- M1化した新型iPad Proは最高に素敵なので皆で買おうぞ!
- 最高に“買い”だけど画面サイズとメモリ容量が最大の悩み!
- iPadOSがネック…VSCodeとDockerとXcodeください!
Pro Display XDRを考えると…途端に激安!?
ついにMacと同じプロセッサーが搭載された、新型『iPad Pro(2021)』。間違いなく“買い”なのだが、一体どれを買うべきか…その最適解を考えてみます。


言いたいことは分かります。

立ちはだかる“OSの壁”やね。
目次
主題

2021年4月20日にAppleが開催した、Apple Event April 2021(Spring Loaded)にて、Macと同じプロセッサーを搭載した『11インチiPad Pro(3rd Gen)』と『12.9インチiPad Pro(5th Gen)』が発表されました。
見た目こそ2020年モデルとほぼ一緒ですが、搭載プロセッサーが大幅に飛躍した本機。まさに“Pro”の名を欲しいままにしたのが、この新型iPad Proでしょう。そんな2021年モデルの新型iPad Proは、一体どれをチョイスするのがよいのか。その悩みをデザインと開発をやっているギークが考えるお話です。

わたしが特に注目して見てるのが、
- ディスプレイの品質
- プロセッサーの性能
- ソフトウェアの実用性
…の3つなのであーる。
ラインナップ

11インチiPad Pro (3rd Gen・2021) |
12.9インチiPad Pro (5th Gen・2021) |
|||
カラーバリエーション | シルバー スペースグレイ |
シルバー スペースグレイ |
||
SoC | Apple M1 | Apple M1 | ||
販売価格 | Wi-Fi | 128GB | 94,800円(税込) | 129,800円(税込) |
256GB | 106,800円(税込) | 141,800円(税込) | ||
512GB | 130,800円(税込) | 165,800円(税込) | ||
1TB | 178,800円(税込) | 213,800円(税込) | ||
2TB | 226,800円(税込) | 261,800円(税込) | ||
Wi-Fi + Cellular | 128GB | 112,800円(税込) | 147,800円(税込) | |
256GB | 124,800円(税込) | 159,800円(税込) | ||
512GB | 148,800円(税込) | 183,800円(税込) | ||
1TB | 196,800円(税込) | 231,800円(税込) | ||
2TB | 244,800円(税込) | 279,800円(税込) | ||
AppleCare+ | 16,280円(税込) | 18,480円(税込) |
iPad Pro(2021)のラインナップ
新型iPad Pro(2021)は、慣例どおりの2サイズ展開(11インチ・12.9インチ)。そして、Wi-Fi版とWi-Fi + Cellular版が、それぞれ用意されています。
プロセッサーに関しては、サイズ関係なく『Apple M1』が搭載されているので、このあたりにヒエラルキーはありません。ただ、ストレージ容量によって、搭載されているメモリの容量が変化(8GB or 16GB)する点は要注意。そして、今回から5G通信に対応したことにより、Wi-Fi + Cellular版が2020年モデルよりも若干高くなっております。
…と、ここまでは、11インチと12.9インチで共通しているスペック。

しかし、2021年モデルでは、11インチと12.9インチで搭載されているディスプレイが別物になっています。
それが、今回の目玉テクノロジーのひとつである、ミニLEDを採用した『Liquid Retina XDRディスプレイ』の存在。この点については、利用用途がクリエイティブ系なのであれば、とりわけ注目すべきポイントになってくるでしょう。

