- 楽天モバイルの「値上げ改悪」呼ばわりを考える!
- 長期的に見れば“0円廃止”は元に戻っただけ!
- “容量無制限・月額3,278円”こそ死守してほしい!
— 下限よりも上限が重要 —
楽天モバイルが新料金プラン『Rakuten UN-LIMIT VII』を発表し、“1GB以下・月額0円”が廃止となる。それにより、「値上げ」や「改悪」と言われてますが、本当に重要なのは“容量無制限・月額3,278円”が堅持されるか、ではないか。…という話。
そもそも、『Rakuten UN-LIMIT V』以前は、一律で“月額3,278円”でしたものね。
椀飯振舞して契約者数を急増させたのも、総務省へのプラチナバンド獲得の働きかけが関連してると思うんやけど…こういう動きをされると不安な面も出てくるやんね。
目次
楽天モバイルの歴代料金プラン
まずは、全体像を掴むためにも、『楽天モバイル』が提供している(提供してきた)料金プランについて見ていきます。
| Rakuten UN-LIMIT VII |
Rakuten UN-LIMIT VI |
Rakuten UN-LIMIT V |
Rakuten UN-LIMIT 2.0 |
Rakuten UN-LIMIT |
|
---|---|---|---|---|---|---|
データ基本容量 | 無制限 | 無制限 | 無制限 | 無制限 | 無制限 | |
月額基本料金 | 20GB超過 | 3,278円/月 | 3,278円/月 | 3,278円/月 | 3,278円/月 | 3,278円/月 |
20GB以下 | 2,178円/月 | 2,178円/月 | 3,278円/月 | 3,278円/月 | 3,278円/月 | |
3GB以下 | 1,078円/月 | 1,078円/月 | 3,278円/月 | 3,278円/月 | 3,278円/月 | |
1GB以下 | 1,078円/月 | 0円/月 (1回線目のみ) |
3,278円/月 | 3,278円/月 | 3,278円/月 | |
ネットワーク | 5G Sub6/mmWave 4G LTE |
5G Sub6/mmWave 4G LTE |
5G Sub6/mmWave 4G LTE |
4G LTE | 4G LTE | |
提供開始日 | 2022年7月1日 | 2021年4月1日 | 2020年9月30日 | 2020年4月8日 | (プレビュー版) |
歴代『Rakuten UN-LIMIT』比較[*1]
楽天モバイルというのは、“ワンプラン”というスタイルを貫いており、『Rakuten UN-LIMIT』という1つの料金プランしか存在しておりません。また、同社の料金プラン『Rakuten UN-LIMIT』は、不可逆的なバージョンアップが行われております。
そのため、『Rakuten UN-LIMIT VII』がサービスインされれば、自動的に『Rakuten UN-LIMIT VI』はクローズされることになります。今後、楽天モバイルが方針転換しない限り、その次も然りです。
楽天モバイルの値上げと改悪
UN-LIMIT VIとの比較:値上げ
| Rakuten UN-LIMIT VII |
Rakuten UN-LIMIT VI |
|
---|---|---|---|
データ基本容量 | 無制限 | 無制限 | |
月額基本料金 | 20GB超過 | 3,278円/月 | 3,278円/月 |
20GB以下 | 2,178円/月 | 2,178円/月 | |
3GB以下 | 1,078円/月 | 1,078円/月 | |
1GB以下 | 1,078円/月 | 0円/月 (1回線目のみ) |
UN-LIMIT VII vs UN-LIMIT VI [*2]
新料金プラン『Rakuten UN-LIMIT VII』になり、いくつか改善されたサービスはあるものの、“1GB以下・月額0円”のインパクトが非常に強いため、ユーザーが「値上げ」「改悪」と言いたくなるのも無理がありません。
当然、「サービスを持続させるためには仕方ない」という理解ある声もあるでしょう。しかし、一度値下げした価格を値上げする行為そのものが、やはり消費者の反発を招く悪手だったことは言うまでもありません。それだけ“値上げ”に抵抗感があるわけです。
もし仮に、あらかじめ楽天モバイル側は「“1GB以下・月額0円”は期間限定キャンペーンですよ」と言っていたとしても、このオチは一緒だった気がします。キャンペーンだろうが、何であろうが、消費者からすれば、結局のところ値上げ以外の何物でもないからです。
“値上げ”という言葉に過剰反応する感はありますわね。
だから、価格は据え置きにして内容量を減らす、いわゆる『ステルス値上げ』が横行するわけやね。
