- 一部DAPでAmazon Musicが UHD → HD になる謎現象!
- 特定のVer.だとストリーミングでUHD音質にならない!
- Ver. 22で直ったけどDAPのSoC・RAMだと動作が重い!
“DAPでAmazon Music HDはキツい”
ビットパーフェクト対応のAndroid DAP(HiBy R5 Saber)で、本来対応しているはずのAmazon Music『Ultra HD』音質が再生できない問題に直面。最終的には解決したのですが、改めてDAP選びの難しさを思い知らされました。
SRC回避しても、ってわけですな。
ややこしいですわね。
目次
Amazon Music HDのダウンサンプリング問題
多くのAndroid OS採用DAPというのは、SRC[*1]を回避してビットパーフェクト再生が可能です。なので、Amazon Musicで配信されているUltra HD音源(端末や楽曲によるが最大24bit/192kHz)の再生にも対応しています。要するに、ハイレゾストリーミングにフル対応している、というわけです。
しかしながら、少し前から、Amazon MusicのUltra HD音源が再生できなくなる(HD音源にダウンサンプリングされる)という問題に遭遇しています。本来なら対応しているのに、です。
音源 | |
Ultra HD (24bit/192kHz) |
|
ストリーミング | ダウンロード |
HD (16bit/44.1kHz) |
Ultra HD (24bit/192kHz) |
DAP × Amazon Music HD ダウンサンプリング例
※DAP:HiBy R5 Saber(Android 8.1.0)
※Amazon Music Ver. 17.19.6
手持ちのAndroid DAP(HiBy R5 Saber)で、Amazon MusicのUltra HD音源を再生したところ…結果は上表に示したとおり。
音源をダウンロード(オフライン再生用のキャッシュ保存)している場合は、ちゃんとUltra HD音質で再生される。ところが、ストリーミングの場合は、HD音質にダウンサンプリングされてしまっています。なお、本来であれば、ストリーミングでもUltra HD音質で再生できます。
この謎のダウンサンプリング、Head-Fi.orgでは数か月前から話題になっている既知の問題のようで、手持ちのHiBy R5 Saberだけでなく、多くのDAPで発生する現象のようです。
最新版ではダウンサンプリング問題は解決済
バージョンごとの検証結果は後掲しているのですが、Amazon Musicでストリーミング時に Ultra HD → HD となってしまうダウンサンプリング問題は、どうやら『空間オーディオ(Spatial Audio)』にフル対応した頃から発生しまっているようです。
なので、すっかり“仕様”だと思い込んでいたのですが、直近のAmazon Musicアプリのアップデートで、ダウンサンプリング問題が直っていることを確認しました。やはり、Amazon Music側で何らかの仕様変更があったようです。
音源 | |
Ultra HD (24bit/192kHz) |
|
ストリーミング | ダウンロード |
Ultra HD (24bit/192kHz) |
Ultra HD (24bit/192kHz) |
DAP × Amazon Music HD ダウンサンプリング例
※DAP:HiBy R5 Saber(Android 8.1.0)
※Amazon Music Ver. 22.1.1
先程と同じく、手持ちのAndroid DAP(HiBy R5 Saber)で、Amazon MusicのUltra HD音源を再生したところ…結果は上表に示したとおり。
旧バージョンではストリーミング時にHD音質へダウンサンプリングされていましたが、新バージョン(Ver. 22.1.1)では、ちゃんとストリーミング時でもUltra HD音質で再生できるようになっています。
とりあえずは一件落着ですわね。
まぁ、ね。
原因は『空間オーディオ』対応版の可能性大
いつから一部のAndroid DAPにおいて、ストリーミング時にHD音質へダウンサンプリングされる仕様になってしまったか。気になったので、旧バージョンをインストールして調べてみました。その結果が下表になります。
| ストリーミング | ダウンロード |
22.1.1 | Ultra HD (24bit/192kHz) |
Ultra HD (24bit/192kHz) |
17.19.6 | HD (16bit/44.1kHz) |
Ultra HD (24bit/192kHz) |
17.19.4 | HD (16bit/44.1kHz) |
Ultra HD (24bit/192kHz) |
17.16.4 | HD (16bit/44.1kHz) |
Ultra HD (24bit/192kHz) |
17.16.3 | HD (16bit/44.1kHz) |
Ultra HD (24bit/192kHz) |
17.15.6 | Ultra HD (24bit/192kHz) |
Ultra HD (24bit/192kHz) |
17.10.1 | Ultra HD (24bit/192kHz) |
Ultra HD (24bit/192kHz) |
バージョンごとのAmazon Music HD対応状況
※DAP:HiBy R5 Saber(Android 8.1.0)
※元音源:Ultra HD(24bit/192kHz)
その結果、Ver. 17.15.6とVer. 17.16.3がその仕様変更の境界、だということが判明しました。
Amazon Music Ver. 17.16.3から、空間オーディオの対応拡大を受けて新UIに刷新されているのですが、どうやらそこで何らかの仕様変更が行われていたようです。
DAPでAmazon Music HDは大変
前述のとおり、Amazon Music Ver. 22.1.1で、一部Android DAPでストリーミング時に Ultra HD → HD とダウンサンプリングされる問題は無事解決しました。なので、すでに気にしなくてもよいものとなっています。
ただ、空間オーディオにフル対応したあたりからのAmazon Musicアプリ、とにかく動作が重たいのです。なぜに音楽アプリなのにここまで重量級なのかと疑いたくなるレベルで、そこそこのスペックを要求してきます。
例えば、HiBy R5 Saberは、SoCがSnapdragon 425、メモリが2GB、という仕様です。そこまで低スペックというわけでもなく、Android DAPならば妥当なスペックでしょう。もちろん、HiBy純正の音楽アプリや他のストリーミング系(Spotify等)ならば、特に不満もなく動作してくれます。
しかしながら、これがAmazon Musicとなると話は別。
SoCもさることながら、2GBしかないメモリが足を引っ張っており、動作のモッサリ感が否めないのです。余談ですが、WALKMAN NW-ZX500等はメモリこそ4GBありますが、今度はSoCがしょっぱいので、HiBy R5 Saber以上にキツかったりします(それでNW-ZX500を手放した経験アリ)。なので、そこそこのSoC、4GB以上のメモリ、なのがAmazon Musicの理想の動作環境と言えそうです。
…つまり?
Amazon Music HDを楽しむなら、XperiaとUSB DACが“楽”でいいのかなって!
まとめ「Amazon Music HDは難しい」
現在、手持ちのDAPは『HiBy R5 Saber』しかないので、他機種については分からないのですが、おそらく同じように最新バージョンで、ストリーミング時に Ultra HD → HD とダウンサンプリングされる問題は解決しているかと思います。
ただ、最近のAmazon Musicアプリは動作がモッサリなので、低スペックなAndroid DAPで使うのであれば、旧バージョン(Ver. 17.15.6)がよいかもしれません。もちろん、セキュリティ面等に不安はあるので、そこは自己判断で。
アプリの自動アップデートはオフのほうが無難かもやね。
おまけ
SRC回避のビットパーフェクト出力がこんな方法で塞がれてしまうとはっ!?
デバイス側で制御するのではなく、アプリ側で対応してほしいですわね。
…やんねぇ。 Amazon Music側がAAudioに対応すれば、なんよね。
おわり
*1多くのAndroid端末では、AOSPの『SRC(Sample Rate Conversion)』という仕様により、オーディオ出力が48kHz/16bitに制限される。↩
海外では去年から報告されてる既知の問題やったんよね。