- aptX LLは音楽視聴よりも映像視聴向けのコーデック!
- 他のaptXシリーズよりも圧倒的な低遅延!
- 対応イヤホン・ヘッドホンが少ないのが痛いところ!
Bluetoothでも遅延がない!?
ワイヤレスイヤホンの普及ですっかりおなじみとなったBluetooth。そんなBluetoothコーデックの中には“低遅延”をウリにしたものも!それが『aptX LL(aptX Low Latency)』というBluetoothコーデック。そんなaptX LLとは何か?どこが凄いのか?について、ワイヤレス時代だからこそのお勉強をしてみます。
音楽視聴よりも、動画視聴・ゲーム向けですわね。
にしても、aptX系コーデック多いよねー。
『aptX LL』とは?
この『aptX LL』とは、Bluetoothコーデックの1つで、ワイヤレス転送における“低遅延”をウリにしたコーデックのこと。なお、aptX LLは『aptX Low Latency』の略称です。
Bluetooth界ピカイチの低遅延が魅力のコーデックやね!
aptX LLはQualcommがライセンス(プロプライエタリ)を持っており、『aptX』・『aptX HD』・『aptX Adaptive』といった、aptXコーデックシリーズのうちの1つ。なお、他のBluetoothコーデックには、SBC・AAC・LDAC・HWAがあります。
こう見ていくと、Bluetoothコーデックの種類が増えたよねー!
数年前はSBCとAACぐらいやったもんね!
aptX LLの目的と用途
そんな“低遅延”がウリのaptX LLコーデック。
このaptX LLコーデックの目的と用途は、音楽視聴というよりかは、動画視聴やゲームといった 映像+音声 がメインとなっているコンテンツ。
情報が音声データのみの音楽コンテンツでは、特段遅延というものについて気にする必要性がありません。ところが、情報が音声データと映像データの2つに分かれており、その2つのデータのリップシンク(音声データと映像データの同期)が大切な動画視聴やゲームにおいて、ワイヤレス転送のおける低遅延化というのは最重要事項。
遅延が凄いと、まさにいっこく堂状態になるわけなんよね…。
なので、このaptX LLコーデックを注目すべきユーザーというのは、音楽視聴ユーザーではなく、ゲーマーや映像視聴ユーザーということになるわけであり、そのために生み出されたBluetoothコーデックというわけなのです。
aptXコーデックの比較
■aptXシリーズ
- aptX
- aptX LL(aptX Low Latency)
- aptX HD
- aptX Adaptive
それでは、そんなaptX LLですが、ほかのaptXシリーズとどう違うのかを、音質と遅延という2つの側面からちょっと比較してみたいと思います。
音質
aptX | aptX LL | aptX HD | aptX Adaptive | |
信号処理 | 48kHz/16bit | 48kHz/16bit | 48kHz/24bit | 48kHz/24bit |
ハイレゾ | - | - | ○ | ○ |
aptXコーデックシリーズの音質比較。
音質という面では、
aptX ≒ aptX LL < aptX HD ≒ aptX Adaptive
という感じになるはず。
決定的な違いでいえば、『aptX HD』と『aptX Adaptive』は、いわゆるハイレゾ(ただし、日本オーディオ協会が定めるハイレゾの定義からは外れる)に対応しているが、『aptX』と『aptX LL』はハイレゾ非対応という点。
遅延
aptX | aptX LL | aptX HD | aptX Adaptive | |
レイテンシー | 70ms±10ms | 40ms未満 | 約130ms | 50ms〜80ms |
aptXコーデックシリーズのレイテンシー比較。
遅延という面では、
aptX LL < aptX Adaptive < aptX < aptX HD
という感じになるはず。
Qualcomm曰く、aptX LLコーデックで転送すると、レイテンシーが40ms未満に抑えられるそう。ですので、aptXコーデックシリーズないし、他のBluetoothコーデックの中でも、群を抜いて低遅延と言える。
さすがは、低遅延をウリにしてるだけあるって感じやね!
altX LL対応機器について
こう見ていくと、aptX LLが動画視聴やゲームに適したBluetoothコーデックであることが分かってきます。ただ、ちょっと厄介なのが、対応機器(イヤホンやスマホなど)とaptXのライセンスについて。
aptXコーデックのライセンスは、エンコーダー側(スマホや音楽プレーヤーなど)は不要。ただ、デコーダー側(イヤホンやヘッドホンなど)では、別途ライセンス料が必要となっています。
そういう背景もあり、スマートフォンでは、Android 8.0以降、aptX・aptX HDについては標準搭載となっています。ところが、aptX LLについてはその限りではありません。QualcommのaptXのページを見る限りでは、残念ながらスマートフォンでaptX LLを搭載している機種はない模様。音楽プレーヤーではFiiO『M9』がaptX LLの数少ない対応機種でした。
また、デコーダー側はQualcommとライセンス契約を結ぶ必要があるため、イヤホンやヘッドホンでaptX LLに対応している製品は、そう多くない(今後は増えるかもだけど)と思っているほうが無難でしょう。
まとめ「Bluetoothなのに低遅延。それが『aptX LL』だ!」
最後に改めて、『aptX LL』についておさらいすると…
- 低遅延がウリのBluetoothコーデック
- 信号処理は48kHz/16bitでハイレゾ非対応
- 遅延は40ms未満のローレイテンシー
- 対応機種が少ないのがネック
という感じになってきます。
スマートフォンや音楽プレーヤーでの採用が少ないので、現時点ではBluetoothトランスミッターやレシーバーをメインとした使い方になってくるはず。そこさえクリアすれば…というBluetoothコーデックかもしれません。要するに、普及待ちですね。
これからに期待のBluetoothコーデックやね!
おまけ
せっかくだから今度、aptX LLの遅延具合をテストしてみることにするやよ!
おおー!
確かに、どれくらい実用的かは調べておきたいですわね。
おわり
Reference: aptX Low Latency - Qualcomm
キーワードは…“高音質より低遅延”やね!