技術書を脱Kindleしたい——PDF・EPUBで電子書籍を揃えたい欲望と難しさ

技術書を脱Kindleしたい——PDF・EPUBで電子書籍を揃えたい欲望と難しさ
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記事のポイント
  • 技術書の脱Kindleをする方法を考える!
  • 理想はPDF・EPUBで電子書籍を揃えること!
  • PDF・EPUBの統一はかなり難しい縛りプレイ!

技術書はKindleと相性微妙。

私の本の環境は、長らく 電子書籍 = Kindle という構図でしたが、技術書に関しては“脱Kindle”することにしました。今回は、その脱Kindleする理由と電子書籍界隈はカオスというお話。

まの

『EPUB』と『PDF』にまとめたいのですわ。

二条ねこ

Kindleは独自規格だもんねー。

さたえり

独自規格は厄介やもんね。

電子書籍の脱Kindle化

Kindle

電子書籍の購入先はいろいろありますが、

  • Kindle
  • honto
  • Kobo

…などで購入される人が多いのではないでしょうか。

特にKindleは、Amazonが運営していることもあり、頭ひとつ…いや、数十は抜けている巨大電子書籍マーケット&プラットフォームになっています。かくいう私も、電子書籍はとりあえずKindleで買う、という脊髄反射的な購入をしていました。

二条ねこ

Kindleの業界シェアは凄そうだよねー。

まの

Kindle Unlimitedのような読み放題も提供していますからね。

しかしながら、私は長らく使っていたKindleから脱却しようとしています。とりわけ、技術書に関しては、すでにKindle版を購入するのはネガティブな行為というところまで、Kindle本のプライオリティが下がる状態に私の中では至っています。つまり、“脱Kindle”を進めているわけです。

まの

将来的には分からないですが、まずは技術書の脱Kindle化をしていますの。

さたえり

技術書にこだわってるところを見ると、何か理由がありそうやね。

電子書籍規格はカオス

電子書籍のフォーマット
  Amazon系 Mobipocket系 SHARP系 Voyager系 IDPF(W3C)系 Adobe系
名称 AZW
KCR
Topaz
MOBI XMDF .book EPUB PDF
拡張子 .azw
.kcr
.tpz
.mobi
.prc
.zbf
.mnh
.book
.ttz
.epub .pdf

規格団体別電子書籍フォーマット

脱Kindleを進めていくにあたって、知っておくべきことがあります。それが、ひとくちに電子書籍といっても、販売している電子書籍ストアによって規格(拡張子・フォーマット)が異なるということ。要するに、それだけ電子書籍の規格が複数存在しているということなのです。

二条ねこ

雲行きが怪しくなってきたあーる。

さたえり

…やね。

Kindle honto Kobo Kinoppy Apple Books
AZW
KCR
Topaz
EPUB
XMDF
.book
EPUB EPUB
XMDF
.book
EPUB
.ibooks

電子書籍ストア別の取扱フォーマット

少し調べて見ると、Amazon(Kindleストア)だけが完全に独自規格路線。ちなみに、Amazonは2005年に買収したフランスのMobipocketの『MOBI』をベースにして、『AZW』というフォーマットが生まれたそう。とはいえ、いずれにしても独自規格で互換性は皆無に等しく、かなりクローズドな規格になっている。

それに対して、日本の電子書籍ストア(出版社直販を除く)を調べてみると、書籍によってフォーマットがマチマチだったのですが、SHARP系の『XMDF』Voyager系の『.book』をメインに採用している印象を受けた。このあたりのフォーマットは、日本語圏独自の文章表現が絡んできているのかもしれません。

電子書籍のフォーマット

そんな電子書籍フォーマットの中でも、私が統一したいのが『EPUB』『PDF』という、デバイス依存が少なくベーシックな規格。特に、EPUBはWebベースなリフロー型を採用しており、スマートフォンのような画面の小さなデバイスでもすこぶる読みやすい。PDFもリフロー表示できるのですが、実際のPDF形式での電子書籍は固定表示が大半だったりします。

なので、電子書籍全体としては、できればEPUBで書籍は揃えたい。とはいえ、今回は参考書ということなので、EPUBに固執はせず、PDFやフィックス型のなんちゃってEPUBでもいいかなとは思っています。

まの

読み物として考えるなら、EPUB。
テキストとして考えるなら、PDF。
…そんな使い分けでしょうか。

EPUBとPDFの電子書籍帝国づくり

小説は別として、技術書を電子書籍で購入するのであれば、Kindleという規格が決して最適解だとは思っていません。むしろ、悪い意味でデジタルっぽい。荷物が軽く済むこと、デバイス間同期ができること、それらの点以外では、紙の本のほうがアドバンテージがあるのではと思ってしまうほど。

Kindleアプリには“手書き”機能がないので不便。

Kindleアプリには“手書き”機能がないので不便。

その理由として大きいのが、“本への書き込み”が行えないということ。

私が購入する技術書は、ほぼ100%開発関係の書籍なのですが、読み進めていくうちにどうしても書き込みをしたくなるのです。紙の本であれば、直接ペンで書き込んだり、付箋を貼ったり、ラインマーカーを引いたり…とできます。しかし、これがKindle本になるとかなり厳しい。技術書関係はフィックス型も多いことから、ラインマーカーすら引かせてくれないことも大半です。当然、直接書き込みというのは、Kindleそのものが対応していないので…夢のまた夢。

