- 楽天モバイルがプラチナバンドを獲得する可能性は極めて高い
- 楽天モバイルのプラチナバンド開始は最速でも約5年後かも
- 楽天モバイルのプラチナバンド割当は“30MHz幅”の可能性大
楽天モバイルのプラチナバンド割り当てに関連し、総務省が『携帯電話用周波数の再割当てに係る円滑な移行に関するタスクフォース(第15回)』を開催しました。その内容から、楽天モバイルのプラチナバンドの開始時期と帯域幅を読み解きます。
楽天モバイルのプラチナバンド獲得は既定路線でしょうから、“いつから開始できるのか”・“誰が費用を負担するのか”、これが争点になりそうですわね。
総務省の判断に注目やね!
はじめに
『プラチナバンド』の概要
携帯電話回線における『プラチナバンド』というのは、UHF帯(極超短波)の 700MHz帯 〜 900MHz帯 のことを指しています。
このプラチナバンドと呼ばれる周波数帯の電波は、携帯電話回線として用いられている他の周波数帯と比較して低周波になっており、広く安定して通信が行えるというメリットがあります。これは周波数の原理に基づいた特性です。
この“広く安定して通信が行える”という点から、プラチナバンドは非常に重要視されており、MNOの中で唯一プラチナバンドを有していない楽天モバイルとしては、「楽天モバイルは電波がつながりにくい」という負のイメージを払拭するために、是が非でも欲しいというわけなのです。
携帯キャリア別の周波数帯
| LTE/4G | 5G | ||||||||||
700MHz帯 | 800MHz帯 | 900MHz帯 | 1.5GHz帯 | 1.7GHz帯 | 2GHz帯 | 2.5GHz帯 | 3.4GHz帯 | 3.5GHz帯 | 3.7GHz帯 | 4.5GHz帯 | 28GHz帯 | |
NTTドコモ | 20 | 30 | | 30 | 40 | 40 | | 40 | 40 | 100 | 100 | 400 |
KDDI | 20 | 30 | | 20 | 40 | 40 | 50 | | 40 | 200 | | 400 |
SoftBank | 20 | | 30 | 20 | 30 | 40 | 30 | 40 | 40 | 100 | | 400 |
楽天モバイル | | | | | 40 | | | | | 100 | | 400 |
現時点(2022年11月9日)において、携帯キャリア別における周波数帯の割り当てについては、上表のとおり。なお、セル内が斜線になっている部分が『プラチナバンド』となります。
楽天モバイルのプラチナバンド開始はいつから?
確定したわけではないが、早くても約5年後と見積もるのが妥当。
総務省による『携帯電話用周波数の再割当てに係る円滑な移行に関するタスクフォース(第15回)』によると、プラチナバンドの再割り当てについて「5年を超える移行期間を設定することができることとするのが適当である」と記載されています。
この“5年”という数字については、電波法における免許の有効期間が5年間となっていることから、同じ年数の移行期間を設けるのが適当であると判断したようです。なお、“5年を超える”と期間が経過する可能性に含みを持たせているのは、レピーター(リピーター)交換に要する作業期間も勘案しているため。
なお、第15回時点での取りまとめについては、まだ“案”となっているため、楽天モバイルのプラチナバンドが5年後である2027年から開始する、ということではないことは念頭に置く必要があります。
もちろん、新免許人(= 楽天モバイル)にプラチナバンドが割り当てられない可能性もありますが、このようなタスクフォースが結成された事実からして、楽天モバイルがプラチナバンドを獲得する可能性は極めて高いと筆者は予測しています。
楽天モバイルのプラチナバンド周波数割当は?
800MHz帯・900MHz帯から、上り/下りを合計して30MHz(15MHz ×2)が、プラチナバンドとして割り当てられる可能性が高い。
新免許人(= 楽天モバイル)にプラチナバンドを割り当てようとすると、既存免許人(= NTTドコモ・KDDI・SoftBank)が保有しているプラチナバンドを総務省に返還し、再度割り当てをする必要があります。つまり、他社から楽天モバイル側に引っ張ってくる必要があるわけです。
総務省による『携帯電話用周波数の再割当てに係る円滑な移行に関するタスクフォース(第15回)』によると、700MHz帯はそのままで、800MHz帯・900MHz帯の中から新免許人へ割譲されることとなるようです(楽天モバイル側からの提案を受けての検討段階だが)。
その際、既存免許人から等しく10MHz(5MHz ×2)が、新免許人へと再割り当てされることが検討されております。つまり、既存免許人のプラチナバンドは40MHz(20MHz ×2)となり、新免許人は30MHz(15MHz ×2)となるわけです。
当然、既存免許人のプラチナバンドは再割り当てにより減少することになるため、総務省は既存免許人の利用者に不利益が生じないように配慮すべきとしています。ですので、NTTドコモ・KDDI・SoftBankを利用しているユーザーも他人事ではないということです。
まとめ「争点は移行時期と移行費用」
楽天モバイルのプラチナバンドについては、ホワイトスペースを活用するというわけではなく、既存の携帯キャリア3社からプラチナバンドを再割り当てしてもらうことになります。ここが重要なポイント。
NTTドコモ・KDDI・SoftBankからすればメリットのない話なので、“いつまでに移行するのか”・“誰が移行費用を負担するのか”、ということについては十分な議論を重ねる必要があります。そして、少なくとも現時点では、双方の意見には大きな隔たりがあります。
したがって、御上である総務省がどう判断するのか、ここに注目しなければなりません。
楽天モバイルがプラチナバンドを獲得するのは確定だと思っているから、あとは負担費用についての折り合いをどうつけるかですな。
おまけ
700MHz/800MHz/900MHzばかり話題に上がるけど、地上デジタル放送(240MHz)のホワイトスペースをどう活用するかも気になるところなのであーる。
政府と総務省で意見に齟齬がありましたからね。
地上アナログ放送で使っていたVHF帯(72MHz)も宙ぶらりんになってる感がありますな。V-High帯を使ったNOTTVもアッサリ撤退になっちゃったし……。
VHF-Low帯を使ったi-dioも終わっちゃったやんね。
電波という資源の扱いは難しいですな。
複雑な事情が絡み合いますからね。
おわり
楽天モバイル「プラチナバンド欲しいな(費用は既存キャリア負担)」
総務省「前向きに検討しよう(楽天モバイルの主張に理解)」
既存キャリア「いろいろ納得がいかない(受益者負担を希望)」