- PowerIQとは何かについてまるっとお勉強!
- キモな機能はデバイスへの最適化とケーブル抵抗の減少!
- PowerIQはVer.ごとに最大出力と急速充電規格が異なる!
PowerIQはややこしい。
AnkerのUSB充電器・モバイルバッテリーに搭載されている『PowerIQ』というテクノロジーについて、サクッとお勉強。そもそもPowerIQとは何か、どういう機能があるのか、バージョンごとの仕様の差異、気になるところ…まとめて総ざらいしてます。


なるほど……。

知識がある人ほど、悩ましいワードやんね。
目次
『PowerIQ』とは?
■PowerIQの概要
- Anker独自のUSB充電テクノロジー。
- いわゆる『スマートポート』の一種。
- さまざまな急速充電規格との互換性を持たせている。
- 搭載されている機能は主に2つ。
- PowerIQはバージョンごとに仕様が異なる。
『PowerIQ』とは何かについて端的に言うと、デバイスに合わせてフルスピード充電を行うためのAnker独自のスマートポート規格、という感じ。
そもそも、『スマートポート』とは、USB充電器(モバイルバッテリー)に接続されたデバイスを自動的に検知して、そのデバイスを充電するのに最適でかつ最大の電力量を供給し、充電を行うというもの。このスマートポートという機能については、Ankerだけでなく、他社(AUKEYやRAVPowerなど)でも別の名前で採用されていたりします。

要するに、ユーザーに分かりやすく認知させるためのブランド名って感じですなー。

実際、知っている人も多い印象ですし、マーケティング的に成功を収めていると言えそうですわね。
PowerIQの機能
- 接続機器自動検知機能
- VoltageBoost
PowerIQの特徴的な機能は上記の2つ。
接続機器自動検知機能
『接続機器自動検知機能』とは、接続したデバイスを即座に認識して、そのデバイスに対応している最大のスピードで急速充電を行うというもの。
あとで解説するのですが、PowerIQ 2.0以降では通常のUSB充電規格に加えて、Qualcommの独自急速充電規格『Quick Charge』にも対応しています。なので、スマートポートの延長のような機能なのでしょう。
VoltageBoost
『VoltageBoost』とは、充電する際に接続するケーブル(USBケーブルやLightningケーブルなど)の抵抗値を調整し、ケーブル抵抗が起因の充電速度の低下を防ぐという機能のこと。
Anker曰く、このケーブル抵抗が原因で、充電速度が遅くなることがあるそう。その充電の際のボトルネックとなる、ケーブル抵抗を減らして、ロスを最小限にしてデバイスへ電力供給を行う。これがVoltageBoostというAnker独自の技術というわけです。
PowerIQバージョン比較

| PowerIQ | PowerIQ 2.0 | PowerIQ 3.0 | PowerIQ 3.0(Gen2) |
最大出力 | 12W | 18W | 100W | 100W |
対応ポート | USB Type-A | USB Type-A | USB Type-C | USB Type-C |
USB PD | × | × | ○ | ○ |
Quick Charge | × | ○ (QC 3.0) |
○ (QC 3.0) |
○ (QC 3.0) |
PowerIQ各バージョンの仕様比較表
そんなAnker独自の充電テクノロジーであるPowerIQですが、各バージョンごとに仕様が変わっています。上表はそのバージョンごとの仕様の差異をまとめたものです。

