- 複雑すぎるMagSafe充電器の仕様を調べた!
- MagSafeはQi認証から外れたQi互換ワイヤレス規格!
- USB PD周りの仕様にしこりが残るので要検証!
MagSafe充電器の謎を調査。
iPhone 12シリーズで利用可能な『MagSafe充電器(MagSafe Charger)』の仕様について調べてみました。どうやら、 ワイヤレス充電 = Qi ということではなさそうです。
名前も“また”『MagSafe』ですからね。
だから調べたのであーるぞっ!
目次
はじめに
本記事はApple純正『MagSafe充電器(MagSafe Charger)』の仕様についての調査なのですが、その前に『MagSafe(MagSafe for iPhone)』と『MagSafe充電器(MagSafe Charger)』そのものについてのおさらいを少しだけしておきます。
MagSafeとは?
『MagSafe』とは、iPhone 12シリーズから採用されたワイヤレス充電規格のこと。古いMacBookシリーズに採用されていた、MagSafe(MagSafe for Mac)とは同名ですが別物の規格になっています。
■MagSafeに搭載されているもの
- ワイヤレス充電(MagSafe + Qi互換)
- NFC
- 磁力計
iPhone側のMagSafe(MagSafe for iPhone)には、ワイヤレス充電を行うためのモジュール以外にも、NFCや磁力計が搭載されています。
これにより、MagSafe(MagSafe for iPhone)は、単なるワイヤレス充電をするためだけのいち規格ではなく、幅広い汎用性を持たせた規格になっていることが分かります。なお、搭載されている磁力計で、装着したモジュールを識別しています。
MagSafe充電器とは?
『MagSafe充電器(MagSafe Charger)』とは、Apple純正のMagSafe(MagSafe for iPhone)規格のワイヤレス充電器のこと。
MagSafe(MagSafe for iPhone)を使ったアクセサリーは、Apple純正を含めて増えつつありますが、今回注目したのは、ベーシックな充電器であるMagSafe充電器というわけです。
MagSafe充電器の仕様
前フリも終わったので、まずは『MagSafe充電器』そのものの仕様について、Apple公式サイト(How to use your MagSafe Charger with iPhone 12 models)に記載されている情報を分かりやすくまとめてみます。
最大電力供給量
iPhone 12 iPhone 12 Pro iPhone 12 Pro Max |
iPhone 12 mini | Qi対応デバイス |
最大15W | 最大12W | 最大7.5W |
MagSafe充電器の最大電力供給量
上表のとおり、MagSafe充電器はワイヤレス充電を行うデバイスによって、その最大電力供給量が変化することが分かります。
必要なUSB充電器の条件
■形状
- 利用可能:USB Type-C
- 利用不可:USB Type-A
■電力
- 15W:9V・2.22A または 9V・2.56A 以上
- 12W:9V・2.56A 以上
■備考
- 非USB PD(Apple 2.4A)利用可能
- 非USB PD時は充電速度低下
MagSafe充電器を利用するためには、上記のような、USB充電器に対して条件が求められています。
その他
- 20W以上を出力するUSB PD充電器の利用を推奨。
- USB PDを利用する場合は9V・3Aでネゴシエーションを行う。
- MagSafeとLightningの同時利用はLightningを優先する。
その他の細かいMagSafe充電器の仕様については、上記のとおりになっています。
USB PDだけと思いきや、Apple 2.4A(5V・2.4A)にも対応しているみたいなのであーる。
USB PDのネゴシエーションも気になるところですわね。
MagSafe充電器の謎
ひととおり、MagSafeそのものや、MagSafe充電器の仕様について見てきたわけですが、ここで『USB PD』と『Qi』という2つのプロトコルについて、いくつか引っかかる点が出てきたので、そちらをまとめていきます。
MagSafe充電器は謎が多いあーるぞ。
【謎1】MagSafeとQiの関係性
まず気になるのが、MagSafeはQiとどういう関係性なのか、ということ。
ワイヤレス充電規格 = Qi というイメージが先行してしまいがちなので、最初は今回のMagSafeも、QiのPPDE(Proprietary Power Delivery Extension)に準じたワイヤレス充電規格だと思っていました。このPPDEは、Google PixelやSamsung Galaxyでも使われていますし、前からiPhoneにあるQiもPPDEですから。
しかし、調べてみると、MagSafeはQiではない独自のワイヤレス充電規格のようです。なので、MagSafe充電器で最大15Wで充電できるのは、当然MagSafe対応デバイスのみ。7.5Wで供給できるQiも、正確にはQi“互換”となるわけです。
実際、MagSafe Charger(MagSafe充電器の米国での製品名)を、Qiを取り決めているWPCの公式サイトで検索してみましたが、『MagSafe Charger』で登録されたプロダクトはありませんでした。将来的には変わるかもしれませんが、ひとまずはQi互換の独自ワイヤレス充電器とその規格と捉えておくほうがよさそうです。
独自規格、つらお……。
【謎2】USB PDのPDOとネゴシエーション
MagSafeとQiの関係性よりも不可解で疑問が湧いたのが、MagSafe充電器の謎すぎるUSB PDの仕様。
MagSafe充電器の仕様を振り返ると、
- 最大15W(MagSafe)・最大7.5W(Qi互換)
- USB PD充電器利用時は20W以上推奨
- USB PDを利用する場合は9V・3Aでネゴシエーション
- 12W(5V・2.4A)でも利用可能だが遅くなる
- 15W充電では 9V・2.22A または 9V・2.56A 以上必要
となっています。
要するに、MagSafe充電器はUSB PDでも、非USB PD(Apple 2.4A)でも、どちらでも使えるということなのでしょう。USB PD充電器を利用する場合は、9V・3AのPDOでネゴシエーションする、ということに関しても理解できます。
しかし、最大15W(MagSafe)で充電するためには、 9V・2.22A または 9V・2.56A 以上のUSB充電器が必要になるというのが謎。
海外メディアの検証では、Apple純正の『20W USB-C電源アダプタ』を利用すれば最大15W出力ができるが、サードパーティー製だとPDOを満たしていても、最大15W出力されなかったという話もあったりします。
デバイスが揃ったら、これは検証をしないといけませぬなー。
仕事が増えましたわね。
まとめ「MagSafe充電器はカオス」
『MagSafe(MagSafe for iPhone)』や『MagSafe充電器』について調べてみると、ご覧のカオスっぷり……。
こうなってくると、最大15Wのワイヤレス充電ができる条件って、かなり限られてきそうな予感がします。なので、当面はApple純正の『20W USB-C電源アダプタ』を選ぶのが無難な選択肢となってきそうです。とにかく、要検証ですな。
とにかく、実機を揃えてからですな…うむむ。
おまけ
可能性としてはPPSとかになるのかなー?
もしくは、Apple独自何かですかね。ただ、ネゴシエーションの記述があるところをみると、USB PDのPDOやPPSから外れているということはなさそうですが……。
AppleのUSB PDって、毎回こんなイメージやねんけど!?
うーむ、確かにあーる。
おわり
ややこしい予感が…やね。