- 新型Mac Pro (M2 Ultra) の筐体はIntelモデルと一緒なので中身スカスカ
- 筐体そのままなので拡張性や冷却性能の高さとアクセサリが流用できるのは良き
- 今後のアップデートでMPX ModuleやPCIe GPUに対応するのかがポイント
ついに、Apple Silicon採用の『Mac Pro』が登場しました。
そんな新型Mac Pro (M2 Ultra) ですが、筐体がIntelモデルから変わっておらず、“中身スカスカ”な感じが面白い。そこで、その中身スカスカの意義について考えてみることにします。
Thunderbolt 4接続で拡張するのと、PCIe接続で拡張するのでは、やはり信頼性が違ってきますからね。
でも、最大RAMの少なさとdGPUが非対応なのは、やっぱり気になるやんね。
目次
“中身スカスカ”な『Mac Pro (M2 Ultra)』
2023年6月5日午前10時(PDT)に開催された『WWDC23 Apple Keynote』にて、新型『Mac Pro (M2 Ultra)』が発表されました。
この新型Mac Pro (M2 Ultra) 登場により、ついに Intel → Apple Silicon の移行が完了したことに。当初のAppleの計画よりも随分と遅れてしまいましたが、これにてIntel Macはラインナップから姿を消すことになりました。
さて、そんなMac Pro (M2 Ultra) ですが、筐体サイズやフォームファクタは2019年に発売されたIntelモデルを踏襲したものとなっております。
Mac Pro (M2 Ultra) で採用されている『Apple Silicon』は、CPU/GPU/RAMがパッケージングされているため、MPX Moduleが装着されたIntelモデルと比べると、筐体サイズ的にはかなりゆとりのある設計に見えてしまいます。
それゆえ、“中身スカスカ”に見えてしまうというか、実際スカスカになっているのです。
「せっかく『Apple Silicon』にアーキテクチャが変わったんだから、フォームファクタを刷新してほしかった」と言っている人の気持ちも、分からなくはないですな。
「新鮮味に欠ける」と言われれば、おっしゃるとおりですからね。
“中身スカスカ”の意義について
“中身スカスカ”なMac Pro (M2 Ultra) ですが、筆者からすれば、ギチギチ設計のゴミ箱Mac Proに戻るぐらいなら、下手にフォームファクタを変えずに拡張性を担保した既存の筐体を継続採用するのは、正解なのではと認識しております。
そこで、“中身スカスカ”なMac Pro (M2 Ultra) の意義について、もうちょっと掘り下げていきます。
業務機のフォームファクタはコンサバティブで良い
2019年発売のIntelモデルからフォームファクタを変えなかったことの利点として、すでに導入済みのアクセサリ類が流用できるというものがあります。
例えば、Mac Pro専用の車輪である『Apple Mac Pro Wheels Kit』『OWC Rover Pro』や、ロックアダプター『Belkin Lock Adapter for Mac Pro』などが、そのまま流用できるというわけです。
ほかにも、ラック型のMac Proを導入しているのであれば、サーバラックキャビネットの更新も必要なくなってきます。
規模の大きい法人であれば、Mac Proを複数台導入しているのが当たり前だと思われるので、下手にフォームファクタを変えられるくらいなら、既存のものが流用できるコンサバティブな筐体が好まれるのではないでしょうか。
信頼性の高いPCIeカードによる拡張
確かにMac Pro (M2 Ultra) は“中身スカスカ”ではありますが、マザーボードに拡張性が一切ないわけではありません。ちゃんと『PCI Expressスロット』が搭載されております。
ちなみに、搭載されているPCI Expressスロットの内訳は、PCIe 4.0が6基、PCIe 3.0が1基、となっています。つまり、合計7基ものスロットが存在しているわけです。
