- 5Gになっても上り速度はそこまで速くない!
- 配信用途や固定回線の代替にはまだ厳しい!
- 現状は我慢して5Gコアネットワークに期待!
“SA導入で上り速度改善に期待”
大手携帯キャリアの5G回線は超高速。だけど、それは下り速度の話。上り速度はそこそこに遅いのが現状。…どうしてこうなるの?と、ソリューションや未来を考える話。
同じ場所でも、4Gのほうが上り速度が出るときもありますよね。
移動通信ならではの悩みやんねぇ。
目次
5Gの“下り速い”が“上り遅い”問題
5G通信に対応したエリアも少しずつ増え(それでもまだ全然狭いけど)、私の生活圏にも“5G”の文字がスマートフォンに降り注いできました。
ヨウヘイ君は4Gなの?つまんないね。あとで貸してあげるからねー。
…ゲームギア。
転用ではない5Gエリア内で通信すれば、確かに4G/LTE時代では考えられないくらいの高速通信が可能です。まさに、「未来ずらぁ!」なのです。
ギガバイト級データのダウンロードもハイレゾ音楽ストリーミングも、それはもうサクサク。パケ止まりやパケ詰まりの問題はあるけれど、そこに目を瞑れば快適です。…下りだけは!
下りだけなんやね。
上り速度は相変わらず遅いのであーる……。
そう、これは下り速度の話。上り速度は違う。
5Gになっても、アップロード、つまり上り回線の速度については、まだまだ遅かったりします。それが非常に困りどころでして。
しかも、5Gエリアの端とかだと、むしろ4Gよりも上り速度が遅いときもあるし。…うーむ。
パケ詰まりもそうだけど、そのあたりが厄介やんね。
メガキャリアの5G回線速度比較
5G回線の“下りは速い・上りは遅い”というのを明示化するために、実際に回線速度を3日にわたって測定してみたので、これからそちらを見ていきます。
回線速度の測定については、環境を完全に一致させたものではないので、“こういう感じ”ぐらいのニュアンスでどうぞ。なお、いずれの携帯回線においても、速度測定はiPhone 13 ProとiPhone 12 Pro Maxを利用し、5G Sub6エリア内(転用5Gは除外)にて実施しております。
回線速度比較
下り速度
- docomo
- 883 Mbps
- au
- 611 Mbps
- SoftBank
- 728 Mbps
- Rakuten
- 276 Mbps
5G Subの下り速度比較
※測定時の最高速度を記載
上り速度
- docomo
- 55.0 Mbps
- au
- 68.1 Mbps
- SoftBank
- 109 Mbps
- Rakuten
- 42.4 Mbps
5G Subの上り速度比較
※測定時の最高速度を記載
結果:下り速度 >>> 上り速度
実際に測定した結果、各携帯キャリアともに、下り速度は数100Mbps出るものの、上り速度は数10Mbps程度しか出ていませんでした。
今回の測定で上り速度が一番速かったのは、SoftBank(LINEMO)の109Mbps。
ただ、これは最高速の値でのこと。実際には下振れも凄かったので、各携帯キャリアともに、おおむね30Mbps程度が中央値という感じでした。もちろん、数Mbpsしか出ないなんてこともあります。
もちろん、条件によって速度は変わってくるけどね。
ただ、 下り速度 > 上り速度 の構図はそのままですよね。
携帯回線は下り速度重視
そもそもですが、5G回線の上り速度だけが遅いというわけではなく、携帯回線(移動通信)そのものが、上り速度よりも下り速度を重視する設計だそう。なので、 下り速度 > 上り速度 は4G回線でも当てはまります。ただ、 5G = 上りも下りも超高速 という先入観から、そのショックが大きいというわけです。
個人的には、もっと上りの帯域を広くしてほしいと思ってしまうのですが、総務省に掲載されているトラヒックデータ(我が国の移動通信トラヒックの現状)を見てしまうと、現状では下り速度を重視する帯域割り当てでも仕方ないでしょう。
