- iMac 5K(2020)とMac mini(2020)を同条件でねっとり比較!
- iMac 5K(2020)とiMac 5K(2019)もばっちり比較!
- 今年のiMac 5Kは吊るしもあり!CTOでフルスペックもありあり!
どっちのMacショー in 2020。
デスクトップMac導入にあたり、iMac Retina 5K(2020)とMac mini(2020)を、“デザイン・開発・写真編集”という視点で、同等の構成と設備を揃えた場合のスペックと価格を比較してみました。…果たして!?
2020年モデル同士の比較ですわね。
…あれ、デジャブ!?
目次
序章:本記事の目的と前回のおさらい
本記事の目的
- 仕事(デザイン・開発・写真編集)で使う、デスクトップMacを選定する。
- 上記を大前提とした、iMac Retina 5KとMac miniの比較を行う。
本記事の目的は上記のとおりで、デザイナーが仕事用に買うデスクトップMacの最適解を探そう、というものです。
前回のおさらい
想定している読者やMacの利用用途などについては、以前の記事で話しているので、そちらを参考にしてください。
■以前の記事の比較対象
- iMac Retina 5K:2019年モデル
- Mac mini:2020年モデル
■今回の記事の比較対象
- iMac Retina 5K:2020年モデル
- Mac mini:2020年モデル
とはいえ、補足的に話しておくと、以前の記事では、iMac Retina 5Kが2019年モデルだったので、ある意味アンフェアな比較でした。それが今回、新型のiMac Retina 5Kの登場で、iMac Retina 5K・Mac miniの両機種ともに2020年モデルで比較できるようになりました。
ただ、同じようなことを話しても面白くないので、できるだけ重複するネタは避けています。つまり、少し切り口は変えてます。なので、以前の記事も合わせてご覧ください。
お願いなのであーるっ!
前提条件と注目ポイント
■前提条件
- 両Macで合わせられるスペックは合わせる。
- Mac miniはモニター・eGPU・マウス・キーボードも用意する。
- Mac ProやiMac Proよりも予算を抑える。
- 最上位の吊るしモデルも考慮するが原則CTOモデル。
iMac Retina 5K(2020)とMac mini(2020)を、ただ単にスペック比較しても無意味なので、上記のような前提条件を設けています。
可能な限り、両Macのスペックは合わせます。Mac miniは、モニター・eGPU・マウス・キーボードも別途用意。2020年モデルのiMac Retina 5Kのストレージが、最初からSSDになったので、吊るしモデル(最上位)も検討材料に入れています。また、価格はMac ProやiMac Proよりも抑えて、40万円〜45万円程度を想定。
■注目ポイント
- 吊るしモデルの購入はアリなのか。
- eGPU導入前提の場合はどちらを選ぶべきか。
- ディスプレイの色域をどこまで配慮するか。
今回、特に注目しておきたいポイントは、上記の3点。
デザイン・開発・写真編集という業務で利用するにあたり、“eGPU導入”と“ディスプレイの色域”という事項については要注目。また、導入しやすい吊るしモデルの購入はアリなのかも、同時並行的に考えていきます。
これで前フリは終了あーるっ!
相変わらず、長い前フリですわね……。
第1章:新旧iMac Retina 5K比較
第1章では、2020年モデルのiMac Retina 5K登場にあたり、
iMac Retina 5K(2020) vs iMac Retina 5K(2019)
の新旧比較を行います。
2019年モデルから、どう進化したのかをチェックであーる!
