iPhone 14 Pro『Pro Camera System』の合理性

スマホは“12MP揃え”が現状ベスト!?
iPhone 14 Pro『Pro Camera System』の合理性
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記事のポイント
  • リアカメラを12MPで揃えることで味わえる“一眼”感
  • メインカメラの 48MP ⇆ 12MP 切り替えは実用的
  • 「何も考えずに綺麗に撮れる」 ←これがかなり重要

iPhone 14 Proの『Pro Camera System(= リアカメラ)』は、標準48MP・広角12MP・望遠12MP、という構成なのですが……これが実に合理的なのです。

二条ねこ
  • 標準カメラ:48MP ⇆ 12MP
  • 広角カメラ:12MP
  • 望遠カメラ(2倍):12MP
  • 望遠カメラ(3倍):12MP

こんな感じで、ぜーんぶ“12MP”なのですぞ!

まの

Quad-Pixel Sensor(クアッドピクセルセンサー)』、何だか『Retina Display』のカメラ版のような感じですわね。

さたえり

高画素化しつつも、ソフト的な画素数を揃えてるのがポイントなんやね!?

『iPhone 14 Pro』と『Pro Camera System』

Image:Apple

iPhone 14 Proに搭載されているリアカメラは『Pro Camera System』と名付けられており、Apple曰く「一般ユーザーでもプロでも、あらゆるユーザーが最高の写真やビデオを撮影できる」とのこと。

Image:Apple

その“Pro”たるゆえん、それが『メインカメラ(= 標準カメラ)』のセンサーサイズが大型化し(1/1.65″ → 1/1.3″)、有効画素数が引き上げられたこと(12MP → 48MP)。

iPhoneのリアカメラは、iPhone 6s以降、長らく12MPを堅持していました。当然、採用されているセンサーモジュールのアップデートは、その間に何度もされております。その構図がついに、iPhone 14 Proで大きく変わったというわけです。

Image:Apple

そして、今回も当然ながら『Apple ProRAW』でのRAW撮影に対応。

加えて、メインカメラは 48MP ⇆ 12MP の画素切替式を採用。
通常時はピクセルビニングによる12MPでの撮影になるのですが、Apple ProRAW撮影時にはピクセルバイピクセルな48MPにスイッチして撮影することが可能(撮影モードによっては12MPで固定される)。

Image:Apple

ここまではハードウェア的な話が中心でしたが、ソフトウェア的にも“Pro”な仕様となっており、『Photonic Engine』というテクノロジーが新搭載されている点にも注目。

このPhotonic Engineとは、iPhone 11シリーズから採用されている『Deep Fusion』のアップデート版。端的に言えば、機械学習を用いた高画質化を目的とした画像合成技術のこと。このDeep FusionをRAW段階で処理したものを、Photonic Engineと呼ぶそうです(詳細な仕様は非公開)。

このように、ハードウェア的な高画質化・ソフトウェア的な高画質化、この両側面からアップデートが加えられたのが、今回のiPhone 14 Proにおける『Pro Camera System』というわけなのです。ですなの。

さたえり

単なるセンサーの高画素化じゃないんやね!?

二条ねこ

そういうことですな!
高画素センサーを搭載するだけじゃなくて、Neural Engineも活用して、高画質な写真を撮るわけであーる。

iPhone 14 Proのリアカメラ構成

標準
(メイン)
広角
(超広角)
望遠
(3倍望遠)
有効画素 48MP 12MP 12MP
焦点距離 24mm 13mm 77mm
F値 ƒ/1.78 ƒ/2.2 ƒ/2.8
AF Focus Pixels Focus Pixels -
手ぶれ補正 センサーシフト光学式
(第2世代)
- 光学式
レンズ構成 7枚 6枚 6枚

iPhone 14 Pro/iPhone 14 Pro Maxに搭載されている、リアカメラの仕様については上表のとおり。

48MPに高画素化されたのは、あくまで『メインカメラ(= 標準カメラ)』のみ。その他の『超広角カメラ』や『3倍望遠カメラ』については、従来どおりの12MPとなっております。

また、前述のとおり、メインカメラは48MPですが、通常時は12MPで撮影されます。そして、このメインカメラのクアッドピクセルセンサーを用いて、メインカメラは12MPの2倍望遠カメラとしても利用されます。

Pro Camera Systemの合理性

iPhone 14 Proの『Pro Camera System』について理解したところで、その合理性について考えていきます。

全カメラ12MP → 一眼のレンズ交換感覚

標準
(メイン)
広角
(超広角)
望遠
(3倍望遠)
有効画素 12MP
(通常撮影時)
12MP 12MP
焦点距離 24mm 13mm 77mm
F値 ƒ/1.78 ƒ/2.2 ƒ/2.8

48MPセンサーを搭載したメインカメラですが、前述のとおり、通常撮影モードの場合はピクセルビニングにより、疑似的に12MPのセンサーとして扱われます。これにより、すべてのカメラが“12MP”で揃うことになるわけです。

