- Appleらしいプライバシー保護を意識した忘れ物防止スマートタグ!
- シンプルな操作系の中に“探すのレイヤー化”を感じることができる!
- スマートタグにとどまらない壮大なメッシュネットワーク感よ!
小さな筐体、大きな可能性。
忘れ物防止スマートタグ、Apple『AirTag』をレビュー。忘れ物を探す…だけでない、大きな可能性を感じるミニマムなネットワーク機器なのです。ですなの。
…え!?
……ほえ!?
目次
本日のレビュー:AirTag
AirTagってなに?
Appleが生み出した“見つける天才”。忘れ物は追跡するけど、人は追跡しない。プライバシー保護を念頭に置いた、Appleらしいスマートタグ。
- 高いアップデート頻度
- プライバシー保護最優先
- UWB搭載で高精度
- バッテリー交換可能
- 傷つきやすい筐体
- ビープ音色変更不可
- Androidは蚊帳の外
AirTag | ||
---|---|---|
型番 | MX532ZP/A(1個入り) MX542ZP/A(4個入り) |
|
メーカー | Apple | |
通信プロトコル | Bluetooth Low Energy Ultra-Wideband(UWB) NFC |
|
有効距離 | 約10m | |
クラウドトラッキング | 対応 | |
防塵防水 | IP67 | |
バッテリー | 電池寿命 | 約1年 |
電池タイプ | CR2032 | |
電池交換 | 交換可能 | |
サイズ | 31.9×31.9×8.0mm | |
質量 | 11g | |
備考 | コンパニオンアプリ | 探す(Find My) |
その他 | 加速度センサー搭載 |
AirTagのスペック
使えば使うほど、作り込まれたUIに関心してしまうぞ!
しかも、単純にスマートタグとして優秀だけど、ちゃんとテクノロジーを悪用したストーカーをさせないことを考えている。この思想こそが素敵なのであーる!
みいる
サイズ | 31.9×31.9×8.0mm |
質量 | 11g |
AirTagのサイズと質量
AirTagのファーストインプレッションは…This is 碁石。
白くてツヤツヤしたほうを上にして置いておくと、それはそれはもう碁石。碁笥に入れておけば、圧倒的碁石感。ちなみに、白石(白いほうの碁石)の25号よりも一回り大きいので、AirTagで碁を打つことはできません。
囲碁は打つもので定石。
将棋は指すもので定跡。
…難しいですなー。
えーと…AirTagの話は!?
AirTagの話に戻すと、本機にはキーチェーンを取り付けるホールはありません。なので、何かに取り付けるのであれば、専用のストラップやキーリングを購入する必要があります。
“(Appleマーク)”の周囲に、「Bluetooth LE」や「Ultra Wideband」と刻印されていることからも分かるように、AirTagとiPhone間は『Bluetooth Low Energy』・『Ultra-Wideband(UWB)』で、接続を行います。
この2つのワイヤレスプロトコルに加えて、紛失モードでの読み取り用に『NFC』のモジュールも内蔵されています。このNFCを使って、Androidスマートフォンからも読み取れるというわけです。
小さい筐体にいろんなモジュールが凝縮されているわけですなー。
世界最小のワイヤレス基地局という感じですよね。
キャップを回転させると、内部にアクセス可能。
AirTagのバッテリー寿命は、公称値で約1年とのこと。
なので、ここを開けるのも年に1回あるかないか。…それにしても、Bluetooth LEやUWBって、そんなに低消費電力なのですね。そこに関心してしまいます。
ちなみに、AirTagは1個セットと4個セットの2パッケージで展開されています。
最初は4個セットを購入して、足りなくなったら1個セットをバラ買いするのが、私のおすすめ。…というのも、4個セットのほうが1個あたりの価格が600円も安く設定されている(1個入り:3,800円|4個入り:3,200円 ×4)のです。
600円…意外と価格差あるんやね。
でしょー!
AirTagを1個だけ使うってことも少ないと思うから、やっぱり最初は4個セットがベストバイだと思うのであーる。
つかう
初期設定をする
AirTagのペアリング方法を解説…は不要でしょう。
AirTagをiPhoneに近づけると、自動的にiPhoneがAirTagを認識してくれます。あとは、表示されるダイアログに従って、初期設定を進めるだけ。イメージ的には、AirPodsを設定していくのと同じ感じ。
初期設定の簡単さで言うと、TileやMAMORIOとは比べ物にならないくらいレベル。このあたりの差は、Apple純正だから為せる業でしょう。
紛失したものを探す
AirTag(と装着した紛失物)を探すには、iOS・iPadOS・macOSで提供されているApple純正アプリ『探す(Find My)』を利用します。
■搭載機能
- サウンドを再生
- 探す(近くにある場合のみ利用可)
- 経路(遠くにある場合のみ利用可)
- 通知
- 紛失モード
この『探す』アプリでは、上記のようなさまざまな方法によって、AirTagを探すことができるようになっています。
そういうわけで全部試してみるのであーるっ!
