- iPad Proに『AR』が舞い降りた!
- “小さな巨人”と言っても過言ではないハイスペック!
- 価格が高価なのがネックだが買う価値アリ!
実はハードウェアの進化はちょっとだけ!?
待望の新型“Pro”なiPad、Apple『iPad Pro 11インチ(2020)』をレビュー。ついにiPadもデュアルカメラになり、そしてLiDARスキャナ(ToF方式)まで搭載。スペックとしての進化は小さいけど、iPadのマイルストーン的存在として歴史に刻まれそうな予感が…する!?
iPadOSもMacに近づきましたわね。
意外と節目のiPadかもやね!
目次
Apple『iPad Pro 11インチ(2020)』って?
iPad Pro 11インチ(2020)ってなに?
iPad初のデュアルカメラ搭載、そしてToF方式LiDARスキャナ搭載。よりパワフルに、よりMacライクに進化したiPad Pro。
- AppleとARを結びつけるLiDAR。
- 超広角カメラは意外と便利。
- iPadOSの進化で可能性を感じた。
- 天元突破を続けるSoCとRAM。
- カメラとLiDAR以外の進化は微妙。
- 相変わらずの背面カメラの出っ張り。
2018年モデルと表面は変わってないけど、裏面は結構変わったぞー!
ついに、iPad Proが最終形態に入る初期段階に入った…かもっ!?
本体チェック
■インターフェース
- フロントカメラ(TrueDepth)
表面のデザインは、旧型iPad Pro(2018)と一緒。
なので、パッと見だと、どっちが新型でどっちが旧型か判断できない。つまり、保護シートや保護ガラスは、そのまま2018年モデルのものが流用可能というわけになります。
■インターフェース
- リアカメラ ×2
- マイクロフォン
- LiDARスキャナ
- Smart Connector
対して裏面は大きな変化が。
リアカメラはiPadシリーズ初となるデュアルカメラ(超広角・広角)に。そして、なんだか未来を感じさせてくれる『LiDARスキャナ』なるものが。そしてもちろん、おなじみの『Smart Connector』もしっかり搭載。
■インターフェース
- トップボタン
- スピーカー ×2
- マイクロフォン ×3
こちらも2018年モデルと一緒。うーん、これならスキンシールも流用できそう…。
■インターフェース
- USB Type-C
- スピーカー ×2
うん、一緒。2018年モデルと側面は一緒ですね。
補足ですが、このiPad ProのUSB Type-C。『USB 3.1 Gen2』(SuperSpeed USB 10Gbps)のプロトコルになっています。なので、10Gbpsの転送速度に対応しています。
■インターフェース
- マイクロフォン
■インターフェース
- ボリュームボタン(上下)
- 磁気コネクタ
- nano‑SIMトレイ
側面のインターフェース類は2018年モデルと一緒。ちなみに、今回はWi-Fi + Cellularモデルなので、nano‑SIMトレイがあります。
フロントカメラ (TrueDepthカメラ) |
|
画素数 | 7MP |
F値 | f/2.2 |
iPad Pro 11インチ(2020)のフロントカメラスペック。
フロントカメラには、おなじみの顔認証技術『Face ID』を搭載。
超広角 | 広角 | |
画素数 | 10MP | 12MP |
F値 | f/2.4 | f/1.8 |
iPad Pro 11インチ(2020)のリアカメラスペック。
そしてここが新型iPad Pro最大のキモ。カメラとLiDARスキャナ。
デュアルカメラはiPhone 11と同じく、超広角と広角という組み合わせ。なので、ズームというよりは、“引いて撮る”という感じ。
『LiDARスキャナ』という仕組みが、iPad Pro(2020)には新搭載されたのですが、これは最近のスマートフォンに搭載されつつある測距計のこと。ちなみに、LiDARはToF Direct方式となっています。ToF In Direct方式ではない様子。
付属品チェック
■iPad Pro 11インチ(2020)の付属品一覧
- USB Type-C to USB Type-Cケーブル(1m)
- USB Type-C電源アダプター(18W)
- クイックスタートガイド
付属品は…いつもどおり。
18WのUSB PDに対応したUSB Type-C充電器。そして、USB-C to USB-Cケーブルのみ。いたってシンプル。そのうち、これらも付属しなくなってきそうな予感……。
注目ポイント
