- 電源タップにUSB PD対応USB-Cがあると便利だぞ!
- コンセントが3極仕様でアースが取れる点がニクい!
- USB PDが5V・2.8Aで出力されているのが残念すぎる!
定位置は机の脚に固定ですなの。
USBポート搭載電源タップ、Anker『PowerPort Strip PD 3』をレビュー。3つのコンセント、2つのUSB-A、1つのUSB-C…これぞ、スーパーマルチな電源タップ。USB-CはUSB PDで30W出力可能。これが偉大ですなの。
フック穴が搭載されているからですわね。
スタバ感…やね。
目次
Anker『PowerPort Strip PD 3』って?
Anker PowerPort Strip PD 3ってなに?
コンセントが3つ、USB Type-Aが2つ、USB Type-Cが1つ、というスーパー電源タップ。これ1つで何でも充電できちゃう凄い子。
- USB-A・USB-C両搭載
- アース対応のACコンセント
- 一括スイッチ搭載
- 本体底面のゴム足
- 机に固定しやすい形状
- スイングプラグ非採用
- USB-Cの最大出力が30W
- 5V・2.8AなPDO
- 雷サージ非搭載
カフェっぽく、机にコンセントと充電用USBポートが欲しい!
…そんなスタバに憧れるおしゃれギークに向けたマルチ電源タップであーるっ!
本体チェック
■インターフェース
- 電源スイッチ(電源ランプ内蔵)
- ACコンセント(3極) ×3
- USB Type-A ×2
- USB Type-C ×1
Anker PowerPort Strip PD 3のサイズは 230×55×30mm で、重さは424g。ACコンセントが3ポートな電源タップと考えると大きめですが、USBポートがあるので致し方なし。
ポート構成は、アースに対応した3極のACコンセントが3ポート、PowerIQ対応のUSB Type-Aが2ポート、USB PD対応のUSB Type-Cが1ポート。全部で6つの出力ポートを搭載。
また、電源を一括でオフにできる電源スイッチを搭載。ACコンセントが6ポートなAnker PowerPort Strip PD 6には搭載されていた、サージ保護(雷サージ)や保護接地の機能は本モデルにはありません。
海外版(PowerPort Strip PD 3)には、雷サージ機能が搭載されていたのに、日本向けになるとオミットされている謎あーる。
プラグ部分だけ付け替えた…ってことじゃなさそうやね。
下面(裏面)には、しっかりとフック穴が2つ搭載されており、机や壁に固定しやすくなっています。そして、電源タップでは珍しい、滑り止めのゴム足も完備。Anker PowerPort Strip PD 3自体、机に固定したくなる形状ですが、そういうことも想定して作られているのかもしれません。
あとは、電源関係の仕様や認証の印刷が中央付近にポツり。ここを見ていると、USBが搭載されているんだな、と改めて感じさせてくれます。
USBポートが搭載されている以外は普通の電源タップな、Anker PowerPort Strip PD 3。なので、本体の外周には特に何もありません。
■インターフェース
- ACプラグ(接地線付き2Pプラグ)
電源タップに搭載されていたコンセントが3極…なので、当然、ACプラグはアースありのタイプです。なお、ケーブル長は1.8m。取り回しを考えると、妥当な長さでしょう。
ちなみに、ACプラグはアメリカンな3ピンではなく、2ピン(接地線付き2Pプラグ)。なので、コンセントに接地極(アース)を持っていない場所でも、変換アダプターなしで利用可能。
ACコンセント | USB Type-A | USB Type-C | |
合計最大出力 | 1,000W | ||
- | 30W | ||
最大出力 | 1,000W | 12W | 30W |
ポート数 | 3 | 2 | 1 |
Anker PowerPort Strip PD 3のAC/USBポート数・最大出力
