- 5年ぶりに復活したVAIO Zは真面目なビジネスパーソン系だった!
- dGPUも非搭載で2in1でデジタイザーペン対応でもなかった!
- Thunderbolt 4とUSB4 Gen 3×1対応のUSB-Cポートは嬉しい!
デベロッパー向け > クリエイター向け
5年ぶりの『VAIO Z』が発表。Core i7(Hシリーズ)搭載で1kg切り、UHD 4Kディスプレイ、5G NR対応、Thunderbolt 4搭載…と、至高のスペック。ただ、“普通”…普通に高性能すぎる!優等生キャラになってる!?
質実剛健という感じですわね。
ライバルはMacBook Proより、ASUS ExpertBookって感じかもやね。
目次
VAIO Zの概要
「信念は、曲げず。先入観は、曲げる。」
…そんなキャッチコピーがついた、今回の新型『VAIO Z』2021年モデル。本題に入る前に、そんなVAIO Zの概要を簡単におさらいしていきます。
特徴
■VAIO Z(2021)の特徴
- 4K対応14″ワイドディスプレイ
- 世界初立体成型フルカーボンボディ
- 第11世代Intel Core Hシリーズ搭載
- PCIe 4.0接続のSSD搭載
- 5G NRと4G LTE対応
- 最軽量モデルは958g
- 最長34時間駆動バッテリー
- MIL規格対応
- Windows Hello(指紋・顔)対応
- HDR対応
- Thunderbolt 4搭載
VAIO Z(2021)の特徴をひとことでまとめるとするならば、Intel Core i Hシリーズを搭載しながらロングライフバッテリーとアンダー1kgを果たした“超”モバイルノートパソコン、という感じでしょう。
その基礎スペックもさることながら、世界初の立体成型フルカーボンを採用したという点が、とにかくギーク心をくすぐる。余談ですが、私は以前に『VAIO Z(Z1)』(2010年モデル)のグロッシープレミアムカーボンモデルを使っていたので、VAIOといえばカーボン…というイメージを持っていたりします。
VAIO Z1といえば、スイッチによるGPU切り替えができる『シリンダーヒンジ』のVAIOですよね?懐かしいですわ。
そうそうっ!
VAIO Z1は超高かった思い出があーる……。
スペック
VAIO Z | ||
---|---|---|
型番 | VJZ1411 | |
メーカー | VAIO | |
OS | Windows 10 Home Windows 10 Pro |
|
CPU | Intel Core i5-11300H(3.1GHz・4コア8スレッド) Intel Core i7-11370H(3.3GHz・4コア8スレッド) Intel Core i7-11375H(3.3GHz・4コア8スレッド) |
|
GPU | iGPU | Intel Iris Xe Graphics |
dGPU | - | |
RAM | 8GB(LPDDR4x) 16GB(LPDDR4x) 32GB(LPDDR4x) |
|
ROM | SSD | 256GB(PCIe) 512GB(PCIe) 1TB(PCIe) 2TB(PCIe) |
ディスプレイ | 画面パネル | LCD |
画面サイズ | 14.0インチ(16:9) | |
画面解像度 | 1,920×1,080(FHD) 3,840×2,160(UHD 4K) |
|
カメラ | フロント | 2MP |
リア | - | |
ネットワーク | 無線LAN | Wi-Fi 6 (IEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax) |
有線LAN | - | |
Cellular | 5G Sub6 4G FDD-LTE 4G TD-LTE 3G W-CDMA |
|
Bluetooth | Bluetooth 5.1 | |
バッテリー | 53Wh(FHD:34時間|4K:17時間) | |
インターフェース | データ | Thunderbolt 4 ×2 |
ビデオ | HDMI ×1 | |
オーディオ | 3.5mmステレオミニジャック ×1 | |
ネットワーク | nanoSIM | |
その他 | - | |
サイズ | 320.4×220.8×12.2–16.9mm | |
質量 | FHD:958–1013g 4K:1002–1065g |
|
備考 | 生体認証 | 指紋認証 顔認証 |
その他 | GPS搭載 Dolby Audio対応 VAIO User Sensing対応 VAIO TruePerformance対応 MIL規格対応 |
VAIO Zカスタマイズモデル(VAIO OWNER MADE)のスペック
現代のVAIOは非クリエイター向け
新型VAIO Z 2021は、さすがVAIOと思わせてくれるマシンですし、とにかく『VAIO』が好きなユーザーのためのプレミアムモデルなのは間違いない。ただ、今回のVAIO Z 2021は、なんとなくビジネスユースの延長上な感じ。私が待ち望んでいた、Macに対抗できるクリエイター向けハイエンドモデルではありませんでした。
もちろん、VAIO Z 2021がダメと言うつもりは毛頭ありません。キーボードに対するこだわりも高く、Windows Helloも両対応、緊急時に役立つ『5Vアシスト充電』も引き続き採用しています。CPUだって、薄型軽量筐体だからといって日和ることなく、しっかりとIntel Core iのHシリーズを採用している点においては、Sony時代から脈々と受け継がれている“VAIOイズム”を感じ取ることもできます。
ただ、なんだかモヤモヤしてしまう。VAIOだからできる“目に見える”クレイジーさ、Audio-Visual感が弱い気がするのです。言うばれば、前衛的なアーティストが、いつの間にか仕事のできるスーパービジネスパーソンにジョブチェンジした感じなのです。
開発ストーリーを読むと職人魂と粋を感じるから、やっぱり恋に落ちそうなくらい素敵なVAIOなんだよねー。でも、私のニーズとはズレてるから悲しみあーる。
「“目に見える”クレイジーさ」としたのはそのためですね?
