【検証】“自分用に設定”のApple Watchで『ウォッチナンバー』単体契約できるか?(au回線未契約の場合)

【検証】“自分用に設定”のApple Watchで『ウォッチナンバー』単体契約できるか?(au回線未契約の場合)
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記事のポイント
  • MVNO民がウォッチナンバー単体契約に挑戦!
  • ウォッチナンバーの仕様は非常に複雑だった!
  • 正確な情報はauでも一部の人間しか知らない!

“auサポが事実誤認していた”

au回線未契約でも、『ウォッチナンバー』プラン単体で契約できるようになったので、MVNO民がApple Watchセルラー版を『自分用に設定』状態で持ち込んで、KDDI直営店で契約を試みました。本稿はその検証レポートです。

二条ねこ
  • iPhone:MVNO回線(auのスマホ回線ナシ)
  • Apple Watch:『自分用に設定』でペア(非『ファミリー共有設定』)

…で、果たして使えるのか!?

まの

以前にauのサポートで教えてもらった方法ですね?

さたえり

これで白黒ハッキリするわけやね!

はじめに

MVNO契約者がApple Watchセルラー版を使うハック(ウォッチナンバー)

MVNO契約者がApple Watchセルラー版を使うハック(ウォッチナンバー)

2021年11月3日

本稿は『MVNO契約者がApple Watchセルラー版を使うハック(ウォッチナンバー)』の記事内で、au公式サポートで教えてもらった方法を実際に試みた検証記事になります。なので、先にこの記事から読んでみてください。

本稿の目的

本稿の目的

MVNOユーザー(au回線未契約)が、Apple Watchセルラー版を『自分用に設定』状態でiPhoneとペアリングしている場合、ちゃんとウォッチナンバープランが単体契約できるのか。…これを検証するのが本稿の目的です。

auが提供しているウォッチナンバープランは、公式にはApple Watch側を『ファミリーメンバー用に設定』状態にして、申し込みを行うことになっています。つまり、Appleのファミリー共有設定機能の利用を前提としています。

ところが、Apple Watchを『ファミリーメンバー用に設定』状態でiPhoneとペアリングすると、個人利用においてはまったく使い物になりません(各種機能が利用不可になる)。なので、個人利用では『自分用に設定』でペアリングするのが定石です。

ウォッチナンバープランはファミリー共有設定を前提としたもの。ただ、ファミリー共有設定は使いたくない(自分用に設定で使いたい)。このミスマッチを解消できるのか、ここが本検証のキモになってきます。

ウォッチナンバープラン単体契約の概要

ウォッチナンバープラン単体契約の概要

Image:au

ウォッチナンバー
月額基本料金 385円/月(税込)
電話番号 Apple Watch専用の電話番号を発行
契約可否 他社回線ユーザーでも契約可能
契約申込 KDDI直営店に持込
メインデバイス iPhone 13/13 mini/13 Pro/13 Pro Max
iPhone 12/12 mini/12 Pro/12 Pro Max
iPhone 11/11 Pro/11 Pro Max
iPhone X/XS/XS Max/XR
iPhone 8/8 Plus
iPhone 7/7 Plus
iPhone 6s/6s Plus
iPhone SE 1/SE 2
サブデバイス Apple Watch Series 7
Apple Watch Series 6
Apple Watch Series 5
Apple Watch Series 4
Apple Watch SE

ウォッチナンバープランの概要(au非契約者で単体契約する場合)
※ユニバーサルサービス料と電話リレーサービス料が別途発生

auではApple Watch用のeSIMプランとして、『ナンバーシェア』と『ウォッチナンバー』が用意されています。

このうち、auのスマートフォン用回線(例:使い放題MAX)を契約していないユーザーでも単体契約が可能なのは、今回の『ウォッチナンバー』のみになります。つまり、MVNOユーザーはナンバーシェアは契約できません。

このウォッチナンバープランは、Apple『ファミリー共有設定』の利用を前提としてものとなっており、iPhoneを持っていない家族(子どもや高齢者など)に向けたサービスとなっています。端的に言うと、キッズケータイのApple Watch版プラン、といった感じです。

二条ねこ

ここで重要なのが、そもそもウォッチナンバープランは“誰かに持たせるためのプラン”であって、自分ひとりで使うプランではないことですなっ!

まの

au的には想定されていない使い方をしようとしている、ということですね?