Anker PowerPort Strip PD 3に搭載されている、ACコンセント・USBポート各種の仕様については上表のとおり。
電源タップとしての合計最大出力は1,000W。日本で流通している多くの電源タップの定格が1,500Wということを考えると、少し低めの数値。おそらく、ACコンセントが3つということに関係しているのでしょうが、一般的なのは1,500Wなので、合わせてほしかったところ。
USB全体の合計最大出力は30W。ポートごとで見ると、USB Type-Aの最大出力が12Wで、USB Type-Cの最大出力が30W。要するに、複数USBポートを同時利用した場合においては、各USBポートの最大出力にリミットがかかることになります。複数USBポート利用時の最大出力の挙動については、記事後半に補足としてまとめておりますのでそちらを参照で。
地味に1,000Wの定格が気になるかなー。
付属品チェック
■付属品一覧
- 結束バンド
- 取扱説明書
Anker PowerPort Strip PD 3の付属品は、結束バンド・取扱説明書、という2つ。なお、結束バンドについては、最初から電源タップのケーブル部分に取り付けられています。
ベンチマーク
USB PD充電器の選び方については、こちらの記事からどぞー。
USB PD充電器というよりかは、USBポート付き電源タップですけどね。
Vbus Hot
チェッカーで確認したところ、シンク(デバイス)未接続時にはソース(Anker PowerPort Strip PD 3)から電圧がかかっていないことが確認できました。なので、こちらはVbus Hotではありませんでした。
Bridged CCs
USB-IF認証済のeMarkerチップ搭載の5Aケーブル(Anker PowerLine II USB-C & USB-C 3.1 (Gen2) ケーブル)を接続したところ、Anker PowerPort Strip PD 3で接続が検出され、充電が開始されていました。
PDO
USB Type-C | |
Revision | Power Delivery 3.0 |
PDO | 5V・2.8A 9V・3A 15V・2A 20V・1.5A |
Anker PowerPort Strip PD 3のPDO
Anker PowerPort Strip PD 3のPDOは上表のとおり。USB PDのRevisionは『Power Delivery 3.0』でした。
テスターで測定したところ、スペックシートとは異なるPDOが検出されました。USB PDの規格上、5V出力時には3A出力を行わないといけないことになっていますが、検証結果は5V・2.8A。USB PDの仕様を鑑みると、残念ながら規格違反という結果に。
Anker PowerPort Strip PD 6に引き続き、こっちもなのね…うぐぅ。
急速充電規格
USB Type-Aポート(USB BC DCP・PowerIQ対応)からは、Apple 2.4Aのみ検出されました。これはPowerIQの仕様どおり。
USB Type-Cポート(USB PD対応)からは、同じくApple 2.4Aが検出されました。
うーん、USB Type-Cポートよ。どうしてこうなったのであーるか。
使ってみた
電源タップから30WのUSB PDが取れる強み
USBポートを搭載した電源タップは、昔に比べると随分と増えました。それも、謎メーカーとかの製品ではなく、ちゃんと名が通ったメーカーから出ています。でも、それらの電源タップの大半が、USB Type-AはあってもUSB Type-Cはナシ。
今回のAnker PowerPort Strip PD 3の最大の強みであり、便利なのがここ。電源タップに、最大30WのUSB PD出力を持ったUSB Type-Cポートが搭載されているということ。とにかく、電源タップから直でUSB PDが取れるのが便利の便利。
電源タップを最強の充電ステーション化
USB Type-Aが2ポート、USB Type-Cが1ポート。…もっと、USBポートを増やしてみたい。
…こうすればいいのだっ!