そうなると、写真や映像のリファレンスモニターが欲しいと考えるならば、当然12.9インチiPad Proを選ぶべきですわね。

うぬ、そうなりますなー。
新旧スペック比較
11インチiPad Pro

11インチiPad Pro (3rd Gen・2021) |
11インチiPad Pro (2nd Gen・2020) |
||
SoC | Apple M1 | Apple A12Z Bionic | |
CPU | 8コア | 8コア | |
GPU | 8コア | 8コア | |
NPU | 16コア | 8コア | |
RAM | 16GB(1/2TB) 8GB(128/256/512GB) |
6GB | |
ROM | 2TB 1TB 512GB 256GB 128GB |
1TB 512GB 256GB 128GB |
|
ディスプレイ | 画面パネル | LCD (Liquid Retina) |
LCD (Liquid Retina) |
画面サイズ | 11インチ | 11インチ | |
画面解像度 | 2,388×1,668 | 2,388×1,668 | |
その他 | LEDバックライト 標準最大輝度600ニト 耐指紋性撥油コーティング フルラミネーションディスプレイ 反射防止コーティング ProMotionテクノロジー 広色域ディスプレイ(P3) True Toneディスプレイ |
LEDバックライト 標準最大輝度600ニト 耐指紋性撥油コーティング フルラミネーションディスプレイ 反射防止コーティング ProMotionテクノロジー 広色域ディスプレイ(P3) True Toneディスプレイ |
|
カメラ | フロント | 12MP(f/2.4) | 7MP(f/2.2) |
リア(超広角) | 10MP(f/2.4) | 10MP(f/2.4) | |
リア(広角) | 12MP(f/1.8) | 12MP(f/1.8) | |
リア(深度) | ?MP (dToF LiDAR) |
0.03MP (dToF LiDAR) |
|
ネットワーク | 無線LAN | Wi-Fi 6 (IEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax) |
Wi-Fi 6 (IEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax) |
Cellular | 5G Sub6 4G FDD-LTE/TD-LTE 3G UMTS/HSPA/HSPA+/DC-HSDPA 2G GSM/EDGE |
4G FDD-LTE/TD-LTE 3G UMTS/HSPA/HSPA+/DC-HSDPA 2G GSM/EDGE |
|
Bluetooth | Bluetooth 5.0 | Bluetooth 5.0 | |
バッテリー | 最大10時間*1 | 最大10時間*1 | |
インターフェース | データ | Thunderbolt 3 ×1 | USB 3.1 Gen 2 Type-C ×1 |
ネットワーク | nanoSIM eSIM |
nanoSIM eSIM |
|
その他 | Apple Smart Connector Apple Magnetic Connector |
Apple Smart Connector Apple Magnetic Connector |
|
サイズ | 247.6×178.5×5.9mm | 247.6×178.5×5.9mm | |
質量 | 466g(Wi-Fi) 468g(Wi-Fi + Cellular) |
471g(Wi-Fi) 473g(Wi-Fi + Cellular) |
|
備考 | 生体認証 | 顔認証(Face ID) | 顔認証(Face ID) |
11インチiPad Pro(3rd Gen・2021) vs 11インチiPad Pro(2nd Gen・2020)
*1Wi-Fiでのインターネット利用・ビデオ再生の場合。
※オレンジ文字:スペックアップポイント
まずは、11インチiPad Pro(2021)と11インチiPad Pro(2020)のスペックを比較してみます。
11インチモデルにおいては、
- プロセッサーの進化(A12Z Bionic → M1)
- 搭載メモリ容量の増加(6GB → 8GB・16GB)
- 選択可能ストレージ容量の増加(最大1TB → 最大2TB)
- フロントカメラの画質向上(7MP → 12MP)
- 5G通信への対応
- インターフェースの刷新(USB 3.1 Gen 2 Type-C → Thunderbolt 3)
- 若干の軽量化
…という、新旧モデルでスペック上の変化がありました。
ここから考えると、11インチiPad Pro(2021)においては、プロセッサーのApple M1化・5G通信への対応・Thunderbolt 3搭載、という3つが大きなトピックになるでしょう。なお、ディスプレイに関しては、両方とも同じLiquid Retinaディスプレイが採用されています。
ディスプレイは変化ナシなので、11インチiPad Pro(2021)を選ぶのであれば、タブレットデバイスとしての基礎的なスペック向上に価値を感じるのか、というところが購入時の判断材料になってきそうです。
12.9インチiPad Pro

