- Macアプリ『スティッキーズ』はApple純正なのに同期機能が未実装!
- ファイル構成を調べてシンボリックリンクを利用して強引に同期を試みた!
- 代替付箋アプリはいくつかあるものの完全上位互換と言えるものは少ない!
スティッキーズの謎。
Mac標準の付箋アプリ『スティッキーズ』。Apple純正だけどレガシー仕様なので、iCloud同期ができない。そこで、シンボリックリンクを使って同期を試みたり、代替の付箋アプリを探してみたりします。
ただ、収穫はなかった…と。
Appleにしては前時代的やんね。
目次
Mac純正付箋アプリ『スティッキーズ』
Macユーザーならおなじみの『スティッキーズ』という、付箋アプリ。
このスティッキーズアプリは何を隠そう、偉大なるApple純正のアプリケーション。長らくレガシーなアプリアイコンだったのですが、macOS Big Surにて、ついにそのアプリアイコンもNeumorphismライクに刷新。…とはいえ、内部的なUIは進化していないのですが。
…それはさておき、このスティッキーズアプリは大変よくできています。
単純にテキストをスティッキーズのウィンドウ内に記述していくだけでなく、複数のウィンドウをフロートさせた状態で常駐できるのです。まさに、その働きは“デジタル版Post-it”といった趣。手書きや画像添付ができないテキストオンリー(Markdown記法すらも非対応)のシンプルな付箋アプリですが、とにかく使い勝手が良いわけです。
しかも、各スティッキーズウィンドウは小さく畳むことができ、目障りになることなく常駐化も可能。さらに、それぞれのウィンドウの座標位置情報が記憶されており、スティッキーズアプリを終了し、再起動したとしても、しっかりとスティッキーズウィンドウが最後の位置に鎮座してくれています。
まさに、シンプルながらUXに優れたアプリケーションなのです。
言い換えれば、以前から完成されているアプリというわけですね。
抜群の軽さと動作の安定感があるからねー。
スティッキーズは同期機能非搭載
そんな素晴らしいスティッキーズアプリですが、Apple純正アプリケーションにしては大変珍しく、iCloud同期機能を備えておりません。したがって、例えば3台のMacのそれぞれでスティッキーズアプリを使っているとしても、そのメモ内容は同期されず、それぞれのMac上でファイルが独立して存在しているわけです。
同じApple純正アプリケーションには、ご存知『メモ(Apple Notes)』があります。
このメモ(Apple Notes)アプリは説明するまでもなく、iOS–iPadOS–macOS間でメモのデータが同期されています。にもかかわらず、こちらのスティッキーズアプリはiCloud同期機能を搭載しておりません。
Apple的にはスティッキーズアプリの開発ウェイトが低いのかもしれませんが、メモアプリは同期できるのに、スティッキーズアプリは同期できない。…スティッキーズアプリユーザーとしては、非常に悶々とするものがあったりします。これぞ解せぬ要素。
Apple純正メモアプリは着実に進化していってるのに、スティッキーズアプリはそのままって感じやもんね。
ほんと、謎あーる。
スティッキーズのファイル構成
スティッキーズアプリがデフォルトで同期機能を持っていないので、何とかシンボリックリンクとDropboxを使って、クラウド同期機能を実装できないかと画策。そこで、スティッキーズアプリのファイル構成を調べてみることにしました。
Macintosh HD
├── ユーザ
︙ ├── User name
︙ ├── ライブラリ
︙ ├── Containers
︙ ├── スティッキーズ
︙ ├── Data
︙ ├── Library
︙ └── Stickies
├── .SaveStickiesState
└── FOOBAR.rtfd
スティッキーズアプリのデータが格納されているディレクトリは上記のとおり。
以前のmacOSでは、『StickiesDatabase』なるファイルがあった気がするのですが、いつの間にかファイル構成が変わっているようです。なので、いくら探しても『StickiesDatabase』というデータベースファイルはありませんでした。
- .SaveStickiesState:スティッキーズの座標と色のデータ
- FOOBAR.rtfd:スティッキーズのテキストデータ
