- OnwardMobility撤退でBlackBerry新機種の夢は消滅!
- BlackBerry KEY2 Last Editionが本当に最後の黒苺に!
- 特許売却によりBlackBerry KEY3を出すのは厳しい!
“BlackBerryは三度死ぬ”
2022年2月19日(CST)、BlackBerry 5Gの開発断念をOnwardMobilityが発表した。そこから、早1か月。残念なことに、BlackBerryとライセンス契約をする新たな企業は現れず。…とうとう、BlackBerry新機種の夢は散ったのです。
TCL → OnwardMobility
…までの流れは良かったんやけどね。
…かなしみ。
BlackBerry 5Gの夢が完全消滅
去る2022年2月19日(CST)、米国『OnwardMobility』社がシャットダウンした。
うぅっ……。
ご存じの方も多いかもしれませんが、このOnwardMobilityはBlackBerryとパートナー契約を締結しており、本来であれば、2021年中にBlackBerry冠の5G対応スマートフォンをリリースする予定でした。
今回、その夢が完全に消滅したわけです。
話は遡って、2016年9月。
BlackBerry Limited(旧:Research In Motion Limited)がハードウェア事業から撤退し、ソフトウェアやセキュリティ関連に事業を集中することを発表。撤退表明したハードウェア事業に関しては、パートナー企業を探しアウトソースすることで、BlackBerry冠のスマートフォンをリリースすることになっていました。
そこから数か月後、2016年12月。
中国TCL CommunicationがBlackBerry Limitedとパートナー契約を締結。その後、TCLは『BlackBerry KEYone』や『BlackBerry KEY2』をリリースしていきます。
しかしながら、そのTCL CommunicationとBlackBerry Limitedとの間のパートナー契約も、2020年8月31日をもって完全終了(2020年2月に契約終了)。これにより、BlackBerry Limitedは新たなハードウェア製造パートナーを探す必要が出てきたわけです。
そんな折、手を上げたのがOnwardMobilityだった…という話なのです。
当初、OnwardMobilityは2021年前半に、5G対応のBlackBerryスマートフォンをリリース予定でした。ところが、その後は事実上の音信不通状態。
2021年1月6日(CST)に、しれっと「Contrary to popular belief, we are not dead.」というタイトルで自社ブログを更新。突如として、プロジェクト継続をアピールしてきました。
しかしながら、結果的に5G対応BlackBerryは出ずに会社は閉鎖。これにより、BlackBerryの新機種が投入される夢は完全に消滅したわけです。
さらに、本家BlackBerry Limitedも、同社が持つ非中核特許資産(モバイルデバイスやワイヤレスネットワークに関連する特許)の実質上すべてを、6億ドル(約686億円)で売却。ついには、パテントトロール(いわゆる『特許ゴロ』)疑惑まで出る始末になっております。
いち時代を築いてきたBlackBerryですが、こういう末路になるとは……。
BlackBerryだけじゃなく、NokiaやPantech & Curitelも影を潜めてるし、まさに栄枯盛衰ですな。
BlackBerry KEY2は至高のスマホ
OnwardMobilityがBlackBerry 5Gをリリースしなかったことにより、“最後”のBlackBerryはTCL製の『BlackBerry KEY2 Last Edition』(BlackBerry KEY2の筐体で特別仕様になっている)。
BlackBerry KEY2は本当に完成されたデバイス。
その美しさゆえ、あまりにも気に入ってしまい、BlackBerry KEY2とBlackBerry KEY2 Last Editionを両方とも購入しておりました。
搭載OSこそAndroidなので、他社とそこまで変わり映えしない(独自のセキュリティ関連アプリは入っている)のですが、この硬派な筐体デザインが“仕事のできるヤツ”を演出させてくれる。いわゆる、所有欲を満たすスマートフォン、というわけです。
QWERTYキーボードがトラックパッドになってるギミックも良きあーる。
発売が2018年(Last Editionは2020年)と、世間ではまだ「SDGs!プラスチックを減らそう!!」と叫ばれていなかったこともあり、付属品もとってもゴージャス。
BlackBerryロゴ入りのUSB充電器やイヤホンは、BlackBerryの流れが完全に途絶えてしまった今、コレクターズアイテム化しそうな気もしています。
充電器、USB Type-Aなんやね。
あ、確かに!
BlackBerry KEY3はリリースされるか?
OnwardMobilityが完全撤退してしまった今、気になるのは新たにBlackBerry Limitedとパートナー契約を締結する企業が現れるかどうか。そして、『BlackBerry KEY3』はリリースされるのか、ということ。
残念ながら、それは叶わぬ願いになる気がしています。
というのも、前述のとおり、BlackBerry Limitedは2022年1月31日(CST)、モバイル関連の特許を、Catapult IP Innovationsに事実上すべて売却しています。
ちなみに、このCatapult IP Innovationsという企業は、BlackBerryの特許資産を取得するために設立した特別目的事業体。これもあって、「BlackBerryはパテントトロールをする気では?」と言われているわけです。
報道では一応、売却した特許群は『非中核特許資産』となっているのですが、このような状態に陥っているのでは、BlackBerry Limitedとパートナー契約を結んで、新たなスマートフォンをリリースする企業は現れないでしょう。もし、現れたとしても、OnwardMobilityの二の舞になりかねません。
では、逆に『中核特許資産』には何があるのでして?
自動車向けソフトウェアプラットフォーム(BlackBerry IVY)。
企業向けセキュリティに関連する特許。
…ですな。
スマートフォン関連特許がないやん!!
探せばあるかもだけど、あったとしても厳しいのであーる。
まとめ「BlackBerryは三度死ぬ」
BlackBerry本家のハードウェア撤退。
パートナーであるTCLとの契約終了。
パートナーであるOnwardMobilityの消滅。
…BlackBerryは三度死んでしまったのです。
正直、BlackBerry KEY2の筐体のままで良いので、中身のチップセットだけ新しくしたBlackBerry KEY3を5G対応でリリースしてほしいのです。なんなら、BlackBerry KEY2 Last Edition Ver. 2的な感じでも構いません。
愛されるデバイスがまたひとつ…うぅ……。
おまけ
OnwardMobilityとは一体!?
何をしてたのでしょうね?
事業内容は“夢を見させる”、的な!?
…夢のままで終わっちゃってるのであーる。
おわり
▽Source
BlackBerry will stop designing its own phones and focus on software - Vox
BlackBerry KEY2 Last Edition、本当の意味で“最後”になってしまいましたわね。