働き方の多様化やコンテンツの高品質化により、トラヒック需要というのは年々上昇傾向にあります。
前述の総務省のデータを見てみると、年間で約30%ほどのペースで、需要が高まっているようです。2020年9月の移動通信トラヒックの上下合計値は1,455,352TB(通信移動事業者6社)となっており、とにかく凄い通信量になっています。
ここまでくると恐怖やね……。
そう考えると、相対的にトラヒック需要の大きい下り速度を重視するのも納得してしまうところ。ちなみに、総務省のデータを見ると、上りのトラヒック量に対して、下りのトラヒック量は約10倍もあります。
ビジネスユースや特殊なホビーユースでもない限り、大半のユーザーは「上り高速・下り低速、上り低速・下り高速、のどちらかを選べ」と言われれば、間違いなく後者を選ぶでしょう。ですので、下り速度が遅いのはそういうものと(無理矢理)納得しています。
通信インフラは資源ですからね。
そうなんだよねー。
だから、下り速度を犠牲にして、上り速度を高速化してほしいって思うのは、ちょーとエゴになるのであーる。
上り速度とホームルーター問題
スマートフォンで携帯回線を活用するぶんには、上りの帯域を狭くしてでも、下り速度を稼ぐというのは、実際の利用シーン(コンテンツ消費等)から考えて、理に適っているものですし、それで正しいでしょう。
しかし、SoftBank『SoftBank Air』やdocomo『home 5G』のような、5G対応ホームルーターを固定回線の代替として使っているユーザーからすると、上記の構図だとストレスになることが多いかもしれません。
当然、“こういうもの”と理解して契約しているのであれば、それはそれで問題なし。ただ、このあたりに明るくないユーザーだと、本当の意味で固定回線の代替としてホームルーターをハードに使っている可能性も大いにあるでしょう。
そういうような使い方をするとなると、数10Mbpsしか出ない(出ても100Mbps超かも)5G回線の上り速度の遅さ、これが大きなネックになってくる気がしています。
あと、n77やn78が『TDD』方式を採用していることもですわね。
全二重通信と半二重通信の問題ですな。うーむ。
5Gに対する今後の期待
最終的には、下りが20Gbps・上りが10Gbps、が5Gの通信速度の目標になっているようです。ただ、例えばdocomoの場合、下りが4.2Gbps・上りが480Mbps、というのが現状の最高速度となっています。要するに、まだそこまで到っていない、というわけです。
ただ、上り速度が10Gbps、という希望も同時にあることが分かります。
実際にそこまで到達するとは思いませんが、“真の5G”と言われている『SA(スタンドアローン)』と『5GC(5Gコアネットワーク)』のインフラが整ってくれれば、 5Gの上り速度 = 遅い という構図は、幾分か改善されるのではないかと期待しています。
私的ソリューション
ソリューション…になっていないのですが、
の2台持ち運用にして、速いほうを使うということにしています。
現状はどうすることもできないので、対処療法感満載ですが致し方なし。
私は固定回線代わりに携帯回線を使っていないので、そこに関しては何も気にしてないのですが、仕事でギガバイト級のデータを頻繁にアップロードする身からすると、早期の解決をお願いしたいところです。
まとめ「上り速度が遅い問題は真の5Gに期待」
そういうわけで、5Gなのに上り速度が遅いというのは、仕方ないので諦めましょう。…身も蓋もないですが。
個人的には、5Gがスタンドアローン方式の導入が進んでくれば、上り速度も快適なものになってくれると信じています。目標の10Gbpsまで行かなくとも、1Gbps出てくれれば嬉しいところです。
真の5G、早く来てくださりっ!!
おまけ
上り速度と下り速度の落差よっ!
言いたいことは分かります。
仕事で使うなら、もうちょっと上り速度が出てほしいやんね。
おわり
しかも、5Gの上り速度はブレブレの不安定あーる。