そうそうっ!
内部的な機構はVAIOらしいクレイジーさが詰まってるからねー。あくまで、“キャッチー”なクレイジーさが鳴りを潜めた…って感じかな!?
「“キャッチー”なクレイジーさ」って……。
期待していたもの
dGPU搭載
今回のVAIOがクリエイター向けでないと確信した要素でもあるのですが、VAIO 2021のGPU構成はiGPUのみ。dGPUは非搭載。
VAIO ZといえばdGPU…と言いたいところですが、1つ前(VAIO Z 2015)も2つ前(VAIO Z 2012)もiGPUしか搭載されてなかったので、このイメージはもっと過去のものかもしれません。どちらにせよ、現代のVAIO ZにdGPUは不要と判断されたようです。個人的には、せっかくのパフォーマンスモデルなので、1kgオーバーになってもいいからdGPUが欲しかったところ。
とはいえ、VAIO Z 2021には『Thunderbolt 4』が2ポート搭載されているので、GPUを強化したいならばeGPUという手は残っています。
外付けGPUといえば…『Power Media Dock』でしょっ!
AMD Radeon HD 7670MとBDドライブが一緒になった、ドッキングステーションやね!
時代の先を行きすぎるSony……。
2in1でデジタイザーペン対応
最後に使ったVAIOが『VAIO Z 2015』だったので、マルチフリップヒンジ搭載でデジタイザーペン対応のVAIO Zを待っていたのが本音。
360°コンバーチブルタイプ(Yogaるタイプ)の2in1が苦手なので、マルチフリップヒンジを採用した美しい2in1を待ち望んでいました。Surface Bookのようなデタッチャブルタイプも悪くないのですが、瞬時に2in1にできるマルチフリップヒンジが画期的すぎて、いまだにそれを超えられない感が自分の中にあったりします。
仕事で毎日、IllustratorやLightroomを利用している私としては、2021年版のVAIO Z 2015を期待していました。来年でもよいので、マルチフリップヒンジ搭載機が復活しないかな……。
Adobe RGBカバー率100%
新型VAIO Z 2021は広色域を謳っているが、公式サイトではsRGBでの色空間しか触れられていない。調べてみると、4Kモデルに限り、DCI-P3カバー率99.8%となっていた。つまり、4Kモデルを選べば、映像系のクリエイター的には悪くない選択肢(dGPUはないけど)なのかも。
本当に個人的すぎるのですが、ちゃんとAdobe RGBカバー率についても触れてほしかったりします。写真や印刷物を扱う身としては、Adobe RGBカバー率100%と謳っているならば、間違いなく買っていました。懐かしの『VAIO F』や最新の『VAIO S15(4K HDRモデル)』がAdobe RGBカバー率100%だったので、若干期待していた部分はあったのですが、やっぱりスルーされてしまったという感じです。
密かに凄いこと
そんなことを言いつつも、VAIO Z 2021はかなり気になっています。…というのも、搭載されているThunderboltポートが『Thunderbolt 4』であり、USBが『USB4』であるという点が凄いと感じているため。
Thunderbolt 3ポート搭載のノートパソコンだけど、USB接続したら10Gbpsしか出ない。…ということが多々ある中で、今回のVAIO Z 2021は、Thunderbolt接続の場合は40Gbps(Thunderbolt 4)の速度で転送することができ、USB接続の場合は20Gbps(USB4 Gen 3×1)の速度で転送することができる仕様になっているとの記載がなされています。
今回のVAIO Z 2021は、従来からI/Oインターフェースがゴッソリと削られてしまっていますが、その代わりにUSB Type-Cポートをしっかりと強化してくれていた、というわけです。
USB 3.2 Gen 2×2対応のパソコンなんて市場に出回ってるか謎レベルだから、知らぬ間にUSB4 Gen 3×1になっていくのであった……。
デュアルレーンは厳しいですわね。
まとめ「VAIO Z 2021クリエイター向けモデルを切望」
正直、どういう形であれ、『VAIO Z』というシリーズが存続してくれたことに安心しています。最近のVAIOはLet's note化していたので……。
今回のVAIO Z 2021は、私のようなデザイナーには向かなさそうなモデルなのが残念なところ。ですので、ここはぜひともクリエイター向けのVAIO Zも勢いに乗ってリリースしてほしかったりします。VAIO Z Canvas 2021でもいいので切望なのです。ですなの。
純粋な日本メーカー最後の砦、VAIOとPanasonicには頑張ってほしいぞっ!
おまけ
やっぱり、dGPUは搭載してほしかったなー。ロマン的に!
ロマン…ですか。
ロマンの追求って、企業によっぽどの余力がないと厳しいんよね。
おわり
dGPUは?マルチフリップヒンジは?デジタイザーペンは?
…あれれー!?