【比較1】CPU
まずは、iMac Retina 5K(2020)とiMac Retina 5K(2019)のCPUを比較していきます。なお、比較対象のCPUに関しては、吊るしモデルの最上位・CTOモデルの最上位という2機種ずつ(合計4機種)で比較を行っていきます。
新旧iMac 5KのCPUスペック比較
iMac Retina 5K (2020) |
iMac Retina 5K (2019) |
|||
吊るし上位モデル | CTO上位モデル | 吊るし上位モデル | CTO上位モデル | |
モデル | Intel Core i7-10700K | Intel Core i9-10910 | Intel Core i5-9600K | Intel Core i9-9900K |
コア/スレッド | 8/16 | 10/20 | 6/6 | 8/16 |
クロック周波数 | 3.80GHz (TB:5.00GHz) |
3.60GHz (TB:5.00GHz) |
3.70GHz (TB:4.60GHz) |
3.60GHz (TB:5.00GHz) |
L3キャッシュ | 16MB | 20MB | 9MB | 16MB |
TDP | 125W (cTDP:95W) |
125W (cTDP:95W) |
95W | 95W |
iGPU | Intel UHD Graphics 630 | Intel UHD Graphics 630 | Intel UHD Graphics 630 | Intel UHD Graphics 630 |
iMac Retina 5K(2020)とiMac Retina 5K(2019)のCPU比較表
iMac Retina 5K(2020)とiMac Retina 5K(2019)、それぞれの吊るしモデル・CTOモデルの最上位に搭載しているCPUは上表のとおり。
大きな違いは、やはりCPUの世代。2019年モデルでは、第9世代Intel Coreプロセッサーでした。しかし、2020年モデルでは、第10世代Intel Coreプロセッサーに代替わりしています。なので、それに伴ったコア数・クロック周波数などの変化があります。ただ、上表のとおり、iGPU(CPU内蔵GPU)に関しては、どのCPUにおいても『Intel UHD Graphics 630』なので、iGPUに関してはスペックシート上は差異のないものになっています。
デスクトップMacだし、iGPUは気にしない方向でっ!
新旧iMac 5KのCPUベンチマーク比較
iMac Retina 5K (2020) |
iMac Retina 5K (2019) |
|||
吊るし上位モデル | CTO上位モデル | 吊るし上位モデル | CTO上位モデル | |
Intel Core i7-10700K | Intel Core i9-10910 | Intel Core i5-9600K | Intel Core i9-9900K | |
Single | 1,276 | 1,277 | 1,132 | 1,218 |
Multi | 7,685 | 9,802 | 5,241 | 7,931 |
iMac Retina 5K(2020)とiMac Retina 5K(2019)のCPUベンチマーク比較表
iMac Retina 5K(2020)とiMac Retina 5K(2019)のCPUベンチマークスコアを、シングルコア・マルチコアに分けて上表にまとめてみました。なお、CPUスコアはGeekbench Browserに掲載されている結果を、平均化して再計算したものです。
どのiMac Retina 5Kにおいても、シングルコアの場合はそこまでベンチマークスコアに差異が生じないという結果に。なので、マルチコアに最適化されていないソースコード記述のアプリケーションでは、そこまで動作に変化がないかもしれません。しかし、マルチコアのスコアはかなり変わってきます。上表のとおり、マルチコアやマルチスレッドという観点では、2019年モデルよりも2020年モデルは、より高速化されたと捉えてよいでしょう。
■CPU比較結果
i9(2020) > i9(2019) ≧ i7(2020) > i5(2019)
【比較2】dGPU
続いて、iMac Retina 5K(2020)とiMac Retina 5K(2019)のdGPUを比較していきます。なお、比較対象のdGPUに関しては、CPUと同じく、吊るしモデルの最上位・CTOモデルの最上位で比較を行っています。
新旧iMac 5KのdGPUスペック比較
iMac Retina 5K (2020) |
iMac Retina 5K (2019) |
|||
吊るし上位モデル | CTO上位モデル | 吊るし上位モデル | CTO上位モデル | |
モデル | AMD Radeon Pro 5500 XT | AMD Radeon Pro 5700 XT | AMD Radeon Pro 580X | AMD Radeon Pro Vega 48 |
Graphics Processor | Navi 14 | Navi 10 | Polaris 20 | Vega 10 |
Streaming Processor | 1,536 | 2,560 | 2,304 | 3,072 |
TMU | 96 | 160 | 144 | 192 |
ROP | 32 | 64 | 32 | 64 |
クロック周波数 (Base Clock) |
1,187MHz | 1,243MHz | 1,100MHz | 1,200MHz |
ビデオメモリ | 8GB (GDDR6) |
16GB (GDDR6) |
8GB (GDDR5) |
8GB (HBM2) |
メモリインターフェース | 128bit | 256bit | 256bit | 2048bit |
TDP | 125W | 130W | 150W | ? |
iMac Retina 5K(2020)とiMac Retina 5K(2019)のdGPU比較表
iMac Retina 5K(2020)とiMac Retina 5K(2019)、それぞれの吊るしモデル・CTOモデルの最上位に搭載しているdGPUは上表のとおり。
現行のMacでは、AMD製GPUしか搭載できない(eGPU含め)ので、かなり選択肢が少ないのですが、2020年のCTO最上位モデルでは、現行のRadeonではかなり上位の『AMD Radeon Pro 5700 XT』を搭載できるようになっています。ここが新旧iMac Retina 5KやMac mini(2020)を比較する上でのキモになってくるはず。
AMD Radeon Pro 5700 XT…むむっ!?