二条ねこ

そういうことあーる。

非au回線でも『ウォッチナンバー』契約可能(Apple Watch)

非au回線でも『ウォッチナンバー』契約可能(Apple Watch)

2021年10月27日

実際にウォッチナンバーを申し込んだ

実際にウォッチナンバーを申し込んだ

■持参したもの

▼iPhone

  • iPhone 13 Pro(povo回線)
  • iPhone 12 Pro Max(MVNO回線)
  • iPhone SE 2nd Gen(UQ mobile回線)

▼Apple Watch

  • Apple Watch Series 7(GPS + Cellularモデル)

▼その他

  • 契約に必要な身分証等
二条ねこ

そういうわけで、検証も兼ねて、実際にau Style(KDDI直営店)にウォッチナンバープランを契約しに行ったぞー!

実際にウォッチナンバーを申し込んだ

Apple Watchの初期設定をする際に、

  • 自分用に設定(自分ひとりで使う場合)
  • ファミリーメンバー用に設定(家族に持たせる場合)

という選択肢が出てくるので、ここで自分用に設定を選択して、iPhoneとのペアリングを済ませておきます。

Apple Watch側を自分用に設定しておくことにより、『ファミリー共有設定』でのペアリングを回避させる狙いです。

補足

本来は、Apple Watchの初期設定時にファミリーメンバー用に設定を選択して、iPhoneとペアリングを行い、『ファミリー共有設定』の設定をする必要があります。

実際にウォッチナンバーを申し込んだ

Apple Watchに搭載されているeSIMに、au回線の情報(ウォッチナンバープラン)を書き込むわけですが、その前に、au側が用意したSIMカードを持参のiPhone(SIMロックフリー)に挿入します。

どうして、iPhone側のSIMを入れ替える必要があるのか。これにはかなりややこしい仕様が絡んできます。なので、解説は後述するとして、ここではそのまま進めます。

二条ねこ

実はこのSIMがトラップなのでして……。

実際にウォッチナンバーを申し込んだ

あとはiPhone側でモバイル通信設定を行なって、Apple Watch側のeSIMに情報を書き込むだけ。これでウォッチナンバーの申し込みが完了。

…なのですが、設定が一向に進みません。

事前にau公式サポートから伺っていた内容だと、この申し込みフローで通るはず。なのに、Apple Watchを設定するためのiPhone側そのものがエラーを吐いてしまい、そもそもApple WatchのeSIMに情報を書き込むことすらできませんでした。

さたえり

あれ?話が違うやん!

まの

かなり雲行きが怪しくなってきましたわね……。

検証の結果、Apple Watchを『自分用に設定』にし、iPhoneとペアリングした状態では、ウォッチナンバープランのeSIMの設定すら行えませんでした。つまり、“失敗”です。

二条ねこ

えっ?なんでーー!?

さたえり

au公式サポートの言ってることと矛盾してるやんね。

au公式サポートが事実誤認をしていた

au公式サポートが事実誤認をしていた

結局、Apple Watchを『自分用に設定』にしてiPhoneとペアリングした状態だと、そもそもApple Watch側のeSIMにウォッチナンバー用の回線情報を書き込めませんでした。

ちなみに、正規の方法(Apple Watchを『ファミリーメンバー用に設定』状態でペアリング)で申し込んだあと、ユーザーがあとから『自分用に設定』にすると使えないことも伺いました。つまり、残念ながら手詰まりです。

au公式サポートが事実誤認をしていた

ただ、以前にau公式サポートに問い合わせたときの回答は「Apple Watchが『自分用に設定』状態でもウォッチナンバーは使えます」でした。そうです、この話と検証結果が噛み合っていない。

この件について、KDDI直営店の担当者に伺ったところ(サポート内容のスクリーンショットも一緒に見てもらった)、なんと…au公式のサポートが事実誤認をしていることが判明しました。

さたえり

まさかのそんなオチ?

