- Surface Proの7とXをスペックを比較!
- 細かい仕様の違いも比較!
- XのARMアーキテクチャとOSは人を選ぶ!
Pro 7は正統派。Pro Xは変態。
ARMベースの『Surface Pro X』の日本での発売日が、2020年1月に決まった。ちと“待ち”な状態になったわけだが、この間にSurface Pro 7と比較して、何が違って、何が問題かを真面目に考えるぞ。


犬…というか、名前的に“猫”やね。

おおー!天才だーー!
目次
2つのSurface Pro

今年、MicrosoftのSurface Proシリーズが、
- Surface Pro 7
- Surface Pro X
という2つに分離した!
新しいもの好き的には、『Surface Pro X』をポチりたくなるはず。
ただ、Microsoftの中の人と話していくうちに、アレコレと思うことが出てきた。そこで、どこがどう違って、どっちにすべきかを再確認してみます。

Pro Xの発売日まで時間があるし、落ち着いて真面目に考えるぞー!
スペック比較
まずは、定番中の定番から。
Surface Pro 7とSurface Pro Xのスペック比較を、以下のような表にしてまとめてみました。適当にご査収をどんぞい。
Surface Pro 7 | Surface Pro X | |
OS | Windows 10 | Windows 10 |
CPU | Intel Core i3-1005G1 Intel Core i5-1035G4 Intel Core i7-1065G7 |
Microsoft SQ1 |
GPU | Intel UHD(i3) Intel Iris Plus 640(i5・i7) |
Adreno 685 |
RAM | 4GB(LPDDR4) 8GB(LPDDR4) 16GB(LPDDR4) |
8GB(LPDDR4) 16GB(LPDDR4) |
ROM | 128GB(NVMe SSD) 256GB(NVMe SSD) 512GB(NVMe SSD) 1TB(NVMe SSD) |
128GB(NVMe SSD) 256GB(NVMe SSD) 512GB(NVMe SSD) |
画面サイズ | 12.3″(3:2) | 13″(3:2) |
画面解像度 | 2,736×1,824 | 2,880×1,920 |
カメラ | フロント:5.0MP リア:8.0MP |
フロント:5.0MP リア:10.0MP |
Wi-Fi | Wi-Fi 6(ax) | Wi-Fi 5(ac) |
Bluetooth | 5.0 | 5.0 |
LTE | - | ○ |
タッチパネル | 10点マルチタッチ | 10点マルチタッチ |
デジタイザーペン | Surface Pen | Surface Slim Pen |
I/O | USB-A USB-C Surface Connect 3.5mmステレオミニ Type Cover Pogo pin microSDカードリーダー |
USB-C ×2 Surface Connect Type Cover Pogo pin nanoSIM |
バッテリー | 最大10.5時間 | 最大13時間 |
本体サイズ | 292×201×8.5mm | 287×208×7.3mm |
質量 | 0.775kg(i3・i5) 0.790kg(i7) |
約774g |
Surface Pro 7とSurface Pro Xのスペック比較表。
うんうん、似ているようで似ていない。
単純にSurface Pro 7のCPU(SoC)を、ARMアーキテクチャに差し替えたのがSurface Pro Xというわけではなさそう。
細かな違いの比較
■Surface Pro 7とXの違い
- CPU:Intel製とMicrosoft製
- ディスプレイ:画面サイズと画面解像度の差異
- カメラ:背面画素数
- Wi-Fi:Wi-Fi 6とWi-Fi 5
- LTE:モバイル通信モジュールの有無
- デジタイザーペン:Surface Penの種類
- I/O:イヤホン端子の有無とUSBポート
RAMやSSDの搭載容量を入れるとキリがないので、ユーザーが気になるであろう違いのポイントだけピックアップしてみました。逆に考えると、それだけでもこれだけ違うということです。
CPU:Intel製とMicrosoft製

■Surface Pro 7
- CPU型番:
- Intel Core i3-1005G1(2コア・4スレッド)
- Intel Core i5-1035G4(4コア・8スレッド)
- Intel Core i7-1065G7(2コア・4スレッド)
- アーキテクチャ:CISC(x86)
■Surface Pro X
- CPU型番:
- Microsoft SQ1(4コア+4コア)
- アーキテクチャ:RISC(ARM)
Surface Pro 7とSurface Pro Xの最大の違いは、搭載されているCPU(SoC)だろう。
Pro 7には、従来のSurface Proラインを引き継ぐIntel製のCoreプロセッサーCPUが搭載されている。つまり、x86系アーキテクチャ。
Pro Xには、MicrosoftがQualcommと共同開発したCPU『Microsoft SQ1』というCPUが搭載されている。つまり、ARM系アーキテクチャ。