いずれにせよ、楽天モバイル側が消費者マインドをどう見積もっていたかですな。
わたし的には、「改悪」呼ばわりは織り込み済みで、ユーザー離脱の反発があっても強行したかったと思ってるけどねー。無料枠ユーザー“だけ”、上手に縁切りできるわけだし。
UN-LIMIT V以前と比較:値下げ
| Rakuten UN-LIMIT VII |
Rakuten UN-LIMIT V |
|
---|---|---|---|
データ基本容量 | 無制限 | 無制限 | |
月額基本料金 | 20GB超過 | 3,278円/月 | 3,278円/月 |
20GB以下 | 2,178円/月 | 3,278円/月 | |
3GB以下 | 1,078円/月 | 3,278円/月 | |
1GB以下 | 1,078円/月 | 3,278円/月 |
UN-LIMIT VII vs UN-LIMIT V [*3]
そんな新料金プラン『Rakuten UN-LIMIT VII』ですが、確かに『Rakuten UN-LIMIT VI』と比較すれば改悪となりがちですが、さらに1つ前の『Rakuten UN-LIMIT V』と比較すると話は変わってきます。
『Rakuten UN-LIMIT V』時代は、ユーザーが何GB使おうが、一律で“容量無制限・月額3,278円”という料金体系でした。現在のように従量課金制(っぽく)なったのは、『Rakuten UN-LIMIT VI』からです。
楽天モバイル側が無料キャンペーンを長期的に実施していたため、厳密に何円払ったかという料金比較は難しいところはあります。ただ、単純な料金プラン比較とするならば、『Rakuten UN-LIMIT VII』は『Rakuten UN-LIMIT V』と比べると“値下げ”されているのです。
言われてみれば…そうですわね。
てか、2つ前(Rakuten UN-LIMIT V)とか3つ前(Rakuten UN-LIMIT 2.0)と比べないやんね。
…そう!そこなのであーる!!
“ワンプラン”こその悩みの種
楽天モバイルのアイデンティティである『ワンプラン』、このコンセプトがあることにより、「値上げ」や「改悪」という声が大きくなっている気がしています。
ユーザーも楽天モバイル自身も、料金プランの比較対象とするのは、直前ないしは現行のものとなってきます。これは至極当然のこと。わざわざ、さらに前のプランと比較するなんて、あえてな事情がない限りやらないでしょう。
他の携帯キャリアのように、A・B・C、と同じ時間軸に並行して料金プランが存在しているのであれば、そのすべてが比較対象としてテーブルに上がってきます。なので、おのずとユーザーも、「全通り比較しよう」というマインドになってくるわけです(一番安いプランを知りたいから)。
ところが、楽天モバイルの『Rakuten UN-LIMITシリーズ』は、A・A′・A″、というように時間軸が垂直的、かつ不可逆的に変化している料金プランです。
ですので、A″(UN-LIMIT VII)とA′(UN-LIMIT VI)を比較することはあっても、A″(UN-LIMIT VII)とA(UN-LIMIT V)を比較することは、特別な事情がやらない限りしないというロジックになる。なぜなら、存在しないものと比較しても無意味だからです。
もっと極論を言ってしまえば、『Rakuten UN-LIMITシリーズ』は不可逆的な料金プランなので、比較してどうなる問題でもありません。ユーザーが選択するのは、A・A′・A″からプランを選ぶことではなく、“契約し続けるか”・“解約するか”の二択しかないわけです。
とどのつまり、『ワンプラン』というコンセプトだからこそ、比較対象や選択肢が少なく、改善・改悪が明示的になりやすい。その結果、「値上げ」や「改悪」と言われる可能性が高くなってしまう、というわけなのです。ですなの。
楽天モバイルの肩を持つ気はないけど、最初から0円なんてしなかったら良かった気がするんだよねー。
値上げは反発が大きい、という論からすればそうなりますわね。
ただ、『Rakuten UN-LIMIT V』以前のような、“容量無制限・月額3,278円”オンリーで他キャリアと戦うとなると、契約者数も伸び悩むし、その結果として総務省への影響力も下がるし……難しいところですな。
いずれにせよ、『Rakuten UN-LIMIT VII』での“1GB以下・月額0円”廃止が、今後のキーポイントになってくるやんね。キャンペーンもなくなるし。
それは間違いない気がするーる。
重要なのは下限よりも上限
散々言ってきましたが、いち楽天モバイルユーザーからすれば、“1GB以下・月額0円”はわりとどうでもよかったりします。
…え!?
