- iPhone ○○ Maxはホーム画面の表示が横向きにはならない!
- iPhone ○○ Plusはホーム画面の横表示が可能だった!
- Plus → Max で削られたランドスケープの意味はUXの統一にある!
アップデートで対応は難しい問題。
6.7インチの大画面を誇るiPhone 12 Pro Maxだが、なぜかiPad miniのように、ホーム画面が横向きにならない。でも、iPhone 8 Plusはできた。…なぜ廃止されたのか。それを考察し、iPhoneがiPadの代替にはならない理由をUX的に語ります。


…なるほど。

iPhone ○○ Plusだけ“異質”なんやね。
目次
はじめに
本稿は『iPhone 12 Pro Max』がなぜ、画面サイズの近い『iPad mini(5th Gen)』とは異なり、ホーム画面が横向きにならない(= ランドスケープモード非対応)のか、ということを考察していくことがメイントピックです。
この考察をUX(User Experience)の観点から紐解いていくのですが、その際に必要な予備的な知識をあらかじめ以下にまとめております。これらを先に目を通してもらえると、より理解が深まると思っています。
[1]各種スペック表
iPhone 8 Plus | iPhone 12 Pro Max | iPad mini (5th Gen) |
||
ディスプレイ | 画面パネル | LCD | OLED | LCD |
画面サイズ | 5.5インチ | 6.7インチ | 7.9インチ | |
画面解像度 | 1,080 × 1,920 | 1,284 × 2,778 | 1,536 × 2,048 | |
ピクセル密度 | 400.53 ppi | 456.77 ppi | 324.05 ppi | |
画面占有率 | 67.41% | 87.83% | 70.56% | |
サイズ | 78.1 × 158.4 × 7.5 mm | 78.1 × 160.8 × 7.4 mm | 134.8 × 203.2 × 6.1 mm | |
質量 | 202 g | 226 g | 300.5 g(Wi-Fi) 308.2 g(Wi-Fi + Cellular) |
iPhone 8 Plus vs iPhone 12 Pro Max vs iPad mini(5th Gen)
本稿で必要となるのは、ディスプレイと本体サイズに関する情報だけなので、それ以外の項目をはぶいて比較表にしています。なお、ピクセル密度と画面占有率に関しては、こちらで算出したものなので、公式の表記とはブレがあるかもしれません。
[2]インフォグラフィック

スペースシートで表してもピンと来ない部分があるかもしれません。
…というわけで、本体サイズ・画面サイズ・ピクセル密度・画面占有率をインフォグラフィックにしてみました。

これに時間を取れらたのであーる……。

挿絵に時間をかけて、本文に時間をかけないとは、これ如何に…やね。

デザイナーとしての血が騒いだのでしょうね。
iPhone Max × iPad mini

発売と同時に飛びついて購入した『iPhone 12 Pro Max』。
そして、以前から使っている『iPad mini(5th Gen)』。
スマートフォンとタブレット、という本質的な違いはありつつも、歴代iPhone史上最大(2020年時点)の画面サイズである、6.7インチを持つiPhone 12 Pro Max。このディスプレイサイズは、iPad miniを食ってしまう“ミニ”タブレット的に使えるのでは、と思いながら日々使っています。

とりわけ、この6.7インチという画面サイズの威力が発揮されるのが、楽天マガジンやKindleのような電子書籍ビューアーで読書をしているとき。そして、BearやUlyssesのようなMarkdownエディターで執筆をしているときだったりします。やっぱり、ディスプレイが大きいといろいろと便利なのです。ですなの。
当然ながら、iPhone 12 Pro MaxではApple Pencilが使えないので、ここをうまくクリアする必要が出てきます。とはいえ、ここは『SonarPen』や『PASTEL SKETCH』のような、サードパーティー製のデジタイザーペンやスタイラスペンを使えば、Apple Pencilレベルとまではいかないにしても、メモ書きぐらいなら意外とこなせるものです。

iPhone用のApple Pencilをそろそろ出してほしいけどねー。
…そう思えば思うほど、iPad mini(5th Gen)の役割を、すべてiPhone 12 Pro Maxに任せられないかと思ってしまうわけです。
iPhone Max × ランドスケープモード
ランドスケープモードの壁
冒頭でも触れたとおり、iPhone 12 Pro MaxをiPad miniライクに使うという野望を打ち砕いたのが、現行のiPhoneはホーム画面が横向きにならないということでした。つまり、iPhone 12 Pro Maxのホーム画面が『ランドスケープモード』に対応していないという壁に当たってしまったのです。