サクッと比較したところで、バージョンごとの細かな仕様を見ていくあーる。
PowerIQ
■PowerIQ仕様まとめ
- 誕生:2014年
- USB:USB Type-A
- 最大出力:12W出力
- 急速充電規格:
- Apple 2.4A
W(Max) | V | A |
12W | 5V | 2.4A |
PowerIQの出力表
PowerIQ(PowerIQ 1.0)は、2014年に誕生した最初のPowerIQ規格。
急速充電規格としては、Apple 2.4A(iPhoneを急速充電するためのApple独自規格)にだけ対応している。当時はまだ、普通のUSB充電ポートよりは便利なUSB充電ポートという感じでした。
PowerIQ 2.0
■PowerIQ 2.0仕様まとめ
- 誕生:2017年
- USB:USB Type-A
- 最大出力:18W
- 急速充電規格:
- Apple 2.4A
- Quick Charge 3.0(2.0)
W(Max) | V | A |
18W | 5V 9V 12V |
2A*1 2.4A 3A*1 |
PowerIQ 2.0の出力表
*1Quick Charge
PowerIQ 2.0は、2017年に誕生したPowerIQの第2世代。
PowerIQ(PowerIQ 1.0)では非搭載だった、Quick Charge 3.0(2.0)がPowerIQ 2.0では新たに搭載されている。また、最大出力も 12W → 18W となり、より高出力になった。
PowerIQ 3.0
■PowerIQ 3.0仕様まとめ
- 誕生:2019年
- USB:USB Type-C
- 最大出力:100W
- 急速充電規格:
- Apple 2.4A
- Quick Charge 3.0(2.0)
- USB PD
W(Max) | V | A |
100W | 5V 9V 15V 20V |
2.4A 3A 5A |
PowerIQ 3.0の出力表
PowerIQ 3.0は、2019年に誕生したPowerIQの第3世代。
この世代から、対応ポートが USB Type-A → USB Type-C となり、USB PDに対応(ちょっと意地悪に言うと、準拠はしていない)となった。USB PDに対応したことによって、最大100Wでの電力供給が可能となり、より幅広いデバイスへの充電へも対応したのがこのPowerIQ 3.0。
PowerIQ 3.0(Gen2)
■PowerIQ 3.0(Gen2)仕様まとめ
- 誕生:2020年
- USB:USB Type-C
- 最大出力:100W
- 急速充電規格:
- Apple 2.4A
- Quick Charge 3.0(2.0)
- USB PD
W(Max) | V | A |
100W | 5V 9V 15V 20V |
3A 5A |
PowerIQ 3.0(Gen2)の出力表
PowerIQ 3.0(Gen2)は、2020年に誕生したPowerIQの第3世代バージョンアップ版。
基本的にはPowerIQ 3.0と同じなのですが、端的に言ってしまうと、よりUSB-IFの仕様に従うような形になったのが、このPowerIQ 3.0(Gen2)。内部の仕様も結構変わっているのですが、電流の最低供給量が 2.4A → 3A となった点が大きなトピック。
USB PDを使うにあたって、5V・2.4Aという組み合わせの出力はいろいろいわく付き。そこが晴れて解消されたのが、このPowerIQ 3.0(Gen2)というわけです。2020年現在においては、この『PowerIQ 3.0(Gen2)』が最新のPowerIQ規格になります。
まとめ「PowerIQは急速充電の詰め合わせだ!」

そういうわけで、AnkerのUSB充電テクノロジー『PowerIQ』について、いろいろお勉強してみました。
最後にPowerIQとは何かについて要約すると…
- Anker的スマートポート技術
- Ver.によってはQCやUSB PD対応
- Ver.によって最大出力(W)が異なる
- 最新はPowerIQ 3.0(Gen2)
という感じですなの。
厳密に言えば、USB PDに対応したUSB Type-Cポートに、USB PD以外の急速充電規格(Quick Chargeなど)を内包させてはいけないのも事実。ただ、このあたりは実用上問題ない場合が多いことと、規格だけでは語れない大人の事情が絡んでいそうだったりします。なので、結局はユーザーがどこまで許容するかになりそうです。

PowerIQ 3.0(Gen2)については、かなり良さそうな技術だと思うけどねー。
おまけ

AnkerのUSB充電器も、年々地味に進化していっているわけですなー。

「地味に」って……。

だって、大々的に言うものじゃないもんっ!

そういうもの…なのですかね!?
おわり
PowerIQについてひとことでまとめると…
「急速充電規格をまとめたら便利でしょ?」
って、ことだったんだよねー。