- 802.11ac Wave 2対応。
- 簡単にメッシュWi-Fiシステムを構築可能。
- FTPも可能な本格的NAS機能。
- 設定画面がGUIで明瞭操作が可能。
- RT2600acはデュアルバンド。
- Wi-Fi 6非対応。
NAS屋のメッシュWi-Fiは凄かった。
単体ルーターだがメッシュWi-Fiルーターとしても使える、Synology『MR2200ac』を『RT2600ac』と組み合わせてレビュー。UIに定評がある同社らしく、設定も容易で多機能。そんなハイエンド志向な当機をチェックしてみます。
Synologyといえば『NAS』って感じで、Wi-Fiルーターのイメージがないけど大丈夫なん?
NASベンダー“だからこそ”のエモみがあるんだぞー!
目次
Synology『RT2600ac』&『MR2200ac』とは?
■RT2600acのポイント
- Wi-Fi速度が最大1733Mbps。
- IEEE 802.11ac Wave 2対応。
- 高度なVPN機能。
- プライベートクラウド構築可能。
- デュアルWAN対応。
- フィルタリング機能。
- ペアレンタルコントロール。
- 豊富なインターフェース。
■MR2200acのポイント
- トライバンドメッシュWi-Fi。
- メッシュWi-Fiシステムの可視化。
- 高度なVPN機能。
- プライベートクラウド構築可能。
- フィルタリング機能。
- ペアレンタルコントロール。
今回レビューするのは、
という、ハイエンド志向のWi-Fiルーター2機種。
メッシュWi-Fiルーターとして販売されているのは『MR2200ac』ですが、『RT2600ac』をルーター(親機)としたメッシュシステムが構築可能です。なので、今回はこの2機種をメッシュWi-Fiルーターとして評価していきます。
どっちも“単品販売”だからね!購入時は注意っ!!
本体
RT2600ac
RT2600acの本体サイズは、280×169×77mm(W×D×H)となっていて、Wi-Fiルーターとしては大きめの部類。
RT2600ac本体にアンテナを4本装着して利用する(本写真では未装着)ので、見るからに電波はかなり飛びそうなスタイルをしている。
本体底面には、壁掛け用のフック穴があります。
ただ、デザイン的に角が突起している感じなので、現実的な設置というのは“据え置き”になると思われます。
本体前面には、
- SDカードスロット
を搭載。
本体後面には、
- 電源ボタン
- 電源入力端子
- リセットボタン
- USB 2.0 Type-A
- WAN端子
- LAN端子 ×4
が左から搭載されています。
なお、一番左のLAN端子はWAN端子とのコンボポートになっています。なので、デュアルWANをする場合はこちらを利用します。
本体右側面には、
- WPSボタン
- Wi-Fiボタン
が左から搭載されています。
本体左側面には、
- USB 3.0 Type-A
- イジェクトボタン
が左から搭載されています。
うーむ…端子の数が多いっ!
RT2600ac自体、ハイエンド志向な単体のWi-Fiルーターとして販売されています。なので、RJ-45(LAN端子)の数も非常に多く、USB端子やSDカードスロットまで豊富に搭載されています。
今回の趣旨とはズレますが、メッシュWi-Fiを構築する予定がなくても、RT2600ac単体で利用しても充分な性能を発揮してくれるでしょう。
MR2200ac
MR2200acの本体サイズは、199×65×154mm(W×D×H)となっています。
こちらはメッシュWi-Fiルーターとして売られているので、サイズ感も同系統のルーターとしては普通です。
本体後面には、
- WPSボタン
- Wi-Fiボタン
- USB 3.0 Type-A
- LAN端子
- WAN端子
- 電源入力端子
- 電源ボタン
- リセットボタン
と左から搭載されています。
メッシュWi-Fiルーターのわりには、端子が豊富だねっ!
