- 5万円前後で買える『DP Alt Mode対応スマホ』は少なすぎる
- 安価なDP Alt Mode対応スマホは『Xperia 10 III Lite』一択
- メーカー各社はDP Alt Modeの対応状況をスペックシートに記載すべき
Android端末で外部モニターやARグラス(Nreal Airなど)を利用するには『DP Alt Mode』が必要ですが、対応しているのは10万円以上の高価な機種ばかり。…意外とお手頃な『DP Alt Mode対応スマホ』はないのです。
そういうところで、コストダウンを図ってるわけですね。
しかも、メーカー公式のスペックシートを見ても、USBの仕様がどうなってるのか分からないことが多いんよね。
目次
はじめに
『DP Alt Mode』の概要
USB Type-CをDisplayPortとして扱い、映像データ伝送することができる機能。
『DP Alt Mode(Displayport Alternate Mode)』とは、USB通信プロトコルがUSB 3.2[*1]以降から実装可能となった、USB Type-Cにおける信号線の一部をリマップして、USB以外のプロトコルを流すことができる『Alternate Mode』のうちのひとつです。
このAlternate Modeには、『Thunderbolt』『Displayport Alternate Mode』『HDMI Alternate Mode』『MHL Alternate Mode』『Virtual Link』がありますが、普及しているのは『Thunderbolt』『Displayport Alternate Mode』の2つ。
余談ですが、規格制定段階でUSB Type-Cは、DisplayPortやHDMIを内包するように設計されており、Alternate Modeではネイティブ伝送が行われております。プロトコル変換は行われておりません。
『DP Alt Mode』はオプション
『USB 2.0 Type-C』は、DP Alt Mode非対応。
『USB 3.2 Type-C(USB 3.0/3.1/3.2)』ではオプション扱いなので、DP Alt Modeに対応しているものもあれば、対応していないものもある。
『USB4(USB4 Host)』は、DP Alt Mode対応。
大前提として、DP Alt Modeは『USB 2.0 Type-C』では非対応です。なので、『DP Alt Mode対応スマホ』をお探しであれば、USB 2.0 Type-Cしかサポートされていない端末は、すぐに購入対象から外れます。
ここで注意したいのが、DP Alt ModeはUSB 2.0 Type-Cでは非対応ということに加えて、USB 3.2 Type-Cであっても、かならずしもDP Alt Modeに対応しているとは限らないということ。というのも、DP Alt Modeはオプション扱いになっているため、対応するか否かについては、メーカーが実装する気があるのかに懸かっているのです。
USB 3.2 Type-Cを搭載しつつ、DP Alt Modeに非対応なAndroidスマートフォンの代表例として、Googleの『Google Pixel 7』『Google Pixel 7 Pro』があります。なので、購入する際には、しっかりとリサーチする必要あるわけです。可能であれば、量販店に赴き、実機で確認するのが確実かつ理想です。
安価な『DP Alt Mode対応スマホ』は希少
かなり前フリが長くなってしまいましたが、このようにDP Alt Modeを実装するのには、それ相応のコストがベンター側に発生してきます。なので、安価な『DP Alt Mode対応スマホ』というのは、必然的に数が限られてきます。
加えて、“ハイエンド”と呼ばれるスマートフォンであっても、GoogleやXiaomiのように、一貫してDP Alt Modeに対応させてこないメーカーもあったりします(Xiaomiにいたっては、ハイエンドモデルでもUSB 2.0だったりする)。
「そんなのどうでもよくない?」と思うユーザーもいるでしょうが、DP Alt Modeに対応していないと、『Nreal Air』『Rokid Air』のようなARグラスにおいて、フル機能が使えなくなるのです。
なので、AR勢としては、『DP Alt Mode対応スマホ』はマストアイテム。しかし、肝心のDP Alt Mode対応スマホの選択肢は思ったほどなく、5万円前後で入手できる安価な機種となると、それに輪を掛けて少なくなってしまうのです。
せめて、ハイエンドモデルぐらいは、総じてDP Alt Mode対応にしてほしいんだけどねー。
オプション扱いのDP Alt Modeは別として、USB 2.0を採用してハイエンドを自称するスマートフォンとは、これ如何に…ですものね。
『Xperia 10 III』貴重なDP Alt Mode対応機種
Xperia PRO-IやROG Phone 6のように、10万円以上出せるのであれば、DP Alt Mode対応スマホはそれなりに出てきます。ただ、5万円前後で入手可能なDP Alt Mode対応スマホとなると、見つかったのは『Xperia 10 III』『Xperia 10 III Lite』ぐらい。
すでに世代落ちしている、Xperia 10 III/Xperia 10 III Lite。しかし、後継機種としてリリースされた『Xperia 10 IV』では、DP Alt Mode非対応にスペックダウンされている(USB自体も USB 3.2 Gen 1 → USB 2.0 にスペックダウン)ことから、確保しておきたい端末だったりします。
IIJmioなどではすでに販売終了になってしまっているのですが、楽天モバイルでは在庫が残っていたので、今のうちに…と悩み中。
ただ、Nreal Air公式サイトには、「Qualcomm Snapdragon 845以降を搭載」との利用要件が記載されているため、Snapdragon 690搭載のXperia 10 III/Xperia 10 III Liteを購入したところで、ちゃんとコンパニオンアプリである『Nebula』が動作してくれるのかは微妙。
もちろん、DP Alt Modeによる単なる映像出力はできるでしょうが。なので、AR勢としては要注意。
ギャンブルになりますわね。
NrealのNebulaアプリの利用要件が地味にキツいのが…ねー。
まとめ「メーカーはUSB仕様を細かく記載すべき」
メーカー各社にお願いしたいのは、搭載されているUSB Type-Cポートについて、“USB転送プロトコルが何なのか?”、“DP Alt Modeに対応しているのか?”、をしっかりと記載してもらいたいということ。
単に「USB Type-C」としか記載がないメーカーが多いので、ここは改善してもらいたい点。有志による検証は責任の所在があやふやになるので、メーカーにはメーカーにしかできないことをお願いしたいところなのです。ですなの。
Samsung Galaxyが大安定だけど、SIMフリー版を国内のオープンマーケットで売ってくれないから困ーる。
おまけ
XperiaにもPCモードがあればいいのにねー。
今のXperiaはバニラAndroidに近いスキンですし、純正アプリも廃止方向ですから…やらない(やれない)でしょうね。
Androidの開発者向けオプションから、PCモードを強制オンにするのはダメなん?
あんなの、お遊び以外では使えないのであーる。
おわり
*1USB 3.2:USB 3.0/USB 3.1の名称は『USB 3.2』に置換されている↩
しかも、ハイエンドスマートフォンと呼ばれる機種であっても、実は『USB 2.0』っていうのが多いので困ーる。