まの

悪い意味でのウルトラCですわね……。

二条ねこ

しかも、au公式サポートでは2人に回答してもらってるのに。その2人ともが事実誤認をしてたっていう…ね。

au公式サポートが事実誤認をしていた

Image:au

せっかくなので、もう少し詳しく伺ってみました。

au非契約者(UQ mobile・povoも含む)向けに、ウォッチナンバープランの契約を承っているのはKDDI直営店のみとなっています。これはau公式サイトにも記載があります。

そういった限定された店舗でのみの対応となるため、auのサポート(電話やチャットサポート等)では、「ここではお答えしかねるので、KDDI直営店で伺ってください」のようなニュアンスで回答することになっているそうです。

ところが、今回の私の件では、auサポートが誤った情報(= 『自分用に設定』でもウォッチナンバーが契約できる旨)をユーザーに伝えてしまっていた、というわけなのでした。

au公式サポートが事実誤認をしているというのは、かなりクリティカルな問題です。なので、サポートセンターの一部の方が誤った情報を“公式回答”として流してしまっていることについて、直営店の担当者には訂正と改善をお願いしておきました。ですので、今後はこのようなことはないと思われます。

『自分用に設定』だと設定不可な理由

どうして、Apple Watchを『自分用に設定』にすると、ウォッチナンバーの設定が失敗するのか。

これについて詳しく伺ったところ、

  • ウォッチナンバーの設定はApple Watch単体では不可能
  • ウォッチナンバーの設定にはiPhone側にau回線SIMが必要

…この2点が深く関わっていることが分かりました。

そして、そもそも『自分用に設定』にすると、設定できないその理由について。

それは、Apple WatchのeSIMに直接au回線の情報(ウォッチナンバープランの情報)を書き込むわけではなく、一旦はiPhoneを踏み台にし、そこを経由してApple Watchに情報を書き込む必要があり、その書き込み段階の手前でエラーが生じるから。…ということだそうです。

さらにややこしいことに、au契約者とau非契約者でのウォッチナンバーの内部仕様は同じではないそう。ここからも、かなり複雑なシステムであることが分かります。

ウォッチナンバー用eSIMの構造

これは興味がある人向けの話になるのですが、せっかくなので、ウォッチナンバー用eSIMの書き込み構造を説明しておきます。

ウォッチナンバー用eSIMの構造

■ウォッチナンバーの設定に必要なもの

▼au契約者

  • Apple Watchに書き込むeSIM情報(ウォッチナンバー用)
  • 自前のau回線のSIM

▼au非契約者

  • Apple Watchに書き込むeSIM情報(ウォッチナンバー用)
  • auが用意する一時的なau回線のSIM(Apple Watch設定用)

ウォッチナンバー単体で契約できるとは言っても、前述のとおり、踏み台となるiPhoneが必要になります。そして、そのiPhoneには、au回線のSIMが挿さっている必要があります。ただ、au非契約者にはそんなSIMはありません。なので、ウォッチナンバー設定時に、auが用意したSIMをiPhoneに挿した、というわけなのです。

なぜこんな手間が必要かと言うと、iPhoneに挿入しているau回線の4桁の暗証番号が、Apple Watchでウォッチナンバーを使えるようにするために必須だからだそうです。おそらく、これがアクティベーションのキーなのでしょう。

そして、Apple Watchを『自分用に設定』にしてペアリングをしていると、そのアクティベーションが何らかの理由で失敗するというわけなのです。なお、なぜ失敗するかは「分からない」とのことでした。

さたえり

や、ややこしすぎる……。

二条ねこ

他社回線ユーザーにも提供してしまった弊害ですな。

まとめ「自分用としてのウォッチナンバーは無理」

自分用としてのウォッチナンバーは無理

au非契約者が、Apple Watchを『自分用に設定』にしてペアリングした状態だと、ウォッチナンバープランのeSIM設定に失敗するから申し込めません。…これが検証結果です。

なので、Apple Watchを“自分用”に使いたい場合は、MVNOやサブブランドを諦めて、素直にdocomoauSoftBankのいずれかに乗り換える必要があります。もちろん、普通の使い方でのウォッチナンバープランの契約は可能なので間違えないように。

あと、au公式サポートが事実誤認していた件ですが、この手の情報自体がKDDI直営店の一部の人間(全国でも数十人程度)しか知られていないそうです。ですので、ウォッチナンバープランについては、KDDI直営店の担当者に伺いましょう。

二条ねこ

かなり時間を使ったのに収穫ナシあーる。

この記事で紹介したガジェット

おまけ

二条ねこ

au公式サポートが“公式”なのに、一切信用できなくなってしまった……。

まの

そうなりますよね。

さたえり

これって、人によってはかなり怒りそうな案件やんね。

二条ねこ

ちょっとこれは…ねー。

おわり