- ヒプノグラムの算出は自分の睡眠を可視化するのに有効な手段
- 専門的な機械ではなくスマートウォッチでもヒプノグラムが算出可能
- “最適な睡眠時間”と“質の良い睡眠”が判る糸口になるので測る価値大
多くのスマートウォッチや睡眠トラッカーには、『ヒプノグラム』を算出できる機能が備わっています。
そこで本稿では、それらの睡眠に関連するガジェットを用いて、ヒプノグラムを算出する意義についてお話していきます。
睡眠を制する者は人生を制する、ですわね。
やっぱり、睡眠って大事やんね。
はじめに
本題に入る前に、「ヒプノグラム?なにそれ?おいしいの!?」とならないために、『ヒプノグラム(睡眠経過図)』について、簡単にですがお勉強しておきます。
『ヒプノグラム』とは?
『ヒプノグラム(睡眠経過図)』とは、一晩の睡眠サイクルを段階ごとに分類してグラフ化したものです。
算出されたヒプノグラムを見ることによって、自分の睡眠時間はもちろんのこと、中途覚醒の回数や間隔、不眠の有無、ひいては“質の良い睡眠が取れているのか”ということが判断できます。
ヒプノグラムを読み取ることで、客観的に睡眠の質を可視化できるのであーるっ!
“客観的”がポイントですわね。
そうなのであーる。
「私はショートスリーパーだ」と豪語する人に限って、単なる寝不足慣れによる“睡眠負債の多重債務者”だったりするからね。
自称ショートスリーパーって、めっちゃ多いやんね。
筑波大学の柳沢正史氏によると、真正のショートスリーパーは1,000人に1人もいない……とか!
『ヒプノグラム』の見方
中途覚醒の状態。
無意識的に起きている場合もある。
Rapid eye movement(急速眼球運動)を伴う睡眠の状態。
筋肉を弛緩させて休息させている。記憶形成や脳機能の回復に重要なデルタ波を、ノンレム睡眠中に誘発する役割がある。レム睡眠と浅い睡眠とは異なる。
ウトウトした状態に近い、浅い睡眠の状態。
コア睡眠や軽睡眠とも呼ばれる。
浅い睡眠に近い、中程度の睡眠の状態。
コア睡眠や軽睡眠とも呼ばれる。
Slow-wave sleep(徐波睡眠)と呼ばれる深い睡眠の状態。
成長ホルモンの分泌が盛んになり、疲労回復や細胞修復、ストレス解消などに必要な睡眠。
何らかの原因によって、測定できなかった状態。
ヒプノグラムにおける睡眠段階には、大きく分けて『覚醒』『レム睡眠』『ノンレム睡眠』があります。
アメリカ睡眠医学会では、ノンレム睡眠をさらに細かく、『N1(浅いノンレム睡眠)』『N2(中間のノンレム睡眠)』『N3(深いノンレム睡眠)』と分類しています。なお、N1・N2・N3、とせずに、N1・N2を『軽睡眠』や『コア睡眠』、N3を『徐波睡眠』、とだけ記載する場合もあります。
一般的なヒトの睡眠というのは、約1時間半の周期で、ノンレム睡眠とレム睡眠のサイクルを 4回 〜 6回 繰り返しております。また、睡眠の前半はノンレム睡眠、睡眠の後半はレム睡眠、がそれぞれ中心になっています。この睡眠サイクルが綺麗に回っているかをチェックすればよいわけです。
加えて、一般的な成人の場合、必要な睡眠時間というのは 6時間 〜 8時間 と考えられております。ただし、当然ながら個人差があります。それらを踏まえて、自分自身にとって、“最適な睡眠時間”を探ることができるきっかけにもなるわけです。
ただ単に、睡眠時間だけ見ればいいってことじゃないんやね。
そういうことあーる!