Anker PowerPort Strip PD 3に、
を挿して、コンセントの穴をすべて埋めてみました。これはヤバい人だ……。
ここまでする必要はない(コンセント全部埋まっちゃうし……)ですが、こういう感じにして、充電ステーション化しても面白いかもしれません。Anker PowerPort Strip PD 3に搭載されているUSB Type-Cポートは最大30Wまでなので、1つぐらいは高出力なUSB PD充電器と併用するのがおすすめです。
USB-Cはワイヤレス充電器専用ポートとして便利
Anker PowerPort Strip PD 3にある、最大30WのUSB PD対応USB Type-Cポート。これをどう扱うかが、このプロダクトのミソ。
Anker PowerPort Strip PD 6のレビュー記事では、モバイルバッテリーの充電に利用するというのを紹介したのですが、Qiワイヤレス充電器の電源確保にもアリ。
Hard Cider LabsのSliceCharge ProというQiワイヤレス充電器なら、電源確保がUSB PD経由なので、Anker PowerPort Strip PD 3とUSB Type-Cケーブル1本で可能。モバイルバッテリーより、こっちのほうが使い方としては便利かも。
USB PDのPDOがベンチマークで判明したように、ちょっといわくつき。そこがネック。
なので、ノートパソコンの充電に使うよりも、5V・3A以上を要求する別のガジェット的なアイテムの充電のほうが安牌…と思って、こういう活用法に落ち着いていたりします。
3Pコンセントが変換アダプターなしで挿せる
海外メーカーのノートパソコンの充電器やガジェット系だと、ACプラグが接地極付きの3Pプラグということが多々あります。これが意外と厄介。
Anker PowerPort Strip PD 3に搭載されているACコンセントは、3Pコンセントなので、変換アダプターなしで挿せるのが嬉しいところ。もちろん、ちゃんとアースを取るには、プラグ側もちゃんとアースを取りましょう。
雷サージが非搭載が解せぬ
個人的に解せないのが、Anker PowerPort Strip PD 3の海外版にあたる『PowerPort Strip PD 3』には、ちゃんと雷サージがあるのに、日本向けのこちらでは雷サージがオミットされていること。
しかも、ACコンセント6ポート版のPowerPort Strip PD 6では、ちゃんと雷サージが搭載されているのです。謎の差別化仕様やめてほしい……。
5V・2.8AのPDOは残念
Anker PowerPort Strip PD 6もそうだったのですが、このAnker PowerPort Strip PD 3も、5V・2.8AでPDOが通知されてしまっています。
ここの概要については、Anker PowerPort Strip PD 6のレビュー記事で話しているのですが、USB PDにQuick Charge等の急速充電規格が内包されてしまっているポートよりも、5V・2.8AのPDOのほうが個人的には気になります。
実利用で問題になることは少ないにしても、歓迎したくない仕様(そもそも規格違反だし)なのは事実。デバイスが故障するというよりも、充電ができなかったという相性問題のほうが出てきそうな予感。5V・3A、これはゼッタイ。
補足
複数USBポート利用時の電力供給量
今回のAnker PowerPort Strip PD 3には、合計3つのUSBポートが搭載されています。それらのUSBポートを、同時に複数利用した場合での各ポートの最大出力について、以下の表に利用ポート別にまとめてみました。
利用ポート | |||
USB Type-A(1) | USB Type-A(2) | USB Type-C | |
最大出力 | 12W | 12W | 30W |
1ポート利用時の最大出力表
利用ポート | ||
USB Type-A(1) + USB Type-A(2) |
USB Type-A(1・2) + USB Type-C |
|
最大出力 | USB-A(1):12W USB-A(2):12W |
USB-A(1・2):12W USB-C:18W |
2ポート利用時の最大出力表
利用ポート | |
USB Type-A(1) + USB Type-A(2) + USB Type-C |
|
最大出力 | USB-A:合計12W USB-C:18W |
3ポート利用時の最大出力表
まとめ「電源タップだけど机固定が定位置の充電器母艦」
そういうわけで、今回のAnker『PowerPort Strip PD 3』のレビューを総括すると…
- 電源タップにUSB-Cがあると超便利
- USB-CはQiワイヤレス充電器の電源確保に使いたい
- コンセントが3Pなのは助かる
- 雷サージが欲しい
- USB PDのPDOがどうしてこうなった
という感じ。
USB PDのPDOが残念。気になる人は、モバイルバッテリーやQiワイヤレス充電器のようなデバイスの電源確保用にするのがベターでしょう。
褒めるべき点としては、机や壁に固定することを想定した作りになっていること。サイズ感的にも、机の脚や裏に固定しやすいものになっているので、そういう使い方をするなら便利。本当は5V・3Aでちゃんと出力されるのなら、もっとおすすめできるのですが…ね。
5V・3Aになっているモデルを出してほしいのであーる。
おまけ
PowerIQは自社規格なんだから、そこは準拠しちくりー。
PDOを守りつつ、60Wぐらいあれば最高なんやけどね。
後継機種を待ちましょう。
おわり
机に固定してと言わんばかりの作り込みっ!