■iPad Pro 11インチ(2020)のポイント概要
- ディスプレイ:Liquid Retinaは120HzでP3対応
- カメラ:iPadもついにデュアルカメラ
- LiDARスキャナ:AR新時代を感じさせるToFセンサー搭載
ディスプレイ:Liquid Retinaは120HzでP3対応
新型iPad Proから新搭載…というわけではないけど、ここをスルーするわけにはいかないのが、この『Liquid Retinaディスプレイ』。
11インチで画面解像度が2,388×1,668という超高解像度ディスプレイ。その画素密度、なんと264ppi。しかも、『フルラミネーションディスプレイ』でエアギャップがなく、非常にディスプレイとベゼルの一体感がなんとも気持ちいい。もちろん、反射防止コーティング(1.8%の反射率)なので、外でもかなーり使いやすい。
これぞ、iPad “Pro”のディスプレイであーる。
そして、こちらもおなじみのリフレッシュレート120Hz。
120Hzの威力は凄まじく、動画、ゲーム、お絵描き、メモ…と何でもバッチリ。
特に、お絵描きやメモでApple Pencilで走り書きをしていると、このリフレッシュレートの高さの恩恵をフルに感じることができる。モバイルイラストレーターにもProの力を。そーんな感じ。
グラフィック系の仕事をしていると、ProがProたるゆえんを感じさせてくれる。それが、Display P3の色空間に対応しているという点。
私は普段、BenQ『PD3220U』(Display P3カバー率95%)というディスプレイを使って写真編集や開発の仕事をしているのですが、そのスーパーサブとしてこのiPad Proがフル活躍してくれています。
デザインや開発、写真編集、これらは色の再現度が命なのです。そのプロのワークフローを支えてくれるのが、iPad Pro 11インチ(2020)というわけだったりします。
カメラ:iPadもついにデュアルカメラ
iPhoneは、数年前にiPhone 7 Plusでデュアルカメラになっており、もはやスタンダードと化していたが、iPadシリーズのデュアルカメラは初めて。Proになり、超広角と広角のデュアルカメラを引っさげてきました。
デュアルカメラといっても、広角と望遠の組み合わせではなく、超広角と広角という組み合わせ。iPad Proはマイクも優秀なので、ビデオカメラとしても使える可能性が広がってきた気がします。なんだか、タブレットがデュアルカメラになると、スマホ以上のワクワク感がありますよね。
サクッと作例をどんぞーいっ!
超広角と広角の画角の差はこんな感じ。結構、超広角側もがんばってくれてます。思っていたよりもワイドで撮影できます。
ただ、超広角カメラの樽型歪曲収差が気になるかな。風景撮りでここまで樽型歪曲収差が出ちゃうと、ブツ撮りには使えないかも。いずれにせよ、ちゃんと写真として残す前提で撮影するのであれば、Lightroomで補正をかけてあげるのがベター。
LiDARスキャナ:AR新時代を感じさせるToFセンサー搭載
おそらく最大のトピックが、『LiDAR(Light Detection and Ranging)』という測距センサーモジュールが搭載されたこと。これがiPadとARをつなぐ架け橋。
とにかく、このLiDARスキャナを使ってみたぞー!
まずこちらが、旧型iPad Pro 11インチ(2018)でのARカメラテスト。
そしてこちらが、新型iPad Pro 11インチ(2020)でのARカメラテスト。
見てもらえば分かるように、LiDARスキャナが搭載されたことにより、より物体の認識精度が向上しております。
従来のiPad Pro(2018)では、物体の認識精度が甘く、このような障害物がある場合、そのまま合成するARオブジェクトが突っ込んでしまう現象がありました。しかし、新型のiPad Pro(2020)では、LiDARスキャナのおかげで障害物をしっかりと認識。それにより、ARオブジェクトと障害物が変に混ざってしまうことがなくなるようになったわけです。これぞ、LiDARスキャナの威力。
このLiDARスキャナをどう使うか、どう活用していけるか。これらは、まだまだ未知数な部分が多いですが、良い意味でのガジェット感というか、何か未来に期待できるテクノロジーに触れている気はします。
ベンチマーク
SoC | Apple A12Z Bionic |
RAM | 6GB |
ROM (eMMC) |
256GB |
購入したiPad Pro 11インチ(2020)のスペック。
Appleが言う、「コンピュータの先を行く」の力を見せてもらおうぞっ!