『サウンドを再生』
■『サウンドを再生』概要
▼利用シーン
バッグや引き出しの中に入れたAirTagを探す。
▼オン時の挙動
AirTagからビープ音が鳴る。
サウンドを再生を選択すると、AirTagから「ピピピッ」というビープ音が流れるようになっています。なので、この音を頼りに、AirTagを探していく…という感じ。
ビープ音を鳴らしてAirTagを探す、ということからも分かるように、かなり近い距離で探しているときに有効。「確かこの辺に置いたはずなのに、うーん…ないぞ!?」という、いわゆる“メガネメガネ”(メガネを掛けているのに掛けていないと勘違いしている状態)のときに、最高のパフォーマンスを出してくれます。ちなみに、ビープ音は結構うるさいのです。
『探す』
■『探す』概要
▼利用シーン
家の中などの屋内で紛失したAirTagを探す。
▼オン時の挙動
Ultra-Wideband(UWB)を使って、近くにあるAirTagに誘導してくれる。
探すを選択すると、iPhoneに内蔵されている『Ultra-Wideband(UWB)』を使って、AirTagのある場所まで、方向や距離も含めて正確に誘導してくれます。
この機能の優れている部分は、かなり正確な位置を示してくれるところ。Bluetooth LEを使ったスマートタグによくある“このあたり”感が一切なく、バシっと“ここ”というピンポイントで、AirTagを見つけることができます。これぞUWBの凄いところ。トラッキングの正確さで言ったら、スマートタグ随一でしょう。
なお、この『探す』機能はUltra-Wideband(UWB)を活用した機能なので、iPhone SE(第2世代)のようなUWB非搭載iPhoneだと、この表示は現れません。ですので、UWB非搭載iPhoneの場合は、必然的に『経路』機能を使うことになります。
UWBの凄さを体感するためにも、やっぱり対応のiPhoneを持っておきたいところであーる。
『経路』
■『経路』概要
▼利用シーン
外出時に直近で忘れ物や紛失したAirTagを探す。
▼オン時の挙動
『マップ』アプリを使って、AirTagまでの経路をナビしてくれる。
経路を選択すると、Apple純正の『マップ』アプリが起動して、紛失したAirTagまでの経路を表示してくれます。
この機能を使う場面は、AirTagがBluetoothやUWBの通信範囲外になってしまったとき。もしくは、UWB非搭載のiPhoneでAirTagを探す場合。どこかにある物を探す…というよりかは、どこかに忘れてしまった物を探す、という使い方になるはずです。
この『経路』機能は、他社の忘れ物防止スマートタグでも見かける機能ですなっ!
『通知』
■『通知』概要
▼利用シーン
直近で紛失したAirTagを『経路』を使って探し出せなかった場合に利用。
▼オン時の挙動
自分が紛失したAirTagに近づいた場合や、誰かが自分にAirTagに近づいた場合に通知が届く。
検出時に通知をオンにすると、自分や第三者が紛失したAirTagに近づいた場合に、iPhone等にプッシュ通知が届くようになっています。そして、その通知に「この持ち物は○○の周辺で見つかりました。」を書かれているので、そこまで向かうというわけです。
この『通知』機能を使うシーンとしては、探したけれど見つからなかったとき。要するに、手詰まりになったときに使います。AirTagにはクラウドトラッキング機能が搭載されているので、世界中のユーザーが、あなたの代わりに探してくれるわけです。うーん、便利。
カバンの中もつくえの中も探したけれど見つからなかった…ときには『通知』を使うのであーる。
うーん、圧倒的井上陽水モードやね。
『紛失モード』
■『紛失モード』概要
▼利用シーン
完全にAirTagを紛失してしまって、手詰まりになったときの最終手段。
▼オン時の挙動
見つけてくれた第三者宛てに、連絡のつく電話番号とメッセージをAirTagに残すことができる。
紛失モードを有効にすると、AirTagを検出できたときに通知を送信する準備と、見つけてくれた第三者に返してもらうための連絡先とメッセージをAirTag上に記載することができます。
なんとなく想像がつくと思うのですが、『紛失モード』を使うときというのは、完全に紛失してしまったとき。つまり、このモードというのは最終手段なのです。できればお世話になりたくない機能ですが、一縷の望みを賭けて…という感じです。
これって、見つけた人が電池を抜いてしまったら……!?
