- キャッシュレス決済によっては手数料に消費税が発生する
- QRコード決済の手数料は原則『消費税課税取引』となる
- QRコード決済でも一部手数料は『消費税非課税取引』となる
加盟店が信販会社に支払う『QRコード決済』の手数料。実は、手数料に消費税がかかる場合・手数料のみの場合、の2パターン存在しているのです。…なので、お勉強してみます。
チャージ残高・ポイント・クレジットカード、などですな!?
そう考えたら特殊やんね、QRコード決済って。
キャッシュレス決済の手数料に係る消費税
消費者がキャッシュレス決済を用いて、商品やサービスの代金を支払うとします。その際、加盟店はその代金の一部を手数料として、信販会社に支払っております。…これは誰もが分かるはず。
そして、その信販会社に支払う手数料、『消費税課税取引』と『消費税非課税取引』があります。
例えば、決済手数料が3%のキャッシュレス決済があるとします。
このキャッシュレス決済が『消費税課税取引』であれば、加盟店が支払う代金は“ 3% + 消費税 ”となります。反対に『消費税非課税取引』であれば、加盟店が支払う代金は“3%のみ”です。
ひとくちに決済手数料と言っても、課税取引と非課税取引があるのはややこしいあーる。
消費者からすればどちらでもよい話ですが、お店のオーナーからすれば大きい差になるかと。
『消費税課税取引』と『消費税非課税取引』の境界線
キャッシュレス決済の手数料には、『消費税課税取引』と『消費税非課税取引』があることは分かりましたが、課税取引と非課税取引の“境界線”は何なのでしょうか。
国税庁の質疑応答事例によると、債権者が持つ債権を同一性を変えずに第三者に移転させる資本移転行為である『債権譲渡(金銭債権譲渡)』が発生するキャッシュレス決済であれば、その決済手数料は消費税非課税取引。『債権譲渡(金銭債権譲渡)』が発生しないキャッシュレス決済であれば、その決済手数料は消費税課税取引。…このようになるようです。
金銭の債権譲渡が発生する取引か否か。
これがキャッシュレス決済の手数料における、消費税課税取引・消費税非課税取引、に関係していることが分かりました。要するに、これが課税取引と非課税取引の“境界線”というわけです。
消費税課税取引 | 消費税非課税取引 |
楽天Edy nanaco WAON 交通系電子マネーa) |
クレジットカード QUICPayb) iDb) PiTaPa |
a)チャージ残高払い, b)代行会社経由の場合は課税対象の場合有
キャッシュレス決済の手数料における、消費税課税取引と消費税非課税取引を分類してみたのですが、ここにある共通点が浮かび上がってきます。
プリペイド方式のキャッシュレス決済手数料は、消費税課税取引。
ポストペイ方式のキャッシュレス決済手数料は、消費税非課税取引。
そうです。一旦、現金やクレジットカードからチャージするタイプの『プリペイド方式』であるキャッシュレス決済には、その決済手数料に消費税が発生するわけです。
したがって、チャージして利用するタイプである『楽天Edy』や『Suica』の決済手数料は、消費税課税取引に該当することになります。
プリペイド方式の電子マネーについては、現金と同じ扱いになるようですわね。
だから、金銭請求権もなければ、金銭債権譲渡もないそうですわ。
クレジットカードと違って、オーソリ後に請求が来るわけじゃないもんね。
QRコード決済の手数料に係る消費税の区分
プリペイド方式のキャッシュレス決済手数料は、消費税課税取引。
ポストペイ方式のキャッシュレス決済手数料は、消費税非課税取引。
こうなることは分かりましたが、複数の支払い方法が用意されている『QRコード決済』の場合、その決済手数料の取り扱いはどうなるのでしょうか。
…えーと、うーむ!?
……ややこしくなってきたやんね。
消費税課税取引 | 消費税非課税取引 |
チャージ残高払い 銀行口座払い ポイント払い |
クレジットカード払い |
前述した国税庁の質疑応答事例と照らし合わせると、QRコード決済の決済手数料の係る消費税の発生有無については、上表のとおりになります。
●● → QRコード決済 → 支払
の“●●”に入るものによって、消費税が発生するわけですな?
そういうことになりますわね。
例えば、『楽天ペイ(アプリ決済)』の場合、クレジットカード払い・楽天ポイント払い・楽天キャッシュ払い・楽天銀行口座払い、という合計4つの支払い方法があります。
このうち、ポストペイ方式なのは『クレジットカード払い』のみ。なので、『クレジットカード払い』は消費税非課税取引となり、そのほかは消費税課税取引となるわけです。このことは、しっかりと公式サイトにも記載されております。
『楽天ペイ(アプリ決済)』の決済手数料は、キャンペーンによる決済手数料の免除を除外すると“3.24%”とのことなので、クレジットカード払い以外の『楽天ペイ(アプリ決済)』については、この手数料にプラスして消費税を信販会社に支払う必要があるということになります。
お会計、よろしくあーる!
以上で、10,000円です。
楽天キャッシュ払いの『楽天ペイ』でオナシャス!(ピッ!)
消費税課税取引なので、
324円 + 消費税
の決済手数料を納めさせていただきます。
……ありがとうございました!
こんなお店、もう来たくないあーる。
……。(茶番ですわ)
まとめ「『債権譲渡』はややこしい」
プリペイド方式のキャッシュレス決済手数料は、消費税課税取引。
ポストペイ方式のキャッシュレス決済手数料は、消費税非課税取引。
これだけ覚えておいて、そっくりそのまま『QRコード決済』に当てはめたらよさそうです。
『消費税法』と『債権譲渡』、QRコード決済を取り扱う個人商店なら、覚えておく必要があるでしょう。
素人調べなので、詳しいことはお抱えの税理士や公認会計士に問い合わせてください。
おまけ
思った以上に興味深い話でしたわ。
『消費税』自体、奥が深いよねー。
ガソリン税が存在しているから、消費税は間接税ではなく、法人税のような直接税っていう話も聞きますからな。
“消費税は預り金ではない”、このことはすでに裁判(判例時報1344号)で確定していますからね。
……うーん、闇やね。闇。
おわり
他のキャッシュレス決済とは異なり、『QRコード決済』には“複数の支払い方法が用意されている”のがミソですわね。