- モバイルバッテリーの最重要事項 → USB PDの最大W数
- “大容量 × 高出力”こそ理想のモバイルバッテリー
- ノートPCやタブレットのUSB PD充電要件をチェック
USB PD対応のモバイルバッテリーは、“大容量”よりも“高出力”のほうが重要だ!……という話を語っていきます(“大容量”ばかり注目されるので)。
大容量モバイルバッテリーって、ノートPCを充電するために存在しているようなものですものね。
それと、USBポート数も重要やんね。
USB Type-Cが1つだけやと、やっぱり心許ないし……。
目次
はじめに
ひとくちに『モバイルバッテリー』と言っても、その種類は多種多様。本稿がフォーカスしているのは、その中でも『USB PD』に対応している、比較的大型のモバイルバッテリーになります。
ですので、スマートフォンやスマートウォッチなどを充電するために存在している、ポケッタブルな小容量モバイルバッテリーについては、今回は除外して話しております。
モバイルバッテリーの“大容量”と“高出力”
バッテリー容量が大きければ大きいほど正義。
ただし、機内持ち込み制限の“160Wh(≒ 43,243mAh)以下”が、事実上のモバイルバッテリーにおける容量の上限値となる。
最大出力が大きければ大きいほど正義。
特に『USB PD(USB Power Delivery)』の最大出力が大きいほうが、さまざまなデバイスを充電できるようになる。
モバイルバッテリーを取り巻く要素もさまざまですが、そんな中でも“大容量”と“高出力”というのが、とりわけ重要視される傾向があります。
モバイルバッテリー × 大容量
至極当然な話ですが、モバイルバッテリーはデバイスの予備電源として活用されるガジェットであるため、“大容量”であればあるほど正義。
昨今、モバイルバッテリーにおける容量当たりの単価も下落傾向にあり、20,000mAhの大容量モバイルバッテリーであっても、数千円で購入できるぐらいにまでリーズナブルになりました。ですので、スマートフォンしか充電しないライトユーザーであっても、「大容量モバイルバッテリーを持ってるよ!」という声をよく耳にします。
モバイルバッテリーの世界は、まさに大は小を兼ねる。サイズや質量さえ我慢できるのなら、大容量であればあるほど良いに決まっています。ただし、何事にも限度があるように、モバイルバッテリーにも容量の制限というものが存在しております。
100Wh以下 (〜 27,027mAh) |
100Wh超過 160Wh以下 (27,028mAh 〜 43,243mAh) |
160Wh超過 (43,244mAh 〜) |
| (2個まで) |
|
モバイルバッテリーの事実上の容量制限となるのが、飛行機における機内持ち込み可能な最大容量である“160Wh(≒ 43,243mAh)”。
リチウムイオン電池が採用されているモバイルバッテリーであれば、定格電圧は3.7Vになるので、約43,000mAhが機内持ち込み可能なモバイルバッテリーの上限容量というわけです。モバイルバッテリーの機内持ち込みについては国土交通省の公式サイトにも記載があるので、飛行機に搭乗される際はご一読をば。
43,000mAhのモバイルバッテリーなんて、ほとんどありませんよね。
『モバイルバッテリー』じゃなくて、『ポータブル電源』やんね。
機内持ち込み不可なモバイルバッテリーなんて、そうそう存在しないってことあーる。
モバイルバッテリー × 高出力
モバイルバッテリーにおいて大容量と同じくらい、もしくはそれ以上の重要なファクターとなってくるのが高出力であるということ。つまり、“高出力”であればあるほど正義。
昨今のモバイルバッテリーの大半には、『USB PD(USB Power Delivery)』に対応したUSB Type-Cポートが搭載されております。
その結果、モバイルバッテリーでありながら、60Wや100W、そして140Wという高出力が可能となりました。ちなみに、『USB PD 3.0』であれば最大100W、『USB PD 3.1』であれば最大240W、というのが規格上の最大出力です。
このようなモバイルバッテリーの高出力化により、スマートフォンやタブレットだけでなく、充電をするのに高いW数を要するノートPCまでもが、モバイルバッテリーで充電できるようになりました。
モバイルバッテリーひとつで、ありとあらゆるデバイスが充電可能となっている。だからこそ、モバイルバッテリー(に搭載されているUSB Type-Cポート)の最大出力というのが、非常に重要になってくるわけです。
もちろん、ノートPC側がUSB PDに対応している必要はあるけどねー。
完全な充電こそできないものの、USB PDから電力が確保可能なゲーミングノートPCやモバイルワークステーションも存在してますものね。
モバイルバッテリーを使えば、ノートPCの駆動時間の延伸もできるから安心やんね。