これについては、あとでガッツリ掘り下げていくぞっ!
ディスプレイ:画面サイズと画面解像度の差異

■Surface Pro 7
- 画面サイズ:12.3″
- アスペクト比:3:2
- 画面解像度:2,736×1,824
■Surface Pro X
- 画面サイズ:13″
- アスペクト比:3:2
- 画面解像度:2,880×1,920
ディスプレイを比較すると、Surface Pro Xのほうが少しだけ画面が大きく、解像度も高いことが分かる。ただ、本体サイズはそこまで変化していないので、単純にPro Xのほうがベゼルレスデザインという感じ。
カメラ:背面画素数

■Surface Pro 7
- フロント:5.0MP
- リア:8.0MP
■Surface Pro X
- フロント:5.0MP
- リア:10.0MP
カメラに関しては、若干ではあるがSurface Pro Xのほうが高画素になっている。とはいえ、ここを重視するユーザーはきっと少ないはず。
Wi-Fi:Wi-Fi 6とWi-Fi 5

■Surface Pro 7
- Wi-Fi規格:Wi-Fi 6(ax)
■Surface Pro X
- Wi-Fi規格:Wi-Fi 5(ac)
個人的に気になるポイントなのだが、なぜかSurface Pro XはWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)には対応していない。Pro 7はWi-Fi 6対応なのに、こっちはWi-Fi 5という謎。
Wi-Fi 5からWi-Fi 6では、大きなブレイクスルーが行っている。なので、Pro XがWi-Fi 5止まりなのには、正直ガッカリ。
LTE:モバイル通信モジュールの有無

■Surface Pro 7
- LTEモジュール:非搭載
■Surface Pro X
- LTEモジュール:搭載
- 搭載SIM:eSIM・nanoSIM
- 対応バンド:1, 2, 3, 4, 5, 7, 8, 12, 13, 14, 19, 20, 25, 26, 28, 29, 30, 38, 39, 40, 41, 46, 66
LTE、つまりモバイルでの通信に関しては、Surface Pro Xの圧勝。
これはそもそもの設計思想の違いから来ているので、本来は勝ち負けというよりかは、PCライクかスマホライクかという感じで思うほうがよさそう。
デジタイザーペン:Surface Penの種類

■Surface Pro 7
- デジタイザーペン:Surface Pen
- バッテリー:単6形乾電池(AAAA)
■Surface Pro X
- デジタイザーペン:Surface Slim Pen
- バッテリー:内蔵型
こうやって並べてしまうと、Pro 7ではSurface Pro Xが使えず、Pro XではSurface Penが使えないような気がするが、実際はどっちも使えるそう。つまり、デジタイザーペンには互換性が保たれています。
なお、新しい『Surface Slim Pen』では、USB Type-Cからの充電に対応しており、専用のケースか、Surface Pro X本体からワイヤレス充電できる仕組みになっている。

つまり、Surface Slim Penが上位互換な気がしますわね。

正確なスペックとかペンプロトコルが未確定だからなんとも〜だけど、同スペックならそうなるよねー。
I/O:イヤホン端子の有無とUSBポート

■Surface Pro 7
- 3.5mmステレオミニ:搭載
- USB:USB Type-A・USB Type-C
■Surface Pro X
- 3.5mmステレオミニ:非搭載
- USB:USB Type-C ×2
Surface Pro 7になり、ようやく待望の『USB Type-C』が搭載された。もちろん、Surface Pro XもUSB Type-C搭載。しかも、こっちは2ポート。ただし、USB Type-Aポートはオミットされた。
オミット関連だと、実はSurface Pro Xには3.5mmステレオミニ、つまりイヤホン端子がない。つまり、音楽を聞くなら、BluetoothイヤホンかUSB Type-Cから変換して使えということのよう。
問題はx86とARMとアプリの互換性
Surface Pro 7とSurface Pro Xで採用されているCPUが異なる。もっと言うと、アーキテクチャが異なっている。そう、これこそ問題点なのです。
Microsoft SQ1 = ARMアーキテクチャ
#MicrosoftEvent Live - YouTube
Microsoft Eventで、Adobe Frescoというドローイングアプリのデモがありました。そう、Surface Pro Xはクリエイティビティなデバイスなのでしょう。
ただ、Surface Pro Xの搭載CPUは、Qualcommと共同開発した『Microsoft SQ1』というARMアーキテクチャのもの。RISCやらCISCやらは置いておくとして、ずーっとWindowsで使われてきたx86系ではないのです。あ、Windows RT……。

x86系のCPUじゃないってことはー?

