- Milanote信者から見た『フリーボード』 → 「まだまだだね」
- ここが最高:Apple Pencilによる手書き入力の描画性能
- ここが微妙:コラボレーションツールとしては機能不足
Apple純正のコラボレーションツール『フリーボード(英:Freeform)』。そのフリーボードを使ってみた感想を、Milanoteユーザー視点で語ります。


定番の機能ですからね。

リリース直後やし、これからやね。
目次
はじめに
Apple『フリーボード』の概要

Image:Apple
『フリーボード』とは、iPhone/iPad/Macで利用できる、Apple純正のコラボレーションツール。
日本では『フリーボード』という名前ですが、英語圏では『Freeform』が正式名称。利用は無料。iOS 16.2/iPadOS 16.2/macOS Ventura 13.1以降に対応しており、デバイスをアップデートすれば自動的にインストールされているはずです。
このフリーボード上に書き込んだり配置したオブジェクトは、iCloud経由でデバイス間での同期が可能。コラボレーションツールなので、当然ですが他ユーザーとの共有もできます。共有機能に関しては、FaceTimeと統合されており、ビデオ通話をしながらフリーボードの画面を共有して、オンラインミーティングやブレインストーミングをすることも可能です。

オンラインホワイトボードとしても使えるから、『Microsoft Whiteboard』『Miro』『Mural』あたりも競合サービスですな。
『Milanote』の概要

Image:Milanote
『Milanote』とは、豪メルボルン発のマルチデバイス対応のコラボレーションツール。
Milanoteはフリーミアム形式で、無料プランの場合は配置できるオブジェクト数に制限があります。オブジェクトを無制限に配置したければ、有料プラン($9.99/月〜)への加入が必須。
機能はかなり充実しており、画像やファイルの挿入、To-Doリスト、カンバン型タスク表示、カラーパレット、コメント挿入、…と守備範囲が広い。少し前に、ボードへ直接手書きできる機能も実装されました。また、他のコラボレーションツールと異なる点として、ボード同士をネストすることも可能です。

ちなみに、わたしは有料プラン加入中のヘビーユーザーであーる。
主な使い方としては、規模の大きいプロジェクトのタスク管理やブレインストーミング、アイデア共有用のムードボード、ですな。

かなり使ってますわね。

ちなみに、社用に『Miro』も使ってますぞ!
どっちも便利だけど、他のアプリケーションと連携させるなら『Miro』がおすすめで、メモアプリ的にも使いたいなら『Milanote』がおすすめ、という感じあーる。
『フリーボード』を使った感想
- アプリ自体の動作が軽い
- 同期速度がそれなりに速い
- ボードの表示倍率が出る
- 手書き入力性能が高い
- オブジェクトのスナップ配置に対応
- オブジェクトのレイヤーが変更可能
- オブジェクトに『VoiceOver』キャプションを添付可能
- オブジェクト拡大縮小時のサイズ表示
- 背景の種類が『無地』が『方眼』のみ
- タスク管理機能がない
- 図形描画機能が中途半端
- フォルダ分けやグループ分けに非対応
『フリーボード』を使った感想については、リリース直後のバージョン(iOS 16.2/iPadOS 16.2/macOS Ventura 13.1)に基づいております。
実際に『フリーボード』を使って感じたことについては、上記のとおり。
筆者がメインで利用している競合アプリケーションは『Milanote』なので、そちらが比較対象です(『Miro』も使ってますが、今回は比較対象から除外)。まだ使い始めて日が浅いので、機能の見落としがあるかもしれません。その点はご容赦を。
以下、感じたことの中から、特に気になった点についてを掘り下げていきます。
同期速度がそれなりに速い
『Milanote』の同期速度も速いのですが、同じくらい『フリーボード』も速いです。
iCloud経由での同期というのは、純正であろうが、サードパーティであろうが、お世辞にも高速と言えないものが多いのですが、『フリーボード』は健闘しています。Apple純正の『メモ』よりは、スムーズに同期くれています。
……“今のところは”ですが。
ボードの表示倍率が出る

iPadやMacであれば常時、iPhoneであれば拡大縮小時、ボードの表示倍率が出るようになっています。これ、地味だけど嬉しい。
表示倍率は「●●%」という形で出るため、非常に分かりやすい。また、ピンチイン/ピンチアウトでの拡大縮小に対応しています。そして、表示倍率は1%単位で変更可能です。
『Milanote』は、ピンチイン/ピンチアウトでの拡大縮小に非対応で、ざっくりとした拡大縮小しかできないため、ここは大きなアドバンテージ。