“大容量”より“高出力”が重要な理由
“大容量”も“高出力”も、モバイルバッテリーにおいて重要なファクターであることは変わりありません。ただ、「どちらが重要か?」と聞かれれば、“高出力”のほうが重要である、と言えます(USB PDに対応したモバイルバッテリー、という符号は付きますが)。
モバイルバッテリーは、“大容量”より“高出力”こそ重要。
その理由こそ、AC電源としてUSB PDを用いた際の充電要件、これがノートPC側に存在しているからなのです。意外と見落としがちですが、これが非常に重要でして。
| Surface Laptop Go 2 | Surface Laptop 4 | Surface Pro 8 | Surface Laptop Studio (iGPU) |
Surface Laptop Studio (dGPU) |
充電要件 | 39W | 60W | 60W | 60W | 95W |
例えば、Microsoft Surfaceファミリー製品における、充電要件は上表のとおり。
これらの充電要件は、公式サイトに基づいております。実際は、充電要件よりも低いW数でも、デバイスへの充電が可能な場合が大半です。しかし、純正ACアダプタと同等の充電速度にするためには、上表で示したW数がモバイルバッテリー側でも必要だというわけです。
| MacBook Air (M2 | 2022) |
MacBook Pro 14″ (M1 Pro/M1 Max | 2021) |
MacBook Pro 16″ (M1 Pro/M1 Max | 2021) |
充電要件 | 30W | 67W | 140W |
例えば、Apple MacBookファミリー製品における、充電要件は上表のとおり。
こちらも充電要件は公式サイトに基づいておりますが、Surfaceと同様に、充電要件よりも低いW数でも、デバイスへの充電が可能な場合が大半です。ことさらMacBookファミリーにおいては、低出力の充電器でも、充電が可能な傾向が他社に比べて強くなっております。
これらの表で示した、充電要件を下回る出力しか持たないモバイルバッテリーでは、充電速度が遅くなってしまったり、最悪の場合は充電そのものができなかったりします。
モバイルバッテリーを買うとき、ついついバッテリー容量ばかりに目が行きがちです。しかし、バッテリー容量だけでなく、USB PDの最大出力にも注視しておかなければならない、というわけなのです。ですなの。
ノートPCによっては、設計されている閾値を下回るW数だと、USB PDによる充電そのものを蹴ってしまうものもあーる。
一定以上のPDOがないUSB PDによる電力供給は受け付けない、というわけですね。
“大容量” × “高出力” なモバイルバッテリー
最後に、ノートPCの充電にも使える “大容量” × “高出力” なモバイルバッテリーを紹介して、本稿を閉じることにします。
①Anker 737 Power Bank
- 24,000mAh
- 140W
- USB Type-A①
- 最大18W
- USB Type-C①
- 最大140W
- USB Type-C②
- 最大140W
②HyperJuice 245W USB-C Battery Pack
- 27,000mAh
- 245W
- USB Type-C①
- 最大100W
- USB Type-C②
- 最大100W
- USB Type-C③
- 最大65W
- USB Type-C④
- 最大65W
③Anker PowerCore III Elite 25600 87W
- 25,600mAh
- 78W
- USB Type-A①
- 最大18W
- USB Type-A②
- 最大18W
- USB Type-C①
- 最大87W
- USB Type-C②
- 最大87W
④AOHI 30000mAh Power Bank
- 30,000mAh
- 100W
- USB Type-A①
- 最大18W
- USB Type-C①
- 最大100W
まとめ「大容量 × 高出力 が理想のモバブ」
USB PD対応のモバイルバッテリーをお探しの際は、バッテリー容量だけでなく、USB PDの最大W数もチェックしてみてください。
そうそう、お使いのノートPCが“何Wから充電できるか”、ここも事前に確認することをお忘れなく。
そういえば、最近『モバブ』って言わなくなったのであーる。
おまけ
『モバブ』は、『モバイルブースター』の略ですよね。
モバイルブースターの本家、三洋電機自体がもうないんやもんね。
『eneloop』は、Panasonicの充電池ブランドへ昇華。
『Xacti』は、現場向けのカメラとして独立。
『AQUA』は、Haier Group傘下として吸収。
……三洋電機も大変ですな。
おわり
例えばだけど、
20,000mAh + USB PD 18W
なモバイルバッテリーは微妙なのであーる。