- 『XREAL Air 2 Ultra』は6DoF対応の開発者向けAR/XRグラス
- 開発者向けだが一般ユーザーも購入可能で価格は99,800円
- キモである『空間コンピューティング』に対応しているのは一部機種のみ
開発者向けARグラス『XREAL Air 2 Ultra』が発表されました。
本機は『空間コンピューティング』対応とのことなので、既存の『XREAL Air 2 Pro』と比較しつつ、その仕様について調べてみました。
そこがクローズすぎると、アプリを作っても…と、なりかねないですわね。
空間コンピューティング対応スマホが『Samsung Galaxy』の一部機種に限るっていうのも、使っていく上で気になるところではあるやんね。
目次
TL;DR
AR開発者向けのサングラス型AR/XRデバイス。
販売価格は99,800円(税込)。
2024年3月31日までに出荷開始予定。
一般ユーザー向けにも販売されるくらいなので、全然アリ。
『XREAL Light』の後継機種的なポジションだが、『XREAL Air 2 Pro』を持っていないのであれば、XREAL Air 2 Proの上位機種的な感覚で買っても良さげ。
Snapdragon搭載モデルの『Samsung Galaxy S22』か『Samsung Galaxy S23』が必要。
どちらも持っていない場合は、今後リリースされる『カスタムコンピューティングユニット』を買わなければならない。
XREAL Air 2 Ultraは『6DoF』。
XREAL Air 2 Proは『3DoF』。
XREAL Air 2 Ultraのみ、インフレーム型3D環境センサーが搭載されているので、複雑なトラッキングや空間認識が可能となっている。
『XREAL Air 2 Ultra』について
AR開発者パートナー向けに設計された、空間コンピューティング対応の6DoF ARグラス。
- 99,800円(税込)
- 2024年3月31日(出荷開始予定)
『XREAL Air 2 Ultra』とは、XREAL(旧 Nreal)からリリースされる、サングラス型のAR/XRデバイスです。
XREALのARグラスといえば、『XREAL Air 2』や『XREAL Air 2 Pro』がありますが、本機は純粋なコンシューマ向けではなく、AR開発者パートナー向けに設計されたデバイスとのこと。なので、製品シリーズとしては、過去に登場した『XREAL Light』の後継機種に該当します。
なお、公式には“AR開発者パートナー向け”となっていますが、一般ユーザーも購入可能となっています。
『Magic Leap 2』みたいに、極端にエンタープライズ向けのデバイスじゃないから、一般ユーザーが手を出しても充分遊べそうなのも魅力のひとつですな。
コンシューマ向けとしては高価ですが、開発者向けARデバイスと捉えれば腑に落ちる価格設定ですものね。
『XREAL Air 2 Ultra』のスペック
XREALはARグラスとして、すでに『XREAL Air 2』と『XREAL Air 2 Pro』をリリースしており、それと併売する形で『XREAL Air 2 Ultra』が登場します。
こうなってくると、「『XREAL Air 2 Ultra』と『XREAL Air 2 Pro』の違いがよくわからぬ」となってしまうところ。
前述したとおり、“ Ultra = 開発者向け ”、“ Pro = 一般ユーザー向け ”、と位置づけられているわけですが、正当な上位機種なのか、別ラインの製品なのか、何だかワケワカラン状態になってしまっております。
そこで備忘録も兼ねて、『XREAL Air 2 Ultra』のスペックについて、既存の『XREAL Air 2 Pro』と比較しながら見てみることにします。
XREAL Air 2 Ultra | XREAL Air 2 Pro |
---|---|
本体価格 | |
税込99,800円 | 税込61,980円 |
ディスプレイ | |
1,920×1,080 (片眼) |
1,920×1,080 (片眼) |
FoV 52° | FoV 46° |
42PPD | 49PPD |
最大120Hz | 最大120Hz |
最大500nit | 最大500nit |
接続方式 | |
USB Type-C (DisplayPort Alternate Mode) |
USB Type-C (DisplayPort Alternate Mode) |
DoF | |
6DoF | 3DoF |
空間コンピューティング | |
対応 (一部機種のみ) |
|
行動認識機能 | |
ハンドトラッキング | |
ヘッドトラッキング | ヘッドトラッキング |
環境認識機能 | |
デプスメッシュ (Depth Mesh) |
|
空間アンカー (Spatial Anchor) |
|
平面検出 (Plane Detection) |
