- 『Framework Laptop』:セルフリペア可能なノートPC
- 『Fairphone』:セルフリペア可能なAndroidスマートフォン
- 『技適マーク』と『電波法』がサステナブルガジェット最大の壁
モジュール式ノートPC『Framework Laptop』、モジュール式Androidスマートフォン『Fairphone』、これこそサステナブルなガジェットなのです。ただ、現行の電波法から、日本での発売は期待できなさそうで……。


本体の薄型化や部品の高密度化などの理由はあるでしょうが、以前と比べて使い捨て感がありますわね。

しかも、セルフリペアをしようとすると、分解した途端に技適認証が無効化されちゃうんよね。
モジュール式ノートPC『Framework Laptop』

Image:Framework Computer
米国カリフォルニア州サンフランシスコに拠点を構える『Framework Computer』製のセルフリペア可能なモジュール式ノートPC。
『Framework Laptop』は、バッテリーやキーボードなどをセルフリペアできるだけでなく、CPUの世代までリプレースできるという、言うなれば“自作ノートPC”のようなデバイス。

Image:Framework Computer
加えて、インターフェース類すらもモジュール構造になっており、USBポートやHDMIポートなどを、ユーザーが自由にチョイスして組み込むことができるのです。
このインターフェース系パーツは『Expansion Cards』と呼ぶそう。

Image:Framework Computer
関心するのが、バッテリーやディスプレイのような主要パーツだけでなく、ヒンジやフレキシブルケーブルまでもが、ちゃんと保守部品としてバラ売りされていること。
メーカー(= Framework Computer)が、いつまでこれらのデバイスの面倒を見てくれるのかは気になるところ。とはいえ、1つのデバイスを末永く使ってもらいたい、という姿勢が伝わってきます。素敵。

Image:Framework Computer
さらに面白いのが、一部ファームウェアがオープンソース化されており、ユーザーはGitHub経由で入手できるようになっていること。すなわち、ハードもソフトもDIYできるというわけです。
A COMPLETELY Upgradeable Laptop? - Framework Laptop Review

筐体デザインも思想も素敵ですわね。

ほんと、日本で買えないのが悔やまれる!
サステナブルなデバイスというのもあるけど、シンプルにクールだし!!
モジュール式スマートフォン『Fairphone』

Image:Fairphone
オランダ北ホラント州アムステルダムに拠点を構える『Fairphone』製のセルフリペア可能なモジュール式Androidスマートフォン。
『Fairphone』は、自分でバッテリー交換できるだけでなく、カメラモジュールやスピーカーモジュールのセルフリペアまで可能となっています。

Image:Fairphone
昨今のスマートフォンのほぼすべてが、接着剤でベタ付けされているのに対し、Fairphoneはビス留めされているだけ(一部半田付けもあるそう)。
なので、セルフリペアも超簡単に。そういうこともあり、1つ前のモデルあるFairphone 3における、iFixitでの修理スコアも満点を獲得しております。

Image:Fairphone
単純にサステナブルなデバイスというだけでなく、Fairphone社は労働環境の向上や透明化、ひいてはフェアトレード認定の鉱山から原料を調達するという徹底ぶり。
『サステナブル』という言葉は聞こえが良いので、ついその言葉だけが先行してしまうが、真なるエシカル消費につながっているのかは不透明ではある。そう考えると、このFairphoneの精神こそ、近江商人の三方良しに通ずるものがあるのではないでしょうか。
Getting Started | HOW TO FAIRPHONE 4

労働者にも消費者にも優しいってわけやね?

そういうことになりますな!
『技適認証』がサステナブルガジェットの壁

今回の『Framework Laptop』や『Fairphone』のような、モジュール式でセルフリペア可能なノートPCやスマートフォンこそ、エコでユーザーフレンドリーなサステナブルガジェット。
バッテリーだけでなく、カメラやディスプレイなどの各モジュールについても、簡単に自分で交換可能なため、ぜひとも日本で発売してほしいところ。
しかし、実際のところ、日本上陸は期待薄。というのも、日本では技適マークがある機器を無認可で分解すると、その時点で技適認証が無効化されてしまうのです(登録修理業者制度に登録している業者は別)。
このような技適認証と電波法が関わってくる問題なので、今回のようなセルフリペアができてしまう構造の『Framework Laptop』や『Fairphone』というのは、そう簡単に日本上陸とはいかないわけです。
昨今、“修理する権利”というのが、欧米を中心に活発化しており、AppleやSamsungなどでは、セルフリペアキットを提供するというところまで至っている。いろいろな大人の事情があるにせよ、サステナブルという観点からは正しい道筋でしょう。
セルフリペアにおける安全性の問題や違法改造の懸念は出てきますが、登録修理業者制度のコンシューマ版のようなものを設けていただき、日本においても“修理する権利”というのが浸透すれば良い、と思ってしまいます。

こういうことを言ったら怒られるけど、技適未取得のデバイスが巷に跋扈している状況からも、技適認証制度そのものが形骸化してるのでは?…と思っちゃうんだよね。

制度だけがガラパゴス化して、残ってしまってますものね。

「ダメだぞ!(お咎めなし)」だと、それはそれで問題ですからなー。
まとめ「サステナブルが大義名分となるか」

セルフリペアや修理する権利。それと、技適認証と電波法。
……その板挟みなのです。
『Framework Laptop』や『Fairphone 4』が日本でも発売されれば、ガジェットにおけるサステナブルの関心も高まってきますし、ぜひ時代や環境に即した法整備を検討してもらいたいものです。

もちろん、法令遵守は大切だけどね。
おまけ

パッケージの簡素化は高級機だと反発を招くし、セルフリペア可能にするほうがよっぽど合理的だと思うんだけど……。

「所有欲が満たされない」とも言いますからね。

エコフレンドリーなパッケージは大切だけど、それにともなうチープさを出さないための企業努力も求められてくるのであーる。

うーん、いろいろと大変やね。エコって。
おわり
メーカー各社がそこまで「サステナブル」を言うなら、昔みたいにバッテリーを着脱式に戻してほしいのであーる!