かなしみあーる……。

アプリによっては、個別でランドスケープモードに対応しているものもある。ですが、そもそものホーム画面自体がランドスケープモード非対応なので、しきりに縦横を持ち替える必要が生じてきます。これでは非常にユーザビリティが悪い。なので、私を含めて多くのiPhoneユーザーというのは、基本的には画面の自動回転をオフにして使っているのではないでしょうか。
iPhone 12 Pro Maxはスマートフォンだから仕方がない。…と思ってしまうのですが、ちょっと目線をAndroidスマートフォンに向けると、なんとこちらはホーム画面が横向きになる製品ばかり。
当然、製品(にプリインストールされているホームアプリ)によっては、iPhoneと同様にホーム画面“だけ”横向きにならないAndroidスマートフォンもあります。しかし、『Xperia 1 II』や『Galaxy Note20 Ultra 5G』といったメジャーなAndroidスマートフォンの多くは、デフォルトのホームアプリでもランドスケープ表示に対応しているのです。
こうやって隣の芝生を覗いてしまうと、iPhone 12 Pro Maxも他のAndroidスマートフォンのようにホーム画面でもランドスケープモードに対応してほしい、と思えてくるのです。いや、以前のiPhoneだとホーム画面でもランドスケープモードが可能だった気がする……。
その記憶は正解で、iPhone 8 Plusではしっかりと対応していました。要するに、いつの間にかホーム画面でのランドスケープモード機能は廃止されていたのです。

以前のiPhoneでは対応していましたものね。

iPhone 8 Plusで対応していたなら、iPhone 12 Pro Maxでも対応してほしいって思っちゃうやんね。

そうなのであーる。
消えたランドスケープモード
対応 | 非対応 |
iPhone 6 Plus iPhone 6s Plus iPhone 7 Plus iPhone 8 Plus |
iPhone XS Max iPhone 11 Pro Max iPhone 12 Pro Max |
ホーム画面でのランドスケープモード対応状況
ホーム画面でのランドスケープモードに対応していたのは、iPhone 7 PlusやiPhone 8 Plusといった“Plus”の機種。これら以外はすべて非対応。PlusなiPhoneの特権機能だったわけです。当然、iPhone 12 Pro Maxのような、“Max”なiPhoneもダメ。

いわゆる“Plus”なiPhoneの画面サイズは5.5インチだったので、6.7インチの画面サイズを誇るiPhone 12 Pro Maxでも対応できるのでは…と思ってしまうはず。それでは、なぜ“Max”なiPhoneでは非対応になったのでしょう。その理由こそが、顔認証技術『Face ID』の問題だったりします。

試してみると分かるのですが、iPhone Xから採用されているFace IDというのは、iPhoneを縦持ちしたときにしか反応しません。
なので、仮にMaxなiPhoneのホーム画面がランドスケープモードに対応していたとしても、そもそもFace ID自体が横向きには対応していないのです。これでは意味がない。なので、おそらくFace IDとの兼ね合いで、ホーム画面のランドスケープモードが廃止されてしまったのでしょう。

しかしながら、ここで1つ疑問が生まれてきます。…それが、iPad ProのFace IDは縦向きでも横向きでもロックが解除できる仕様になっているということ。
こうなってしまうと、Face IDに搭載されている『TrueDepthカメラ』の技術的なハードルで無理という線は消えてしまいます。そうすると残る可能性は、あえてiPhoneではFace IDの利用を縦持ち(ポートレート)固定にしているということになってくるのではないでしょうか。

Face ID原因説はこれで消えましたわね。

そうなると…なんでやろうね!?
ホーム画面の横向き表示を廃した理由
iPhoneに採用されているFace IDが縦持ち(ポートレート)でしか使えないことや、以前は対応していたホーム画面での横向き表示を廃止したということは、実は密接にUI・UXの観点からリンクしているのではないか、と気づいてきました。

UI・UX!?