MR2200acはRT2600acとは異なり、本体の後面に端子類は集約されています。さすがにRT2600acに比べるとインターフェースは寂しいですが、メッシュWi-Fiルーターと考えるとかなり豊富だと思います。
付属品
RT2600ac
■RT2600acの付属品
- ACアダプター
- LANケーブル ×2
- クイックスタートガイド
MR2200ac
■MR2200acの付属品
- ACアダプター
- LANケーブル ×1
- クイックスタートガイド
ココがGOOD
Wi-Fi:802.11ac Wave 2対応で超高速もMU-MIMOも
今回のRT2600acとMR2200acは、両製品とも『IEEE 802.11ac Wave 2』に対応している。
世代 | Wave 1 | Wave 2 |
理論値 | 290Mbps〜1.3Gbps | 6.93Gbps |
MIMO | SU-MIMO | MU-MIMO |
802.11ac Wave 1とWave 2の比較表。
このように、802.11acと言っても、『Wave 1』と『Wave 2』の2つの世代で大きくスペックが異なる。特に、Wave 2対応でないと、MU-MIMOに非対応なのも注意したいところ。もちろん、理論値も大きく異る。
前述のように、RT2600acとMR2200acは『Wave 2』対応です。つまり、802.11acの機能をフルに活かせるというわけ。なので、当然ですがMU-MIMOにも当然対応していて、転送速度もかなり高速(RT2600ac:1.733Gbps・MR2200ac:867Mbps)になっています。
詳しい転送速度は、のちほど比較計測しているよー!
メッシュWi-Fi:シームレス&電波の見える化
非常に面白いのが、メッシュWi-Fiシステムを構築すると、『Wi-Fi Connect』上からメッシュWi-Fiを“可視化”できるということ。
この機能は単に面白い…というだけではなく、メッシュWi-Fiルーターを適切な位置に設置できるという大きなメリットがある。この画面を見れば、メッシュWi-Fiのサテライト側(子機)を電波強度が落ちないぐらいの距離に設置するのも非常に容易でした。
NAS:さすがSynologyと唸る使い勝手の良さ
SynologyというばNAS!
そんなNAS屋な強みが最大限出ているのが、Wi-Fiルーターについている簡易NAS機能。これがもはや“簡易でない”ぐらい本格的なのが、RT2600acとMR2200acの面白いところ。
RT2600acやMR2200acにUSB接続したストレージ(SDカード)は、『File Station』上で認識しファイル操作が可能。この操作画面も、いかにもエクスプローラー然としていて操作性が良い。
USB接続のストレージは、コントロールパネル上から管理の権限や機能の付与が可能。この機能の多さが、もはやWi-Fiルーターの簡易NASのそれではなくなっている。それくらい本格的なNAS機能になっているということ。
WindowsやMac上で認識できるようにするファイルサーバー機能はもちろん、macOSならばTime Machine用にもこの接続したストレージが設定できてしまう。
なんと、FTPサーバーやWebDAVサーバーの設定項目も存在している。うん…さすがSynology。もはや、これはWi-Fiルーターの域を超えている。
NAS屋であるSynologyがWi-Fiルーターを作ると、ここまで簡易NASの機能が豊富になってしまうらしい…。もう“簡易”ではない。なので、メッシュWi-Fiルーターを検討していて、いろいろ設定を触って遊びたい、というわがままなユーザーにはもってこいな仕様になっていると言える。
UI:Windows風で簡単に設定可能
最近では設定が容易なWi-Fiルーターが増えてきているが、その中でもRT2600ac・MR2200acの設定画面は、Windows風のUIで非常に明瞭で操作性が良かった。
同社のNASもこのようなUIで設定が可能ですが、こうやってアイコンを並べてくれると、設定するときに迷いがなくなる。多機能なWi-Fiルーターだからこそ、GUIで簡単に操作できるメリットは大きい。
これならば、高性能なWi-Fiルーターは欲しいけど、難しい操作は苦手…というようなユーザーでも安心して購入可能でしょう。
IPv6:v6プラス完全対応
個人的には、ここがもっともプッシュしたいポイント。
なんと、メッシュWi-Fiルーターにしては珍しく、『v6プラス』に完全対応している。つまり、IPv4 over IPv6とIPv6 IPoEにネイティブ対応しているということ。
単にv6プラスに対応しているだけでなく、『ネットワークセンター』から細かくIPv6の設定が行える。
契約しているプロバイダーによって、同じv6プラスでも、
- DS-Lite
- MAP-E
という2つのIPv4 over IPv6方式がある。
なので、こうやって細かく設定が行えるということは、ネットワークマニアにとっては嬉しいばかり。
とりあえず対応しているじゃなくて、しっかり対応しているというのがミソだねっ!
