- Sony『デジタルペーパー』が知らぬ間に生産終了していた!
- デジタルペーパーとQUADERNOとPapyrは兄弟機である!
- E Inkタブレットには機能性の絶妙なバランス感覚が必要!
後継機が待ち遠しい。
日本での電子ペーパーの先駆者的存在、Sony『デジタルペーパー』(DPT-RP1・DPT-CP1)がひっそり生産終了していました。兄弟機である富士通『QUADERNO』は販売中なのですが、こちらもそろそろなのかも…な話。


QuirkLogic『Papyr』も同じハードウェアなんだよねー。

…まさかの3兄弟!?
『デジタルペーパー』生産終了

冒頭で話したように、SonyのE Inkを採用した電子ペーパータブレット『デジタルペーパー』が少し前に生産終了をアナウンスしていました。
すでに生産終了から時間が経過しているため、流通分の在庫が消えつつあり、新品でデジタルペーパー(DPT-RP1・DPT-CP1)を取り扱っているところもかなり少なくなっています。なお、ソニーストアではA5サイズのDPT-CP1のみ、まだ在庫が残っているようです。

ついにこの時が来てしまったのであーる。
デジタルペーパーは3兄弟

Sonyのデジタルペーパーは生産終了してしまいましたが、似たような(ほぼ同じ)E Inkタブレットとして、富士通(FCCL)の『QUADERNO』があります。
この富士通のQUADERNOは、Sonyのデジタルペーパーと同じOEMからコンポーネントを購入しており、ハードウェアの基本仕様が同じというのは、電子ペーパー界隈では有名な話。背面のフィニッシュや一部搭載されているソフトウェア的機能が異なるものの、事実上の兄弟機…というか“異母兄弟”のようなモデルになっています。ちなみに、パソコンと同期するためのソフトウェア(Sony:Digital Paper App|富士通:Digital Paper PC App)もほぼ同じものを採用しています。
…デジタルペーパーは2人兄弟?いえ、3人兄弟なのです。

…え!?

…隠し子!?

実はデジタルペーパーにはもう1つ兄弟機があり、その名もQuirkLogic『Papyr』。そう、デジタルペーパー・QUADERNO・Papyr…の3兄弟だったわけです。
Introducing Papyr for Education - YouTube
先程、デジタルペーパーとQUADERNOの基本的な仕様が同じということを話しましたが、このPapyrはハードウェアこそ同じなのですが、ソフトウェアはQuirkLogicの独自チューニングが施されています。
Papyrには、デジタルペーパーやQUADERNOには非搭載のウェブブラウザ(Google Chrome)やシェア機能を搭載。UI自体もデジタルペーパーとは異なるものを採用しており、どことなくAndroid感があったりします。

面白いんだけど、日本に発送してくれないんだよねー。

郵便転送を利用する必要がありますわね。
BOOXやreMarkableとは異なる魅力
数年前までの日本におけるE Inkタブレット界隈というのは、それこそSonyのデジタルペーパーしかない状態でした。

それが今や、ある種のニッチ的ジャンルを確立したことにより、Onyx internationalの『BOOX』やRattaの『Supernote』のような海外勢のE Inkタブレットも、日本で簡単に購入することができるようになりました。あまりに技術や機能が枯れて普及しすぎると面白くなくなるので、E Inkデバイスはまさに今が“脂が乗っている時期”と言えるのではないでしょうか。
そう考えると、何も今さら『デジタルペーパー』を駆け込んで買う必要性があるのか…と思ってしまうところ。

私は、BOOXとreMarkableのユーザーなのですが、今回追加でデジタルペーパーも購入しました。その理由としては、PDFビューアーとしてはいまだにデジタルペーパーが一番使いやすいと思うから。要するに、同じE Inkタブレットでも、それぞれに得意不得意や色や個性があるわけなのです。
例えば、BOOX。BOOXシリーズは、伝統的にGoogle Playが使える仕様で、一般的なAndroidタブレットのようにアプリを追加して利用することが可能です。ノートのクラウド機能も発達しており、最近ではスマートフォンアプリもリリースされました。ただ、多機能なぶん、トラディショナルなE Inkらしくない。あまり文房具のような静寂を感じない、いわゆるガジェット感が強かったりします。
それを考えると、このデジタルペーパー(やQUADERNO)というのは、ガジェット的な要素がかなり少なく、非常に制約の多いデバイスになっています。当然、機能的にできないことが多いので不便ではあるのですが、それは贅肉を削ぎ落としたシンプルさにつながるわけです。BOOXをガジェット感と例えるなら、このデジタルペーパーは文房具感なのです。ちなみに、reMarkableもデジタルペーパーに近いイメージだったりします。
デジタルペーパーに求めるもの

E Inkタブレットの種類も増え、各メーカーが独自色を出し始めてきました。reMarkableのように紙に寄った製品もあれば、BOOXのようにガジェットに寄った製品もあります。
ただ、あまりに機能的すぎると、もはやそれはiPadの下位互換のような形になってしまう。逆に機能が制限的すぎると、あまりにも前時代的で使いづらいものに成り下がってしまう。この基礎となるバランス感覚が、E Inkタブレットには求められてくると思っています。
そういった意味では、デジタルペーパーというのは非常にバランスが取られていました。惜しくも生産終了となってしまいましたが、Sonyにはぜひとも後継機種を出してほしいと切に願っています。BOOXやreMarkableも素晴らしいE Inkタブレットなのですが、これらとデジタルペーパーとでは違う魅力があるわけなので……。
まとめ「新型デジタルペーパーを切望」

Sonyのデジタルペーパーが生産終了になってしまうと、その兄弟機の行方も気になるところ。できれば、Sonyにはデジタルペーパーの3代め、つまり新型を出してほしいのですが…どうなることやら。
BOOXやreMarkableとは違った魅力がデジタルペーパーにはあるので、このまま終息せずに新デジタルペーパーを待ちたいところです。

USB Type-C化されたデジタルペーパーが欲しいのだっ!
おまけ

新型が出るなら、この静的なコンセプトは引き継いでほしいなー。

文房具的路線やね!

KING JIM……!?
おわり
デジタルペーパーとQUADERNOが同じハードウェアなのは有名ですよね。