新旧iMac 5KのdGPUベンチマーク比較
iMac Retina 5K (2020) |
iMac Retina 5K (2019) |
|||
吊るし上位モデル | CTO上位モデル | 吊るし上位モデル | CTO上位モデル | |
AMD Radeon Pro 5500 XT | AMD Radeon Pro 5700 XT | AMD Radeon Pro 580X | AMD Radeon Pro Vega 48 | |
Metal | 38,034 | 68,439 | 42,327 | 49,595 |
OpenCL | 41,003 | 59,267 | 40,932 | 51,696 |
iMac Retina 5K(2020)とiMac Retina 5K(2019)のdGPUベンチマーク比較表
iMac Retina 5K(2020)とiMac Retina 5K(2019)のdGPUベンチマークスコアを、グラフィックAPI別(Metal・OpenCL)に分けて上表にまとめてみました。なお、dGPUスコアはGeekbench Browser(Metal・OpenCL)を参考にしています。
Macの場合、Metal APIを軸にして、ベンチマークスコアを比較していくことになります。そうすると、やはり2020年CTO最上位モデルに搭載可能な『AMD Radeon Pro 5700 XT』の凄さが際立っています。それに対して、2020年吊るし最上位モデルの『Radeon Pro 5500 XT』は、期待していたよりもスコアが伸び悩んでいました。eGPUでグラフィックボードを外付けする選択肢もありますが、この点についてはよーく注視しておくべきかも。
■dGPU比較結果
Pro 5700 XT(2020) > Pro Vega 48(2019) > Pro 580X(2019) > Pro 5500 XT(2020)
【比較3】ROM(ストレージ)
iMac Retina 5K (2020) |
iMac Retina 5K (2019) |
|||
吊るし上位モデル | CTO上位モデル | 吊るし上位モデル | CTO上位モデル | |
ROM | 512GB(SSD) | 8TB(SSD) | 2TB Fusion Drive(SSHD) | 2TB(SSD) |
iMac Retina 5K(2020)とiMac Retina 5K(2019)のROM比較表
iMac Retina 5K(2020)とiMac Retina 5K(2019)のROM(ストレージ)については、上表のとおり。なお、CTOモデルでは、搭載できる最大のストレージを表記しています。
2020年モデルでは、いわゆるSSHDである『Fusion Drive』が“廃止”されました。なので、吊るしモデル(下位モデル含め)でも全部PCIe SSDになっています。いくらSSHDといっても、HDDがボトルネックになってくるので、この刷新は歓迎すべき点でしょう。CTOで最大8TB選択可能になった点も良アップデート。ちなみに、Fusion Drive廃止には『Apple T2 Security Chip』が絡んでいると言われています。
ねこさんは、2019年モデルでFusion Drive搭載iMacユーザーでしたよね?