こうなってくると、電子書籍としての旨味がない

そこで思ったのが、KindleからEPUBやPDFにシフトチェンジして、電子書籍自体の汎用性を高めること。技術書はフィックス型のことが多いので、前述した“書き込み”を考慮すると、どちらかといえばPDFのほうが相性が良い。ただ、PDFだと小型デバイスで読みづらいので、そこは臨機応変にEPUBも併用したいところ。

まの

EPUBなら『MarginNote』、PDFなら『Flexcil』のアプリがおすすめですわ。

二条ねこ

わたしもFlexcilは激推しですぞっ!

問題はどこで電子書籍を買うのか

電子書籍の購入場所

技術書をEPUBやPDFで買い揃えるにあたって、最大の壁となるもの。それが、どこの電子書籍ストアで購入するのかという問題。

Kindle honto Kobo Kinoppy Apple Books
AZW
KCR
Topaz
EPUB
XMDF
.book
EPUB EPUB
XMDF
.book
EPUB
.ibooks

電子書籍ストア別の取扱フォーマット

上表(前掲した表と同じもの)のように、Kindleストアは独自のフォーマット(AZW等)で販売しているので、真っ先に候補から外れる。Kindleアプリ自体も、技術書の利用用途としてはミスマッチな部分が多く、これらを総合的に考慮すると“脱Kindle”となったわけでした。

ではKindleストア以外なら大丈夫…というわけもいかず、こちらも上表のように、国内の大手電子書籍販売サイトも、EPUBやPDFで売ってくれない可能性が高い。要するに、hontoやKinoppyも技術書の購入先としては外れることになります。

出版社の直販サイトなら、EPUBやPDFで購入可能な場合が多い。(画像は技術評論社の直販サイト)

出版社の直販サイトなら、EPUBやPDFで購入可能な場合が多い。(画像は技術評論社の直販サイト)

■技術書購入先の候補

  • 出版社の直販サイト
  • 達人出版会

小説や雑誌は本題から外れるので確認していないのですが、技術書に限って言えば、出版社の直販サイトならば、かなりの確率でEPUBやPDFで販売してくれていることが分かりました。中にはDRMフリーの電子書籍を売ってくれる出版社もあり、技術書は巨大マーケットで買うよりも出版社から買ったほうがよい、と言えるかもしれません。

電子書籍のマーケットで言えば、『達人出版会』という販売サイトならば、こちらもEPUBやPDFで購入可能。なので、この2つを中心にして技術書を購入するのがよさそうです。

二条ねこ

これでバッチリだよねっ!?

まの

…と言いたいのですがね。

脱Kindleは完全には困難

これで“脱Kindle”ができる…とは現実的にはいかず、やはり中には出版社の直販サイトでEPUBやPDFを頑として売ってくれないところもあります。そうなると、諦めてKindle本で購入するか、紙の本を購入して自炊(ユーザー自身でスキャンしてPDF化する行為)をする必要が出てきます。

『SBクリエイティブ』には、EPUBやPDFの販売がない。

『SBクリエイティブ』には、EPUBやPDFの販売がない。

EPUBやPDFで売ってくれない出版社は避ける。これもひとつの手なのですが、実際にはそんな理想どおりにはいってくれません。私がよくお世話になる『SBクリエイティブ』がEPUBやPDFで売ってくれない出版社のひとつに入っているので、全部をEPUBやPDFに統一させるのは至難の業。

まの

結局のところ、
EPUB(リフロー) = PDF > EPUB(フィックス) > Kindle > 紙の本
という優先度で電子書籍を購入していますわ。

まとめ「脱Kindleしたい → 現実は難しい」

まとめ「脱Kindleしたい → 現実は難しい」

かなり散らかってしまったので、最後に要点だけまとめて終わりにします。

私が脱Kindleをしたい理由は、

  • フォーマットが独自規格で汎用性ゼロ
  • KindleアプリのUI・UXが技術書に不向き

ということに起因しています。

なので、扱いやすい『EPUB』や『PDF』で販売してくれるサイトを探したら、

  • 出版社の直販サイト
  • 達人出版会

に行き着いたというわけでした。

技術書の内容にもよりますが、フィックス型が多い傾向にあるので、私はPDF中心に電子書籍を揃えて、それをiPadやE Inkタブレットで書き込みながら使っています。ただ、現実的には脱Kindleを完全に行うのは至難の業だった…というお話でした。

BOOX Note Airハンズオン:紙<ガジェットなE Inkタブレット

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2020年10月21日
まの

手間をかければ全電子書籍PDF化もできなくはない…ですが。

この記事で紹介したガジェット

おまけ

二条ねこ

ドット絵…作るの疲れたぞー!

さたえり

今回は頑張った感じがあるもんね。

まの

助かりました。またお願いしますわ。

二条ねこ

ええー!?またやるのー!?

おわり