- 果てしない バリアングル vs チルト の構図!
- どっちも得意不得意があるから甲乙つけがたい!
- 可動機構の方向性がメーカーが定めるカメラの方向性!
動画向けとスチル向けの違い?
一眼レフやミラーレス一眼を使っていると、『バリアングルモニター』と『 チルトモニター』のどっちが良いかという議論をよく耳にする。どちらも可動式モニターだけど、方向性がまるっきり違う。そこで特徴を踏まえて、どっちが誰に適しているかを考えるお話。
ざっくりしすぎやね…。
言わんとすることは分かりますがね。
目次
各種可動式モニターの違い
バリアングル・チルト論争(勝手に呼んでるだけ)の前に、一眼レフやミラーレス一眼で採用されている可動式モニターの種類とその違いをサクッとおさらいしてみることにします。
バリアングルモニター
まずは、『バリアングルモニター』から。
バリアングルモニターは線対称移動をする可動式モニターのことで、一昔前のガラケーに採用されていたクルっと画面が回る機構がカメラに使われているイメージです。
線対称移動をするので、回転軸に対して画像のような並行移動をします。これがバリアングルモニターを開いた状態になります。
バリアングルモニターには、もう1つ回転軸がある(2軸回転)ので、画像のような垂直方向の線対称移動も可能です。
これによりモニターの角度を調節したり、完全にモニターをレンズ方向に回転させて、自撮りをすることができるようになっています。また、回転軸が2つあるので、縦位置撮影のときでもモニターの角度がある程度調節できるようにできています。
ちなみに、バリアングルモニターの回転軸が常にモニターの左側にあるわけではなく、カメラによってはモニターの下側に回転軸があるタイプも。
チルトモニター
お次は、『チルトモニター』を。
チルトモニターはモニター自身を傾ける(チルト)ことができるもので、内部のショベルカーのアームのような回転軸が複数あり、その回転軸に沿って可動するようになっています。
チルトモニターの回転軸はカメラ本体に対して並行に搭載されており、画像のような下方向や上方向にモニターを可動させることが可能になっています。
一般的なチルトモニターでは可動範囲が狭く、自撮りができないものが大半ですが、カメラによっては回転軸を増やすことによって、よりフレキシブルに可動して自撮りが可能なモニターもあります。
バリアングルもチルトも派生系があるってことですなー。
変則的なタイプ
一眼レフやミラーレス一眼の中には、バリアングルでもチルトでもない、変則的な可動範囲を持つモニターも存在しています。
Sony『α99 II』は、バリアングルとチルトをミックスさせたモニターの方式を採用。おそらく、この方式はSony以外はやっていないはず。
好みはあるにしても、バリアングルとチルトのいいとこ取りをしているタイプになるので、これが現時点における可動式モニターの最適解な気がします。Sonyには、早くこのハイブリッドな可動式モニターをミラーレス一眼でも採用してほしいところ。
富士フイルム『X-T3』は、チルトモニターを派生させて、従来の垂直方向の可動以外にも右方向に水平移動する方式を採用。この方式は、PanasonicのLUMIX S1などでも採用されています。
チルトモニターの最大の弱点である、縦位置撮影でチルトが使えないというものを解消したのがこの富士フイルムの方式。なぜか、X-T4ではバリアングルモニターに鞍替えしています。
RICOH『PENTAX K-1 Mark II』は、まったく新しい可動式モニター。イメージ的には、リボルテックフィギュアやボールジョイントフィギュアのそれのような、超フレキシブルな可動式モニター。
自撮りこそできないものの、これも可動式モニターの最適解の1つなはず。余談ですが、こういう明後日の方向に行くのがPENTAX(RICOH)らしくて、好きになっちゃいます。
うーん、このプラモ感がたまらないっ!
バリアングル・チルト論争
さて、そんな可動式モニターの永遠のテーマ、それがバリアングル・チルト論争。
それではいよいよ、バリアングルモニターとチルトモニターのメリット・デメリットを考えてみたいと思います。まぁ、大体の察しはつきそうですが…。
確かに、双方とも一定数の支持者がいますものね。
そうなのであーる!