ココがBAD
トライバンド:RT2600acも対応なら完璧だった
RT2600ac | MR2200ac |
デュアルバンド | トライバンド |
両機種のバンド数。
個人的にかなり惜しいのが、今回ルーター(親機)として利用しているRT2600acが『デュアルバンド』なこと。
もともと、RT2600acに関しては、単体ルーターとして販売されているからだと思うが、ここがトライバンド対応だと最強の組み合わせと断言できたはず。
完全なトライバンドでメッシュシステムを構築するなら、MR2200ac同士でメッシュを組めばよい話なのですが、せっかくならRT2600acも使いたいところ。贅沢な悩みだが、このクラスのメッシュWi-Fiの購買層はこの手の細かいことを気にすると思う。なので、ここに関しては後継機種で改善してほしいところ。
ベンチマーク
Wi-Fi速度
気になるWi-Fiの通信速度を『Speedtest by Ookla』を使って計測してみました。
光の1Gbps回線で、同タイミングで計測しているよー!
今回の RT2600ac + MR2200ac という組み合わせでのWi-Fi速度の計測結果はこんな感じ。
RT2600acは前述のとおり、デュアルバンドです。ただ、他機種と比べても遜色ない…というか下りと上りの合計値からみると、むしろ上回っています。
もちろん、回線速度というのは地域や時間帯、設備などのファクターがかなり多いので一概には言えません。なので、あくまで参考値ではありますが、それでも今回のRT2600acとMR2200acでのメッシュWi-Fiは、かなり優秀ということが分かります。
こちらはLinksys『Velop』のWi-Fi速度の計測結果。
あの“AirMacの後継機種”というメッシュWi-Fiルーターのトライバンドモデルです。
こちらは元からメッシュWi-Fiとして売っていて、トライバンド構成の上位モデル。今回の計測結果では、SynologyのWi-Fiルーターと同じ〜少し下ぐらいの速度となりました。
最後はNECの『WG1900HP2』のWi-Fi速度の計測結果。
こちらはメッシュWi-Fiルーターではなく、単体のWi-Fiルーターです。
いくつWi-Fiルーター持ってるんだ…というツッコミは置いておき、上りがあまり出ませんでした。下りはほかの機種と同じくらいですね。
なんだか顕著な結果は出ませんでしたね。
家庭の光回線だから、こんな感じになっちゃうのかもだねー。
NURO光とかの高速回線とか、SOHOとかで法人向けの高速回線を契約している場所だと、もう少し分かりやすい結果が出たのかな!?
補足
メッシュWi-Fiシステム構築方法
今回 RT2600ac + MR2200ac という組み合わせでのメッシュWi-Fiシステムの構築方法については、上記の記事にまとめております。
SynologyのWi-Fiルーターは設定が非常に容易で、同社らしくUIが分かりやすいウィザード式の画面になっていました。なので、ハイエンドWi-Fiルーターは設定が…という心配は考えなくても大丈夫。むしろ、Wi-Fiルーターの中でも簡単なほうでしょう。
まとめ「多機能高機能でレビュワー泣かせのWi-Fiルーター」
今回、Synologyの『RT2600ac』と『MR2200ac』という2つのWi-Fiルーターをレビューしてきましたが、本当にレビュワー泣かせな多機能高機能さでした。
単体Wi-Fiルーターとしても良し、メッシュWi-Fiルーターとしても良し。さらに、使いやすいGUIでの設定項目に、もはや簡易とは言えないガチなNAS機能。まさにこれは“NAS屋が作った本気のWi-Fiルーター”という感じでしょう。
初心者〜中級者〜上級者の全員が納得して使えるWi-Fiルーターだっ!
おまけ
あとは“白色”が出てくれると、Apple信者的には嬉しいところっ!
それが理由でVelopを導入したくらいですからね。
まぁ、完全に特殊例やとは思うけど…。
いやー、白色欲しいなー。Synologyさん、聞いてるかなー!?(圧力)
おわり
メッシュWi-Fiルーターに対して、「機能が少ないからなー」と思ってる人はこれを検討してみるとよろしっ!