『Stickies』フォルダに格納されているファイルは上記の2種類で、テキストデータと座標・色のデータは分けて保存されるようです。なお、座標と色の情報が記述されている『.SaveStickiesState』ファイルは、名前から分かるように隠しファイルになっています。また、『FOOBAR.rtfd』ファイルはメモの数だけ生成されます(単純なテキストデータなので当然ですが)。
『.SaveStickiesState』を移動させたり書き換えたりすると、スティッキーズウィンドウの座標データと色データがおかしくなって、これらのデータが初期化されてしまいます。ですので、このファイルを不用意に触るのはやめておきましょう。
構造的にはかなりシンプルだったのであーる。
スティッキーズの同期は困難
スティッキーズアプリを構成するファイルが分かったので、シンボリックリンク(≠ エイリアス)を作成してDropbox上で同期をしようとしたのですが、私が試した限りではできませんでした。
RTFD形式のファイルはただのリッチテキストなのですが、直上フォルダである『Stickies』外で書き換えがあると、スティッキーズアプリを起動するたびにファイル名が全部書き換えられてしまうという仕様になっていました。しかも、不可視ファイルである『.SaveStickiesState』を外部から書き換えるとエラーを吐く始末……。
何かうまくすれば同期できるのかもしれませんが、単純なシンボリックリンクを利用したクラウド同期というのは、かなり厳しい様子。ファイル名を勝手に書き換える仕様がとんでもなく厄介なので、スティッキーズデータをMac間で同期するのは諦めたほうがよさそうです。
簡単そうに見えるのですがね。
わたしも「こんなの簡単であーる」と思ってたんだけど、なかなかに厄介な仕様になってるんだよね。困るあーる……。
代替付箋アプリ候補
そういうわけで、スティッキーズアプリの同期が難しそうなので、ちょこっと代替の付箋アプリを探してみました。
Quick Note
この『Quick Note』という付箋アプリも同期機能は非搭載なのですが、サードパーティ製ということから、機能実装の期待は持てそうということで候補にいれてみました。
かなりMac標準のスティッキーズアプリに似た仕様になっており、スティッキーズユーザーも気持ち良く移行できるはず。UIも洗練されており、ウィンドウを小さく畳むことも可能。同期機能こそないものの、メモのデータ書き出しはできるので、他のアプリやクラウドストレージに逃せば、データはひとまず保存できます。
Tot
付箋アプリと言えるかは微妙なところですが、個人的におすすめなのが『Tot』というフロートできるメモアプリ。
ウィンドウが一度に1つしか表示できないのがネックなのですが、とにかく軽量な動作が気持ち良いのです。iOS/macOS版との同期も可能なので、ウィンドウ数の制約さえ我慢できれば、かなりアリな選択肢だと思います。
Memo Sticky Notes
おそらく、付箋アプリで同期機能を持っているという点ならば、この『Memo Sticky Notes』が一番理想に近いでしょう。
Memo Sticky Notesは、iOS・iPadOS・macOSに向けたマルチデバイス対応の付箋アプリで、ちゃんとデバイス間をiCloudを利用して内容が同期するようになっています。なので、Macで書いた付箋メモをiPhoneで閲覧や編集することも可能。
ただ、フォントが最小でも大きかったり、肝心の同期が遅かったりと、ちょっと詰めが甘い様子。機能的には文句ナシなのですが、ユーザビリティが微妙に思えるのがなんとももどかしいところ。
まとめ「スティッキーズの悩みは尽きぬ」
残念無念なのですが、Mac標準のスティッキーズアプリのクラウド同期は難しそう。シンボリックリンクを使えば何とか…と思ったのですが、かなり厄介な仕様になっています。
代替になりそうな付箋アプリも、あるにはあるのですが、手放しで移行をおすすめできる感じもなかったりします。こうなったら、自分で作るしかないかも……。
Apple Silicon搭載Macなら、同期できるiOSの付箋アプリを強引に使う手段はあるんだけどねー。
おまけ
アプリ、作るのですか……!?
うーん、作ってもApp Storeに出すのは大変だから、自分用の野良アプリで終わっちゃいそうな予感がするあーる。
そこまでして、って感じが出てくるやんね。
…そうなんだよねー。
おわり
スティッキーズアプリのファイル構成を覗いたら、その仕組み自体は把握できたんだけどねー。