|
画像追跡 (Image Tracking) |
|
エレクトロクロミック調光 | |
搭載 (3段階) |
搭載 (3段階) |
簡単に言ってしまえば、XREAL Air 2 Proにインフレーム型3D環境センサーが搭載され、さまざまな認識機能が強化されたモデルが、この『XREAL Air 2 Ultra』のようです。
本機のウリである『空間コンピューティング』もそうですが、ハンドトラッキングやオクルージョンレンダリングに対応したことによって、単なるウェアラブル型の拡張ディスプレイの類ではなく、れっきとした“XRデバイス”になったわけです。
この『XREAL Air 2 Ultra』はスタンドアロンで動作しないけど、『Apple Vision Pro』や『Immersed Visor 4K』、『Meta Quest 3』などのデバイスがライバルになりそうですな。
XREAL Air 2 Ultraの『空間コンピューティング』について
XREAL Air 2 Ultraの大きな特徴として、『空間コンピューティング』という名称の6DoF機能があります。
ハンドトラッキングやデプスメッシュなどが利用できる空間コンピューティング機能を強化したSDKについては、今後数か月以内に『NRSDK 2.2(XREAL専用のSDK)』として、AR開発者に対してリリースされるとのこと。
- Samsung Galaxy S22
- Samsung Galaxy S23
※Snapdragon搭載モデルのみ対応
ただし、ここで注意しておきたいのが、『空間コンピューティング』に対応しているデバイスが限定されていること。しかも、対応デバイスが増える予定はないそうです。
なので、ウリである『空間コンピューティング』を活用する現実的な方法としては、今後リリースされる予定の『カスタムコンピューティングユニット』なるデバイスを購入することになるでしょう。したがって、実際のイニシャルコストについては、もう少し高くなる気がします。
XREAL Air 2 Ultraに関連する懸念事項
ここからはメモを兼ねて、XREAL Air 2 Ultraに関連する懸念事項をまとめておきます。
最初に気になるのが、開発環境の問題。
XREAL専用のSDKである『NRSDK 2.2』は『OpenXR(ARやVRに関するオープンでロイヤリティフリーの規格)』のサポート外となっているので、開発者が思ったよりも増えなかったら…と、ちょっと危惧してしまいます。このあたりは、XREALがどこまで音頭を取ってくれるか次第かも。
次に気になるのが、『空間コンピューティング』の対応問題。
公式サイトを見てみると、現在はベータ版となっている『Nebula for Mac』でも6DoFに対応しているようなので、Macを持っていれば、空間コンピューティングができそうな気も。もし可能なら、かなり有用な予感。
そういうわけで、知識不足も相まっていろいろ疑問点は残りつつも、かなり期待できるXRデバイスではあります。もちろん、OpenXRをサポートしてくれたほうが、汎用性という意味ではありがたいのですが……。
まとめ「買ってみないと分からないかも!?」
AR開発者向けのサングラス型AR/XRデバイス。
“開発者向け”となっているが一般ユーザーも購入可能で、価格は99,800円(税込)。
最大のウリは、6DoFによる『空間コンピューティング』機能。
XREAL Air 2 Ultraは『6DoF』だが、XREAL Air 2 Proは『3DoF』。
XREAL Air 2 Ultraのみ、インフレーム型3D環境センサーが搭載されており、6DoFを活かした『空間コンピューティング』が利用できる。
XREAL専用のSDKである『NRSDK 2.2』が、OpenXRに準拠していない。
ウリの『空間コンピューティング』に対応したデバイスが少ないし、増える予定もないこと。
この『XREAL Air 2 Ultra』、単なるサングラス型の拡張ディスプレイじゃないので、試しに買ってみないと分からないかも。
まだ手が出せる価格設定なので、もうちょっと悩んでみたいと思います。
『XREAL Air 2 Pro』を買いそびれているし、こっちを買うのもアリかなー!?
おまけ
開発環境や発展という意味ではネガティブな印象もあるけど、マクロで見れば面白いデバイスだと思うし、期待値込みで投資してみたいのであーる。
『空間コンピューティング』対応機種の少なさについては、今後リリースされるカスタムコンピューティングユニットに期待したいですわね。
とどのつまり、「カスタムコンピューティングユニットを買ってね(にっこり)」ということなのでしょうな。
他社製デバイスをサポートするよりも、そっちのほうが楽やもんね。
おわり
XREAL専用のSDKである『NRSDK』なんだけど、現状はOpenXRとの互換性が保たれていないのが気になりますな。