- Macの『低電力モード』の効果を実際に検証した!
- ブラウザでYouTube視聴する程度だと効果は弱い!
- ファンが全開するぐらい高負荷の作業なら効果的!
“効果は負荷次第”
macOS Montereyのエネルギーモード、『低電力モード』と『自動モード』でバッテリー消費量がどれだけ変わるのかを検証してみました。
気になるところですわね。
効果があるなら多用したいやんね。
目次
はじめに
本稿の目的
macOS Montereyには、『低電力モード』という機能が搭載されています。
その低電力モードの効果(= どれくらいバッテリー駆動時間を延ばせるのか)がどれくらいあるのか、これを検証していくのが本稿の目的になります。
『低電力モード』とは?
| 低電力モード | 自動モード | ハイパワーモード (高出力モード) |
パフォーマンス | 低 | 自動で最適化 | 高 |
バッテリー寿命 | 長 | 自動で最適化 | 短 |
macOS Montereyのエネルギーモード
※ハイパワーモード:16インチMacBook Pro(M1 Max)のみ対応
macOS Montereyのバッテリー環境設定には『エネルギーモード』というものがあり、その中のひとつに『低電力モード』という設定項目があります。
『システム環境性能』アプリ → バッテリー → バッテリー or 電源アダプタ
この『低電力モード』を有効にすると、電力使用量を減らしてバッテリー駆動時間を延ばすことができるようになっています。
なお、デフォルトでは自動で最適化する『自動モード』が有効になっています。そして、16インチMacBook Pro(M1 Max搭載モデル)にのみ、これらに加えて、高いパフォーマンスを発揮できる『ハイパワーモード(高出力モード)』が用意されています。
検証環境
検証機器 | 14インチMacBook Pro (Apple M1 Max 32-core GPU) |
|
設定 | ディスプレイ輝度 | 50% (輝度を自動調節:無効) |
キーボード輝度 | 0% | |
スピーカー音量 | 0% | |
True Tone | 無効 | |
リフレッシュレート | ProMotion | |
I/Oポート接続 | 接続機器なし |
検証環境
検証環境は上表のとおりで、バッテリー消費に影響がありそうな設定に関しては、固定もしくは無効にして実施していきます。
また、『低電力モード』の効果を見るための比較対象として、上表と同設定にして『自動モード』時のバッテリー消費量も測定します。
検証結果
検証を行ったので、検証内容の詳細とともに結果をどうぞっ!
【検証1】ブラウザ上で4K動画を同時再生
検証1つめは、ウェブブラウザ(Google Chrome)上で、YouTubeの4K動画を同時に4つのウィンドウで再生し、バッテリー消費量を測定します。
この検証では、バッテリーが100%の状態から開始し、バッテリーが50%になった時点で終了。 100% → 50% に減少するのに要した時間を記録しております。
| 低電力モード | 自動モード |
100% | 0:00:00 | 0:00:00 |
50% | 3:56:03 | 3:45:56 |
【検証1】の結果
【検証1】の結果は…微妙。
4K動画を一気に4画面で再生しているので、それなりに負荷がかかると思っていたのですが、実際には排熱ファンが回転している様子もありませんでした。(さすが、M1 Max)
そのような影響もあってか、【検証1】では『低電力モード』と『自動モード』のバッテリー消費量の差は微々たるものでした。
あれ?低電力モードって微妙やん!?
うーむ、これだけでは何とも言えませぬなー。
【検証2】3DMark Stress Testを3回ループ
検証2つめは、ベンチマークアプリケーション『3DMark』の『Wild Life Extreme Stress Test』を合計3回行い、そのバッテリー消費量を測定します。
この検証では、バッテリーが100%の状態から開始し、Wild Life Extreme Stress Testを1回行うごとに、そのバッテリー消費量を記録しております。
| 低電力モード | 自動モード |
初期値 | 100% | 100% |
1回目終了時 | 89% | 74% |
2回目終了時 | 71% | 41% |
3回目終了時 | 52% | 7% |
【検証2】の結果
【検証2】の結果は…効果バッチリ!
Wild Life Extreme “Stress” Testと謳っているとおり、ベンチマークを回している間、MacBook Pro自体の発熱量もファンの回転数も凄いことになっておりました。つまり、それだけ高負荷なテストだったというわけです。
それだけ負荷があったためだと思われるのですが、【検証2】では『低電力モード』と『自動モード』のバッテリー消費量の差には、かなり顕著なものがありました。
『自動モード』では3回目終了後にはバッテリー残量が7%しかありませんでしたが、『低電力モード』ではバッテリー残量が52%も残っています。単純計算でも1回あたり約3倍ほど、バッテリー消費を抑えられた計算です。
…来ましたわね。
これはなかなかの収穫だったかもっ!?
検証総括
- 低電力モード
- 3:56:03
- 自動モード
- 3:45:56
【検証1】(低負荷テスト)の結果
※数値が高いほど優秀
- 低電力モード
- 52%
- 自動モード
- 7%
【検証2】(高負荷テスト)の結果
※数値が高いほど優秀
今回の検証から分かったのが、
- 低負荷時:低電力モード ≧ 自動モード
- 高負荷時:低電力モード >>> 自動モード
…という、負荷によって低電力モードの効果が大きく変化するということ。
検証をする前段階で、低負荷時ではそこまで差が出ないことは想定していたのですが、高負荷時にここまで顕著な差が出たという点については驚き。これなら、電源が確保できない場合でのバッテリー延命措置に、この低電力モードは充分有効でしょう。
しかしながら、当然ですが、低電力モードを有効にするとバッテリー駆動時間が延びるぶん、パフォーマンスに関しては下がります。なので、使いどころは間違えないようにしたいところです。
補足
ベンチマークスコア比較
| 低電力モード | 自動モード | ||
Best loop score | Lowest loop score | Best loop score | Lowest loop score | |
1回目 | 10,873 | 10,389 | 17,108 | 16,026 |
2回目 | 10,815 | 10,350 | 16,765 | 16,108 |
3回目 | 10,688 | 10,288 | 17,103 | 16,210 |
低電力モードと自動モードのパフォーマンス差
※ベンチマークソフト:3DMark Wild Life Extreme Stress Test
【検証2】で3DMark Wild Life Extreme Stress Testを利用したので、そのベンチマークスコア結果を上表にまとめました。
やはり、低電力モードにするとパフォーマンスがガクっと低下しています。
パフォーマンス低下の振り幅は、利用するアプリケーションによって変わってくると思われますが、今回の場合は40%ほどパフォーマンスが下がるという結果になっています。
まとめ「重量級アプリなら低電力モードは効果的」
macOS Montereyに搭載されている『低電力モード』、高負荷がかかる重量級アプリケーションなら、バッテリー延命の効果はかなりあるでしょう。
当然、パフォーマンス低下との天秤になるので、常時有効にするのはおすすめできません。とはいえ、バッテリー残量がピンチのときには、きっと低電力モードが役立ってくれるでしょう。それだけ、ちゃんと使える機能になっていました。
OS標準でクロック制御できるって、macOSも進化しましたなー。
おまけ
いっそ、『ファンレスモード』とか作ってくれないかなー?
え、そんなの要るん!?
静かなカフェとかで作業するときに、ファンの轟音は気になるからねー。
なるほど。迷惑をかけないモードですわね。
おわり
顕著な結果が出るのかっ!?