そんなことより気がかりなのは、“容量無制限・月額3,278円”という上限を堅持してくれるのか。これに尽きるのです。
言われてみれば……。
そうかもしれませんわね。
これまで話してきたとおり、単位データ容量あたりの利用料金が値下がりしたことはあっても、“容量無制限・月額3,278円”という上限については、一貫して守られています。
楽天モバイルが赤字——なんて話もあるので、個人的には“容量無制限・月額3,278円”こそ、楽天モバイルの最終防衛ラインだと思って見ているわけです。
件の『Rakuten UN-LIMIT VII』サービスインにより、楽天モバイルを契約しているユーザーのすべてが課金対象となるわけなので、ここからは黒字転換に向かっていくとは推測できます。ただ、その転換するスピードが、同社が思っているよりも遅かったら、基地局整備や電波オークション(実施されれば)で莫大なコストが発生してしまったら、……どうなのでしょうか。
同社のシミュレーションによると、2023年には他キャリアを超える周波数帯の逼迫が生じるとのこと。(Source:総務省)
楽天モバイルの魅力は、“1GB以下・月額0円”ではなく、“容量無制限・月額3,278円”だと感じているので、ここが崩れてしまったら、そのときこそ他キャリアへのユーザー大量流出が生じると予測しています。
容量無制限だけど月額5,000円とかだったら、「大安定のdocomoでいいじゃん」ってなるからねー。
それは理解しているでしょうから、どうなるかは他キャリア次第な気もしますがね。
まとめ「上限金額が変わったときが真の改悪」
言いたかったのは、「下限金額が改悪されることよりも、上限金額が変更されて改悪となるほうが痛い」ということ。
過去の歴史から、“1GB以下・月額0円”が未来永劫続くなんて最初から思っていなかったので、そこに関しては「値上げ」とは思うことはありますが、特段「改悪」とは思ったりしません。
ただし、“容量無制限・月額3,278円”という上限金額が変わったら、それは話が別だというわけでして。
Apple Watchセルラーも対応したから、今のところは満足度が高いんだけどねー。
おまけ
もちろん、この話はdocomo・au・SoftBankも一緒あーる。
とりあえず、カルテル的なことはやめてほしいですね。
うむ、ほんとそれよさ。
市場原理に基づいた適切な価格競争が起こってほしいやんね。その結果の値上げなら、やむを得ないわけやし。
おわり
*1ユニバーサルサービス料/電話リレーサービス料別・各種割引未適用時の税込表記・日本国内で利用の場合↩
*2ユニバーサルサービス料/電話リレーサービス料別・各種割引未適用時の税込表記・日本国内で利用の場合↩
*3ユニバーサルサービス料/電話リレーサービス料別・各種割引未適用時の税込表記・日本国内で利用の場合↩
…なんだよね。