最近のMacには、非常に高速なインターフェースである『Thunderbolt 4』が搭載されています。なので、PCI Expressが搭載されていなくても一見大丈夫そうな感じには見えます。ただ、業務用途での信頼性ということで考えると、Thunderbolt 4のコネクタには一抹の不安があります。というのも、接続不良による切断が怖いのです。
そう考えると、しっかりとコネクタが固定でき、かつ外部から触れることができないようにすることが可能なPCI Expressカードによる拡張というのは、やはり信頼性が段違いだったりします。
一応、Thunderbolt 4用の固定治具として、『OWC ClingOn』というのが存在しているみたいですな。
十分なエアフローと冷却性能の担保
これは前述の『PCI Expressスロット』に関連することなのですが、PCI Expressカードによっては、カード自体が異常に大きかったり、発熱量が凄まじいものもあります。
それを鑑みると、十分なエアフローと冷却性能が担保できるという意味で、むしろ“中身スカスカ”なほうが有利に働くと言えるのではないでしょうか。
普段からMacしか触れていないとピンと来ないですが、自作PCを組み上げていると、PCケースの“大は小を兼ねる”ということや、冷却性能の重要性が身に染みて分かるものなのです。ですなの。
ま、MPX ModuleやPCIe GPUの拡張に非対応なことが、やっぱり残念ではありますな。
せっかくの拡張性と冷却性能やのにね。
将来的にはPCIe GPUに対応するという話もありますので、アップデートに期待ですわね。
あとは、ユニファイドメモリアーキテクチャゆえの、RAMの拡張性のなさと最大搭載量の制限も、今後の課題ですな。
そんなあなたに『Mac Studio』
「Mac Pro (M2 Ultra) は、“中身スカスカ”で微妙」
「Mac Pro (M2 Ultra) は、デカいだけ」
「M2 Ultra搭載だったら、Mac Studioと一緒じゃん」
「Mac Proなのに、PCIe GPUが使えないのは残念」
そんなあなたのためにあるのが、『Mac Studio』。
今回の『WWDC23 Apple Keynote』では、『Mac Pro (M2 Ultra)』と同時に、新型『Mac Studio』も発表されております。なので、PCI Expressスロットが不要で、かつ省スペース運用したいのであれば、Mac Studioを買うという選択肢が当然あるわけです。
そう考えると、Mac Pro (M2 Ultra) とMac Studioは、しっかりと棲み分けがなされているのです。そう、似て非なるもの、ということ。
これはいいラインナップ構成だと思うのであーる。
まとめ「課題はRAMとPCIe GPU」
筐体サイズやフォームファクタは、2019年に発売されたIntelモデルを踏襲したもの。
- 業務機のフォームファクタはコンサバティブで良い
- 信頼性の高いPCIeカードによる拡張
- 十分なエアフローと冷却性能の担保
個人事業主のためのMac Pro、それが『Mac Studio』なのかもしれません。そして、Mac Studioがあるからこそ、『Mac Pro (M2 Ultra)』のポジションが明確になるとも。
とはいえ、RAMの拡張性のなさと最大搭載量の制限、MPX ModuleやPCIe GPUが非対応、というのは、ハイエンド業務機としては「うーん」と思ってしまうことも。これだと、ワークステーションとはいえ、用途が限られてくるでしょう。
さらなる拡張性については、次のモデルに期待したいところですな。
おまけ
そもそも問題なのが、AppleとNVIDIAが喧嘩状態なことなんだよねー。
GPGPUのことを考えると、NVIDIAとの関係を修復してほしいものですがね。
関係修復が無理なら、Appleが独自でdGPUを作ればよいのであーる。
NVIDIA GeForceやNVIDIA Quadroを使わせてくれないなら、それくらいのことはやってほしいやんね。
おわり
その大きさに物議を醸しているみたいだけど、タワー型ワークステーションであることと、Mac Studioがラインナップされていることを考えれば、このサイズで妥当だし、ちゃんと棲み分けされている気がするのであーる。