…なっ!?
やめてっ…うわぁあああああ!!
ざんねん! わたしの ぼうけんは これで おわってしまった!!
電池交換をする
前述したとおり、このAirTagのバッテリーは交換することができます。
電池交換は非常に簡単で、AirTagのキャップ(の刻印がある側)を反時計回りに回転させるだけ。すると、簡単にキャップが外れるので、サクっとリチウム電池(CR2032)を取り替えるだけです。
おもう
“探す”行為のレイヤー化
紹介したように、このAirTagには複数の“探す”行為が行える機能が備わっているわけですが、それらがすべてレイヤー化されていて、無駄が一切ないのが凄み。
<近く>
↕
サウンドを再生
↕
探す
↕
経路
↕
通知
↕
紛失モード
↕
<遠く>
上記が私が思う、AirTagにおける探す行為のレイヤー化。
あの手この手を使って、AirTagを探せるようになっているわけですが、探したいAirTagが“どの距離に存在しているのか”という視点で考えると、すべての探すための機能が無駄なく線でつながっているのです。
しかも、これらの機能を使う際に、ユーザーはAirTagと自分の距離関係を一切考えなくてもよい。つまり、無意識レベルで機能を使い分けられるようにできている。ここにAppleらしさを感じてしまう自分がいるわけです。うーん、凄い。
UWBによるピンポイントサーチ
UWBに関係なく、このAirTagは位置情報の取得が比較的正確だと思うのですが、やはりUWB搭載によるピンポイントサーチのパワーは偉大。
イメージとしては、まさしくAirTag発表時のプロモーションビデオのそれ。
このあたりにある…という感じで通知され、あとは自分の努力で探し出すという感じはナシ。UWBを活用することによって、ユーザーは吸い込まれるかのように、正確にAirTagのある場所へと導かれるのです。
映画『インディ・ジョーンズとAirTagの謎』
…近日公開!
嘘つけーい!!
複数iPhoneから同時アクセス可能
複数台のiPhoneから、1つのAirTagに同時アクセスができる。これが密かに嬉しいストロングポイント。
競合となるスマートタグの『Tile Pro(2020)』も使っているのですが、こちらは複数のスマートフォンから、同時に1つのTileにアクセスすることができません。どちらか一方のスマートフォンでTileと接続していると、もう一方はペアリングが切れた状態になってしまうのです(登録自体は解除されないのでご安心を)。
そういうことがあり、複数台のスマートフォンでTileを運用するというのは、ちょっと微妙な点がありました。それがAirTagでは、特に問題なく運用できるというわけなのです。
傷が付きやすいのが難
すでに各所で言われていることですが、このAirTag…すぐに擦り傷が付きます。
うーん、でも保護フィルムを貼るのも悩む……。
そもそもが、紛失する可能性のあるものに取り付ける用途ですからね。
多くのAirTagに対応したケースやストラップは、本体の表面が剥き出しになっています。なので、どうしても擦り傷を付けるのが嫌だというのであれば、保護フィルム等を貼って運用することを考えてもよいかもしれません。
まとめ「新たな可能性を感じるAppleデバイス」
そういうわけで、Apple『AirTag』のレビューを総括すると、
- UWB搭載でかなり正確に追跡可能
- 探す行為のレイヤーがエモい
- 設定も操作も何もかも簡単
- 想像どおりに傷がすぐ付くので注意
…という感じ。
レビュー内では触れなかったのですが、Appleらしくプライバシー保護を念頭に置いて開発されている点も高評価。アップデートを重ねるごとに、モノは追跡できてもヒトは追跡できない、という仕組みがブラッシュアップされつつあります。
Appleは、AirTagを単なる忘れ物防止のスマートタグ…という枠に収めず、何か大きなメッシュネットワークのようなものを構築しようとしている感も。そんなAirTag、ユーザーとしても、新たな可能性を感じるデバイスになっているような気がしませんか。私はしていますぞ!
AirTagを大量に買って、バッグに縫い付けちゃおっかなー!?
おまけ
超小型基地局感がたまらないのであーるっ!
これが近い将来、全世界中にばら撒かれるという……。
ちょ、言い方が怖いんやけど。
…これがAppleの野望!?
おわり
AirTagは“小宇宙”である!
ねこを。