- M1 Mac『外付けSSD遅い問題』はM2 Macも該当するのか注目
- 『M1』『M1 Pro』『M2』での転送速度をベンチマーク比較
- M1よりは確実に速くなってるけど…M1 Proより遅い気がする
M1 Macだと外付けSSDの転送速度が遅くなる、という持病がある。この『外付けSSD遅い問題』、M1 Pro/M1 Max/M1 Ultraでは改善されました。そこで本稿では、『M2 Mac』での外付けSSDの転送速度を検証します。
改善されていると良いのですが。
それでベンチ比較ってわけやね!?
目次
目的
M2 Macで『外付けSSD遅い問題』が改善されているのかを調べる。
M1 Macユーザーを悩ました(?)、『外付けSSD遅い問題』。この問題が、M2 Macで改善されているのかを検証していきます。
予備知識
Apple製SoC『Apple M1』を搭載したMacには、外付けSSDを直マウントすると、転送速度が他機種(Intel Macなど)よりも遅くなるという持病があります。
過去記事(M1 Pro/Maxで“外付けSSD速度低下問題”は直ったか?)で検証しているのですが、この転送速度低下は『USB 3.2』プロトコルでのみ発生し、『Thunderbolt』プロトコルでは発生しませんでした。
なぜ転送速度低下が生じるのかはハッキリしないのですが、この現象は『M1』でのみ発生し、『M1 Pro』『M1 Max』『M1 Ultra』では発生しません。いずれにせよ、M1 Mac特有の問題となっております。
検証環境
Mac
- Apple M2:MacBook Air (2022)
- Apple M1:MacBook Air (2020)
- Apple M1 Pro:MacBook Pro 14″ (2021)
本検証のために用意したApple Silicon搭載Macは、上記のとおり。
なお、いずれのMacも、OS・駆動方式・電力供給設定を揃えております。ただし、インストール済みのアプリケーションや、Macそのものの使用時間については同一ではないので、その点はあらかじめご容赦ください。
詳細な検証用設定については、下表を参照のこと。
| M2 | M1 | M1 Pro |
使用機器 | MacBook Air (M2 | 2022) |
MacBook Air (M1 | 2020) |
MacBook Pro 14″ (M1 Pro | 2021) |
OS | macOS Monterey (Ver. 12.4) |
||
電力供給 | バッテリー | ||
低電力モード | 無効 |
検証用設定
SSD・エンクロージャ・ケーブル
- USB 3.2 Gen 2:ACASIS 10-in-1 USB C Hub with SSD Enclosure
- USB 3.2 Gen 2x2:ORICO M2PAC3-G20
- Thunderbolt 3:ORICO SCM2T3-G40
- USB 3.2 Gen 2:Belkin F2CU052bt1M-BLK
- USB 3.2 Gen 2x2:GOPPA GP-CCU325A05M/B
- Thunderbolt 3:Apple Thunderbolt 3 (USB‑C) Cable (0.8 m)
SSD・エンクロージャ・ケーブル、これらについては、上記の製品を用意しました。
SSDがボトルネックとならないように、PCIe Gen4x4(Read:最大7,000Mbps|Write:最大5,300Mbps)に対応した製品を用意。エンクロージャとケーブルについては、各転送プロトコルに応じた製品をそれぞれ用意しております。
エンクロージャとケーブルの組み合わせについては、念のために同じプロトコルに対応したもの同士を組み合わせ、ベンチマークテストを実施します。
なお、SSDは『Apple File System(APFS)』でフォーマットをし、内部データは空の状態にしております。
検証結果
USB 3.2 Gen 2
| Read | Write | ||||
M2 | M1 | M1 Pro | M2 | M1 | M1 Pro | |
SEQ1M QD8 |
967.34 MB/s | 715.06 MB/s | 970.74 MB/s | 971.72 MB/s | 694.04 MB/s | 997.51 MB/s |
SEQ1M QD1 |
354.21 MB/s | 691.78 MB/s | 797.83 MB/s | 762.30 MB/s | 647.05 MB/s | 441.23 MB/s |
RND4K QD64 |
115.17 MB/s | 25.37 MB/s | 145.95 MB/s | 57.60 MB/s | 10.69 MB/s | 64.59 MB/s |