Fusion Driveは確かに速いけど、昨今のPCIe SSDの速度に慣れちゃうと…ねー。
第2章:iMac 5K・Mac miniのCTO構成表
iMac Retina 5K (2020) |
Mac mini (2020) |
|||
吊るし最上位 | CTO | CTO | ||
価格 | 274,780円 | 428,780円 | 201,080円 | |
CPU | Intel Core i7-10700K (3.80GHz・8コア16スレッド) |
Intel Core i9-10910 (3.60GHz・10コア20スレッド) |
Intel Core i7-8700B (3.2GHz・6コア12スレッド) |
|
GPU- | iGPU | Intel UHD Graphics 630 | Intel UHD Graphics 630 | Intel UHD Graphics 630 |
dGPU | AMD Radeon Pro 5500 XT | AMD Radeon Pro 5700 XT | - | |
RAM | 8GB(2,666MHz・DDR4) | 16GB(2,666MHz・DDR4) | 16GB(2,666MHz・DDR4) | |
ROM | SSD | 512GB(PCIe) | 1TB(PCIe) | 1TB(PCIe) |
ディスプレイ | 画面サイズ | 27インチ(16:9) | 27インチ(16:9) | - |
画面解像度 | 5,120 × 2,880(5K) | 5,120 × 2,880(5K) | - | |
ネットワーク | 無線LAN | IEEE 802.11a/b/g/n/ac | IEEE 802.11a/b/g/n/ac | IEEE 802.11a/b/g/n/ac |
有線LAN | 1000BASE-T(1GbE) | 10GBASE-T(10GbE) | 10GBASE-T(10GbE) | |
Bluetooth | Bluetooth 5.0 | Bluetooth 5.0 | Bluetooth 5.0 | |
インターフェース | USB 3.0 Type-A ×4 Thunderbolt 3 ×2 RJ-45 ×1 3.5mmステレオミニジャック ×1 SDXCカードスロット ×1 IEC C13 ×1 |
USB 3.0 Type-A ×4 Thunderbolt 3 ×2 RJ-45 ×1 3.5mmステレオミニジャック ×1 SDXCカードスロット ×1 IEC C13 ×1 |
USB 3.0 Type-A ×2 Thunderbolt 3 ×4 HDMI ×1 RJ-45 ×1 3.5mmステレオミニジャック ×1 IEC C7 ×1 |
|
その他 | 標準ガラス | 標準ガラス | - |
iMac Retina 5K(2020)とMac mini(2020)のCTO構成表
※価格は税込表記。
そういうわけで、iMac Retina 5K(2020)とMac mini(2020)を、序章で話したような条件のもと、Apple StoreでCTO構成してみました。その構成表が上表です。また、今回は吊るし最上位モデルのiMac Retina 5K(2020)も比較検討しているので、そちらも表記しています。
この時点では…
スペック:iMac Retina 5K(CTO) >>> iMac Retina 5K(吊るし) > Mac mini(CTO)
価格:iMac Retina 5K(CTO) >>> iMac Retina 5K(吊るし) > Mac mini(CTO)
という、当然の結果に。
Mac miniを強化すると、どこまでiMac Retina 5Kに近づけるかっ!?
そうすると、真の答えが見えてきますからね。
第3章:iMac Retina 5K・Mac mini比較
第2章で設定した、iMac Retina 5K(2020)とMac mini(2020)の構成で、CPU・GPUの2点をベンチマーク比較していきます。
このベンチマーク結果を参考にして、第4章でのコンポーネント選定を考えていきます。
▽iMac Retina 5K(2020)
▽Mac mini(2020)
【比較1】CPU
iMac Retina 5K・Mac miniのCPUスペック比較
iMac Retina 5K (2020) |
Mac mini (2020) |
||
吊るし | CTO | CTO | |
モデル | Intel Core i7-10700K | Intel Core i9-10910 | Intel Core i7-8700B |
コア/スレッド | 8/16 | 10/20 | 6/12 |
クロック周波数 | 3.80GHz (TB:5.00GHz) |
3.60GHz (TB:5.00GHz) |
3.20GHz (TB:4.60GHz) |
L3キャッシュ | 16MB | 20MB | 12MB |
TDP | 125W (cTDP:95W) |
125W (cTDP:95W) |
65W |
iGPU | Intel UHD Graphics 630 | Intel UHD Graphics 630 | Intel UHD Graphics 630 |
iMac Retina 5K(2020)とMac mini(2020)のCPU比較表
iMac Retina 5K(2020)とMac mini(2020)に採用されているCPUは上表のとおり。