12.9インチiPad Pro (5th Gen・2021) |
12.9インチiPad Pro (4th Gen・2020) |
||
SoC | Apple M1 | Apple A12Z Bionic | |
CPU | 8コア | 8コア | |
GPU | 8コア | 8コア | |
NPU | 16コア | 8コア | |
RAM | 16GB(1/2TB) 8GB(128/256/512GB) |
6GB | |
ROM | 2TB 1TB 512GB 256GB 128GB |
1TB 512GB 256GB 128GB |
|
ディスプレイ | 画面パネル | LCD (Liquid Retina XDR) |
LCD (Liquid Retina) |
画面サイズ | 12.9インチ | 12.9インチ | |
画面解像度 | 2,732×2,048 | 2,732×2,048 | |
その他 | ミニLEDバックライト 標準最大輝度600ニト フルスクリーン時最大輝度1,000ニト ピーク輝度1,600ニト 耐指紋性撥油コーティング フルラミネーションディスプレイ 反射防止コーティング ProMotionテクノロジー 広色域ディスプレイ(P3) True Toneディスプレイ |
LEDバックライト 標準最大輝度600ニト 耐指紋性撥油コーティング フルラミネーションディスプレイ 反射防止コーティング ProMotionテクノロジー 広色域ディスプレイ(P3) True Toneディスプレイ |
|
カメラ | フロント | 12MP(f/2.4) | 7MP(f/2.2) |
リア(超広角) | 10MP(f/2.4) | 10MP(f/2.4) | |
リア(広角) | 12MP(f/1.8) | 12MP(f/1.8) | |
リア(深度) | ?MP (dToF LiDAR) |
0.03MP (dToF LiDAR) |
|
ネットワーク | 無線LAN | Wi-Fi 6 (IEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax) |
Wi-Fi 6 (IEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax) |
Cellular | 5G Sub6 4G FDD-LTE/TD-LTE 3G UMTS/HSPA/HSPA+/DC-HSDPA 2G GSM/EDGE |
4G FDD-LTE/TD-LTE 3G UMTS/HSPA/HSPA+/DC-HSDPA 2G GSM/EDGE |
|
Bluetooth | Bluetooth 5.0 | Bluetooth 5.0 | |
バッテリー | 最大10時間*1 | 最大10時間*1 | |
インターフェース | データ | Thunderbolt 3 ×1 | USB 3.1 Gen 2 Type-C ×1 |
ネットワーク | nanoSIM eSIM |
nanoSIM eSIM |
|
その他 | Apple Smart Connector Apple Magnetic Connector |
Apple Smart Connector Apple Magnetic Connector |
|
サイズ | 280.6×214.9×6.4mm | 280.6×214.9×5.9mm | |
質量 | 682g(Wi-Fi) 684g(Wi-Fi + Cellular) |
641g(Wi-Fi) 643g(Wi-Fi + Cellular) |
|
備考 | 生体認証 | 顔認証(Face ID) | 顔認証(Face ID) |
12.9インチiPad Pro(5th Gen・2021) vs 12.9インチiPad Pro(4th Gen・2020)
*1Wi-Fiでのインターネット利用・ビデオ再生の場合。
※オレンジ文字:スペックアップポイント
※青文字:スペックダウンポイント
お次は、12.9インチiPad Pro(2021)と12.9インチiPad Pro(2020)のスペックを比較してみます。
12.9インチにおいては、
- プロセッサーの進化(A12Z Bionic → M1)
- 搭載メモリ容量の増加(6GB → 8GB・16GB)
- 選択可能ストレージ容量の増加(最大1TB → 最大2TB)
- フロントカメラの画質向上(7MP → 12MP)
- 5G通信への対応
- インターフェースの刷新(USB 3.1 Gen 2 Type-C → Thunderbolt 3)
- 搭載ディスプレイの強化(Liquid Retina → Liquid Retina XDR)
…という、新旧モデルでスペック上の変化がありました。
基本的には11インチiPad Pro(2021)と同じような進化をしているのですが、12.9インチ“ならでは”の進化となっているのが、搭載ディスプレイが『Liquid Retina XDR』という、ミニLEDバックライトを採用したものに刷新されているところ。
12.9インチiPad Pro(2021)にミニLEDが採用されている…と言われてもピンと来ないかもしれないが、実はここが凄まじいストロングポイント。

なんと、あの約60万円もするApple純正ディスプレイ『Pro Display XDR』と、ピーク輝度(1,600ニト)やコントラスト比(1,000,000:1)が、スペックシート上では同等なのです。ですので、実際に使ってみないと分からない部分がある…と前置きはしつつも、モバイルで使える最高峰のリファレンスモニターが10万円強で手に入るということになります。ここが恐ろしいところ。

そう考えていくと…途端にお買い得に!

