- 『iPhone 14シリーズ』が世界で2番目に安い国 → 日本
- 米国が世界一安いけど州によっては日本と価格が逆転
- iPhoneの価格だけでなく年収中央値や物価指数にも注目
「十数万円する『iPhone 14』だけど、日本が世界で2番目に安い国だぞ!」…という話を耳にしたので、“本当はどれくらい安いのか?”を年収中央値や物価指数に基づいて掘り下げてみます。
経済学者ではありませんからね。
……うーん、難しそう。
目次
日本 = iPhone 14が世界で2番目に安い国
『iPhone 14シリーズ』の販売価格が世界で2番目に安い国は日本である、ということが各所で話題になっております。
- iPhone 14:¥119,800から
- iPhone 14 Plus:¥134,800から
- iPhone 14 Pro:¥149,800から
- iPhone 14 Pro Max:¥164,800から
そうは言っても、iPhone 14シリーズの中では一番安い『iPhone 14(128GBモデル)』でも、販売価格は約12万円もします。もちろん、人によって受け取り方はさまざまでしょうが、少なくとも安くは決してありません。
なので、「『iPhone 14』が世界で2番目に安い国は日本」と言われても、にわかに信じがたいものがあるのでして……。
そこで本稿では、各国のiPhone 14シリーズの販売価格を比較した上で、もう少し多面的な視点から、どれくらい日本のiPhone価格が安いのかを考えることにしてみました。
調査:3つのデータを国別比較
- 各国のiPhone 14のApple Store価格
- 各国の所得中央値
- 各国のBMIとCPI
日本のiPhone 14シリーズの価格設定、これが高いのか安いのかを調べるにあたって、上記の3つのデータを比較および集計することにします。
なお、比較対象とする国は『日本』を含めた、『アメリカ合衆国』『英国』『大韓民国』『台湾』の合計5か国です。
【データ①】各国のiPhone 14のApple Store価格
まずは、各国の『iPhone 14』と『iPhone 14 Pro』のApple Store価格を比較していきます。
| JPN (日本) |
USA (アメリカ合衆国) |
GBR (英国) |
KOR (大韓民国) |
TWN (台湾) |
公式販売価格 | ¥119,800 (Tax:10%) |
$799–$890 (Tax:0%–11.5%) |
£849 (Tax:20%) |
₩1,250,000 (Tax:10%) |
NT$27,900 (Tax:5%) |
日本円換算価格 | | ¥115,191(最小) ¥128,310(最大) |
¥140,500 | ¥129,896 | ¥129,962 |
日本との価格差 | | -¥4,609(最小) +¥8,510(最大) |
+¥20,700 | +¥10,096 | +¥10,162 |
※為替レートは2022年9月9日午前1時ごろ時点
上表が『iPhone 14(128GB)』の国別価格比較。
| JPN (日本) |
USA (アメリカ合衆国) |
GBR (英国) |
KOR (大韓民国) |
TWN (台湾) |
公式販売価格 | ¥149,800 (Tax:10%) |
$999–$1,113 (Tax:0%–11.5%) |
£1,099 (Tax:20%) |
₩1,550,000 (Tax:10%) |
NT$34,900 (Tax:5%) |
日本円換算価格 | | ¥144,024(最小) ¥160,460(最大) |
¥181,872 | ¥161,071 | ¥162,569 |
日本との価格差 | | -¥5,776(最小) +¥10,660(最大) |
+¥32,072 | +¥11,271 | +¥12,769 |
※為替レートは2022年9月9日午前1時ごろ時点
上表が『iPhone 14 Pro(128GB)』の国別価格比較。
アメリカ合衆国では、日本の消費税に相当する小売売上税が州ごとに異なるため、同じ国内であっても販売価格が著しく異なってきます。したがって、税込価格で比較すると、日本より高くなる州と安くなる州が存在することになります。
英国では、付加価値税(税率は品目によって異なる)が高いために販売価格も高くなる結果に。日本と税率が同じ大韓民国では、日本より約1万円程度高めの設定。台湾は営業税を考慮すると、日本よりもかなり高めの設定になっているようです。
【データ②】各国の所得中央値
次に、各国の所得における中央値を比較していきます。
| JPN (日本) |
USA (アメリカ合衆国) |
GBR (英国) |
KOR (大韓民国) |
TWN (台湾) |
年収の中央値 | 約396万円 (2022年) |
約4万5千米ドル (2022年) |
約3万1千ポンド (2021年) |
約2,998万ウォン (2020年) |
約47万新台湾ドル (2018年) |
日本円換算の中央値 | | 約648万円 | 約514万円 | 約312万円 | 約218万円 |
※為替レートは2022年9月9日午前1時ごろ時点
※Source:Ministry of Health, USAFacts, Zippia, Statista, ONS, Creatrip, 行政院全球資訊網
所得の中央値だけ見ると、やはり欧米の高さが目を引く。数値だけ見ると、日本の約1.6倍になります。
日本で考えれば分かりやすいのですが、日本人の年収中央値が約396万円と言っても、地域や職業によって大きく前後します。統計学的には、平均値よりも中央値のほうが、実際に近い数値を出すと言われております。しかし、国というマクロな単位で見ると、やはりバラつきは出てしまうでしょう。これはアメリカ合衆国や台湾でも同様です。
【データ③】各国のBMIとCPI