CPUは換装不可なので、どこまで差が出るかが注目ポイント。また、iMac Retina 5K(吊るしモデル)とMac miniの同じCore i7同士で、どんな差が出るかも要チェック。
iMac Retina 5K・Mac miniのCPUベンチマーク比較
iMac Retina 5K (2020) |
Mac mini (2020) |
||
吊るし | CTO | CTO | |
Intel Core i7-10700K | Intel Core i9-10910 | Intel Core i7-8700B | |
Single | 1,276 | 1,277 | 1,080 |
Multi | 7,685 | 9,802 | 5,353 |
iMac Retina 5K(2020)とMac mini(2020)のCPUベンチマーク比較表
各MacのCPUベンチマークスコアを、シングルコア・マルチコアに分けて上表にまとめてみました。なお、CPUスコアはGeekbench Browserに掲載されている結果を、平均化して再計算したものです。
■CPU比較結果
iMac Retina 5K(i9) > iMac Retina 5K(i7) > Mac mini(i7)
【比較2】GPU
iMac Retina 5K・Mac miniのGPUスペック比較
iMac Retina 5K (2020) |
Mac mini (2020) |
||
吊るし | CTO | CTO | |
iGPU | Intel UHD Graphics 630 | Intel UHD Graphics 630 | Intel UHD Graphics 630 |
dGPU | AMD Radeon Pro 5500 XT | AMD Radeon Pro 5700 XT | - |
iMac Retina 5K(2020)とMac mini(2020)のGPU比較表
iMac Retina 5K(2020)とMac mini(2020)に採用されているGPUは上表のとおり。
Mac mini(2020)には専用のGPU(dGPU)が搭載されていないので、CPU内蔵のiGPUのみ。ここがiMac Retina 5K(2020)との最大の差異。当然、このままだとMac mini(2020)の負けなのですが、これがeGPUでどこまで強化できるのか、という点を注目してベンチマーク結果を見ていきます。
iMac Retina 5K・Mac miniのGPUベンチマーク比較
iMac Retina 5K (2020) |
Mac mini (2020) |
||
吊るし | CTO | CTO | |
AMD Radeon Pro 5500 XT | AMD Radeon Pro 5700 XT | Intel UHD Graphics 630 | |
Metal | 38,034 | 68,439 | 3,774 |
OpenCL | 41,003 | 59,267 | 5,016 |
iMac Retina 5K(2020)とMac mini(2020)のGPUベンチマーク比較表
各MacのGPUベンチマークスコアを、グラフィックAPI別(Metal・OpenCL)に分けて上表にまとめてみました。なお、GPUスコアはGeekbench Browser(Metal・OpenCL)を参考にしています。
■GPU比較結果
iMac Retina 5K(Radeon Pro 5700 XT) > iMac Retina 5K(Radeon Pro 5500 XT) >>> Mac mini(UHD Graphics 630)
eGPU導入でMac miniがどこまで巻き返せるか!ここに注目あーるっ!!
第4章:コンポーネント選定
■Mac miniに必要なもの
- 外付けGPU(eGPU)
- ディスプレイ(モニター)
- マウス・キーボード
それでは、第3章でのiMac Retina 5K(2020)とMac mini(2020)のベンチマークスコアを参考にして、Mac miniに必要な上記のコンポーネントを選定していきます。これで見てくれは別として、ようやく同じ条件で価格とスペックが比較できるようになります。
【選定1】外付けGPU(eGPU)
■Mac mini用に用意するeGPU
- GPU:Radeon RX 5700 XT(SAPPHIRE PULSE RX 5700 XT 8G GDDR6)
- eGPUボックス:Razer Core X Chroma
Mac mini(2020)のGPUを強化するために選択した、GPU(グラフィックボード)・eGPUボックスは上記のとおり。iMac Retina 5K(2020)が搭載できるdGPUの最大がAMD Radeon Pro 5700 XTなので、できるだけそれに合わせたGPUを選択しています。
なお、MacでeGPUを利用する際には、とにかくトラップが多いので要注意。対応GPUやeGPU利用の注意点については、下記の事項を参考にしてみてください。
iMac Retina 5K (2020) |
Mac mini (2020) |
||
吊るし | CTO | CTO + eGPU | |
AMD Radeon Pro 5500 XT | AMD Radeon Pro 5700 XT | AMD Radeon RX 5700 XT | |
Metal | 38,034 | 68,439 | 49,631 |
OpenCL | 41,003 | 59,267 | 73,211 |