すべてのカメラが12MPで揃うことにより、あたかも一眼カメラでレンズ交換しているかのような感覚で撮影ができてしまう、というわけです。

実際は各カメラモジュールごとにセンサーが搭載されているわけですが、無意識レベルでiPhoneを使っていると、1つのセンサーに対してレンズ交換をしているような錯覚をしてしまうのです。

全カメラ12MP → ファイルの扱いが容易

すべてのカメラが“12MP”で揃っている。ここにあるもうひとつの利点が、どのカメラで撮影しても画素数(= 解像度)が揃う、ということ。

ただ単に、写真撮影するだけなら気にはなりません。しかし、撮影した写真データをLightroomやCapture Oneのワークフローに流すことを考えると、1つのデバイスで撮影しているにもかかわらず、画素数が異なると非常に扱いづらいのです。

IllustratorやPhotoshopに落とし込む前に、写真をリサイズすれば済む話ではあるのですが、このひと手間が非常に面倒になってくる。なので、画素数が揃っていることに越したことはないのです。

メインカメラ48MP → 2倍望遠12MP

標準
(メイン)
広角
(超広角)
望遠
(2倍望遠)
望遠
(3倍望遠)
有効画素 48MP 12MP 12MP 12MP
焦点距離 24mm 13mm 48mm 77mm
F値 ƒ/1.78 ƒ/2.2 ƒ/1.78 ƒ/2.8

iPhone 14 Proに物理的に搭載されているリアカメラは、『メイン』『超広角』『3倍望遠』の3つですが、メインカメラを用いた“4つめのカメラ”として『2倍望遠』が利用できるようになっています。

この『2倍望遠』カメラは、メインカメラモジュールの48MPから中央の12MP部分をクロップしただけなのですが、従来のデジタルズームではなく、(結果的にクロップにはなるが)フルの12MPとして使うことができるわけです。

これにより、 13mm → 24mm → 48mm → 77mm という画角がデジタルズームなしで利用できるようになり、ちょうどいい望遠域が手に入った、というわけなのです。

加えて、この2倍望遠カメラも、ちゃんと12MP。なので、他のカメラと画素数も揃うことになりますし、疑似的な一眼感覚で使うこともできるのです。

ProRAW撮影48MP ⇆ 通常撮影12MP

メインカメラ
(通常撮影時)
メインカメラ
(ProRAW撮影時)
有効画素 12MP 48MP

メインカメラの48MPセンサー、通常撮影時はピクセルビニングで12MP、ProRAW撮影時はピクセルバイピクセルで48MP、と可変する点も興味深いところ。

iPhone 14 Proのメインカメラに採用されているセンサーは、通常の『Bayer sensor』ではなく、『Quad Bayer Coding sensor(QBC sensor)』という方式のもの。これが、Appleが言っている『Quad-Pixel Sensor(クアッドピクセルセンサー)』の正体なのです。

このQuad-Pixel Sensorを活用することにより、通常撮影時は2.44µm相当の大きなピクセルピッチとなり、光をより多く取り込めることになるわけです。この際の画素数は12MPに落ちるわけですが、そこはPhotonic Engineで高画質化してしまおう、というわけなのです。

それに対して、あとでユーザーが加工処理するのが前提のProRAW撮影時においては、48MPそのままで撮影できるようになっています(設定すればProRAWでも12MP撮影可能)。RAW撮影だからこそ、ニーズに合わせて高画素撮影が行えるようになっているのです。

さたえり

そんなことができるんやね!?

二条ねこ

センサー配列をリモザイクしているわけですな。

まとめ「QBCとRetinaな発想」

タイトル
  • ストレージを圧迫しない12MPで揃える
  • どのカメラも12MPなのであとで扱いやすい
  • RAW撮影だけ48MPを解放させている
  • 12MPで抑えてるので光学設計に無理がない
  • 解像感はAppleお得意の機械学習で補う

こんな感じで、iPhone 14 Proの『Pro Camera System(= リアカメラ)』は、とにかく考えられているのです。実に合理的で素晴らしい設計よ。

それにしても、『Quad-Pixel Sensor(Quad Bayer Coding sensor)』の考え方、『Retina Display』っぽい。

二条ねこ

下手に高画素化するよりも、スマホのカメラは12MP前後で十分ということであーる。

『Dynamic Island』 = パンチホールディスプレイの再発明

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2022年9月18日
記事に登場したガジェット

おまけ

二条ねこ

Xperia PRO-Iの新型が出るなら、ピクセルビニングを採用してくれないかなー!?

まの

1インチセンサーで、ですか?

二条ねこ

あ、その方向性だとAQUOS R7っぽくなりますな……。

さたえり

そういえば、AQUOS R7もピクセルビニング採用機なんよね!

二条ねこ

そうなのであーる!
Appleのプロモーションが上手だから革新的な感じが凄まじいけど、他のメーカーも普通にやってるということですな。

おわり