- CES 2023は「“最高の●●”が見つかる展示会だった」
- 注目メーカーは『DisplaceTV』『Lenovo』『Samsung』
- 一番期待してるデバイスは『HTC VIVE XR Elite』
世界最大のテック系見本市『CES 2023』が、 1月3日 〜 1月8日 の会期で開催されました。そこで本稿では、CES 2023で発表された注目のガジェットを振り返りながら総括していきます。


ほんと、それに尽きますわね。

CES 2022もそうやったけど、日本市場が軽視されがちやんね……。
目次
『CES 2023』の概要

Image:CES
- メディアデー
- 2023年1月3日
- 2023年1月4日
- 一般来場者向け
- 2023年1月5日
- 2023年1月6日
- 2023年1月7日
- 2023年1月8日
- Tech East
- Las Vegas Convention and World Trade Center
- Westgate Las Vegas
- Renaissance Las Vegas
- Tech West
- Venetian Expo
- The Venetian
- The Palazzo
- Wynn Las Vegas
- Encore at Wynn
- Tech South
- ARIA
- Park MGM
- Vdara
Consumer Technology Associationが主催する、世界最大のテック系見本市『CES』。
『Consumer Electronics Show』という名称も、今は昔。現在では、家電製品に限らず、自動車や人工知能まで幅広く展示される、まさに民生技術の一大イベントとなっております。
本年に行われた『CES 2023』は、昨年のCES 2022と同様に、 リアル開催 + オンライン開催 のハイブリッド方式にて開催されました。なので、プレス資格を持たない我々でも、数多くの基調講演や新製品発表会を、オンラインで体験することができるようになっています。

パンデミックが収束しても、ハイブリッド方式は継続してほしいですな。

CESに限らず、プレスイベントの多くがハイブリッド方式を採用していますし、これがデファクトスタンダードになりそうですがね。
『CES 2023』で注目のガジェット
このCES 2023には、3,200超もの出展者がいるので、どう考えても個人ブログでは網羅することは不可能。なので、本稿では、「これは面白い!」と感じたガジェットを、筆者の独断と偏見で抽出して紹介していきます。
もちろん、ここで紹介しているもの以外についても、大変興味深い製品が数多く発表されております。ですので、もし時間があるならば、『CES公式YouTubeチャンネル』を訪れるか、YouTubeで「#CES2023」と検索してみてください。
①Lenovo Yoga Book 9i
Lenovo Yoga Book 9i First Look | Open the Book of Limitless Possibilities
筐体のB面とC面の両方にディスプレイを搭載した、2画面ノートPC。
ヒンジが360°回転するコンバーチブル型の2-in-1機。オンスクリーンキーボードだけでなく、付属の取り外し可能な物理キーボードでの入力にも対応。また、デジタイザーペンによる、手書き入力やお絵描きも可能。
現時点での公称スペックは、13.3″ 2.8K OLED、Intel Core i7-U15 CPU、16GB DDR5 RAM(最大)、1TB SSD(最大)、80Whrバッテリー、となっている。
- 2023年6月ごろ
- $2,099.99から
製品コンセプト的には、わりと古典的なモデルではある。ところが、この手の2画面ノートPCはコンセプト機で終わることが多く、製品として出荷されることは案外少ない。有名どころだと、計画が頓挫してしまった、Microsoftの『Surface Neo』が記憶に新しい。
そうです。きっと、Surface Neoに夢を見ていたギークは、このYoga Book 9iが間違いなく欲しくなるはず。フットプリントは13.3インチなので、Surface Neoの9インチよりかは幾分大ぶりになってしまうのですが、夢として潰えたデバイスを追いかけるよりも、よっぽど現実的だったりします。

わたしは、Surface Neoの発売をまだ諦めてない民…だけどねっ!
②Lenovo ThinkBook Plus Twist
Lenovo ThinkBook Plus Twist – Smarter and versatile innovation for all
筐体のA面とB面の両方にディスプレイを搭載した、2画面ノートPC。
筐体A面には、Color E-Inkディスプレイを搭載。筐体B面には、OLEDディスプレイを搭載。ヒンジが2軸回転式のコンバーチブル型の2-in-1機。また、デジタイザーペンによる、手書き入力やお絵描きも可能。
現時点での公称スペックは、 12″ Color E-Ink + 13.3″ 2.8K OLED 、第13世代Intel Coreプロセッサ、が搭載されることが分かっている。
- 2023年6月ごろ
- $1,649から
頻繁にLenovoは、電子ペーパーを採用したノートPCをリリースしていますが、今回発表されたThinkBook Plus Twistでは、『回転2軸ヒンジ(ガラケーによくあったアレ)』を採用しており、本格的に電子ペーパー端末として使えるようになりました。
肝心の電子ペーパーも、Color E-Inkを採用しているため、雑誌なども読みやすい。過去の例から、日本で発売されない感じもするのですが、電子ペーパー好きとしては注目のデバイスだったりします。