うーん、うーん……!?
問題点
プロセッサーがApple M1になり、インターフェースもThunderbolt 3化、ディスプレイも12.9インチではリファレンスモニター並に強化。ここまで来ると、「これは、タッチパネルとデジタイザーペンが使えるMacだ!これさえあれば、何もいらない」と声高に叫びたい。いや、叫ぶべき。
…と言いたくなるのですが、どうしても引っかかってしまう問題点も結構あったりします。

「これさえあれば、何もいらない」は、Surfaceやんね……。
開発:強いられる系開発環境

世の中には、ちゃんとiPadで開発しているエクストリーマーも存在しているので、単純に私の力不足な感も否めないのですが、とにかくiPadOSで開発をするのはつらい…つらすぎる……。
iPadOS向けにも優秀なテキストエディター(TextasticやCode Editor by Panic)は数多くリリースされてはいます。また、Working Copyというアプリを使えば、git pull/pushもiPad上で可能です。ただ、iPadOS上でセッティングできる開発環境というのは、macOSのそれと比べると遠く及ばない。確かに開発できる土壌は整ってきてはいるのですが、Mac慣れしていると作業効率が著しく低下してしまうのです。
あくまで私の環境下…なのですが、VSCodeやXcodeがiPadOSでも使えるようになってほしいところ。あとは、Dockerも欲しい。とか思っているのですが、Macと同じプロセッサー(Apple M1)になったので、ひょっとすると対応するのも、時間とApple側の意欲の問題になってきそうです。

ついでにJetBrains系IDEもiPadOS版が欲しいっ!
デザイン:不便なクラウドストレージ連携

私はもっぱら、IllustratorやPhotoshopを、Dropboxと連携させて使っているのですが、これがiPadOSだとびっくりするくらいに使いづらくなるのも大きなネック。
Adobe Creative Cloud系のiPadOSアプリがまだ発展途上なのは、Appleと積極的に連携を取っているAdobeのことなので、時間とともに解消されていくとは思っています。なので、アプリケーション面はそこまで気にはしていません。…Affinityという手もありますし。
それよりも個人的に問題なのが、iPadOSそのものが、iCloud Drive以外のクラウドストレージと連携させるのが地味に難しいということ。一旦、アプリ側にインポートして、終わったらアウトポート…これは面倒なのです。もちろん、アプリによっては自動的に同期してくれるものもあるのですが、自分が使いたいアプリに限って自動同期不可という感じです。ですなの。
結論

これまでのことを踏まえた結果、
- 12.9インチiPad Pro:大きさが許容できれば本命
- 11インチiPad Pro:来年のミニLED化まで待ち
…と、私の中では結論づけました。

…つまり?

12.9インチiPad Proを買います!ありがとうございましたぁあああ!!
チョイスするストレージの容量に関しては、メモリの搭載容量と連動してくるので悩ましいところ。もちろん大は小を兼ねるのですが、iPadOSで16GB RAMも必要なのかは微妙なところ。メモリを16GBにしようとすると、必然的にストレージが1TB以上のモデルを選択する必要性が出てくるので、価格がとんでもなく高価になるのも悩ましき。
また、現状のiPadOSでは、できることに限界がある気もしています。しかも、Apple曰く、iPadOSとmacOSの統合は行わないとのこと。なので、今後のiPadOSの進化については、しっかりと動向を追っておきたいところ。その進化次第でメモリ容量を選びたいのが本音ですが、そうなると入手できるのが遅れてしまう。…ここも難しいところなのです。
まとめ「今年は12.9″を選びたいが悩む要素も多い」

12.9インチという巨大なサイズ感が苦手ではないのであれば…という前提にはなってしまうのですが、画面サイズによるヒエラルキーが大きい2021年モデルにおいては、『12.9インチiPad Pro』を選ぶのがベストバイ。
ハードウェアとしての完成度、これはある種の到達点まで達した。なので、残りはソフトウェアである『iPadOS』の成熟を待ちたいところ。iPadOSがmacOSとの距離感を保ちつつ、デザインや開発でストレスなく使えるOSになってもらいたいところです。
とはいえ、Pro Display XDRを考えると、実はかなりお買い得な気もしています。

12.9インチiPad Proは、MacBook Airよりも高いのね……。
おまけ

iPadといえど、さすがはProやね。

価格もProですわね。

同じApple M1搭載だから、余計に価格差を見ちゃうよねー。
おわり
デザイナーなら買い!
フォトグラファーならもっと買い!!
デベロッパーは…眠れる獅子っ!?