それは、これを見ると分かるのであーるっ!
なぜ、ホーム画面での横向き表示を廃止したのか、それは実際にiPhone 8 Plusを使うと分かってきます。

…そうです。iPhone 8 Plusのランドスケープ状態のホーム画面から、何かアプリを起動したときに、そのアプリ自体がランドスケープモードに対応していないということが往々にしてあるのです(もちろん対応しているアプリもあります)。
こうなると、当然ながら横持ちしていたiPhoneを、くるりと縦持ちに持ち替える必要が出てきます。これは非常にUXの観点からよろしくない現象です。なぜなら、その使いたいアプリがランドスケープモードに対応しているのか否かを、ユーザーがアプリを立ち上げるまでに明示してくれるような機能がないからです。ですので、アプリがランドスケープモード非対応だった場合に、わざわざiPhoneを縦に持ち替える手間と、対応していないアプリそのものにフラストレーションが生じてしまうことになってしまう。
何が言いたいかというと、極論を言ってしまえば、iPhoneのホーム画面がランドスケープモードに対応しているのだから、ランドスケープモードに対応させていないアプリ側が悪だというトンデモ理論に行き着いてしまうわけです。

完全に言いがかりやけどね。

でも、iPhoneのホーム画面がランドスケープモードになるんだったら、アプリもすべからくランドスケープモードに対応しているものって認識をするでしょー!?

この手のテック系に詳しくないユーザーなら、そう思うかもしれませんわね。
このトンデモ理論は、iPadのような縦表示(ポートレートモード)と横表示(ランドスケープモード)という、縦横2つの使い方が登場時から認知されているデバイスなら分からなくもないでしょう。
現に多くのiPadユーザーは、iPadOS対応アプリというのが、縦横の両方の表示に対応しているのが当たり前だと思っているはずです。これは裏を返せば、我々デベロッパー側もiPadOS向けにアプリを開発する際には、ポートレートモードとランドスケープモードの両方に最適化しているということです。ただ、iOSはその限りではありません。
それではなぜ、iOSアプリというのはポートレートモード(縦表示)ありきなのか。それは、ホーム画面の横表示が可能だったのは、“一部”のiPhoneだけだったからなのです。ここがiPadとの決定的な違いというわけです。

要するに、同じiPhoneなのにもかかわらず、PlusなiPhoneだけ、異なるエクスペリエンスができて“しまっていた”ということなのです。
同じiPhoneなのに、機種によって得られるエクスペリエンスが異なるというのは、Apple的には異質なものだったのではないでしょうか。そして、多くのiPhoneのホーム画面が縦表示固定(ランドスケープモード非対応)なので、アプリ開発者も縦横を切り替えて使うようなUIに設計していない。これが、iPhoneのホーム画面のランドスケープモードを廃止した理由ではないかと推測しています。
これらを踏まえると、iPhone 12 Pro Maxのホーム画面が横向きにならないことについても納得がいきます。むしろ、横向きにならないことによって、他の現行のiPhoneとの整合性が整い、どのiPhoneを使っても同じエクスペリエンスが得られているのです。

…なるほど!

Appleが「実は需要がなかったからやめたんだけどねー」って言ったらごめんぬだけど、わたしはこの説が有力だと思っているのであーるっ!
まとめ「UXの整合性を保つために廃止された機能」

長くなってしまったので話を整理すると、
- iPhone ○○ Maxのホーム画面は横向きにならない
- iPhone ○○ Plusのホーム画面は横向きになる
- Face IDが縦固定だから廃止された説は違う気がする
- 真の狙いはiPhoneのUXを統一させるため
という感じでしょうか。
実際にはどうなのかは、中の人ではないので分かりませんが、個人的にはUX統一説が正しい気がしています。ですので、iPhoneのホーム画面がランドスケープモードの再対応するのであれば、そのときは全部のiPhoneが対応しており、かつアプリの開発要件にも“ランドスケープ対応”が盛り込まれるものだと思っています。

真実は林檎のみぞ知るっ!
おまけ

個人的にはホーム画面のランドスケープモードが復活してほしいのであーる。

そうでないと、iPad mini的には使えないですからね。

iPhone Foldが出るときには復活するんじゃない?

…それだーーー!!
おわり
…というわけであーるっ!