なお、iPhoneでは使えないっぽいのですが、iPadやMacでは等倍に瞬時に戻すことが可能です。
表示倍率を変更しながら利用していると、次第にサイズ感が分からなくなってくるので、表示倍率が目視できるのは素晴らしい。
手書き入力性能が高い

『Milanote』に比べて圧倒的に優っているのがここ。手書き入力の高さ。
『Milanote』は、少し前のバージョンから手書き入力に対応したのですが、ペンの種類が少ないのと、筆圧感知が敏感すぎるので、書き味としてはイマイチ。書き味の高さに定評のある、GoodNotesやNoteshelfには遠く及びません。イメージ的には、Microsoft OneNoteより少し書き味が劣る…というレベル。
対して、『フリーボード』は、Apple純正だけあって、書き味も抜群。書き味自体は、Apple純正の『メモ』と同等ですが、ピンチイン/ピンチアウトで拡大縮小ができるぶん、むしろ『フリーボード』のほうが細かく書きやすいです。
ちなみに、ペンの種類なのですが、Apple純正の『メモ』と微妙に異なります。
オブジェクト拡大縮小時のサイズ表示

オブジェクトがスナップ配置できるのもそうですが、拡大縮小時にサイズ表示があるのも良き。
ちなみに、オブジェクト同士が重なる場合、どちらのオブジェクトを上に持ってくるか、というレイヤー位置の変更も可能です。こういう細かいUX面、かなり気が利いている印象。さすが、Apple。
タスク管理機能がない
コラボレーションツールであれば欲しいであろう、タスク管理機能全般がありません。
チェックボックス型のTo-Doリストもなければ、カンバン型のタスク表示もできません。マインドマップやアローダイヤグラムの作成補助もないので、『フリーボード』でプロジェクトのタスク管理をするのは、今のところは向いていません。
フォルダ分けやグループ分けに非対応

今のところ、『フリーボード』はフォルダ分けやグループ分けができない模様。これも残念。
用意されている分類は、『すべてのフリーボード』『最近の項目』『共有元』『よく使う項目』のみ。日付や名前でのソート機能はありますが、フォルダを作成してネストすることはできないようです。
『フリーボード』に欲しい機能
- カラーパレット
- カンバン型タスク
- フォルダ分けやネスト
- アローダイヤグラムの作成補助
- テーマに沿ったテンプレート
今のところ、『フリーボード』はオンラインホワイトボードとしては有用ですが、タスク管理やフローチャート、アローダイヤグラムのようなタスク管理機能が欠如しているので、『Trello』や『Asana』のようなタスクアプリと併用するのがベター。
事実上の無限に広がるキャンバス、というのは大変魅力的。なので、用途を広げるためにも、もっとオブジェクトにバリエーションが欲しいところです。
あと、ボード数が増えてくると管理が煩雑になりそうなので、フォルダ分けやボード同士のネスト機能についても、実装をお願いしたい。その上で、もし可能であれば、ボード同士をハイパーリンクやURLスキームで結ぶことができれば、より使い勝手が向上するでしょう。
まとめ「これからの発展に期待大」

Milanote信者から見た『フリーボード』は、「まだまだだね」というのが素直な感想。
しかしながら、まだリリース直後。そう考えると、伸び代しかないわけでして。これからの発展次第では、かなり使えるコラボレーションツールになりそうです。もちろん、AndroidやWindowsで使えないという、致命的すぎる問題は残っていますが……。

AndroidやWindowsで非対応な以上、『Milanote』や『Miro』のほうが…ねー。
おまけ

『Freeform(フリーボード)』を活かすためにも、超巨大iPadがあっても面白いと思うんだよねー。

Microsoft『Surface Hub』やGoogle『Jamboard』のような、ネットワーク接続型のデジタルホワイトボードですね。

うーん、あったら便利かも!?

でしょー!
フリーボードはmacOSでも実装されてるから、大型モニターとタッチセンサーを組み合わせてDIYしてみようかな!?
おわり
機能を実装しすぎるのも…だけど、タスク管理機能ぐらいは欲しいあーる。