RND4K QD1 |
30.86 MB/s | 33.43 MB/s | 35.18 MB/s | 19.76 MB/s | 14.59 MB/s | 21.22 MB/s |
外付けSSD(USB 3.2 Gen 2)の転送速度
※AmorphousDiskMarkにて測定
USB 3.2 Gen 2x2
| Read | Write | ||||
M2 | M1 | M1 Pro | M2 | M1 | M1 Pro | |
SEQ1M QD8 |
1011.15 MB/s | 939.18 MB/s | 1019.06 MB/s | 994.29 MB/s | 848.85 MB/s | 1020.26 MB/s |
SEQ1M QD1 |
757.95 MB/s | 756.25 MB/s | 769.25 MB/s | 755.49 MB/s | 687.55 MB/s | 770.48 MB/s |
RND4K QD64 |
115.15 MB/s | 139.47 MB/s | 136.71 MB/s | 59.39 MB/s | 68.75 MB/s | 63.42 MB/s |
RND4K QD1 |
32.55 MB/s | 41.67 MB/s | 38.89 MB/s | 22.94 MB/s | 21.94 MB/s | 23.07 MB/s |
外付けSSD(USB 3.2 Gen 2)の転送速度
※AmorphousDiskMarkにて測定
Thunderbolt 3
| Read | Write | ||||
M2 | M1 | M1 Pro | M2 | M1 | M1 Pro | |
SEQ1M QD8 |
2864.88 MB/s | 2864.72 MB/s | 2863.08 MB/s | 740.99 MB/s | 861.57 MB/s | 1102.23 MB/s |
SEQ1M QD1 |
2204.03 MB/s | 2247.84 MB/s | 2206.61 MB/s | 653.23 MB/s | 791.20 MB/s | 1018.15 MB/s |
RND4K QD64 |
1086.96 MB/s | 1291.66 MB/s | 1117.44 MB/s | 224.11 MB/s | 273.13 MB/s | 250.02 MB/s |
RND4K QD1 |
47.45 MB/s | 52.37 MB/s | 60.21 MB/s | 34.45 MB/s | 39.18 MB/s | 40.30 MB/s |
外付けSSD(USB 3.2 Gen 2)の転送速度
※AmorphousDiskMarkにて測定
結論
- USB 3.2 Gen 2:『外付けSSD遅い問題』ナシ
- USB 3.2 Gen 2x2:『外付けSSD遅い問題』ナシ
- Thunderbolt 3:『外付けSSD遅い問題』ナシ
検証の結果、M1 Macで見られた『外付けSSD遅い問題』については、「M2 Macでは改善されている」と言ってよいと結論づけました。
『Thunderbolt 3』接続では、M1 Macでも『外付けSSD遅い問題』は生じなかったので除外として、『USB 3.2 Gen 2』接続においては、明らかな速度改善が見られました。『USB 3.2 Gen 2x2』についても同様の結果です。
ただ、若干ではありますが、『M1 Pro』と比べると『M2』のほうが、外付けSSDの転送速度が遅い気もしなくもない。とはいえ、実利用で違いを感じることはまずないでしょう。
なお、掲載しているのは n = 1 ですが、実際の試行回数は n = 3 です。その中から、明らかに変なデータを除いた結果を採用しました。(それでも一部転送速度に怪しいものがあるが)
『USB 3.2 Gen 2x2』でも測定していますが、Apple Silicon Macは2レーン対応なのですか?
仕様を見ると「USB 3.1 Gen 2(最大10Gb/s)」と記載されてるから、1レーンですな。
まとめ「転送速度:M1 < M2 ≦ M1 Pro」
M2 Macでは『外付けSSD遅い問題』はナシ。
どれだけのユーザーが、M1 Macでの『外付けSSD遅い問題』を気にしていたか分かりかねますが、これで心置きなく買い替えられそうです。
えらいっ!!
おまけ
ついでに、外付けモニターの制限も改善してほしかったあーる。
M2といえど、マイナーチェンジですからね。
現状はベースのダイサイズやと、最大1台なんやろうね。
うーむ、アーキテクチャの進化待ちですな。
おわり
地味に『Apple M2』プロセッサの気になるとこーろっ!