あ、アプリの互換性問題が出てきますわね。

そういうことなんだよー。
たぶん、iPad Pro的なクリエイティビティなタブレットだと思うけど、何だか嫌な予感しかしないんだよね…。
ライバルは同じARM SoC搭載のiPad Pro
個人的には、Surface Pro XはMacBookの競合ではなく、iPad Proのそれだと思っています。
iPad ProもARM系CPUで、従来のmacOSのアプリは動きません。Project Catalystなるものもありますが、基本的には“別物”です。ただ、iPadOSには潤沢なアプリの資産があるわけです。
しかし、ARM版Windowsには、iPadOSのようなアプリ資産はないでしょう。Windows RTでコケてますし、Windowsを使うユーザーの大半は、x86で動くアプリ目的ですし。それこそ問題なわけです。
ARMとx86 64bitアプリケーション
64 ビット (x64) のアプリは動作しません。 64ビット (ARM64) アプリ、32ビット (ARM32) アプリ、または32ビット (x86) アプリが必要です。 通常は、32ビット (x86) バージョンのアプリが見つかりますが、一部のアプリ開発者は、64ビット (x64) アプリのみを提供します。
世間的に、Windowsにしても、macOSにしても、はたまたモバイルOSにしても、32bitアプリケーションを切り捨てる方向性に来ています。それを踏まえて、上記の公式文章を見ると…Windows RTの悪夢が蘇ってきたり。
x86アーキテクチャ | ARMアーキテクチャ | |||
64bit | 32bit | 64bit | 32bit | |
動作 | - | ○ | ○ | ○ |
Surface Pro Xのアプリ動作対応状況。
結局のところ、Surface Pro Xの動作アプリについて、上表のような対応状況になってきます。
x86系の32bitアプリに関しては、Windows On ARM(WOA)というエミュレーションにより、動作の互換性が取られている。ただ、それは64bitアプリにはない。つまり、64bitはSurface Pro Xでは動かないということ。
そこで最初の問題に戻る。
時流は64bitアプリで、特にAdobe系のアプリなんかは32bitアプリをガッツリ切り捨てにかかっている。となると、Surface Pro Xは…誰向けなのか。実はクリエイティビティにはどうなのか。そういう疑問点と問題点が出てくるわけです。
もちろん、Adobeやその他のデベロッパーが、ARM版Windowsに合わせてアプリをスクラッチしてくる可能性もある。ただ、それを望んで勇んで購入するのは、ちょっと危険かもしれない。

特にAdobeに関しては、次期メジャーアップデートで32bit全切り捨てって言ってるからねー。

RTの悪夢再びってならないといいんやけどね…。
Surface Pro 7/Xの分類
これらを踏まえて、Surface Pro 7とSurface Pro Xの分類を考えてみました。
無難なSurface Pro 7

比較して分かるように、変にPro Xに手を出すよりかは、Surface Pro 7にするのはベターでしょう。目新しさには欠けても…です。

USB Type-Cも搭載されたし、普通にこっちでいいんだよねー。
変態はSurface Pro X

問題点で指摘したように、「x86アーキテクチャ用の64bitアプリなんて知らねぇぜ!」という“漢”なギークだけ、Surface Pro Xを買う権利が得られるわけです。それくらい変態度が高いっていうことですな。

オプーナ(Pro X)を買う権利をやろうっ!(キリッ)
まとめ「Pro “X”なのにx86な64bitが動かない…だと!?」

Surface Pro 7とSurface Pro Xの比較総括をすると、
Surface Pro Xではx86系64bitアプリが動かない
という、何やら雲行きの怪しい結論に至りました。
Surface Pro XがMicrosoft Storeアプリ専用機にならないためには、Microsoftの営業力とサードの努力が必要不可欠。ほんと、Adobeの動向も気になるところで…。

発売日まで様子見は正解かもだねー。うむー。
おまけ

Microsoft SQ1のスペックがどうのこうのより、x86互換の64bitアプリケーションがねー。

今の時代、x86互換の32bitアプリがどれだけ残っているかですわね。

まだまだ多いけど、サポートコストを考えると減ってはくるだろうねー。そうなってくると、やっぱRT……。うぐぅ…。

RTが言ってはいけない言葉化してるやんね…。
おわり
パブロフの犬的にARMなWindowsが欲しくなるっ!