iMac Retina 5K(2020)とMac mini(2020)のGPUベンチマーク比較表
eGPU(AMD Radeon RX 5700 XT)を導入した場合、各MacのGPUのベンチマークスコアは上表のような結果となります。(GPUスコアはGeekbench Browserを参考)
iMac Retina 5K(2020)のdGPU自体、かなりグレードの高いものを搭載できるようになったので、現時点ではiMac Retina 5K(2020)ユーザーは無理してeGPUに手を出す必要性はなさそうです。Mac mini(2020)とeGPUの組み合わせだと、対応GPU的にこれが現時点での現実的な限界値なので、GPUを気にするならば、今後の設備投資と相談して選ぶことになりそうです。
■GPU比較結果
iMac Retina 5K(Radeon Pro 5700 XT) > Mac mini(AMD Radeon RX 5700 XT) > iMac Retina 5K(Radeon Pro 5500 XT)
Radeon Pro WX 9100はトンデモ価格だし、eGPUを2基も…ねー。
そこまでするなら、Mac Proを選ぶべきですからね。
【選定2】ディスプレイ(モニター)
■Mac mini用に用意するディスプレイ
- 動画重視:BenQ PD3220U
- 写真重視:BenQ SW321C
iMac Retina 5K内蔵のディスプレイは、非常に高精細(解像度が高い)で、色表現が得意(色域が広い)ので、Mac mini(2020)用に用意するディスプレイについても、上記のような“デザイナーディスプレイ(デザイナーモニター)”と謳っている製品を選んでいます。メーカーはどこでも…ですが、BenQが安いのでBenQにしています。予算が許せば、EIZOもアリ。
iMac Retina 5K (2020) |
Mac mini (2020) |
|||
内蔵ディスプレイ | PD3220U | SW321C | ||
ディスプレイ | 画面サイズ | 27インチ(16:9) | 31.5インチ(16:9) | 32インチ(16:9) |
画面解像度 | 5,120 × 2,880(5K) | 3,840 × 2,160(UHD 4K) | 3,840 × 2,160(UHD 4K) | |
色域カバー率 | sRGB | 約100% | 100% | 100% |
Adobe RGB | 約88% | - | 99% | |
DCI-P3 | 約99% | 95% | 95% | |
Display P3 | 約99% | 95% | 95% | |
NTSC | - | - | - | |
Rec.709 | 約100% | 100% | 100% | |
Rec.2020 | - | - | - |
iMac Retina 5K・PD3220U・SW321Cディスプレイ比較表
※iMac Retina 5Kの色域カバー率は以前私が計測したデータの体感値。Apple自体は、ディスプレイの色域カバー率を公表しておりません。SW321C・SW321Cの色域カバー率はメーカー公称値。
2020年モデルに限らず、iMac Retina 5Kに搭載されているディスプレイの品質は非常に高く、それに見合った外部ディスプレイを探すとなると、それ相応の製品を選ぶ必要があることが分かります。
しかし、iMac Retina 5Kのディスプレイも完璧ではなく、Adobe RGBのカバー率が低いという点が引っかかります。なので、ディスプレイの選び方によっては、余裕でiMac Retina 5K内蔵ディスプレイを超えることは可能。個人的には、Adobe RGBのカバー率がほぼ100%のディスプレイを選ぶと、非常に有用でしょう。
【選定3】マウス・キーボード
■Mac mini用に用意するマウス・キーボード
- マウス:Apple Magic Mouse 2
- キーボード:Apple Magic Keyboard
Mac mini(2020)には、マウス・キーボードが付属していないので、iMac Retina 5K(2020)に付属している製品とまったく同じものを用意します。
今回はできるだけフェアな条件にして比較したいので、Apple純正品を選んでいます。なので、LogicoolでもMicrosoftでもお好みで。
第5章:価格比較
iMac Retina 5K (2020) |
Mac mini (2020) |
||
吊るし最上位 | CTO | CTO | |
Mac本体 | 274,780円 | 428,780円 | 201,080円 |
eGPUボックス | - | - | 50,379円*1 |
グラフィックボード | - | - | 57,672円*1 |
ディスプレイ | - | - | 148,785円*1*2 |
マウス | - | - | 8,223円*1 |
キーボード | - | - | 10,334円*1 |
合計 | 274,780円 | 428,780円 | 476,473円 |
同等構成にした場合の価格比較
※価格はすべて税込みで2020年8月13日時点のもの。
*1Amazon販売価格を参考。
*2ディスプレイはBenQ PD3220Uを選択。
これまでの各MacのCTO構成と、Mac mini(2020)に追加するコンポーネント構成を踏まえて、それらの金額を合算すると上表のとおり。
あら……。
CTOのiMac Retina 5K(2020)って、意外と安く済むんやね?