正解はないけれど、どっちも得意不得意があるからカメラ選びは難しいんだよねー。
バリアングル:フレキシブルだが光軸からズレる
■メリット
- 使わないときにモニターを保護できる。
- 自撮り撮影が可能。
- 縦位置撮影でも活躍。
- とにかくフレキシブル。
■デメリット
- “開いて回す”というフローが面倒。
- モニターがカメラの光軸からズレる。
バリアングルモニターのメリット・デメリットを挙げるとするならば、上記のような項目が挙がってくるはず。
とにかくフレキシブルな可動域が、バリアングルモニターの最大のメリットなはず。ハイアングルにローアングル、縦位置撮影、自撮りだってバッチリ。しかも、使わないときにはクルっと回転させて、モニター自体を保護できる。
しかし、バリアングルモニターの大半は、利用時にカメラの光軸からズレるようになっており、慣れないと構図を決めるのが若干大変だし、少なからず違和感はあるはず。ここがチルトモニター派からすれば、妥協できない点なはず。
チルト:光軸からズレないがフレキシブルさに欠ける
■メリット
- “開く”だけで使える楽なフロー。
- モニターがカメラの光軸からズレない。
■デメリット
- 自撮りできないチルトモニターが多い。
- 縦位置撮影では役に立たない可能性大。
対して、チルトモニターのメリット・デメリットを挙げるとするならば、上記のような項目が挙がってくるはず。
“開く”だけで使えるチルトモニターは、“開いて回す”フローを要するバリアングルモニターよりも、煩わしさが少なく使えるのがメリット。また、カメラの光軸からズレることなく、モニターで撮影できるという点はスチル撮影をするユーザーからすると大きな点になるはず。
しかし、チルトモニターの大半はモニター可動域が狭いので、自撮り撮影には使えなかったり、縦位置撮影ではまったくの無意味な機構になることも多い。おそらく、自撮りや縦位置撮影を頻繁に行うユーザーは、チルトモニターではなくバリアングルモニター派になっているはず。
何に重きを置くでモニターは変わる
結局のところ、特殊なモニター可動機構を持つカメラ以外は、バリアングルモニターにしても、チルトモニターにしても、利用用途や撮影シーンによって向き不向きがあるということ。そして、どちらが優れているということはなく、ユーザーによる好みに依存するということでしょう。
なので、バリアングルモニターを採用しているカメラは、ビデオ撮影や自撮りに向いているカメラ。チルトモニターを採用しているカメラは、スナップやピュアなスチル撮影に向いているカメラ。そのようにそれぞれ考えると腑に落ちたりします。いわば、モニターの可動機構の方式から、そのカメラの方向性がある程度定まっているというわけなのです。
モニターの可動機構で、購入するカメラを選ぶのもアリだと思うんだよねー。
バリアングルとチルトのカメラを1台ずつ持っておけば、シーンによって使い分けもできるわけやもんね!
まとめ「バリアングルとチルトはカメラの方向性を指し示す」
一眼レフやミラーレス一眼のバリアングル・チルト論争に正解はない気がします。ただ、その可動機構のどちらを採用するかによって、メーカー側がどうユーザーに使ってほしいかの方向性は指し示されている気がします。
あるカメラがモデルチェンジで バリアングル → チルト (逆も然り)と変更されたならば、それはメーカー側の方向性が変わったということ。ただ、正解がないものなので、メーカー側も不用意に変更しづらい気もします。これは永遠のテーマなのですから。
私は…チルトモニター派かなー?
おまけ
私は自撮りも動画も縦位置撮影しないから、チルトモニターが合っているんだよねー。
…なるほど。
どうしてもっていうなら、最悪スマホでリモート撮影っていう手もあるやんね!
うむぅ…。
実際は面倒だからしないかもだけど、可能性として残しておくだけでも精神衛生上はいいよね〜。
おわり
結論は…“好み”と“目的”あーるっ!