- 『Apple Vision Pro』は“VRHMD”ではなく“iPad HMD”である
- コンピューティングに申し分ないスペックなのが実に素晴らしい
- visionOSで『DaVinci Resolve for iPad』が動くなら最強
世間では「VRHMD」と呼ばれてる『Apple Vision Pro』ですが、当のAppleは『VRHMD』ではなく『空間コンピュータ』と表現しています。
一見、言葉遊びのように思えますが、これが実に言い得て妙。確かにこれは、VRやMRのそれではなく、空間コンピュータそのものなのです。ですなの。
つまり、『Meta Quest 3』や『PICO 4』と比較すべきではないし、そもそも比較対象にならない、というわけですね。
既存のカテゴリに当てはめると、どちらかと言えば『ARデバイス』やんね。
目次
Apple Vision Proは『空間コンピュータ』である
WWDC23 Apple Keynoteで発表された、新たなAppleデバイス『Apple Vision Pro』。
Apple曰く、Apple Vision ProはVRHMDやMRHMDのそれではなく、『空間コンピュータ』とのこと。英語では、『Spatial computer』と表現されております。Virtual RealityやMixed Realityとは異なるわけです。Apple的には、ですが。
Macは、パーソナルコンピューティング。
iPhoneは、モバイルコンピューティング。
Apple Vision Proは、空間コンピューティング。
そのようにAppleは定義しており、単に『VRHMD』を『空間コンピュータ』と、呼び方を変えただけの言葉遊びではないことが伝わってきます。Apple Vision Proは周辺機器ではなく、MacやiPhoneと同列に扱うべき“独立したデバイス”というわけなのです。
そういう意味では、Appleはまったく新しいデバイスを生み出した、とも言えるわけですな。
ハードウェアとしてではなく、概念的な意味合いではありますがね。
ま、重要なのは概念のほうなのであーる。
過去のiPhoneがそうだったようにね。
Meta Quest 3やPICO 4と比較するのは野暮
前述した背景から、明確にVRによる体験をプッシュしている『Meta Quest 3』や『PICO 4』とは、まったく異なる毛色を持ったデバイスとなっています。ですので、それらとApple Vision Proを比較してアレコレ言うのは野暮というもの。
もうちょっと距離感が近いところだと、『Meta Quest Pro』や『VIVE XR Elite』などがありますが、それでも同列に扱うことはできないでしょう。
筆者はMeta Quest Proを過去に所有しており、同機だけで仕事を完結させてみようと試みたことがあるのですが、はっきり言って「無理」。処理能力はおろか、仕事にマストなソフトウェアやツールが乏しすぎるのです。なので、『Immersed』という仮想デスクトップ化アプリケーションと、MacBook Proを組み合わせてコンピューティングしておりました。
将来的には分かりませんが、現状ではMeta QuestやPICOだけでコンピューティングをするのは厳しいでしょう。したがって、PCやスマートフォンとは同列に扱うことができません。まだ、周辺機器としての印象が色濃く残ってしまいます。
ただ、これはMeta Questなどを『コンピュータ』として捉えたらという話で、ゲーム機やVRデバイスとして見た場合は、もっと違う評価になるのでそこは誤解なきようなのであーる。
Meta Questには『Meta Quest Touch Pro VR Controllers』という、非常に優秀なコントローラもありますからね。
Meta QuestとApple Vision Proは、異なるベクトルを持つデバイスってことやね?
わたしはそう捉えているのであーる。
『空間コンピュータ』は“iPad HMD”
Apple Vision Proのプロセッサは、 Apple M2 + Apple R1 というデュアル構成となっています。
ちなみに『Apple R1』で、カメラやセンサー類の処理を行うようです。ですので、乱暴な表現ではありますが、空間コンピュータの“空間”の部分が『Apple R1』で、“コンピュータ”の部分が『Apple M2』。筆者はそのように認識しております。
そして、ここから導き出される答えは、『空間コンピュータ』は“iPad HMD”であるということ。つまり、Apple Vision Proは“iPad HMD”なのです。
強力なApple M2チップを搭載しているため、処理能力は申し分なし。Apple Vision Pro専用OSである『visionOS』についても、既存のiPhoneアプリやiPadアプリが動作するとのことなので、発売される前から、仕事で使えるアプリケーション群が充実しています。
筆者としては、動画編集アプリケーション『DaVinci Resolve for iPad』、写真編集アプリケーション『Darkroom』、などがApple Vision Proでも問題なく動作してくれることを期待しています。そうなってくれれば、 PC + Meta Quest + Immersed でしていた作業が、Apple Vision Proだけで実現することになるので。
編集作業をするとなると気になる画面解像度ですが、Apple Vision Proは片眼あたり4Kとなっているので、文字や画像が滲むこともないでしょう。これなら、先天性眼球振盪を持つ筆者でも、見えづらいと思うことはなさそう。
しかも、Macともコネクトできる仕様だから、Immersed的な使い方もできるわけですな。
まとめ「Vision Proは“iPad HMD”」
Macは、パーソナルコンピューティング。
iPhoneは、モバイルコンピューティング。
Apple Vision Proは、空間コンピューティング。
MacやiPad Proと同じ『Apple M2(Apple Silicon)』を搭載しており、既存のiPhoneアプリやiPadアプリが動作するということから。
Apple Vision Proは、コンテンツを消費する周辺機器ではなく、創造や生産するためのコンピュータなのです。ですなの
うーん、やっぱり買わねば。
おまけ
ついでに、Apple Pencilを使えるようにしてくださり。
それは、さすがに厳しいですがね。
そこはiPadと連携させて、って感じやんね。
No. No. Who wants a stylus?
おわり
便宜的に『VRHMD』という表現をすることが多いけど、本質的にはコンピューティングをするデバイスなのであーる。