そうなんだよねー。
終章:何も持っていないならiMac 5K・ディスプレイ持ちならMac mini
iMac Retina 5K(2019)とMac mini(2020)という比較の場合は、結構良い勝負だったのですが、iMac Retina 5K(2020)とMac mini(2020)という比較になると話は変わってきそうです。
Mac mini(2020)に搭載されているCPUが第8世代Intel Coreと古い点や、eGPUを使った場合でもiMac Retina 5K(2019)よりも不利になる可能性ある(Thunderbolt 3の帯域制限を加味しないとしても)点、をどう思うか…になりそうです。
ただ、言い換えると、Mac mini(2020)でもCTOとGPU次第では、最新のiMac Retina 5Kに肉薄でできるということにもなります。
なので、すでに広色域ディスプレイを持っているならば、Mac mini(2020)を選ぶ価値はあるはず。もし、何も持っていないならば、iMac Retina 5K(2020)のほうを選ぶのがベストな選択な気がします。
備考:Macの比較で思うこと
ここからはボーナストラックあーる。
今回、ネチネチとデスクトップMacを比較してきたわけですが…ほんと、MacはCTOをすればするほど、Windowsに比べてコスパがどんどん悪くなってきます。ノートパソコン(MacBook Pro/Air)はそうでもないのですが、デスクトップ(iMac・Mac mini・Mac Pro・iMac Pro)は特に顕著。
私はApple系の開発も仕事でしているので、Macを選んでいます(Xcodeが必要なの)が、特殊な理由がないならば、自作PCやメーカー製のWindowsワークステーションを買ったほうが…いや、何でもないです。こういうのは思ったら負けです。うんうん。
ついに自分に言い聞かせ始めたんやね……。
そうそう、現時点ではする必要性は薄いですが、将来的にはiMac Retina 5K(2020)とeGPUを組み合わせて利用する可能性もあるかもしれません。
ただ、その場合には、内蔵ディスプレイ出力時のパフォーマンス低下(アップリンクにもPCIeの帯域を使ってしまうため)の懸念もあります。また、そもそもThunderbolt 3が内包しているPCIeの仕様だと、グラフィックボードの性能を最大限発揮できない可能性も。Thunderbolt 4が普及すれば別ですが、それはまだ先の話ですし、eGPUは完璧ではないということは覚えておく必要がありそうです。
やはり、そこがネックになりそうですわね。
eGPUをどこまでAppleがサポートし続けるかも分からないし、あまり過信しないほうがいいかもって思っちゃうんだよねー。
まとめ「目的と用途を意識してMacを選ぶべし」
超長くなってしまったので、まとめは端的に要点だけ。
- Mac mini(2020)
- iMac Retina 5K(2019)
の比較については、もはや別物。吊るしモデルもSSDでi7で買い!
2019年モデル以前では、個人的に微妙だった最上位の吊るしモデルですが、2020年モデルはアリのアリ。SSDの容量さえ許容できれば、約27万円というのはお得。なにせ、5Kディスプレイもありますし、普通に業務にも使えるスペックでしょう。
の比較については、
- 現状の設備ゼロで色域にこだわりが少ない:iMac Retina 5K
- 広色域ディスプレイをすでに持っている:Mac mini
…という買いわけでいいような気がします。
今回は話さなかったですが、RAMを最低容量にして自分で換装すれば、ちょっと安く済みます。ただ、Mac miniに関しては、RAM換装で保証対象外になる可能性も。ここはよーく考えてくださいな。
うむむ…悩みどころあーる。
▽iMac Retina 5K(2020)
▽Mac mini(2020)
おまけ
まさか…買う気ですか!?
ふっふっふー。
ニコニコクレジットカード、驚異の12回払いをするあーるっ!はっはっはー!!
それはやめておいたほうが……。
もう、そうっとしておきましょう。
おわり
■Reference
Geekbench Browser, TechPowerUp
気になった点をまとめると、
って感じあーる。