電子ペーパータブレット『Lenovo Smart Paper』も発表されたし、デバイス間での連携も楽しみあーる。
③Samsung ViewFinity S9
Samsung ViewFinity S9 5K and ViewFinity S8 4K Monitor - Apple Studio Display KILLER!
デザイナーやフォトグラファーに向けた、5K解像度の27インチモニター。
DCI-P3の色域カバー率は99%。色差は ΔE ≤ 2 をサポート。パネルは非光沢。カラーキャリブレーションに対応しており、スマートフォンをキャリブレーターとして用いることが可能。
アップストリーム端子として、Thunderbolt 4やUSB Type-Cを備える。また、4K SlimFit cameraが付属しており、Samsung Smart HubやGoogle Meetをネイティブサポートしている。
Appleの『Studio Display』に非常によく似た、クリエイター向けモニター。DCI-P3カバー率が99%となっているので、おそらくは同等かそれ以上のパネル品質かと。
価格はプレスリリースに記載がなかったのですが、色差が ΔE ≤ 2 ということから推測するに、とんでもなく高価なモニターにはならなさそう。米ドルベースだと、ブランド代を考慮すれば、おそらくはApple Studio Displayより若干安いのではないでしょうか。

日本では発売されないっぽいから、使うなら直輸入ですな。
Apple Studio Displayと違って、VESAマウントに対応している可能性が高いから、かなり良さそうではあーる。
④Displace TV
Displace TV first look at CES 2023: Displace's fully wireless OLED TV sucks... literally
壁や窓ガラスに設置可能な、完全ワイヤレステレビ。
設置面に吸着する独自のマウントシステムにより、一般的な壁掛けブラケットは不要。
ホットスワップ対応のバッテリーが合計4個搭載されており、ACコンセントへの接続も不要。チューナーもワイヤレスで、ユニットからテレビへはWi-Fi 6Eのプロトコルで転送される。リモコンも存在せず、内蔵カメラによるハンドジェスチャーで操作する。
- 2023年後半
- $2,999
日本でも、Panasonicがワイヤレスチューナーを採用した壁掛け式テレビ『ウォールフィットテレビ LW1/LW1L』をリリースしていますが、このDisplace TVは、もっともっとワイヤレス。
バッテリー内蔵でACコンセントへの接続、不要。
チューナーもワイヤレスなので同軸ケーブルの接続、不要。
ハンドジェスチャー操作なのでテレビリモコン、不要。
独自のマウントシステム採用で壁掛けブラケット、不要。
これぞ、まさに未来のテレビ。
吸着によるマウントシステムの安全性がちょっと不安ですが、それはそれとして。ちなみに、テレビリモコンはありませんが、スマートフォンアプリから遠隔操作はできるようです。

巨大な『プライベート・ビエラ』って感じかな。
ハードウェアとしては、テレビはかなり枯れてるけど、まだまだイノベーションを起こせるんやね!
⑤HTC VIVE XR Elite
VIVE XR Elite - Powerful, Convertible, All-in-One XR Headset
スタンドアロン型VR HMD。
プロセッサは、Qualcomm Snapdragon XR2。トラッキングは、インサイドアウト方式の6DoF。解像度は、両目で3,840×1,920。レンズは、パンケーキレンズ。リフレッシュレートは、90Hz。
バッテリーはホットスワップ対応の着脱式。バッテリー駆動時間は、最大15時間。
- 2023年2月以降
- ¥179,000
HTC VIVE XR Eliteは、すでに日本での発売が確定しており、公式サイトで予約受付を開始しています。
このVIVE XR Elite、端的に言えば、あの『VIVE Flow』がバッテリー内蔵型のスタンドアロン機になり、かつPC VRに対応した(SteamVRも対応)、という形。
価格から分かるように、対抗馬は『Meta Quest Pro』。
ただし、こちらはバッテリーがホットスワップで着脱できるようになっています。加えて、バッテリーユニット自体を外して、VIVE Flowのようなグラス型のVR HMDとしても利用可能。
最近のHTCは迷走気味で心配なところがありましたが、ついに本領発揮。同じくスタンドアロン勢としては、Meta Questだけでなく、PICO XRも強力なライバルなので、(Appleが参入するまでは)三つ巴の戦いになりそうです。

予告しておきますが……買います。
『CES 2023』の総括

CES 2021、CES 2022、とパンデミックにより、参加企業が少なくなっていた近年のCESと比べて、今年の『CES 2023』は参加企業が復調傾向に。それもあって、興味深いデバイスが数多く発表されました。要するに、“分母が増えた”のでして。
ガジェット以外にも目線を向けると、Sony Honda Mobilityの新型EV『AFEELA』、 L'Orealのリップアプリケーター『HAPTA』、など…広い意味で“持続可能性”を感じるCESでもありました。
一部の人だけがエゴイズム的にテクノロジーの恩恵を享受するというのではなく、地球環境にも、ハンディキャッパーにも、皆んなに優しいテクノロジー。それが、CES 2023が掲げるトピックでもあった、“持続可能性”なのかもしれません。

『ユーザビリティ』だけじゃなく、『アクセシビリティ』も重視される時代になったわけですな。

UI、UX、そして『A11Y』ですね。

開発者として、忘れてはいけない要素やね。

うぬ、ですな。
“誰にために存在するか”を考えさせられた、CES 2023だったのであーる。
まとめ「みんなのためのテクノロジー」

ギークゆえに、ついついガジェット系ばかりに目が行きがちですが、“持続可能である”ことに重きを置いた、今回の『CES 2023』だったのかもしれません。

というか、化粧品会社もCESに参加しているのですな。
おまけ

ねこちゃん的には、電子ペーパーがたくさんリリースされたので満足であった!

超上から目線…やね。

持続可能性を感じない、ねこさん。
おわり
最大の焦点は、“日本で発売されるデバイスが幾つあるか”…ですな。