- 完全ワイヤレスイヤホンでも『ハイレゾ』で聞ける環境を考えた!
- そもそもBluetoothコーデックに根本的な問題がある気がする!
- 頭でっかちに理詰めで考えるオーディオは良くない気もしてきた!
邪道でズボラなオーディオ道。
完全ワイヤレスイヤホンでも『ハイレゾ』な音質で楽しみたくなったので、どういう環境を整えれば聞けるのかを考えてみました。
コーデック、ビットレート、Bluetooth SoC…うーむ。
うん、やっぱり“妥協”は必要な感じやった!
目次
TWSでもハイレゾで楽しみたい!
——完全ワイヤレスイヤホンでも『ハイレゾ』な音質で楽しみたい!
気が付けば、右も左も完全ワイヤレスイヤホン(TWS)な世の中になりましたね。そして、ハイレゾに対応した音楽ストリーミングサービスも、『Amazon Music HD』、『mora qualitas』、『TIDAL』、『Qobuz』、そして『Apple Music』…と、かなりバリエーションが豊富になってきました。再生環境であるデジタル音楽プレーヤー(DAP)についても、ベースOSにAndroidを採用したものが増え、音楽ストリーミングサービスに対応。そして、多くの製品で、ちゃんとビットパーフェクト出しできるようになっています。
本来であればワイヤード(当然、バランス出力)で楽しむのが理想なのは理解しています。ただ、ものぐさな性分の私は、完全ワイヤレスイヤホンで楽しみたい。“邪道オーディオ”の道を行く者としては、ここまで環境がお膳立てされているのであるなら、完全ワイヤレスイヤホンでもハイレゾ環境を整えられるのではないか、と思ったわけなのです。
…って、ことなんよね!
うーむ、前置きが長いですなー。
ねこさんも大概ですがね。
ハイレゾ対応Bluetoothコーデック
aptX HD | aptX Adaptive | LDAC | Scalable codec | LHDC | HWA | UAT |
48kHz/24bit | 96kHz/24bit | 96kHz/24bit | 96kHz/24bit | 96kHz/24bit | 96kHz/24bit | 192kHz/24bit |
ハイレゾ対応Bluetoothコーデック
『High-Resolution Audio Wireless』(ハイレゾのBluetooth版)に対応しているBluetoothオーディオコーデックは、いくつかすでに存在しています。
JEITA公告だと、サンプリング周波数が48kHz超過、量子化ビット数が16bit超過、のいずれかを満たしていればハイレゾとなるので、意外とハイレゾを満たす条件はゆるめ。JASの場合は96kHz/24bitを満たしていないといけないので、もう少し条件的には厳しくなります。
思ったよりも対応コーデックが多いですわね。
結構選択肢がある!と思わせておいて…なんやけどね。
TWS × Bluetooth × ハイレゾ の壁
前掲したように、技術仕様的には『ハイレゾ』に対応しているBluetoothオーディオコーデックは、予想していたよりも結構ある印象を受けます。
ところが、実際にはそんな虫のいい話ではなかったりも……。『Bluetooth』という、ワイヤレスプロトコルで音楽データを転送するからこそ生じてしまう“壁”のようなものが、複数存在することが調べていくうちに分かってきました。
バッテリー消費量の壁
Sonyの完全ワイヤレスイヤホン『WF-1000XM3』発売時、LDACコーデックが非対応であることが話題になりました。
話題になりましたっけ!?
うちの中ではなった!!
私はソニーストア大阪のオーディオ担当から伺ったのですが、「WF-1000XM3にLDACコーデックを搭載することは技術的には可能だが、バッテリー消費が大きくてワイヤレスオーディオとして使い物にならないため搭載を見送った」という話がありました(メディアでも同様の話が出ていたはず)。
Sonyは結局のところ、『DSEE HX』というアップコンバート技術で、完全ワイヤレスイヤホンをハイレゾ(相当)に対応させるという、ハック的なアプローチでクリアしました。その話から考えると、仮に完全ワイヤレスイヤホンでハイレゾ対応の音質で転送できたとしても、ワイヤレスイヤホンそのもののエクスペリエンスが低くなってしまうでしょう。
とはいえ、Bluetooth SoCの低消費電力化も進んでおり、将来的には完全ワイヤレスイヤホンでもバッテリー消費を気にせずに、ハイレゾ音質で聞ける時代が来るかもしれません。
ここはQualcommに期待ってところかな!?