SoC
Geekbench 5
Single-Core Score | Multi-Core Score |
1,119 | 4,638 |
Geekbench 5のベンチマーク(SoC)結果。
Antutu Benchmark
CPU |
184,302 |
Antutu Benchmarkのベンチマーク(SoC)結果。
GPU
Geekbench 5
Metal Score |
9,652 |
Geekbench 5のベンチマーク(GPU)結果。
Antutu Benchmark
GPU |
372,518 |
Antutu Benchmarkのベンチマーク(GPU)結果。
RAM
Antutu Benchmark
RAM |
105,341 |
Antutu Benchmarkのベンチマーク(RAM)結果。
ここがすき!
意外とデュアルカメラは使える
「iPadで写真なんて撮らないし…」と思っていたけど、新型iPad Pro(2020)の超広角カメラは意外と利用シーンが多くて良き。
特に役立つシーンなのが、書類等のスキャン時。従来のiPad Proの広角カメラは画角が狭く、スキャンするのにわりと離れる必要があった。それが超広角カメラが搭載されたことによって、離れる必要が少なく、結果的に簡単に書類のスキャンをすることができるようになってくれました。
さすがにiPad Proのサイズを風景撮りに常用していると周りから変な目で見られると思うので、多くのユーザーがこういった書類スキャンに超広角カメラを役立てることになりそう。そういう意味では、iPad Proのデュアルカメラ化、望遠ではなく超広角を採用したのは大正解な気がしています。
Wi-Fi 6対応は地味に嬉しい
デバイス単体としての進化はカメラとLiDARスキャナだけなので、インパクトに欠けるのは事実。ただ、地味に『Wi-Fi 6』に対応してくれたのがかなり嬉しい。
iPhone 11シリーズで、iPhoneもすでにWi-Fi 6に対応しているので、流れ的には当然。でもでも、これからのWi-FiスタンダードなWi-Fi 6にネイティブ対応してくれたことで、大いばりでProと言えるようになってくれました。
ここがうーん?
ケースなしだと非ツライチ
もはや恒例になってしまったのですが、あいも変わらずケースなし状態だと、リアカメラ部分が出っ張るのはいただけないポイント。
カメラのスペック的に、モジュールが大きくなるのが承知の上。でもでも、iPad miniみたいに、リアカメラと裏面がツライチのほうがデザイン的にも嬉しいし美しい。イラストを描くときにもツライチが嬉しいわけでして……。
意外とハードの進化は平凡
Appleのプロモーションが上手“すぎる”のでマスクされがちだけど、実は今回の新型iPad Pro(2020)のスペック向上はハード面ではいたって平凡。
SoCのスコアも旧型(A12X Bionic)と大差ないし、セルラー通信は5Gモジュール非搭載。ディスプレイも一緒。デザインもほぼ一緒。OSが凄いとチヤホヤされているけど、これは別の他のiPadだってアップデートで適用可能。つまり、意外とマイナーチェンジだったり。
とはいえ、デュアルカメラは便利だし、LiDARスキャナも面白いし未来を感じられる。なので、要するに人を選ぶ進化をしたのかもしれません。進化を感じる立役者なのが『Magic Keyboard』というのは内緒。
まとめ「Mac化×ARの第1段階デバイスとしての羅針盤」
今回のApple『iPad Pro 11インチ(2020)』のレビューを総括すると…
- 最大の目玉は『LiDARスキャナ』
- デュアルカメラは意外と使える
- ハード全体の進化は小粒
- ソフトとアクセの進化の幅が大きかった
という感じ。
デュアルカメラとLiDARスキャナ…以外は、意外と普通な今回のiPad Pro。ただ、iPadOSの飛躍的な進化や『Magic Keyboard』というアクセサリーの登場のおかげで、全体的には大きなバージョンアップを果たした感じ。スペック至上主義には面白くないかもですが、将来のiPadを占う上では、マイルストーンとなるiPad Proだったかもしれません。
全部のiPadシリーズがこうなると面白くなってくるはずっ!
おまけ
AR…未来ですわね。
ブームが一旦は下火になっていたイメージだけど、こうやって身近なハードに搭載されてくると、またブームが再燃しそうな気がするっ!
この手のテクノロジーは使ってなんぼやもんね!
コンシューマー的にはそうなのであーるっ。
おわり
進化したのはカメラとLiDARだけっ!
…だけど、この進化こそ大きな一歩なのであーるっ!