- 有線接続/aptX LL両対応のネックスピーカーがない!
- そもそもaptX LLや有線接続に対応した製品が少ない!
- aptX LLは廃止方向なのでLE Audio LC3に期待したい!
“理想のネックスピーカーがない”
ネックスピーカーの用途(映画鑑賞やゲーム等)からして、“遅延”は重大な問題。なのに、有線対応も少なく、頼りのaptX LLも廃止方向。でも、独自の2.4GHz通信を使うと汎用性に欠ける。…そういうわけで、困ってます。
BoseもJBLも、事実上の撤退ですものね。
うーむ……。
目次
ネックスピーカーとリップシンク
数年前に比べ、衰退傾向のある『ネックスピーカー』という製品カテゴリー。
ところが、昨今のテレワーク需要もあってか、細々とではありますが、SonyやPanasonic等から新製品が出続けております(ただし、BoseやJBL等の海外勢は撤退気味)。
ネックスピーカーの主たる利用シーンとしては、テレビやパソコンと接続して、映画やドラマを鑑賞したり、ゲームをプレイすることが思い浮かぶ。もちろん、純粋なリスニング用途として使う人もいるでしょうが、基本は映像と音声がセットのコンテンツを楽しむ目的のアイテムという印象があります。
とどのつまり、『リップシンク』というのが重要となってくるわけです。
日本音響学会によると、アナウンサーがニュース原稿を読むときのリップシンクずれの検知限は、音遅れで約125msのようなんよね。
これをオーディオ用途にそのまま当てはめるのは…って感じやけど、できれば遅延は100ms前後まで落としたいかなぁ。
いずれにせよ、顕著な音ずれは避けたいですよね。
そうなると、独自の低遅延無線接続かaptX LL接続ですな。
有線 + aptX LL の両対応が理想
顕著なリップシンクずれを避けることを考えれば、
- 有線接続(そもそも無線接続をやめる)
- aptX LL接続(低遅延Bluetoothコーデックを用いる)
に対応しているのが、理想のネックスピーカー。
ところが、そんな 有線接続対応 + aptX LL対応 というネックスピーカーが意外となく、非常に困ったことになっています。「これくらいはあるでしょ」と高を括っていた私からすれば、想定外の出来事なのです。
もしかすると、ノーブランド製品の中には、そういったネックスピーカーがあるかもしれません。ただ、個人的にはオーディオメーカー製でないと食指が動かないので、事実上の選択肢がゼロになってしまっています。
最初はSonyの『SRS-NS7』が良いと思ってたんやけど、有線接続にもaptX LLにも対応してないんよね。
最近のSony製品はaptX系に対応させてこないもんねー。
ライセンス料の問題もあるし、LDAC推しがあって当然やしね。
aptX LL対応ネックスピーカーは希少
そもそも論なのですが、aptX LLに対応したネックスピーカー自体、そこまで数が多くありません。とりわけオーディオメーカー製となれば、なおさらです。
- JBL『SOUNDGEAR』(生産完了品)
- SHARP『AN-SX7A』
- SHARP『AN-SS2』
- Audio-Technica『AT-NSP300BT』
- JVC『SP-A7WT』
…などが、aptX LL対応のネックスピーカーの代表例。
音質的なことを考慮すれば、JBLの『SOUNDGEAR』が良さそうなのですが、すでに生産完了となっており、在庫は市場流通分のみとのこと。しかも、発売年が古いこともあって、USB Type-Cではなく、Micro USBでの充電と不満も残る。
有線接続対応ネックスピーカーも希少
aptX LL対応ネックスピーカーの絶対数が少ないことに輪を掛けて痛いのが、φ3.5mmなどの有線接続に対応したネックスピーカー自体も少ないこと。
…などが、有線接続対応のネックスピーカーの代表例。
有名なオーディオメーカー製だと、おそらくは上記の2つしか有線接続に対応したネックスピーカーはない。しかも、両方とも有線接続の方法に癖があるタイプ(Sony SRS-WS1は特殊なケーブルが必要で、Panasonic SC-GN01はUSB 3.2 Type-Aが必要)で、何とも取り回しが難しい。
とはいえ、双方とも最終的な音声入力はφ3.5mmになるので、aptX LL対応のBluetoothレシーバーを噛ませるというアクロバティックな方法もできなくはない。もちろん、そこまでするのかという話になってしまいますが……。
aptX LLの廃止とLC3の希望
低遅延なBluetoothコーデックといえば、Qualcommの『aptX LL』なのですが、aptX Adaptiveに切り替えられることになっており、当該コーデックはすでに廃止方向になっています。
aptX LLはスマートデバイスに実装できないから、どうしてもTx側がトランスミッターありきになっちゃうのが……。
それもあって、あまり普及しなかったやんね。
「ならば、aptX Adaptive対応のネックスピーカーを買えばよい」と思ったのですが、なんとaptX Adaptive対応のネックスピーカーがないのです。もし仮にあったとしても、aptX AdaptiveがaptX LL級にローレイテンシーかどうかは甚だ疑問ですが。
そこで期待しているのが、Bluetoothの本家本元であるBluetooth SIGが策定した、新しいBluetooth Audioである『LE Audio』(従来のBluetooth Audioは『Classic Audio』扱いとなる)。そして、LE Audioの『LC3(Low Complexity Communication Codec)』というコーデック。
LC3はSBCの後継的存在なのですが、高効率で低遅延な接続が見込めるという。しかも、LE Audioの必須コーデックとなっており、aptXのようなややこしいライセンシーも不要。なので、LC3対応製品のネックスピーカーが登場することを熱望しています。
加えて、LC3には上位となる『LC3plus』があり、こちらを使えば2.5msのデータパケットサイズで約5msまで遅延を抑えることができると、開発元のひとつであるFraunhoferが述べています。ですので、「aptXLLとは何だったのか」と言える時代が来るかもしれません。
あ、LC3plusはライセンス料が発生するんで!
それでも良心的な金額になりそうですよね。
うーん、どうなんかな!?
ライセンス料の話は置いておくとして、LE Audioに移行することによって、乱立状態のBluetoothコーデックが『LC3』(と『LC3plus』)に統一されることは期待したいんよね。
まとめ「LE Audio LC3に期待」
最後は技術的な話になってしまいましたが、LC3plus対応のBluetoothネックスピーカーをSonyあたりが出してほしい(対応トランスミッターも)のです。これなら、遅延問題も解決しそうですし。
そうそう、LE Audioをサポートするコンシューマ向け製品、今年から少しずつリリースされるそうです。なので、しばらくは“様子見”がネックスピーカー選びでは正解かもしれません。
LE Audio LC3が出る前に、ネックスピーカーが終焉を向かえないように祈りつつ…やけどね。
おまけ
うーん、Bluetooth SIG偉いぞ!
ほんまね!同意!!
規格団体として仕事をしてますわね。
それに比べて、USB-IFめ!
こら!唐突なUSB-IFディスりやめい!!
おわり
ネックスピーカー自体、種類が少ないんよね。