問題も、これに関係しているということです。
個人的な見解
ここからは、報道を踏まえた個人的な見解をしていきます。
結局のところ、中国 vs 米国な構図だと思うのですが、本当に報道にあった“余計なもの”があったかどうかは、正直分かりかねる部分があると思います。
こちらのレポートによると、渦中の“余計なもの”については無いとの判断もあり、ますます真意は定かでない感じです。
ただ、この問題で“日本国民の情報に対する危機意識”は、少なくとも向上したと思うので、そういう意味では一連の問題から考えるべきものがあると思います。
ITに疎い人でも、考えることが多くなったと思います。
この問題にしろ、PayPayの不正利用やFacebookの問題にしろ、情報に対する危機管理や意識が向上したのではないかと思います。
Huawei製品は魅力的なものが多いですが、この問題で真意はどうであれ、手が出しづらくなったのは事実。
日本メーカーが安全…とは言い切れないですが、気がついてみれば、スマホ市場で残っている世界と戦える純粋な日本メーカーと言えそうなのが『Sony』しかないのも、ある意味問題なのかも知れませんね。
総評:情報管理の意識を持つべき
今回のHuawei問題は、いろいろな政治的なことが絡んでいると思うので、結論が出るまでは“静観”するのがベストかと思います。
ただ、真意はどうであれ、Huawei製品を買いづらいとは思うので、少しでも気になる人は別のメーカーを購入してもよいと思います。
そして、その上でスマホにしてもアプリにしても、情報を管理する意識を高めたほうがよいでしょう。
とにかく、結論が出るのを待ちましょう。
おまけ
だから、結果が出るまでは、安易にHuawei製品を批判するもの良くないと思ってしまいます。好き嫌いは別として。
おわり
Source:TechCrunch(1, 2), ダイヤモンド・オンライン, BCN+R