ビットレートの壁
CD (LPCM) |
LDAC | Scalable codec | LHDC | HWA | UAT |
1,411.2kbps | 990kbps 660kbps 330kbps |
88kbps–512kbps | 900kbps 560kbps 400kbps |
900kbps 500/560kbps 400kbps |
1,200kbps 900kbps 600kbps |
CDとBluetoothコーデックのビットレート
『High-Resolution』という言葉につい惑わされがちですが、よくよく考えると、CD音質をロスレスでBluetooth転送を行うこと自体が無理だということに気づきました。…すごく今さらですが。
そもそも論ではないかっ!?
CDのビットレートは1,411.2kbps。対して、LHDCやHWAのビットレートの最高値は900kbps。UATは転送レートを上げると1,200kbpsまでいけるのだとか。
単純な計算式から考えても、どう考えてもCD音質をロスレスで転送なんて無理な話。しかも、BluetoothのA2DPプロファイルの仕様を考慮すると、Bluetoothオーディオコーデックのビットレートを1,000kbps超過にすることすらも厳しいところ(最大990kbpsのLDACでも、ビットレートを上げると接続が不安定になりやすい)。
そう考えていくと、CD音質をBluetoothで聞く…という考えは諦めて、CD音質にどこまで近づけるか、というアプローチが良さげな気がしています。ハック的なアップコンバートも含めて、です。もちろん、オーディオコーデックは音質を決めるいち要素に過ぎないですし、理詰めな音質追求もほどほどにしたいところですが……。
考えると、Sonyがワイヤレスオーディオに『DSEE』を積極採用する理由が、なんとなく分かってきた気がするんよね。
開発サイドからすれば、最初から分かってることだもんねー。
個人的なハイレゾTWSの解
イヤホンの選択肢が狭められてもよい、という条件を許容するのであれば、UATコーデックの完全ワイヤレスイヤホン版である『UAT TWS』で聞くというのが、現実的な解法のひとつ。
今後はどうなるかは分かりませんが、UATに対応している完全ワイヤレスイヤホンはHiBy Music『WH3』ぐらいなので、自ずとこちらを選択することに。ちなみに、WH3の仕様を見ると、サンプリング周波数は最大96kHzになるそうです。あとは、UAT TWSに対応しているHiBy Music製DAP(R6 Pro等)と組み合わせれば完成です。
まとめ「TWSに大事なのは妥協かも」
あれこれ調べたり考えたりしたのですが、完全ワイヤレスイヤホン(TWS)に極上の高音質を求めること自体が酷な気がしてきました。
Bluetoothオーディオコーデックもそうですが、搭載しているドライバやSoCについても考慮しないといけませんし、そもそもコーデックによる差異が出づらい完全ワイヤレスイヤホンで、ここまで神経質になる必要があるのか分からなくなってきました。当初掲げていた“ズボラ”からも程遠くなりますし……。
そうはいっても諦めてはいません(一応)。ただ、もう少し様子を見ながら、当面はネックバンドタイプやヘッドホンでハイレゾを楽しむことにし、完全ワイヤレスイヤホンはそこそこの音質で楽しみたいときに使うことにしました。
こういうのを“底なし沼”って、言うんやろうね…怖い!
おまけ
素直にワイヤードでバランス出力を使って聞きましょう。
うーん、そうかも!?
沼は怖いのであーる……。
おわり
ワイヤレスオーディオは音質に影響する要素が多いので、高音質化が結構難しい印象なのですが、大丈夫ですか?