適切な睡眠サイクルで回っているのかとか、目立った中途覚醒がないかとか、いろいろ読み取る必要があるわけですな。
スマートウォッチでヒプノグラムは算出可能
一晩の睡眠サイクルが可視化できる『ヒプノグラム』ですが、専門的な機械を使わずとも、多くのスマートウォッチやフィットネストラッカーで算出することが可能です。
その算出されたヒプノグラムの精度はどうなのか、という話になってきますが、それを言い出すとキリがないので、その点についてはひとまず置いておくこととします。それよりも、スマートフォンなどでヒプノグラムが算出できる、ということのほうが重要なのです。
例えば、iPhoneとApple Watchを組み合わせれば、Apple標準の『Health(ヘルスケア)』アプリ上から、算出されたヒプノグラムを見ることができます。
このヒプノグラムの算出については、Apple Watchだけでなく、AmazfitやFitbitなどのスマートウォッチやフィットネストラッカーでも可能です。
ですので、お手持ちのスマートウォッチやフィットネストラッカーがヒプノグラムの算出に対応しているのであれば、ぜひ利用してみてください。
スマートウォッチでヒプノグラムを算出する意義
スマートウォッチでヒプノグラムを算出する意義、それは“パフォーマンスの最大化”にあります。
これまでの睡眠研究から、睡眠不足は酩酊状態と同程度まで脳のパフォーマンスが低下することが明らかになっています。そして、慢性的な睡眠不足に陥ると、精神疾患・糖尿病・高血圧・認知症のリスクが高くなることも、同時に判明しています。つまり、睡眠というのは“量”も“質”も重要なのです。
にもかかわらず、厚生労働省などのデータから、日本人の睡眠時間というのは、世界的な水準から見て最低レベルなのです。そして、ショートスリーパーというのは極めて稀な存在で、かつ後天的にはなれません。ただただ、みんながみんな睡眠不足なだけなのです。
加えて、睡眠というのは『睡眠負債』はあっても、『睡眠貯金』はできません。
したがって、質の良い睡眠を日々コンスタントに取ることが極めて重要なわけです。そして、睡眠負債をしないためには、自分にとって最適な睡眠時間は何時間なのか、ということを知る必要があります。もちろん、睡眠時間だけでなく、現在の睡眠の質が良いのか悪いのかも知らなければなりません。
要するに、スマートウォッチを用いてヒプノグラムを算出することにより、“最適な睡眠時間”と“質の良い睡眠”が判る糸口になるわけです。そして、そこから日中のパフォーマンスが最大化できる睡眠を導く。それが、スマートウォッチでヒプノグラムを算出する意義というわけなのです。ですなの。
補足すると、睡眠サイクルを適切に回すためにも、分割睡眠より連続睡眠のほうが良いんだって!
多相性睡眠と単相性睡眠ですわね。
まとめ「睡眠を可視化できるのは偉大」
『ヒプノグラム(睡眠経過図)』とは、一晩の睡眠サイクルを段階ごとに分類してグラフ化したもの。
ヒプノグラムにおける睡眠段階は、『WK(覚醒)』『REM(レム睡眠)』『N1(浅いノンレム睡眠)』『N2(中間のノンレム睡眠)』『N3(深いノンレム睡眠)』で分類される。
自分にとっての“最適な睡眠時間”、そして“質の良い睡眠”をヒプノグラムから紐解き、日中のパフォーマンスが最大化できる睡眠を導く。
良い睡眠は、生産性向上や健康促進につながる。
だからこそ、スマートウォッチやフィットネストラッカーで、ヒプノグラムを算出して、自分の睡眠を可視化し、見つめ直すのです。
ヒプノグラムは偉大なのであーる。
おまけ
一度に数時間も連続して睡眠する単相性睡眠の生物って、非常に珍しいそうですな。
ヒトにとっては当たり前でも、生物全体で見ると違うのですね。
なら、ありがたーく寝ないとやね!
うむ、まったくであーる。
おわり
- 人間の脳は平均7時間寝るのが最適な作り。短い睡眠時間でごまかす方法はありません – 筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構 柳沢 正史さん - astavision
- Bidirectional associations of sleep with cognitive interference in employees' work days - PubMed
- 「眠気」の正体が見えてきた~1万匹のマウスと向き合い - Science Portal
- 睡眠経過図(ヒプノグラム)を読む 〜睡眠評価レポート5〜 - S'UIMIN
- Hypnograms: How To Read A Hypnogram - SleepScore
- 「早寝早起き」に囚われるな。「国民総寝不足」の日本人が知るべき睡眠研究からわかった事実 - ライフハッカー・ジャパン
人生の約1/3は睡眠なのであーる!
……ということは!?