最後に、各国のビックマック指数(BMI)および各国の消費者物価指数(CPI)を比較していきます。
マクドナルドで販売されているビックマック1個あたりの販売価格を基準にして、各国の経済力を測るための指数。
消費者が購入する末端価格の変動を把握するための統計指標。
| JPN (日本) |
USA (アメリカ合衆国) |
GBR (英国) |
KOR (大韓民国) |
TWN (台湾) |
BMI | $2.83 (2022年) |
$5.15 (2022年) |
$4.44 (2022年) |
$3.5 (2022年) |
$2.51 (2022年) |
CPI | 2.6 (2022年) |
8.5 (2022年) |
9.4 (2022年) |
6.1 (2022年) |
3.6 (2022年) |
※Source:Statista, JILPT, CEIC Data
昨今の世界情勢(パンデミックやロシアによるウクライナ侵攻など)から、世界的なインフレーションが加速しており、右も左も物価高という状況に陥っております。
日本においても値上げの連続ですが、これは他国も似たようなもの。とりわけ、英国の状況は芳しくないようで、BOE(中央銀行)は連続で利上げをしているがインフレが止まらなくなっております。
結論:日本価格は安いがCPI比では割高
| JPN (日本) |
USA (アメリカ合衆国) |
GBR (英国) |
KOR (大韓民国) |
TWN (台湾) |
iPhone 14の価格 (日本円換算) |
¥119,800 | ¥115,191(最小) ¥128,310(最大) |
¥140,500 | ¥129,896 | ¥129,962 |
日本との価格差 | | -¥4,609(最小) +¥8,510(最大) |
+¥20,700 | +¥10,096 | +¥10,162 |
年収の中央値 (日本円換算) |
約396万円 (2022年) |
約648万円 (2022年) |
約514万円 (2021年) |
約312万円 (2020年) |
約218万円 (2018年) |
BMI | $2.83 (2022年) |
$5.15 (2022年) |
$4.44 (2022年) |
$3.5 (2022年) |
$2.51 (2022年) |
CPI | 2.6 (2022年) |
8.5 (2022年) |
9.4 (2022年) |
6.1 (2022年) |
3.6 (2022年) |
前述した 【データ①】 〜 【データ③】 を総合的に判断した結果、年収中央値や消費者物価指数を考慮すると、日本でのiPhone 14シリーズの価格は思ったよりも安くない、と結論付けました。
確かに、iPhone 14の販売価格だけで見ると、日本は世界で2番目に安い国です。しかし、年収中央値で見ると、購入による家計の負担率は高くなります。また、他国との消費者物価指数を比較すると、物価のわりに高い価格設定に見えます(マクロ経済学の話は別として)。
しかしながら、日本でのiPhone 14シリーズの実質価格が“世界で2番目の安い”かは微妙ですが、世界全体で見ると安価な設定であるとは言えそうです。
つまり、iPhoneそのものが高い!以上!!
……は、はぁ。
まとめ「安いような高いような」
なんだか、安いのか高いのか…微妙なところです。
『ビックマック指数』みたく、『アップル指数』があっても面白いかもしれません。真面目な話、物価や為替の指標になりそうですし。
無理して買わないのが一番であーる。
おまけ
いろいろ言いたくなるけど、結局は『FRB(米連邦準備制度理事会)』次第ですな。
FRBって、日本で言うところの『日本銀行』やんね?
実際の連邦準備制度は、もう少し複雑みたいだけどね。
FRSがあって、その下にFRBがある……というレイヤーになってるみたいですな。
詳しいことはFRB公式サイトにて、ですわね。
おわり
- 世界の消費税率ランキング【2020年最新版】| 消費税が低い国・第1位は「台湾」「カナダ」 - Digima〜出島〜
- 韓国の消費税と免税手続き方法 - ZEIMO
- アメリカの消費税 - Wise
- EUの付加価値税VATについて知りたい! - EU MAG
- 令和3年賃金構造基本統計調査の概況 - 厚生労働省
- Median annual wage - USAFacts
- AVERAGE AMERICAN INCOME [2022]: STATISTICS ON HOUSEHOLD + PERSONAL INCOME IN THE US - Zippia
- Median annual earnings for full-time employees in the United Kingdom from 1999 to 2021 - Statista
- Average household income, UK: financial year 2020 - ONS
- The Average Salary In Korea In 2021 - Creatrip
- Annual median household income in South Korea from 2011 to 2020 - Statista
- 政院:每人每月總薪資平均49,989元係全年總薪資換算成每月薪資結果 - 行政院全球資訊網
- The Pay in Taiwan Is Too Damn Low - TNL
- Global price of a Big Mac as of July 2022, by country - Statista
- 国際比較統計:消費者物価指数 - JILPT
- Taiwan Consumer Price Index CPI Growth - CEIC Data
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