- MVNO民がウォッチナンバー単体契約に挑戦!
- ウォッチナンバーの仕様は非常に複雑だった!
- 正確な情報はauでも一部の人間しか知らない!
“auサポが事実誤認していた”
au回線未契約でも、『ウォッチナンバー』プラン単体で契約できるようになったので、MVNO民がApple Watchセルラー版を『自分用に設定』状態で持ち込んで、KDDI直営店で契約を試みました。本稿はその検証レポートです。
以前にauのサポートで教えてもらった方法ですね?
これで白黒ハッキリするわけやね!
目次
はじめに
本稿は『MVNO契約者がApple Watchセルラー版を使うハック(ウォッチナンバー)』の記事内で、au公式サポートで教えてもらった方法を実際に試みた検証記事になります。なので、先にこの記事から読んでみてください。
本稿の目的
MVNOユーザー(au回線未契約)が、Apple Watchセルラー版を『自分用に設定』状態でiPhoneとペアリングしている場合、ちゃんとウォッチナンバープランが単体契約できるのか。…これを検証するのが本稿の目的です。
auが提供しているウォッチナンバープランは、公式にはApple Watch側を『ファミリーメンバー用に設定』状態にして、申し込みを行うことになっています。つまり、Appleのファミリー共有設定機能の利用を前提としています。
ところが、Apple Watchを『ファミリーメンバー用に設定』状態でiPhoneとペアリングすると、個人利用においてはまったく使い物になりません(各種機能が利用不可になる)。なので、個人利用では『自分用に設定』でペアリングするのが定石です。
ウォッチナンバープランはファミリー共有設定を前提としたもの。ただ、ファミリー共有設定は使いたくない(自分用に設定で使いたい)。このミスマッチを解消できるのか、ここが本検証のキモになってきます。
ウォッチナンバープラン単体契約の概要
ウォッチナンバー | |
---|---|
月額基本料金 | 385円/月(税込) |
電話番号 | Apple Watch専用の電話番号を発行 |
契約可否 | 他社回線ユーザーでも契約可能 |
契約申込 | KDDI直営店に持込 |
メインデバイス | iPhone 13/13 mini/13 Pro/13 Pro Max iPhone 12/12 mini/12 Pro/12 Pro Max iPhone 11/11 Pro/11 Pro Max iPhone X/XS/XS Max/XR iPhone 8/8 Plus iPhone 7/7 Plus iPhone 6s/6s Plus iPhone SE 1/SE 2 |
サブデバイス | Apple Watch Series 7 Apple Watch Series 6 Apple Watch Series 5 Apple Watch Series 4 Apple Watch SE |
ウォッチナンバープランの概要(au非契約者で単体契約する場合)
※ユニバーサルサービス料と電話リレーサービス料が別途発生
auではApple Watch用のeSIMプランとして、『ナンバーシェア』と『ウォッチナンバー』が用意されています。
このうち、auのスマートフォン用回線(例:使い放題MAX)を契約していないユーザーでも単体契約が可能なのは、今回の『ウォッチナンバー』のみになります。つまり、MVNOユーザーはナンバーシェアは契約できません。
このウォッチナンバープランは、Apple『ファミリー共有設定』の利用を前提としてものとなっており、iPhoneを持っていない家族(子どもや高齢者など)に向けたサービスとなっています。端的に言うと、キッズケータイのApple Watch版プラン、といった感じです。
ここで重要なのが、そもそもウォッチナンバープランは“誰かに持たせるためのプラン”であって、自分ひとりで使うプランではないことですなっ!
au的には想定されていない使い方をしようとしている、ということですね?
そういうことあーる。
実際にウォッチナンバーを申し込んだ
■持参したもの
▼iPhone
- iPhone 13 Pro(povo回線)
- iPhone 12 Pro Max(MVNO回線)
- iPhone SE 2nd Gen(UQ mobile回線)
▼Apple Watch
- Apple Watch Series 7(GPS + Cellularモデル)
▼その他
- 契約に必要な身分証等
そういうわけで、検証も兼ねて、実際にau Style(KDDI直営店)にウォッチナンバープランを契約しに行ったぞー!
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Apple Watchの初期設定をする際に、
- 自分用に設定(自分ひとりで使う場合)
- ファミリーメンバー用に設定(家族に持たせる場合)
という選択肢が出てくるので、ここで自分用に設定を選択して、iPhoneとのペアリングを済ませておきます。
Apple Watch側を自分用に設定しておくことにより、『ファミリー共有設定』でのペアリングを回避させる狙いです。
本来は、Apple Watchの初期設定時にファミリーメンバー用に設定を選択して、iPhoneとペアリングを行い、『ファミリー共有設定』の設定をする必要があります。
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Apple Watchに搭載されているeSIMに、au回線の情報(ウォッチナンバープラン)を書き込むわけですが、その前に、au側が用意したSIMカードを持参のiPhone(SIMロックフリー)に挿入します。
どうして、iPhone側のSIMを入れ替える必要があるのか。これにはかなりややこしい仕様が絡んできます。なので、解説は後述するとして、ここではそのまま進めます。
実はこのSIMがトラップなのでして……。
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あとはiPhone側でモバイル通信設定を行なって、Apple Watch側のeSIMに情報を書き込むだけ。これでウォッチナンバーの申し込みが完了。
…なのですが、設定が一向に進みません。
事前にau公式サポートから伺っていた内容だと、この申し込みフローで通るはず。なのに、Apple Watchを設定するためのiPhone側そのものがエラーを吐いてしまい、そもそもApple WatchのeSIMに情報を書き込むことすらできませんでした。
あれ?話が違うやん!
かなり雲行きが怪しくなってきましたわね……。
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検証の結果、Apple Watchを『自分用に設定』にし、iPhoneとペアリングした状態では、ウォッチナンバープランのeSIMの設定すら行えませんでした。つまり、“失敗”です。
えっ?なんでーー!?
au公式サポートの言ってることと矛盾してるやんね。
au公式サポートが事実誤認をしていた
結局、Apple Watchを『自分用に設定』にしてiPhoneとペアリングした状態だと、そもそもApple Watch側のeSIMにウォッチナンバー用の回線情報を書き込めませんでした。
ちなみに、正規の方法(Apple Watchを『ファミリーメンバー用に設定』状態でペアリング)で申し込んだあと、ユーザーがあとから『自分用に設定』にすると使えないことも伺いました。つまり、残念ながら手詰まりです。
ただ、以前にau公式サポートに問い合わせたときの回答は「Apple Watchが『自分用に設定』状態でもウォッチナンバーは使えます」でした。そうです、この話と検証結果が噛み合っていない。
この件について、KDDI直営店の担当者に伺ったところ(サポート内容のスクリーンショットも一緒に見てもらった)、なんと…au公式のサポートが事実誤認をしていることが判明しました。
まさかのそんなオチ?
悪い意味でのウルトラCですわね……。
しかも、au公式サポートでは2人に回答してもらってるのに。その2人ともが事実誤認をしてたっていう…ね。
せっかくなので、もう少し詳しく伺ってみました。
au非契約者(UQ mobile・povoも含む)向けに、ウォッチナンバープランの契約を承っているのはKDDI直営店のみとなっています。これはau公式サイトにも記載があります。
そういった限定された店舗でのみの対応となるため、auのサポート(電話やチャットサポート等)では、「ここではお答えしかねるので、KDDI直営店で伺ってください」のようなニュアンスで回答することになっているそうです。
ところが、今回の私の件では、auサポートが誤った情報(= 『自分用に設定』でもウォッチナンバーが契約できる旨)をユーザーに伝えてしまっていた、というわけなのでした。
au公式サポートが事実誤認をしているというのは、かなりクリティカルな問題です。なので、サポートセンターの一部の方が誤った情報を“公式回答”として流してしまっていることについて、直営店の担当者には訂正と改善をお願いしておきました。ですので、今後はこのようなことはないと思われます。
『自分用に設定』だと設定不可な理由
どうして、Apple Watchを『自分用に設定』にすると、ウォッチナンバーの設定が失敗するのか。
これについて詳しく伺ったところ、
- ウォッチナンバーの設定はApple Watch単体では不可能
- ウォッチナンバーの設定にはiPhone側にau回線SIMが必要
…この2点が深く関わっていることが分かりました。
そして、そもそも『自分用に設定』にすると、設定できないその理由について。
それは、Apple WatchのeSIMに直接au回線の情報(ウォッチナンバープランの情報)を書き込むわけではなく、一旦はiPhoneを踏み台にし、そこを経由してApple Watchに情報を書き込む必要があり、その書き込み段階の手前でエラーが生じるから。…ということだそうです。
さらにややこしいことに、au契約者とau非契約者でのウォッチナンバーの内部仕様は同じではないそう。ここからも、かなり複雑なシステムであることが分かります。
ウォッチナンバー用eSIMの構造
これは興味がある人向けの話になるのですが、せっかくなので、ウォッチナンバー用eSIMの書き込み構造を説明しておきます。
■ウォッチナンバーの設定に必要なもの
▼au契約者
- Apple Watchに書き込むeSIM情報(ウォッチナンバー用)
- 自前のau回線のSIM
▼au非契約者
- Apple Watchに書き込むeSIM情報(ウォッチナンバー用)
- auが用意する一時的なau回線のSIM(Apple Watch設定用)
ウォッチナンバー単体で契約できるとは言っても、前述のとおり、踏み台となるiPhoneが必要になります。そして、そのiPhoneには、au回線のSIMが挿さっている必要があります。ただ、au非契約者にはそんなSIMはありません。なので、ウォッチナンバー設定時に、auが用意したSIMをiPhoneに挿した、というわけなのです。
なぜこんな手間が必要かと言うと、iPhoneに挿入しているau回線の4桁の暗証番号が、Apple Watchでウォッチナンバーを使えるようにするために必須だからだそうです。おそらく、これがアクティベーションのキーなのでしょう。
そして、Apple Watchを『自分用に設定』にしてペアリングをしていると、そのアクティベーションが何らかの理由で失敗するというわけなのです。なお、なぜ失敗するかは「分からない」とのことでした。
や、ややこしすぎる……。
他社回線ユーザーにも提供してしまった弊害ですな。
まとめ「自分用としてのウォッチナンバーは無理」
au非契約者が、Apple Watchを『自分用に設定』にしてペアリングした状態だと、ウォッチナンバープランのeSIM設定に失敗するから申し込めません。…これが検証結果です。
なので、Apple Watchを“自分用”に使いたい場合は、MVNOやサブブランドを諦めて、素直にdocomo・au・SoftBankのいずれかに乗り換える必要があります。もちろん、普通の使い方でのウォッチナンバープランの契約は可能なので間違えないように。
あと、au公式サポートが事実誤認していた件ですが、この手の情報自体がKDDI直営店の一部の人間(全国でも数十人程度)しか知られていないそうです。ですので、ウォッチナンバープランについては、KDDI直営店の担当者に伺いましょう。
かなり時間を使ったのに収穫ナシあーる。
おまけ
au公式サポートが“公式”なのに、一切信用できなくなってしまった……。
そうなりますよね。
これって、人によってはかなり怒りそうな案件やんね。
ちょっとこれは…ねー。
おわり
…で、果たして使えるのか!?